※この作品はR-18です。

別に素晴らしくもない時止め屑野郎が来た   作:伏見透

33 / 45
三十三話

 

 

「ん。なんだ?」

 

 こんな夜更けにめぐみんはどうしたのだろう。

 俺は体を硬い床に寝そべっていた上半身を起こす。話をしたいと言ってもこの時間からか。どの道俺はなかなか眠れそうにないからいいんだけど。

 

「話ですよ。会話。夜のパジャマパーティーですね」

「普通そういうの女の子同士でするものじゃないか。男かつパジャマを着てなくてもいいなら良いぞ」

「クスッ。今回はそれで大目に見ますよ。次のパーティーの時は女の子になって可愛いパジャマを着ていてくださいね」

 

 ただのシャツとズボンの俺とは違って、パジャマパーティーと言うだけあってめぐみんはいつもの薄紅色のパジャマを着た姿でテントの中に入ってきた。

 

 元々が一人用の小さい中古テントだ。

 中は狭くてかなり近い位置に彼女はちょこんと座った。

 丁度めぐみんのことを考えていただけに、なにやら気まずさを覚える。ぽりぽりとクリスのように頬をかきながら心配する。

 

「体の調子はどうよ?」

「悪いですね。それというのも、全部こんな粗末なテントで寝かされるからです。わかっています? 私の繊細な体が悲鳴を上げていますよ」

 

 彼女は悩む様子も見せず即答する。

 繊細?

 本人には口が裂けても言わないが、辞書でその言葉の意味を調べてきてほしい。

 

「明日からはこの街一番の宿屋に泊まるのだから我慢しろ。俺もできれば宿屋のベッドで休みたかったよ」

「ふふ、明日が楽しみです! 豪勢な食事に舌鼓も打ちたいです。んっ、んんっ……それにしてもここお尻痛いですね。別に金はあるのですから、新しいテントを買えばいいんじゃないですか」

「ほれ。シーツでも床に敷いて座ってろ。どうせ俺だけが使うのだからこれでもいいだろう」

 

 自分の体にかけてあったシーツをめぐみんに渡すと、彼女はその薄いシーツを折り畳んで床に敷いて座った。

 俺の体は丈夫だからな。こいつらと違ってデリケートに扱う必要はない。

 

「むっ、あなたが体調を悪くしたら直接私の安全に関わってくるのですからね。節約とケチなのは違うものです」

 

 私って。

 パーティーでは俺は前衛だが、後衛は二人いる。

 

「ゆんゆんの安全も心配じゃないのか」

「まあ、あの子ならユウスケが抜かれても対処できますし」

「反論できねえ。あいつ接近戦も強いもんな……」

 

 ライトオブセイバーの威力は高く、短剣を扱わせたらそこそこのものという。本当に万能だよな。

 少しの間自分という役割の存在意義を考えるも、話の本題に入ろうとする。

 

「で。めぐみんはこんな時間になんの用なんだ」

「それです!」

 

 めぐみんはずずずっと俺に接近する。

 俺の伸ばした足に手を置いて、顔を近づけた。そして、唾でも飛ばしそうな勢いで、彼女は喋り始める。

 

「大事なことです。滅茶苦茶大事なことですが! 私達は……わかっていますよね! わかっていると思います。わかっていると思いますが……」

 

 始まりは良かったのだが、どんどん言葉の勢いが失速する。

 頬も赤みが差してきて、まるで照れているようだ。

 パシッと気合を入れるように足を叩く。

 

「いたっ」

 

 普通自分の足を叩くものじゃないか。

 なぜ俺の足を? いや、別に痛くはなかったが。

 

「したじゃないですか!」

「……したな」

 

 ぼかした表現だが、その意味は正確に理解できた。

 

 俺達は一線を越えた。

 昨日なのにどこか昔のことに感じるが、いまだに手には彼女を抱いた感覚が残っている。

 

