もっとエロエロハートフルな感じを出したかったのに・・・
色好ってナニモノ?
俺の名前は夜盾・好汰。
何処にでも居る一般的な至極平凡な社会人。
普通のサラリーマンの親父に普通の主婦のお袋、貧富は特に感じず、普通の家庭環境に生まれ、
義務教育を普通に修了し、高大もある程度普通に修了。
今までの人生に大した山谷も無かった。
まぁ先日彼女に振られたけど、別にそいつに特にこれと言った未練も無い。
友人関係もそんなに多くないが、そいつらさえ居れば良いかって程度には満足している。
大学卒業後、目立った会社に就く訳でもなく、入れそうな枠に収まった感じ。
職場も仕事内容も人間関係にも別に目立って嫌な所は無い。
此処まで語って気付いた事は、俺って勝ち組だなって事だ。
8X―・・・・・・・・
「夜盾さん、今日残業になりそうですか?」
「んー?後輩かぁ。いや、定時に帰れる程度に落ち着いてるよ?」
後から後輩が話しかけてきた。
最近入社した俺に出来た後輩。
背は小さめでそれ以外は特に抜きん出た事を言える特徴の無い女の子。
「じゃあじゃあ飲みに行きましょうよ!!」
「うーん、まあ今日は特に何も誘われてないし、ナイターも応援してる球団でもないし、偶には行くかぁ・・・」
「やった。じゃあまた定時後に」
ぴょんぴょんと小さく跳ねながら自分の席に戻って行った。
「飲み、ねぇ」
背凭れに体重をかける。
ギシッと年代を感じさせる独特な軋み音を発する。
鼻の下と上唇の間に持っていた赤ペンを挟み暫く考える。
「なぁんか最近、違和感を覚えるんだよなぁ・・・」
そう。
最近、何か不思議な違和感が俺を支配しようとしていた。
その違和感が何なのか全くわからないが俺を支配しようとしているのだ。
手を首の後ろで組み天井を仰ぐ。
ドーン・・・カタカタカタカタ・・・
窓の外から何か爆発音のようなモノが聞こえ遅れて小さな振動がやってきた。
俺はゆっくりと窓の外に目線を移す。
此処はビルの22階。
周りには似たような高層ビルが立ち並んでいる。
はずだった・・・
「なっ!?」
その景色に俺は呆然とする。
コトンと床に赤ペンが落ちる。
窓の外は見たことの無い赤い紅い景色が広がっていた。
さらには、窓にびっしりと目玉が張り付いて此方を見てい―――――――――
8X―・・・・・・・・
「あはっ♡『好汰』は今いったいどんな夢を見ているのかな?私と幸せな家庭を築いてくれていたら嬉しいなぁ♡ふふふふ♡」
バルカン半島のとある地域・・・とある山中の洋館・・・そしてその一室・・・
部屋を象る壁は血肉のようなモノで出来ていた。グチャグチャと気味の悪い音を部屋中に響かせながら、この部屋自体が生きているかのように脈打ち、蠢き、まるで胎動しているかのようにも見えた。
良く見ると、天井から、肉壁から、所狭しと人間の頭部だけが、まるで果実が成っているかの様にぶら下がっている。
頭部の一つ一つはまだ生きているらしく、瞬きをしたり、突然揺れたり、涙を流したり、言葉になっていない叫びを発していたりしていた。
そんな奇妙で不気味な部屋の中で綺麗な赤い髪をした美女・・・『色好』と呼ばれていた女は床に座り込んでいた。
『色好』はその数多ある内の一つである頭部を『好汰』と呼び、とても大事そうに、ぶら下がるそれを左手で支え、愛おしそうに、右手で優しく撫でながら、紅潮し潤んだ瞳で見つめ、微笑みながら話しかけていた。
「ねぇ、『好汰ぁ』。『好汰』は幸せ?私は幸せ。だって『好汰』を此処に連れて来れたから。糞みたいな誓約で一時はどうなるかと思ったけど、ずっっっっっっと『好汰』と一緒に居られるから・・・私は幸せ」
「うあぁ・・・うぅ・・・おうぅああぁ・・・おおぉぉ・・・」
『好汰』と呼ばれた頭部はとてもおぞましい、聞くととても不愉快な気分になる音をその口から発した。
「ふふふ、そんなに興奮して・・・今私と獣みたいにS○Xして居るの?私がコータを厭らしい音を立てながらしゃぶってるの?どう?私のナカは・・・私のクチは・・・気持ち好い?タマらない?」
『色好』は左手を自分の秘部に這わせ、そのまま中指と薬指を挿入した。
