とあるバラエティ番組の企画に、賞金目当てで暁切歌と月読調は参加した。
用意された部屋に入り、無事脱出できれば賞金百万円。
二人が意気揚々と部屋に入ると、扉は自動で閉まり鍵のかかる音が響く。
部屋はコンクリートがむき出しの壁と床に複数台のカメラが埋め込まれた、五メートル四方程度の狭い空間だ。
施錠された扉以外に出入口は存在せず、扉の上に配置されたモニターでは『24:00:00』のデジタル数字がカウントダウンを始めていた。
部屋の中央には大型のベッドが存在し、枕元にはルールが書かれた一枚の紙が置かれている。
『二十四時間が経過すれば扉は開く』
『どちらかが絶頂するたびに時間は一時間追加される』
紙には簡潔に要約すればそう表現できる内容がお堅く事務的な文章で記されていた。
「えぇと……」
謎解き脱出ゲームのような展開を予想していた切歌は顔を赤くして困ったように呟いた。
どうしようかと相方の方を向けば、調はベッドで横になっている。
「調……?」
「つまりは寝てるだけで百万円、美味しい仕事……」
娯楽も何もない部屋である以上、じっとしているしかすることが無いのは事実だ。
切歌は軽く溜息を吐くと、調の隣に入り同じように目を閉じた。
二人は純粋であるがゆえに思い至らなかった。
ただじっとしているのが最適解になるような企画を、いったい誰が喜ぶのであろうかという疑問に。
ルールに記載された内容に嘘はない。
だが全ての仕様が記載されているとは誰も言っていないのだ。
寝具にはたっぷりと媚薬が染み込んでおり、揮発した成分を寝息を立てる二人は摂取し続けた。
呼吸は荒く、顔は紅潮し、眠りは浅くなる。
三時間程度で切歌は目を覚まし、己の体に起きた変調に気が付いた。
自然と右手が己の股間に伸び、慌てて手を離す。
「んっ……」
体の火照りを沈めようとベッドを抜け出し、部屋の隅に積まれたペットボトルから水を飲む。
それが運営の罠であり、飲食物には興奮剤が混ぜられているとも知らぬままに。
残り時間が十二時間を示し、半分が経過した頃。
二人の肉体は快楽を求め、我慢は限界に近づいていた。
呼吸は荒く短く、思考が上手く纏まらない。
目を閉じても眠ることはできず、むしろ感覚が鋭敏になり逆効果となっている。
「~~~~ッ」
声にならない声を出し、切歌は目の前で同じように苦しむ調の顔から目を逸らす。
デジタル数字のカウントダウンが妙に遅く感じる。
ベッドから出る気力も湧かず、太股を擦り合わせ二人は必死に耐え続けていた。
「ふぅーッ……ふぅッ……!」
残り時間が二時間を切った。
切歌と調は獣のように呼吸を荒げ、お互いの肩を掴み合っている。
そうして牽制しておかないと、いつ相手を襲ってしまうのか自分でもわからないのだ。
だが、もう二人は限界だった。
「ぜ、絶頂、しなければいいんデスよね……」
○○だけなら大丈夫。
そんな絶対に大丈夫にはならない文言で自分を誤魔化し、切歌は調の体を抱き寄せる。
急接近した顔に生唾を飲み込み、唇を近づけていく。
「切ちゃん……」
調もまた、その誘いを断ることができる精神状態ではなかった。
限界まで水をため込んだダムが決壊するように、二人の唇が触れ合う。
「んっ……」
「ちゅっ、じゅるっ……!」
優しく触れ合ったのはほんの一瞬。
お互いに舌を絡め、唾液をこそげ落とすように口内を舌が這い回る。
興奮は留まることなく高まり、二人の理性が溶け落ちていく。
キスだけなら、という考えは一瞬で消え去った。
二人の手は本能のまま下半身へと伸びていき、お互いの秘部へ触れていく。
もっと、もっと快楽をと体を絡ませ合い、賞金や時間などといった要素は忘却してしまう。
「──ッ!」
二人は同時に絶頂し、衣服とベッドを愛液で汚す。
残り時間が二時間分追加されたが、ピッという小さなデジタル音は二人の耳には届かなかった。
「きりちゃん……」
「しらべぇ……」
呂律の回らない口でお互いの名前を呼び合う様は、もはや単なる雌の獣だ。
邪魔くさいとでも言うように服を脱ぎ捨て、全裸になった二人は再び体を重ね合わせる。
秘部を擦り付け合い、お互いの全身を舐め回し、蛞蝓のようにベッドの上で這い回る二人。
絶頂を繰り返し、そして我慢を重ねた分求める快楽はエスカレートしていく。
数時間後。
切歌と調は愛液と汗と涎に塗れながら、今も快楽を貪っていた。
二人の秘部には双頭のディルドが深く突き刺さり、切歌が腰を振るたびに二人は甲高く喘ぎ声を漏らしている。
「──ッ!」
絶頂の度に強く抱きしめ合い、切歌と調の肩や腰には力を込め過ぎた跡が残っている。
体中の水分を全て愛液として放出したのではないかと思うほどに繰り返した交尾の末、二人は気を失い体を重ねたまま目を閉じた。
目を覚まし、二人は扉の方を見る。
タイマーの稼働音は聞こえるものの、モニターの数字は上限に達して『99:59:59』を示していた。
少なくとも四日以上はここから出られないことが確定したことを認識し、調は部屋の隅から取り出した物を切歌に見せる。
それは多種多様な淫具に混ざって用意されていた小袋の中身。
小分けに包装された、国内ではギリギリまだ違法になっていない白い粉薬だ。
ごくり、と切歌は生唾を飲み込んだ。
調は目を細め、袋を破りながらこちらへと歩み寄ってくる。
「切ちゃん……」
抵抗は容易だ。
切歌に与えられた選択肢は二つ。
未だ火照り続けている肉体を制御し、百時間以上の我慢をするのか。
それとも調の誘いに乗り、今以上に二人で墜ちていくのか。
答えは一つだった。
切歌は多種多様な淫具を用意したまま、調をベッドへと押し倒す。
我慢などできるはずはなく、二人はそのままより深く体を重ね合うのだった。