「しました! ――それで、してしまった私達の今後はどうすればいいかと思いまして。不慮の事故とはいえ……もにょもにょ。セックスをしてしまいましたし」

 

 ……彼女も考えていたか。

 そうだな。どうすべきか。

 めぐみんとこれからの関係性をどうすればいいのか。

 俺はさっきから悩んでいた問題を解決しないといけない状況に直面している。

 

 ――彼女には嫌われたくない。

 

 それはクズな俺なりの本心で、責任を取る最上の方法が頭にちらついていた。

 だから悩むのは少しだけで、俺は彼女とは違って自分の足を景気づけに叩いて、俺なりの解決策を出した。

 

「よしっ! じゃあ結婚するか」

「……は?」

 

 こうなったら結婚するしかない。

 それしか道はないと思われる。そう思ったらなんだかグダグダ考えていたのが馬鹿らしい。やはり男ならすっぱり決めるべきだな。

 

「親御さんにも挨拶しにいかなといけないか。めぐみんはまだ年齢的には子供に近いし、実際に結婚するのは先のことになるけど」

 

 忙しくなりそうだ。

 結婚資金や結婚後の生活に向けて、今後貯蓄しないといけないな。こちらの世界と元いた世界では結婚できる年齢は違う。俺の年齢は日本でも結婚できる年齢だが、めぐみんは今すぐ結婚できるとはいえ流石に十六歳になるまで待とうか。

 

「へ……へっ?」

 

 引きつけを起こしたようなめぐみんに、俺は言葉が伝わらなかったのだろうかともう一度言う。

 

「結婚だよ結婚」

 

 実際には婚約だろうか。

 

「誰と誰が?」

 

 これ以上ないほど分かりやすい言葉だというのに、めぐみんはまだ呑み込めていないようだ。

 本人は天才だと言っていて、俺も認めているが、理解する力がこんなにも低かっただろうか。

 俺は自分と彼女を交互に指差した。

 

「俺とお前」

「ちょちょちょちょちょっと、ちょっとまっ、て。ちょっと待ってください。ちょっと待ってください!」

 

 壊れたラジカセみたいに同じ言葉を繰り返す。

 俺ラジカセなんて殆ど見たことないけど。俺より一世代前だ。ドラマや映画で見るぐらいで、触れたことがない。

 

「え、え? 結婚!? なんで! ひぇ!? いきなりですか! どうしてどのように!?」

 

 おおっ、こんなに動揺しているめぐみんを見るのは初めてかもしれない。

 手をわちゃわちゃさせているのが、彼女の混乱っぷりがよく出ている。

 こうしているとどことなくゆんゆんっぽい。昔から一緒にいたからだろうか。たまに行動が似ていると感じるときがある。

 

 赤いのに目を白黒させていた彼女は、自分のパジャマの裾をギュッと握って深呼吸をして呼吸を落ち着ける。

 

「……あなたはいきなりなにを言っているのです。ゆんゆんのように取り乱してしまったではありませんか」

「性急すぎたかな」

「もちろんです。突然すぎますよ。朝起きたらゆんゆんがコミュ力全開でへーい彼女お茶しようぜと誰彼構わず声をかけているぐらいの脈絡のなさです」

「それは……すごい意味の分からなさだな。現実か疑うわ」

 

 というか何故妄想でゆんゆんが男ではなく、女に声をかけるのだろうか。

 でも男にお茶しようとあの奥ゆかしい女の子が声かけるのはあまりにも現実感なさすぎるし、女性に声をかけるぐらいが想像としては限界だな。

 

 馬鹿らしいことを言ったとばかりに俺をめぐみんはたしなめる。

 

「そもそもあの出来事はあくまでも事故ですからね」

 

 わかっていますか、と俺の鼻を人差し指でつんと軽く突く。

 片目を閉じて、言い聞かせるような姿はどことなくお姉さんっぽさがある。

 

