※この作品はR-18です。

インフィニット・ストラトス~一片の花、一夏の夢~   作:カイナ

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【警告】
・作者はR18を書くことに慣れておりません。
・拙作「インフィニット・ストラトス~IF(インフィニット・フェイト)~」設定使用です。
・なんの前振りもなかった唐突な一夏×オリキャラです。
・言い方によってはNTRの一種とも呼べる可能性があります。
・キャラ崩壊多めです。


以上のことを了承出来ない方はブラウザバックを推奨いたします。
警告を無視して読み進め不快に思っても作者は一切の責任を持ちません。


インフィニット・ストラトス~一片の花、一夏の夢~

 IS学園の食堂。食事時のみならず放課後や休日などの空いた時間に学生たちのレクリエーションルームとしても使用されるそこに篠ノ之箒、セシリア・オルコット、凰鈴音、シャルロット・デュノアは集合していた。

 

「ラウラ、いきなり呼び出して何か用なのか?」

 

 箒が訝し気な表情をしながら、自分達を呼び出した張本人であるラウラ・ボーデヴィッヒに質問をする。するとラウラは「フフフ」と不敵に笑いながら一つの箱――所謂ジップロックを取り出した。

 

「ん? レモンの蜂蜜漬けじゃない。なかなかいい出来ね」

 

 ジップロックの中身を見た鈴がいい出来だと素直に賞賛する。その隣に座るシャルロットが小さく首を傾げながら「でもこれがどうしたの?」と再び問うた。

 

「これはただのレモンの蜂蜜漬けではない」

 

「どういう事ですの?」

 

 不敵な笑みのままそう答えるラウラにセシリアが頭の上にクエスチョンマークを浮かべながら質問を返す。するとラウラは空っぽの瓶を取り出した。

 

「我が優秀な副官から催淫剤を貰った」

 

「は? なんだそれは?」

 

 ラウラの言葉を箒が聞き覚えがないのか聞き返すと、隣に座るセシリアがどこで知ったのか「エッチなお薬のことですわ」と耳打ちする。

 

「この際、強硬手段で既成事実でも作ってしまえとな」

 

「だ、大胆な事考えるね……」

「やっぱクビにしなさいよその副官……」

 

 副官が催淫剤なる薬を送りつけてきた経緯の説明を聞いたシャルロットが苦笑顔、鈴が呆れ顔でそう漏らす。

 

「このレモンの蜂蜜漬けにはこの催淫剤を全て混入させてある。そして今日一夏はアリーナで訓練しているという情報は入手済みだ。当然、訓練後疲れているだろう一夏にレモンの蜂蜜漬けを渡すシミュレーションも万全」

 

「……で、何故そんな事を私達に話したんですの?」

 

 セシリアがそう尋ねてくると、その言葉を待っていたというようにラウラは立ち上がると彼女らをフッと鼻で笑って渾身のどや顔を見せる。

 

「これは勝利宣言だ。本日をもって私の嫁は私だけのものになる! お前達の十歩も百歩も先を行くのだ!」

 

「なっ!?」

 

 ラウラ渾身のどや顔での勝利宣言に鈴が反応するのと、勝利宣言の際既に立ち上がっていたラウラ以外の女子四人が立ち上がるのはほぼ同時だった。

 

「そうはさせるかぁ!!」

「そのレモンの蜂蜜漬けよこせー!!」

「そんなハレンチなことさせないよ!!」

「こちらに渡しなさい!!」

 

「この私から奪い取れるとでも!?」

 

 勝利宣言が宣戦布告へと変化し、女性陣のどったんばったん大暴れが開始。

 同じく食堂で談話を楽しんでいた女子達は彼女らの話を聞いてはいなかったものの、一夏を取り合って最終的にはそうなるいつもの風景に巻き込まれないようにと、この状況に不慣れな者の背中を押してその場を離れていった。

 

 

 

 

 

「はぁっ……はぁっ……」

 

 場所はアリーナに続く通路へと移る。一人の少女が息も絶え絶えに通路を走っていた。

 

「ふっ、なんとか撒いたようだな……しかしまだ私には及ばんが、皆も腕を上げたか……油断は出来ないな」

 

 ラウラは箒達を撒いて一夏が訓練しているというアリーナに到着、そのピットへと向かう。すると丁度訓練が終わったのかピットの扉が開くのをラウラは確認、大急ぎで扉の前に駆け寄った。

 