「んぅくうぅ・・・ねぇ、『好汰ぁ』、んっ、はぁ・・・気持ち好い?ねぇ、気持ち好い?はっ・・・んあっ・・・んくぅ・・・んっ♡んっ♡んっ♡」
グチャグチャと激しい音を立て『色好』の秘部から止めど無く雫が糸を引き滴り落ちる。
その指はだんだんと動く速度を増していく。
「はぁはぁはぁ・・・あっ・・・あぁぁ・・・んんんんっ♡♡♡♡!!!ああああぁぁぁっぁぁぁぁぁぁーっ♡♡♡♡♡♡♡っ・・・っ・・・っはぁっ・・・んっ♡」
身体が震え、先程とは比べ物にならない程の液体が股の間からあふれ出し、肉の床に水溜りを作る。
「あはぁ♡・・・イっちゃったぁ♡・・・『好汰』はぁ・・・気持ち、好かったぁ・・・?」
「・・・」
また音を発さなくなった『好汰』と呼ばれた頭部。
「ねぇ?『好汰』?『好汰』・・・ねぇってばぁ・・・。ねぇ『好汰ぁ』。ねぇ、『好汰』、ねぇってばぁっ!!」
『色好』は持っていた『好汰』と呼ばれた頭部を激しく揺すった後、肉壁に思い切り投げ付けた。
ぐちゃりとおぞましい音を発て肉壁にぶつかったかと思うと、ネバッとした赤黒い糸を引き、元の位置に戻りぶら下がる。
『色好』は肩で大きく息をし、白目は赤く染まり、風も無いのに綺麗な赤い髪の毛先は上へ上へと靡いてる。怒りを顕にしているのが見て取れた。しかし、目尻には大量の涙が溢れていた。
「・・・な・・・無い・・・」
ぽつりと呟く。
また、ぽつりと頬を伝い顎から雫が落ちる。
「・・・ん・なの、・・・な訳無い・・・幸せな訳無いっ!!!こんなの幸せなんて呼べるわけ無いっ!!!!」
『色好』は癇癪を起こし、右手で肉壁を思い切り殴り付ける。
駄々を捏ねる子供のように、ただただ当り散らす。
殴り付ける度、グヂャリと肉を骨ごと叩き潰したかのような音がする。
「ふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるなふざけるな」
『色好』は辺り構わずただただめちゃくちゃに壁を、床を、頭部を殴り続ける。
「なにがヴァンパイアだっ!!!なにがっ!名家だっ!!!なにが!!最狂の冥姫だ!!!なにがっっ!!糧だっ!!!なにがっ!!!制約だっ!!!!なにがっ!!!なにがっ!!!!なにがぁっ!!!!!!」
拳を壁に付けながら、力なく床に膝を着く。
「ふっ・・・ふぐぅ・・・ううぅ・・・なにがぁ・・・『一緒に居よう』だぁあぁぁ・・・ふうえぇぇぅ・・・うぐっぅぅ・・・」
目の前の誰かの頭部を右手で弱弱しく殴る。
すると回りの至る所にぶら下がる頭部は悲痛とも憎悪とも呼べる呻き声を一斉に上げ始めた。
「・・・え?」
『色好』は自分の手を見る。なぜか手首から先は無くなって居た。
「は・・・ははっ、はははっ。そうだ、そうだよ・・・そう、そうだよ!!!ふっ、ふふ・・・こんな、こんな場所・・・こんな所はぶっ壊そう?そうよ。そうだ。『好汰』と、『好汰』と二人きりで静かに平和に暮らそう。またあの街で、あの場所で静かに眠りに付こう。そう。そうだ。今度こそ一緒に居よう?あは、あはははははははははは・・・・・・」
【だからぶっ壊そう】
『色好』は高らかに笑う。手首の先を失った右腕を振る。
「ちっ。だからこの家は嫌いなんだ・・・」
そう言うと『色好』は唾を床に吐き、ぶら下がる『好汰』の頭部を左手で乱暴に引き千切る。
瞬間、部屋中の頭部が先程の低い呻き声とは打って変わって、まるで金属と金属を激しく擦り合わせたような金切り声を上げ始め、肉壁の所々から触手のような物が生え始めた。
『色好』は最早扉と名状し難い場所に一目散に走り出した。
「『好汰ぁ』、今から一緒に【日本】に帰ろう?だから絶対に此処から一緒に出ようね♡家の外にさえ出ちゃえば私の【破壊】と【崩壊】が使える♡私の隣に『好汰』さえ居れば【創造】と【創世】が使える。だから私は『好汰』を絶対護る♡『好汰』が居れば私は何だって出来る。何でも出来る。だからお願い、『好汰』・・・最後の最期まで私を支えて・・・そして一緒に居て・・・」
『色好』は左腕の中の『好汰』の唇に自分の唇を優しく重ねた。
【私は好汰と供に生きる】
夜明けはもう直ぐ(意味深)