「極限状態に置かれた突発的な感情の発露です。あの時は本心からそうしても良いと思いました。しかし、こうして普段の状況に戻った今、同じ感情と思われては困りますね」

 

 彼女は俺の頬に手を当てる。

 こちらの瞳を覗きこむ。

 

「それが証拠に今あなたの顔を見ても……見ても……」

 

 俺の顔が見える。

 彼女の瞳の中に俺がいる。

 彼女は俺を通して自分の姿を見ているようだった。

 

 キスするかと錯覚してしまうほど、めぐみんは俺の顔に近づいて、首を傾げた。

 

「――あれっ、結構本気なんですね、私」

 

「…………」

 

 なにが、本気なのだろうか。

 それを説明することもなく、彼女は顔を離した。

 

「なんにしろ、こんなこと女の私から言うのもなんですが、セックスをしたぐらいで即結婚は大げさにすぎます。貴族の令嬢じゃないのですから」

 

 結婚してくれは流石におかしかったか。

 俺も随分混乱していたようだ。

 常識的に考えれば、付き合ってすらないのに結婚は早すぎる。

 これでは責任を取るというより責任を押し付けるである。嫌われないための行動が、嫌われる典型的なものだった。

 

 それにしたって結婚はない。

 そもそも結婚がゴールではない。結婚した後はどうするつもりだったのか。そんな理由で軽はずみに口にしてもいいものではなかった。

 

「確かにいきなり結婚はいさみ足だったわ。すまん」

「そうですよ。もう本気でビックリしましたからね。……とはいえ、私も少し急ぎ足だったかもしれません。関係を明らかにしようと急かしました」

「いや俺も気になっていたからめぐみんが言ってくれて良かったよ」

「ふふ、なら。どちらも焦っていたんですね。はい。初めてだから仕方ありません」

 

 めぐみんは初めてを強調しながら言葉を続ける。

 

「私達は仲間なんですからすぐに決めなくてもいいですよね。……なんせ、時間はたっぷりあります。衝動的に決めるではなく、一ヵ月後か二ヵ月後に改めて答えを出す、で良いと思いませんか」

 

 時間は彼女が言うようにたっぷりある。

 嫌われても逃げてしまえばいい。そう考えたくないぐらいには、俺も彼女に情があった。

 出会ってまだ半年とちょっと。関係性を決めるのは俺達には早いかもしない。

 

「ただの友人のままでいるにしても、恋人になるにしても……夫婦になるとしても、ね?」

 

 彼女は大人っぽい微笑みを浮かべる。

 ――こんな表情をするから、たまにこいつの方が年上かと思えてしまうんだよな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 こうやってある程度方針は決まった。

 先延ばしだ。

 妥当な選択だろう。彼女にしてみれば交通事故みたいなもので、今すぐ決めるようなものではない。結論を出すという取り決めのもとの先延ばしなら、悪くはない。

 

 重要な話は終わったというのに、めぐみんはいまだに俺のテントの中にいたままだった。

 

「……ちなみになんですが……私はチョロくないので、普通なら恋人になれなど拒否しますね」

「お前を恋人にするなんて凄いやつでないと無理だもんな」

「将来紅魔族随一ではなく、全世界随一の魔法使いになる私ですからね。ただ仮に……もしそんなチョロくない私が了承するとしたら……まあ豪勢な夜のディナーで告白でもされたら、うっかり、勘違い、で了承してしまうかもしれません。偉大な魔法使いな私としても雰囲気に酔うということはあるので」

 

 腕組みしながら、目を閉じて顎を引いている彼女の言葉に頷く。

 

「ああ。覚えておくよ」

 

 つまりはデストロイヤー戦で約束した夜の食事の時に白黒はっきりさせろということだろう。

 考えることがまた増えたな。

 片目だけ開けて、俺をジト目で見据える。

 