「一夏、訓練ご苦労だったな。疲れただろう、糧食研究の一環でレモンの蜂蜜漬けを作ったんだ。食べてみるといい……べ、別に一夏に食べてほしくて作ったわけじゃないんだからねっ!」

 

 さっとレモンの蜂蜜漬けinジップロックを差し出し、頬を赤らめて顔を逸らしながら、信頼できる副官に教えてもらった台詞を述べる。

 

「わあ、丁度疲れてて何か甘いもの食べたかったんだ。ありがとね、ラウラちゃん」

 

「…………ん?」

 

 おかしい、とラウラは直感する。一夏は自分をちゃん付けしたりなどしないしこんな女っぽい喋り方ではない。というかそもそも声が違う、これは女性の声だ。

 ラウラはギギギと油の切れたロボットのようなぎこちない動作で、今自分がレモンの蜂蜜漬けを差し出している相手を見る。

 

「あ、美味しい。ラウラちゃんって料理上手なんだね」

 

「……は、花ぁ!?」

 

 目の前にいたのは黒髪を短いポニーテールに結った、どことなく千冬に似た面影――どちらかというと目の前の少女は千冬よりも穏やかな顔立ちをしているしよく見れば顔のパーツが微妙に違う――の美少女。

 ほんの数週間ほど前だろうか、絶対天敵(イマージュ・オリジス)との戦いの中で偶然出会い、質疑応答や調査の結果異世界から転移してきたと結論付けられた、いわば異世界の似て非なる織斑一夏といえる少女――織斑壱花の姿だった。

 なお一夏とは漢字こそ違うが読み自体は全くの同一でややこしいためラウラを始めとしたメンバーは名前の一部を取って「花」と呼んでいる。

 

「は、花!? な、なんでお前がここにいるんだ!?」

 

「なんでって? 今日私ここで訓練してたんだけど?」

 

「馬鹿な!? このアリーナで訓練しているのは一夏だという情報が……っ!?」

 

 狼狽するラウラときょとんとしている壱花。ラウラは自分の得た情報に間違いがあったのかと慌てるが、直後気づく。

 今回「一夏がこのアリーナで個人訓練をする」という情報を得たのは人伝&口頭。そして一夏と壱花は読み自体は全く同じイチカだ。

 

(わ、私が勘違いした!?)

 

「お代わりもらうねーもぐもぐ」

 

 四角の形に大きく口を開け、ガーン、と頭の上に石で出来たような色合いの巨大文字を浮かべるラウラをよそに壱花は暢気にレモンの蜂蜜漬けを食べ進める。

 

「無事か一夏ぁ!」

「ラウラさんから渡されたものを食べてはいけませんわ!」

「食べたなら今すぐ吐きなさい!」

「ラウラ! こんな事いけないよ!」

 

 そこに女性陣も乱入。大慌てでピットへと入り込む。

 

「「「「……あ」」」」

 

 しかしそこで女性陣も目の前でレモンの蜂蜜漬けを食べてるのが壱花だと、そしてこちらを見ているラウラが瞳を潤ませて唇を震わせ、真っ青な顔に震えた文字で「やっちまった」と書いている事に気づく。

 

 [……ラウラァァァァァ!!! あんた何をやってんのよ!?]

 

 [う、うっかり勘違いしたんだ! わざとではない!]

 

 [当たり前ですわ! こんなのわざとやったらあなたセシルさん達から大目玉ですわよ!?」

 

 咄嗟にプライベート・チャネル(対象は箒、セシリア、鈴、シャルロット、ラウラ)を繋げてラウラにキレる鈴と弁解するラウラ、叱るセシリア。

 

 [それよりラウラ、その催淫剤って女性が飲んでも大丈夫なの!?]

 

 [そ、それは心配ない! 私も昨夜確認のために飲んだ! 一晩悶々として眠れなかったくらいだ!]

 

 [ある意味安心出来んぞ!? と、とにかく変なことになる前に花を部屋に送り届けるんだ! あとラウラはその副官とやらに誤って飲んだ時の対処法の確認を取れ!]

