希代の歌姫、マリア・カデンツァヴナ・イヴは毎日のレッスンを欠かすことは無い。
たとえトップに立とうとも、数日怠けるだけで引きずり降ろされる厳しい世界にいるのだと彼女は理解しているからだ。
予約していたスタジオに入ると、いつものように怪しげな笑みを浮かべた男がマリアを出迎える。
壁の全面に書かれた幾何学模様と桃のような甘い香りが充満した異様な空間だが、これが常識なのだとマリアは認識している。
「今日もよろしく、先生」
頭を下げ、マリアは服を脱いで全裸になるとガニ股に足を開き両手を頭の上で組んで挨拶をする。
男によって常識を書き換えられ一週間の調教を受けたマリアは、すでに身も心も調教されきっていた。
「──ええ、レッスンの賜物ね。おかげですっかり乳首やクリトリスは敏感になってしまって……最近は下着に擦れるだけでもイッてしまうから代わりに絆創膏で保護するしか……」
卑猥な言葉を躊躇なく口にしながら、己の肉体が作り替えられている事実を告白するマリア。
男が肉棒を露出させマリアの眼前に突きつけると、雄の臭いに反応して彼女の股は愛液を溢れさせた。
「んっ……」
亀頭に一度キスをし、マリアは肉棒を根元まで一気に咥える。
仕込まれた技術はかなりのものに育っており、それはレッスン外でディルドを相手にマリアが自主トレをしていた成果でもあった。
「──ッ!」
高級娼婦のような神業であっという間に男は射精へと導かれる。
口内に注がれる白濁液をマリアは喉を鳴らして飲み下し、一滴も零すことなく嚥下した。
そしてそのまま肉棒から口を離すことなく舌を器用に使い肉棒を舐めしゃぶり、綺麗に掃除した後にようやく口を離す。
完璧なまでの口淫奉仕に満足した男はマリアの頭を軽く撫でると、用意していた機材を設置した。
「レッスンを次の段階へ……? 成長著しい……ッ!」
マリアは喜んで男の指示に従い、用意されたSM用の拘束具に己の身を任せる。
大の字に貼り付けになって両手足を手錠で拘束された彼女は、もう身動き一つとることができない。
「それで、何を使うの? いつものようにローターやバイブ程度なら普段と変わらないけど……ええ、大丈夫よ。どんなレッスンでもこなしてみせるわ」
目隠しと耳栓をされて外部からの情報を遮断されたマリアは。
「む、無理ぃッ! 止めて、は、早くぅッ……もう無理だからァァ!」
凛とした宣言から一時間後。
マリアは大粒の涙を流しながら絶叫を繰り返していた。
乳房にはニップルドームが装着され、絶えず乳首をブラシが磨き上げている。
秘部、尻穴、尿道には様々な太さのバイブが突き刺さり、振動でマリアの体内を蹂躙し続けていた。
陰核は吸引機によって吸い出され、一般女性の二倍近い長さにまで引き伸ばされている。
四肢を拘束されたマリアには、機械を止める手段がない。
それどころか身を動かせないため、快楽を逃がす手段も無く拷問のように与えられる絶頂をただ受け入れることしかできなかった。
連続で訪れる絶頂で、壊れた蛇口のように秘部は愛液を垂れ流し、時折そこには黄色い液体も混ざっている。
「壊れちゃう……壊れるから、止めてよ早くッ!」
喉が張り裂けんばかりの絶叫。
しかし哀れなことに、今この場にいるのはマリアだけだ。
男はマリアを拘束し機械のスイッチを入れた後部屋を出て食事に行っていたのだが、目隠しと耳栓をされたマリアにはそれを知ることはできず、ただ誰もいない空間に向けて助けを求めていたのだった。
三時間後、男が返ってくるころにはマリアは瀕死の状態だった。
喉は枯れ、ガラガラの声で断末魔のようなか細い呼吸音を鳴らしている。
拘束具と各種器具を外されると、マリアはその場にべちゃりと倒れ伏した。
自分の愛液と尿で形成された水溜まりに突っ込んだ顔面は涎と涙でぐちゃぐちゃになっており、これが歌姫の姿と認識できるものは誰も居ないだろう。
「ぉ、ぉわり、終わった、の……?」
指先一本動かす気力の無いマリアに、男が差し出したのはローションに浸したガーゼだった。
それをどこに使うのか、理解した瞬間マリアの意識は一瞬で覚醒し恐怖に震える。
「あ、あぁぁっ……」
力が入らない。
逃げようとしても、逃げることが出来ない。
マリアは口端を震わせ、視線で許して下さいと懇願することしかできなかった。
「──ッ!」
そして、そんな懇願を男が受け入れるはずもない。
たっぷりと責め潰された乳首と陰核にローションガーゼが触れると、マリアの体は電流を流されたように跳ね上がった。
敏感、という言葉すら生ぬるい今のマリアの体は一擦りごとに絶頂しており、体内の水分全てを愛液として排出しかねない勢いだ。
丁寧に、丹念にガーゼで磨かれるマリアの性感帯。
それはもはや処刑と変わらない責め苦であり、彼女の人生を崩壊させる仕上げであった。
一か月後。
マリアは完璧に作り替えられた肉体を持て余していた。
レッスンはあの一週間で終わり、歌姫としての通常レッスンをこなす毎日。
改変の効果は既に切れ、彼女の脳は平常な思考を取り戻している。
「──ッ!」
しかし肉体はあらゆる日常行動で絶頂するようになってしまっていた。
服を着て歩くだけで摩擦によって絶頂、ダンスで胸が揺れ動くだけで絶頂、トイレで用を足すだけで絶頂。
下着を着用することはできず、日常的にオムツを履いて垂れ流される愛液を受け止める日々。
オフの時間は自慰行為に全てを費やし、自室には凶悪なサイズのバイブやディルドが大量に並んでいる。
そして限界が近づくある日、見計らったかのように一通の手紙がマリアの元に届いた。
そこに写っていたのはあの男。
『特別レッスン生募集』の横に書かれていたのは、マリアの全財産に近い異常に高額なレッスン料と、『ペア割引あり・国内ではまだ合法のサプリを使用した特別レッスンも』の文字。
書かれている言葉を認識した直後、マリアの手は無意識に動いて連絡を入れていた。
「……もしもし翼? ええ、オススメのレッスンがあるのだけれど……」