「……特に、あなたみたいな人が私を恋人に誘うなんてするのは、ハードルが高いですよ」

「俺だけ特別扱いか」

「もちろんあなたは特別です。……なんといっても、一日に七回も出せるなんて習った知識とは全然違いました。流石にあれは私の類稀なる可愛さに興奮したあの日限りのことだとは思いますけど、そんなあなたにはハードルはぐぐぐっと高くなるのが当然です」

 

 彼女の目線が俺の股間へと注がれていた。

 デストロイヤー並みのモンスターを見る目である。

 

「ん? あの日だけって……」

「なんですか?」

 

 めぐみんは勘違いしているな。普段から本格的に自慰をしようとした時には、それぐらいの回数に到達することはある。

 勘違いしているようなので正す。

 

「あれぐらいは普通だぞ。そんなにおかしな回数じゃないだろう」

 

 最高は一日に十回までいったことがある。

 俺もまだ若いのだし、そんなに変ってこともないだろう。きっと。

 

「…………」

 

 そんな俺とは違ってめぐみんは絶句しているようだった。

 いっそ魔王にでも出くわしたような表情で、若干恐れを抱きながら彼女は呟く。

 

「今度から性魔人と呼んでいいですか?」

「お前……それ俺が小学生ぐらいなら泣いているあだ名だぞ」

 

 あまりにも酷い。

 登校拒否まであるイジメである。

 

「剣の才能よりあっちの才能の方があるのではありませんか。よくそんな性欲を隠してこれましたね。ゆんゆんの風呂上がりとか私でもちょっとムラッと来ますのに。……それ以上にあんな体を見せびらかしているのがイラつきますが」

「あんな薄着で歩き回るなよな。注意すると俺が意識しているということになるし。……俺もどれだけ我慢しているのか」

 

 実際は我慢しきれなくて時間停止の力を使ってたりするのだが。

 ゆんゆんは無防備が過ぎる。めぐみんはそういうところはきっちりしているのだが、ゆんゆんはガードがゆるゆるでな。時間停止で発散していなかったら襲い掛かってそうで本当に怖い。

 彼女の場合は意識してではなく、自然に誘惑してしまうのだ。

 

「……ねえ、ユウスケ」

 

 めぐみんは体を乗り出す。

 床に突いた俺の手に自分の手を重ねる。ゆんゆんとは違って、もし誘惑するのなら彼女は意識的にやるだろう。

 

「なに?」

 

 ――今更気づいたが、いつもはちゃんと閉めている彼女のパジャマの第一ボタンが開けられている。

 綺麗な鎖骨のラインがパジャマから覗かせる。

 

「私が性欲を処理してあげましょうか」

「えっ?」

 

 この魔法使いと行動を共にして、何度目の思考だろう。しかし、何度だってこう思う。

 

 何を言ってるのだ。

 この小学生みたいな外見の子は。

 

「当然セックスはさせてあげませんけど、手やそれに口であなたのを処理してあげてもいいですよ。仲間ですし。仲間ですし」

「そ、そんなの付き合っているのと変わらないんじゃないか」

「違いますよ。ぶっちゃけ、その性欲を拗らせないか心配ということです。私としちゃいましたし、変な風に暴走されても困ります。私もあなたのことは信用してますが、男の性欲はそういうのとは別種であると聞きます」

 

 特にあなたの性欲は強いようですしと俺を責める。

 自分の性欲が強いのは自覚はある。物心ついたころよりずっとだ。

 

「ゆんゆんに手を出されても困ります。後は……」

 

 視線が揺れる。

 その言葉を告げるのに、彼女も勇気が必要だったようだ。

 

「あなたにその程度の好意はあるってことですよ。このにぶちん性欲魔神」

 

 何故か同じ言葉なのに一段上がったような酷い言葉を吐かれた気がする。

 わかっているでしょうという目付きで発言した言葉に、俺はうんともすんとも言えなかった。

 