 

 続けてシャルロットが催淫剤を女性が飲んでも大丈夫なのかと確認、ラウラが確認のために飲んだと自白、その内容を聞いた箒がツッコミを入れつつ指示を出し、全員がこくんと頷いてプライベート・チャネルを切った。

 

「は、花! そんなに疲れたのなら今日はもう休んだ方がいいだろう!」

 

「え? 疲れたと言っても普段の訓練くらいだし……」

 

「い、いえいえ! 油断はいけませんわよ! 花さんは異世界からやってきた身、何かあっては大変ですわ。たまにはごゆっくりお休みになった方がよろしいかと!」

 

「そ、そうそう! それにほら、絶対天敵がいつやってくるか分からないじゃない? 休める時にちゃんと休みましょうはい決まりあたし達が運んだげるわね!」

 

 箒が壱花に詰め寄り、壱花がきょとんとしているところにセシリアと鈴が畳みかけ、大慌てでクラリッサにプライベート・チャネルで連絡を取ろうと試みているラウラ除いた全員揃って壱花をひょいっと持ち上げる。

 

「え、あの、ちょっとー!?」

 

 壱花の訴えもなんのその。箒達は足がぐるぐるとした渦巻きになるような速さで壱花を特別に用意された個室へと連れていき、壱花にドアを開けさせると即座に部屋の中に連れ込んでベッドへと放り込んだ。

 

「いーい!? 今日は! もう! 休みなさい! いいわね!?」

 

「は、はい……」

 

 鈴がずいっと壱花に顔を近づけて念押し。押し負けたのか壱花もこくこくと頷き、ちゃんと言質を取って箒達は壱花の部屋を出て行った。

 

「……ラウラ、どうだ?」

 

「うむ。解毒剤の類はないようだ……だが効果は今日一晩も経てば治まるだろうとのことだ」

 

「だとすると……」

 

 つまり今日一日(実際は既に半日切っている)、壱花の部屋を訪れるだろう危険人物をマークしておけば問題はない。そう考えた女性メンバーはよしと頷いた。

 

「私は総司に剣の指南を頼んでこよう!」

「私はセシルさんにブルー・ティアーズ操縦術について意見交換をお願いしてみますわ!」

「あたしは蓮と一緒に中国拳法の鍛練してくる!」

「僕はシャルルを学園内にあるカフェに誘ってみる!」

「私はラウルだな。軍事教練を依頼してみるとしよう」

 

 異世界からやってきた似て非なるオリムライチカご一行はなんの偶然か自分達と同一存在もいる。つまりここにいる全員でそれぞれの同一存在を抑えてしまえば壱花にもしもの事は起きない。

 彼女らは大変なことになった壱花を守るため一致団結、それぞれの同一存在を抑えるため各員一斉に散らばっていった。

 

 さて。たしかに似て非なるオリムライチカご一行は箒、セシリア、鈴、シャルロット、ラウラと同一存在がいる。それらを抑えるためには自分達が手分けをすればいい。これは間違いなく正解だ。

 しかし――

 

「ありがとうございます。おかげで助かりました」

 

「いえ、これくらいお安い御用です」

 

「ああそうだ、荷物を運んでくれたついでにもう一つお願いが……」

 

「なんですか?」

 

「はい。織斑さん……えーと、花さんが今度の休日に外出したいそうなんですが。それの許可が下りたので許可証を届けてもらいたくて……」

 

「分かりました。いいですよ」

 

「じゃあお願いしますね――織斑君」

 

 ――あまりの焦りに彼(・)の存在を完全に失念していた。それが彼女らの最大の失敗であった。

 

 

 

 

 

「ん、くぅ……ふぅっ……」

 

 一方壱花の個人部屋。ちなみに総司達男性陣は従来の二人一組だが壱花は個人部屋の理由としては男性陣の部屋をどうにか決めた後、彼女の分まで部屋割りを決め直すのが面倒になった教師陣が偶然空いていた部屋に無理矢理押し込んだ形である。

 ちなみに部屋割りに悩んでいた千冬を見た壱花が「別に私もソウちゃん達と同じ部屋でいいですよ」とぶっ込んだ結果、偶然いた専用機持ち女性メンバー&麻耶&千冬にガチでお説教されたのは別のお話。

 壱花は鈴たちに言われたしたしかに最近突然異世界にやってきて訳の分からない敵を相手に戦っていて疲れてたし、たまにはのんびりしていようかと思って早めにパジャマに着替えてゴロゴロしていた。

 しかしベッドに寝転がってゴロゴロしていたのもつかの間。突然妙に身体に熱がこもり始め、壱花の吐息は甘くそれでいて荒くなっていた。

 

「どうし、たんだろ?……もしかして、風邪でも引いたのかな……」

 