 言い逃れることはできない。

 流石に彼女が俺のことを何にも思ってないとはいえない。奇特なことにこの魔法使いは俺に好意を持っているようだ。それこそ事故であれ、セックスをしてしまうぐらいには。

 俺を好きになる要素なんて一つでもあるかとも疑問だが、そういうことであるらしい。

 

 この物好きめ。

 

 ああ――でも元々彼女はそういう変わった子ではある。

 爆裂魔法を愛し、それだけでやっていこうとする魔法使いだ。男の趣味も変わっているとしか考えられない。

 

「付き合ってもないのに、お前はそんなこといいのか?」

「うーんまあそうですね」

 

 にへらっと笑って自分の状態を言う。

 

「正直に告白するなら――私、今、少し興奮しています」

 

 変態かよ。

 変わっている。本当に変わっているやつだ。

 

 しかし――ちょっと待てよ。待て。

 都合が良すぎやしないだろうか?

 こいつは短絡的で、実際直情的だが、頭は俺よりか賢い。こんな俺に旨味しかないようなことを言いだすのには何かしら裏があるのではないか。

 蟻地獄に足を踏み込んだような寒気がする。

 一度落ち着いて考えてみた方がいい。

 

 返事を待つめぐみんはいつもと違ってまるで物分かりが良い大人の女性みたいに沈黙していて、その上着は第二ボタンまで開いている。

 胸のぷにっとした部分まで見えていて、性欲を刺激する。

 

 だが、同時にその餌はあまりにも美味なのはわかりきっていて、俺はよく考えずに返事をしてしまった。

 

「……それならやってもらおうかな」

「わかりました。手でします? ……それともこの口ですか?」

「く、口で」

「よろしい。では出してください」

 

 我慢ならない。

 昨日したというのにも関わらず、俺のあそこは元気である。彼女の口に触れさせるという想像をするだけで勃起していた。

 

 俺は急いでズボンどころか下着も脱ぐ。

 飛び出てくるのは俺の男性器だ。

 

「相も変わらず凶悪なものですね。純朴そうな顔にこんな凶器を隠していたのだから、悪い人です」

 

 ドキドキする。

 何度も体を重ねたというのに、それでもいまだに彼女と性的な行為をすると思うとドキドキする。

 

 テントの天井はそれほど高いわけではない。

 俺は中腰にならざるをえなく、彼女は膝を地面について俺のあそこをくんくんと嗅ぐ。

 

「うっ。少しばかり匂いますよ」

「昨日は急いでたけど、お前が風呂に入れと言ったからさーっと風呂に入ったけど、かなり短かったからな。今日は風呂に入ってなかったし、臭うのも仕方ない。手に変えるか?」

「大丈夫です。どの道こんなものは汚いのですから、私が綺麗にしましょう」

 

 チュッとキスをする。

 

「んむぅ」

 

 何度もキスをする。

 ただしそれは軽いものだった。ついばむような。初めてした彼女とのキスよりも軽い。とても刺激的とは言えない。

 

 男性器に口をつけるだけを繰り返しためぐみんは、立ち上がって俺と視線を合わせる。

 中腰になってようやく顔の位置が近くなる身長差だった。

 

「ふふー。ユウスケユウスケ」

「なんだよ」

「この状態で私にキスできますか?」

 

 この状態というと、おそらく俺のちんこにキスした唇に俺がキスできるかどうかということなのかな。

 普通は絶対嫌だ。

 

「できないのです――うわっ!?」

「……お前から言い出したことなのになぜ避ける」

 

 彼女が言うように俺は唇にキスしようとしたのに、避けられてなんだそれという気持ちだった。

 

「躊躇いがなさすぎて思わず。……ユウスケは自分の性器と間接キスするのが嫌じゃないのですか」

「そう表現すると変態みたいに聞こえるな……。嫌だよ。普通なら絶対嫌だけど……まあ、めぐみんとキスしたい気持ちのが強かったからさ」

 