 さっき食べたレモンの蜂蜜漬けに何か盛られていたなんて想像もつかない壱花は自分の知識の中から今の状況に当てはまる現象を予想する。

 

 コンコン

 

「花、いるか? 俺……夏だけど」

 

「あ……はぁい」

 

 すると突然ドアをノックする音と青年の声が重なり、来客が来た事に気づいた壱花がのろのろとベッドから起き上がるとパジャマの布が擦れるだけで妙に身体がくすぐったい感触を我慢しながら玄関へと向かいドアを開ける。

 

「夏、どうしたの?」

 

「ああ。ちょっと山田先生に頼まれてさ……って、花、もう寝るのか?」

 

 来客である一夏――こっちは花と同じ要領で「夏」と呼ばれている――へ用件を尋ねる壱花と、用件を答えてからパジャマ姿の壱花を見てそう尋ねる一夏。その質問に壱花はこくりと小さく頷いた。

 

「うん。鈴ちゃん達にたまにはさっさと休みなさいって言われてね……それに、なんだか身体がおかしくって……」

 

「あ、言われてみればなんだか顔が赤いし汗もかいてるな……風邪か?」

 

「そうかも……うつしたら悪いし、用があるならここで聞くよ?」

 

 風邪だと勘違いする一夏と壱花だが、風邪をうつしたら悪いと答える壱花に一夏は爽やかに微笑んだ。

 

「そんな水臭いこと言うなよ、濡れタオルとか病人じゃ用意するのも大変だろ? それにちょっと話し相手くらいにはなってやれるしさ」

 

 一夏の爽やかな微笑みを見た壱花の胸がドキリ、と高鳴る。普段ならそれでも「悪いから」と断るはずだが壱花は彼の笑顔を見ると何故か断れなくなり、こくりと頷いた。

 

「そ、それじゃあ……少しだけお願いしよっかな……」

 

「おう、任せとけ。じゃあちょっとタオル準備してくるな」

 

 壱花からの了承を得た一夏は自分の部屋からタオルを持ってきてそこら辺の水道で濡らして濡れタオルを作ろうと思い、踵を返す。

 しかし歩き出そうとした一夏を何者かが止める。誰かなどとは言うまでもない、壱花だ。

 

「その……お話し相手に、なってほしいな……」

 

「お、おう……」

 

 一夏の制服の袖を掴み、上目遣いでそうお願いする壱花。彼女の言葉に一夏も驚きながらこくりと頷いて返したのであった。

 

「なにもお構いできませんが……」

 

「いえいえ、お気持ちだけで」

 

 部屋に入った一夏をもてなすために壱花がそう言い、部屋の中にある食料を差し出す。

 

「ってか、なんだこれ? レモンの蜂蜜漬けか?」

 

「ラウラちゃんが作ってくれて、つい持って帰っちゃったんだ」

 

「へー、ラウラが。貰っていいのか?」

 

「もちろん。きっとラウラちゃんも喜ぶし」

 

 壱花が差し出したレモンの蜂蜜漬けがラウラ作だと知った一夏は喜びながらレモンの蜂蜜漬けを口にする。

 

「お、美味いな。ラウラのやつ、いつの間に腕を上げたんだ?」

 

「それ、ラウラちゃんが聞いたら喜ぶよ」

 

 ひょいぱくひょいぱくと雑談の合間にレモンの蜂蜜漬けを食べ進める二人。元々一人分だし壱花の食べかけということもあり、あっという間に全て平らげてしまった。

 

「それで、花達が元の世界に帰る方法は見つかったのか?」

 

「ううん……直前まで束お兄ちゃんがなんやかんやしてたんだから、とりあえず一緒に来てる可能性の高い束お兄ちゃんをとっ捕まえるのが一番手っ取り早いと思うんだけど……」

 

「男の束さんかぁ……俺達の知ってる束さんもかなり神出鬼没だからなぁ……」

 

「そうだよねぇ……」

 

 雑談の中で壱花達のいた世界の話になり、帰る手段として彼女らの世界の束を捕まえるのが一番早いと思うと語る壱花と、自分達の世界の束も神出鬼没だから捕まえるには難儀するだろうなと考える一夏。それに壱花も同意をしてため息をついていた。

 

「はぁ……暑い……」

 

 そのため息の中でそう漏らした壱花はパジャマの上のボタンを外すと胸を僅かにはだけさせ、その状態でパタパタと仰ぐ。

 

「って、花っ!?」

 

「え?……あっ!?」

 

 一夏のすっとんきょうな声を聞いた壱花は、「何を変な声出してるんだろうこの人」的な顔で一夏を見た後、無意識だったのか今自分がやっている行動に気づくとこっちも変な声を出して慌てて胸元を隠す。

 

「ご、ごめん……その、お見苦しいものを……」

 

「あ、いや、こ、こっちこそ、ごめん……」

 

 互いに顔を逸らしながら謝罪し、部屋に変な沈黙が訪れる。

 

(や、やべえ……花の胸見ちまった……け、結構でかかったな……って、俺は何を考えてんだ!?)

 

 男と女の違いがあるので当たり前だが一夏は壱花より座高が高く、そのため壱花の胸の谷間を一瞬とはいえたしかに凝視できてしまった。その記憶がやけに鮮明に残り、一夏の脳内にその映像がアウトプットされるのを彼は心の中で必死に抑えようとする。

 しかし抑えようと意識すればするほど、むしろその映像は鮮明にアウトプットされる。と、共にドクンドクンと心臓が妙に強く脈を打ち、同時に彼のある部分が膨張、その存在を主張し始めた。

 

(待て待て待て落ち着け俺の息子! それはダメだ!)

 

 ズボンを押し上げるように股間にテントが張ったのに気づいた一夏は大慌てで自分へと言い聞かせる。しかし興奮の結果のそれはそうそう静まらず、一夏はそれを抑えようとするのに必死になっていた。

 

「……」

 

 そう。隣に座る壱花が一夏の股間のテントを張った物体に気づき、今度はそれを彼女が凝視していることにすら気づけないほどに。

 

(な……何あれ……あんなの見た事ない……)

 

 厳密には保健体育の授業で習ったり、小学校低学年の頃に一緒にお風呂に入っていた総司やシャルルがシャルロットと偽っていた時に一度事故で見たことがある物体。しかし当時異性への性的な興味なんてない総司や興奮状態になっていなかったシャルルのものとはまるで違うのが布越しにも分かり、すっかり壱花はそれに釘付けになっていた。

 

「な、夏……」

 

「へ? ふわっ!? は、花(はにゃ)さんっ!?」

 

 いきなり自分の股間のテントに手を伸ばされた一夏がひっくり返ったような素っ頓狂な声を上げる。

 

「ふふ……流石に知ってるよ。これ、私のおっぱいを見て興奮しちゃったのかな?」

 

「あ、いや、その……」

 

 股間のテントを優しく撫でながら、壱花は慈しむような笑みを浮かべて壱花を見上げる。その目に一夏は頬を赤らめながら言葉を濁す。しかしそれは肯定しているも同義だった。

 

「しょうがないなぁ。でもそれって私のせいなんだし……責任取ってあげるね」

 

 そう言うや否や、壱花は慣れたように一夏のズボンのチャックを外して前をはだけさせてパンツの前面をずり下ろす。同時にテントが取り払われた一夏の息子が大きく膨張した姿を見せつけた。

 

「なぁ!? は、花!? お前こういうの慣れてるのか!?」

 

「そんなわけないじゃん失礼だなぁ!」

 

 躊躇いなくズボンとパンツを剥ぎ取ってきた壱花の姿に一夏が悲鳴を上げると彼女は憤慨したようにそう吼えた後、一夏の息子に手を添えた。

 

「え、えっと……これを擦ればいいんだっけ?」

 

「花お前、どこでそういう知識を、っ!?」

 

「ら、蘭ちゃんがそういうビデオを弾君から奪ったって、それで、それを見て……」

 

「弾……」

 

 異世界でも弾は蘭に弱いらしい。というあまり衝撃的ではない衝撃の事実を知り、一夏は己の息子をたどたどしく撫でられながら異世界の親友の扱いに涙するのであった。

 

「ぅ……っ、はぁ……」

 

 しかし親友に涙するのもつかの間、たどたどしくもそもそも不慣れな感覚に一夏はあえぐような声を漏らす。

 椅子に座っている一夏の前にひざまずいて彼の息子を撫でる壱花もどこか興奮したように息が荒くなっており、まるでもじもじとしているように腰を揺らしていた。

 

「えと……こう、だったかな……」

 

「ちょ、ま……花、手、離し……」

 