 嫌悪感よりも上回っただけのことである。

 

 めぐみんは自分の胸を抑えて、少し頬を染めながら言ってくる。

 

「この男……たまに私の心臓を杭でぶっ刺してきますね」

「比喩が物騒だなおい」

「では、私のハートをキュンキュンさせます」

 

 うわ。可愛らしい。

 彼女は頷きながら、何か自分で納得したようだった。

 

「しかし、まあ、合格としておきましょう」

「なにか試験でもやったのか?」

「さあ。なんでしょうね。そんなことはいいから続きをしましょうか」

 

 どういうつもりなのか、心意を問いたいところだったのが、彼女の次の行動でそんな疑問は吹き飛ぶ。

 

「ちゅー」

 

 尿道の入り口に深く深くめぐみんが接吻する。

 汚らわしいだろう物体に彼女の柔らかな唇が吸い付く。

 腰が砕けそうになる。状況も刺激も堪らない。その吸引のまま白い液体を出してしまいそうだ。先ほどのままごとのようなものではなく、射精させるための行為である。

 

「前回ので、どこら辺が気持ちいいかは大体、わかっています」

 

 ちんこから離さず、上唇が亀頭を滑る。ぷにぷにとした柔らかい唇が俺の亀頭を擦っていた。

 手で竿を固定しながらかぷかぷと亀頭冠――カリの部分を甘噛みしてくる。

 

「うっあっ」

 

 気持ちいい。

 親愛を示すかのような甘噛みを、陰茎の部分までにする。

 

「こういう風にするとあなたは興奮するのですよね。……ぺろっ」

 

 彼女の舌が陰茎を撫でる。

 

「んちゅ……ぺろ。んっぅ……れろ」

 

 ちょこっと出したピンクの舌で、竿の裏筋を舐める。どんどんその舐めるのは奥から先っぽへと移動していく。快感が男性器を這いずり回っているようなものだ。

 ゆっくりとした緩い責めは、カリを越して、尿道口までたどり着く。

 

「んっ。ちゅ。……ぺろ……ここ少ししょっぱいですね」

 

 遠慮がちに出した舌が尿道口に当たる。小便の跡が残った尿道口をペロペロと舐めていく。

 突き出した小ぶりの尻が揺れるているのを見るのも合わさって今すぐ出てしまいそうだった。

 あのめぐみんが俺の男性器を舐めているなど想像したこともない。

 

「んっ……はぁ。ちゅ……れろっ……んちゅ」

 

 亀頭を重点的に、小柄な魔法使いの舌が走る。

 少し汚れているちんこをその舌が舐めとっていく。時には軽いキスを、と思えば深いキスを。緩急をつけて舌で愛撫する。

 初めてなのに、こちらのツボを押さえているような舌技に快感しかない。

 

 先走りの汁が出たぐらいで、彼女はちんこからその口を離した。先走りの汁によって彼女の唇がテカテカと光っている。

 

「川のところに落ちていた本だとこれを口に咥えるのですよね……。顎が外れないか本当に心配です」

 

 割とガチ目に心配しながらも、めぐみんは意を決して鈴口に唇を当てる。

 

 その小さな唇が、ゆっくりと開かれて――俺の男性器が入っていく。

 温かい吐息。尿道口が焦る彼女の吐息によってさらされている。亀頭が彼女の歯に軽く触れている。

 

「おおっ!」

 

 めぐみんの口内に入っていく男性器の感触に思わず声を出してしまう。

 膣内に挿入したものとは別種。背徳感と興奮が思考を襲う。

 天才魔法使いの口を犯しているという本来ならありえない状況にだ。

 

 できれば彼女の頭を抑えて、今すぐにでも射精してしまいたい。しかし、これ以上に気持ちいい未来が待っているだろうに、ここで出してしまうのは早すぎると耐える。

 

「あんっ……うっ……おおきい……です」

 