 立派に皮も剥けているそれを右手で優しく掴んで上下するように擦る壱花。女子の柔らかい手による感覚は一夏に快感を与えていき、徐々に下半身に何かが溜まっていく。

 ヤバい、と感じた一夏が壱花に声をかけようとするがその快感に耐えながらでは声が絶え絶えな上に声そのものが小さく、どこか興奮したような様子でむしろ擦るスピードを速める壱花には聞こえていないようだった。

 

「っ、あ……で、出るっ!!」

 

「ひゃあんっ!」

 

 ついに快感に耐えきれなくなった一夏がのけぞるように背を逸らし、その勢いで天井を向く。同時に下半身から力が抜けて何かが噴き出る感覚と、それと重なるように壱花の悲鳴が聞こえた。

 

「ご、ごめん花! 俺――」

 

 女子の悲鳴に反応したように咄嗟に謝罪の言葉を口にする。しかしその言葉は途中で止まってしまった。

 

「あ、ふぅ……これが男の子の……」

 

 一夏の息子から飛び出た白濁液は、突然噴き出てきたためかわすことが出来なかったのか壱花の顔にバッチリとかかってしまっている。しかし壱花は嫌そうな顔をするどころか、そんな声を漏らすと恍惚とした顔を見せていた。

 

「あ、ん……ふあぁ……」

 

 しかもその興奮によるものなのか、壱花は左手をズボンの中に入れて自分の股間に向かわせると、ぞくぞくと身体を震わせ始める。壱花が、自分の精液を顔に浴びた状態で、己を慰めている。一夏はそれを理解した。

 

――プツリ

 

 それと同時に、彼は自分の中の大切な何かが切れた音を聞いた。

 

「花……」

 

「え? ひゃっ!?」

 

 一夏は自分の前にひざまずいて己を慰めていた壱花を抱き上げると、悲鳴を上げてじたばたし始めた彼女をいつも彼女が眠っているのだろうベッドへと運ぶ。

 

「え、あの、夏?」

 

「花が悪いんだからな」

 

 困惑している壱花に対し、一夏はそう言い捨てると自分もベッドに乗って壱花の上にのしかかるような体勢になる。

 

「責任を取るなんて言って、こんな事になってるのか?」

 

「ちょ、待ってちがひゃあんっ!?」

 

 己の知らぬまま嗜虐的な笑みを浮かべ、壱花のパジャマのズボンに手を入れると股間の筋をなぞる。びしょびしょに濡れていたそこを一撫でしただけで壱花は大きな嬌声を上げていた。

 

「な、ななな夏(なちゅ)、待って、なんであなたこんな事知って……まさか箒ちゃんとかと!?」

 

「ちげーよ!? お、俺もほら……弾が持ってたそういうビデオ見てさ……」

 

 互いにエッチな知識は弾経由らしい。なお一夏の方の弾は年齢の確認がずさんな店を探してようやく手に入れて一夏とは貸し借りする仲だったらしいが、油断していた弾が蘭に見つかってボコられた挙句没収され、さらには家族に晒されるという公開処刑を受けたらしい。

 

「まあ、今はそんな事どうでもいいだろ?」

 

「ま、や、ちょっとまふみゃあああぁぁぁぁ!?」

 

 昔見ていたそういうビデオの記憶の糸を手繰り、前戯として指で壱花の股間の筋の中を擦り上げる。たったそれだけで壱花は嬌声を上げていた。

 

「花って敏感なんだな」

 

「く、う、ふぅんっ……」

 

 まるでおもちゃを見つけた子供のような無邪気な笑みを浮かべて壱花をイジメる一夏に対し、そんな事を言われて腹が立ったのか声を出さないよう必死に耐える壱花。その両手は頭の方に挙げられてそこにあったシーツをぎゅっと握り締めていた。

 すると声を我慢されるのが面白くないのか一夏が唇を尖らせた後、快感から逃げようと身をよじらせている壱花の大きな胸がふるんふるんと揺れているのを目撃する。

 

「っ、あ、ふえ?」

 

 唐突に股間の筋を撫でられるのをやめられた壱花がきょとんとした顔を見せるが、直後「ちょっ!?」と声を上げる。一夏が壱花のパジャマのボタンを外していたのだ。壱花が「待って」と言って一夏の腕を押さえようとするが一瞬遅く、壱花のパジャマのボタンが全て外されてはだけさせられ、彼女の豊満な胸が露わになる。

 

「きゃああああぁぁぁぁぁっ!!!」

 