 彼女は口を限界まで開けて、俺のちんこを必死に迎え入れようとする。口内の粘膜に鈴口が当たる。普段はバクバクと食事をしている場所は、今男の男性器をしゃぶっている。

 まるでリスのように限界まで男性器を詰め込める。

 

 そこまでしても、めぐみんの口では俺のちんこを納めることはできなかった。

 竿の半分ぐらいまでのところが限度である。

 

 めぐみんは俺のちんこを口に入れながら、上目遣いに俺に質問してくる。

 

「ゆうすけは、これがきもちひいですか?」

「んー」

 

 見た目的にはとんでもなくエロい。

 めぐみんがちんこを頬張っているのだ。どう考えてもエロい。

 

「……いやあんまり」

 

 けど、ちんことしてはそんなに気持ちよくないんだよな。

 

「ふぁああ!? 人がわざわざくわえていひるのになにをいってひるのですか!」

 

 あっ、この喋った時の振動は良い。

 でもわざわざしゃぶってもらっているほどの快感はなかった。

 

「だってそんなにだし。めぐみんの口の中が渇いているせいかもしれない」

 

 多分彼女も緊張しているのだろう。

 セックスしたときもそうだった。濡れていない時はそれほど気持ちよくなかったっけ。

 

「むっ。なるほど。……では、こうすればいいのですね」

「おおおっ!」

 

 べとっと唾液がちんこに絡みつく。

 彼女が口内を潤わせると、滑りが良くなる。

 膣に入れた時とは違って彼女も痛くないせいか、いきなり動かしてくる。

 

「んぷぅ……ちゅじゅ……にゅぷっ」

 

 ただ口に物を一杯詰め込んだ状態で、顔を動かすというのは経験したことがないせいか、その動きはぎこちない。

 唾液を充分に出して、滑りを良くして前後に顔を動かす。

 ぬるぬるとした感触。彼女の舌の根元近く、頬の奥の粘膜に亀頭が当たる。喉奥まで入らないように注意しながらめぐみんは必死に口に入れる。

 

「じゅぷっ……ちゅ……れろれろっ、ぢゅ、うっ、ちゅ」

 

 カリの部分まで口から出したと思えば、また口の奥にまで飲み込む。

 今日風呂を入っていないちんこがめぐみんの口内によって洗浄される。彼女の舌と頬が俺のちんこの全部を擦る。

 

「ぢゅちゅ……うっ!? むっちゅ……むちゅじゅ……」

 

 あまりにも奥に入れすぎたせいで、途中一瞬むせそうになるも、彼女は堪えてフェラチオを続ける。

 彼女の口端からは唾液と先走りの汁が混ざった液体が、泡となって漏れていた。

 

 喉奥をちんこが突いてしまったせいか、反射として涙目となっためぐみんは、その赤い瞳でちんこを見ながら口で扱いていた。

 

「これならもう気持ちいいはずですよね……じゅ。ちゅ」

「うっああっ。気持ちいい。めぐみん気持ちいいぞ」

「そおーですか……んんっ。じゅちゅ……れろっ!」

 

 俺の言葉で自信がついたのか。

 より深くストロークする。

 痛くならないように気を付けながらも、彼女は更に深くちんこを口に出し入れしていた。

 

 最初は半分程度しかおさまらなかった彼女の口内も、いつの間にか三分の二ほど入るようになっていた。めぐみんの小さい口内の殆どすべてに竿が入っていく。

 

「んんん! ぐちゅっ! レロっ! ぶちゅ!」

 

 犯罪的と言ってしまっていいほど、それはエロくて反則的で征服感があって、悦楽の極みだった。

 息苦しいせいか頬を赤らめ、涙目でしゃぶるめぐみんの姿に俺は腰を動かし、彼女の頬肉でちんこを扱く。

 

「うご……くとっ……ぶっ……ぢゅ! んぷ!」

 

 めぐみんの頭に手を伸ばしそうになる。

 射精の一つ前。

 もう出るという予感があって、彼女の頭を固定して思うがままに出し尽くしたい欲求にかられる。

 

「めぐみん! 出してしまうんだが! もう出してしまうんだが!」

「ぢゅ! わかりました……出してください。んんんっ!」

「このまま出してしまっていいのか!?」

「ほんではそうしてましたし、そういうものじゃ……んんぅ……ぐちゅ、じゃないんですか」

 

 あれっ、そういえば俺の見たものも大抵口の中で射精していたように思う。

 じゃあそうするのが普通なんだろうか。

 

「出す! 出すから! めぐみんの口の中に出すから! 強く吸ってくれ」

「すうって、すうんですか……んぅぅぅ……ちゅじゅ!」

 

 彼女は鼻から息を吐いて、口一杯にちんこを頬張っているのに、頬をへこませながら思いっきり息を吸い込むようにして射精しかかっているちんこに刺激を与えてくる。

 

「ぢゅうううううううう」

 

 腰ごと吸い取られそうだ。

 カチカチと頭に星が舞うような刺激の強烈さ。目の前が一瞬白くなり、それ以上の白さのものを俺はちんこから吐き出す。

 

 びゅーびゅーびゅーとまるで音が鳴っているような勢いで、下半身から飛び出ていく。

 めぐみんの可愛い口の中にへと、精子を流し込む。

 あれだけ口が上手で、人をやり込めるのが得意なめぐみんの口の中に白濁液で満たす。彼女の体内を汚すが如く、存分に吐き出す。

 

「んぅ? うううううう……んヴうううううううう! ぐっ!」

 

 体内にある水分をありったけめぐみんに渡す。

 

 自然と顔が上を向く。

 人は心地よさを抱くと自然と上を向きたくなるものらしい。ぶるぶると体を震わせて、精子をめぐみんの口へと吐き出した俺は、快感の息を吐いた。

 

「はぁー」

 

 気持ちよかった。

 こんなにも気持ちいいとは。

 俺は視線を下げると、めぐみんが驚いた瞳で口端から白い泡を漏れ出していた。

 

「……あ、やべえ」

 

 俺は慌ててめぐみんの口からおそるおそる離す。

 めぐみんからちんこを離したというのに、彼女の口は膨らんでいる。白濁液を口内にため込んでいて、その行き場を失っているようだった。

 

 一瞬の静寂。

 なんとかめぐみんも呑み込もうと試しているみたいだが、完全に無理みたいだった。喉が全然動いていない。

 

「あの……めぐみん、だいじょう」

「うぷっ!?」

「めぐみん!?」

 

 彼女は手で口元を抑えながらテントの入り口にへと急いで移動してそこから顔を出した。

 

「うええええええ! おええええええ!」

 

 こちら側からはめぐみんの可愛いお尻しか見えないようだが、精液を吐いているようだった。

 

 冷静になった頭で考えると、いきなり精液を飲むというのは難易度高すぎだよね……。

 

 俺はテントの端に置いてあった水筒を掴んで、吐いているめぐみんに差し出す。

 何も言わず出された水筒を引っ掴んで、口の中に水を流し込む。

 

「うぷっ! おげ! ガラガラ! ぺっ! ……なんですかこれ! 不味いとか以前にグニグニしています! ぐにゃぐにゃしています!」

 

 さっぱりわからないが、精液を飲もうとした感触ではそういうものらしい。

 何度も口をうがいをするめぐみんの背中を擦ってやる。

 こうして初めのフェラチオは成功なのか失敗なのかわからない結果となった。俺としては大満足だったが。本気で辛そうだったので、今後あまりしたくないなと思う。

 

 口の中を綺麗にしためぐみんはというと、またいつか挑戦しますと言っていたが、今日は無理ですというので、その後何度か手コキで射精させてもらった。

 長い夜は、こうして更けていく。

 

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。