 思わず悲鳴を上げて両腕で覆うように胸を隠す壱花。その顔は羞恥によって真っ赤に染まっている。

 

「ほら、駄目だろ花? ちゃんと見せてくれよ」

 

 無邪気な、それでいて嗜虐的な笑顔を浮かべながら一夏が壱花にそう囁きかける。その言葉を受けた壱花は恥ずかしそうに顔を逸らしながら、ゆっくりと両腕を胸から離す。

 その時胸がぷるりと柔らかく揺れ、思わず一夏がゴクリと生唾を飲む。そんなにまじまじと見た事があるわけではないが、シャルロットの胸よりも恐らく大きい。しかし箒ほどではなく、だが全体的に見ればバランスが取れている。巨乳にくびれたウエスト、引き締まりながらも膨らんだお尻が絶妙な調和を成し遂げていた。

 

「はんっ!?」

 

 一夏の両手が壱花の胸を掴む。と共に壱花が再び嬌声を上げ、一夏は汗に濡れてしっとりとした胸に自分の指が柔らかく埋もれつつ、手は胸の弾力によって程よく押し返される感触を味わっていた。

 

「っ……つ……花、もうダメだ……我慢できない」

 

「夏……」

 

 そこまでいき、一夏はついに限界を悟る。その言葉に壱花も声を漏らすが、その瞳はどこか期待しているような淡い光を漂わせていた。

 一夏が一度ベッドから降り、制服やズボンを乱暴に脱ぎ捨てて一糸まとわぬ姿になる。先ほど射精をしたにも関わらず、彼の息子は大きく膨張した姿のままだった。いや、むしろ

 

「夏の……さっきより大きくなってない?」

 

 そのサイズは先ほどまでより一回り程大きくなっているように壱花の目には見えていた。

 

「そうかな? まあそれよりさ……壱花も脱いでくれよ」

 

「っ……わ、分かった……」

 

 自分の息子が大きくなっていると言われて困ったように頬をかいた一夏は、続けて壱花にもパジャマを脱ぐように要求。彼女も羞恥に顔を赤くしつつも従い、パジャマを脱いでいく。ボタンはさっき外されたのでそのまますぐに脱げるのだが、そのただ脱ぐだけの動作でもまるで蛹が蝶へと羽化するようなある種の神秘的な光景に一夏の目には映っていた。

 するり、とズボンを脱いで股間の部分がびしょぬれになっているパンツまで脱いで彼女もまた一糸まとわぬ姿へとなる。そこで一夏もベッドへと歩み寄り、二人の男女は生まれたままの姿でベッドへと寝転がった。

 

「いくぞ、花……」

 

「うん……」

 

 一夏が壱花の上にのしかかるような体勢になり、一声かけて彼の息子が壱花の股間の穴――膣へと入っていく。

 

「く、ふ、うんっ……」

 

 壱花が自分の中に何かが入ってくる奇妙な感覚に嬌声を漏らす。

 

「ふあ゙っ!?」

 

「大丈夫か、花!?」

 

 突如、何かが破れるような感覚がして嬌声というよりは悲鳴のような声が上がった。突然の悲鳴に思わず一夏も素で彼女を案ずる声を出すが、壱花は何かが破れたような痛みからくる涙を目から零しながらふるふると首を横に振った。

 

「だ、大丈夫だよ、夏……でも、ちょっと待って……」

 

「あ、ああ……」

 

 涙目な壱花の言葉に一夏も頷き、そのままの体勢で止まったまま、片手で壱花の涙を拭う。

 それからしばらくして壱花が「はぁ、ふぅ」と深呼吸した。

 

「うん……もう大丈夫」

 

「じゃあ、動くな?」

 

 壱花の言葉に一夏も一応確認、壱花がこくりと首肯するのを見てから己の身体を前後に動かし始めた。

 

「ん……あ……ふあぁ……」

 

 一夏がぎこちなく身体を動かすのに合わせて壱花も気持ちよさそうに声を漏らし、ゆっさゆっさと彼女の身体が揺れると共に豊満な胸も揺れていく。

 

「う、く、んっ……」

 

 目の前の双丘が自分の動きに合わせて揺れるのを見る一夏が少しずつ動きを速めていく。同時に壱花の喘ぎ声のタイミングも早まっていった。

 

「ふ……はぁんっ!?」

 

 一夏が勢いよく突き入れた時、壱花がびくんっと跳ね上がるように反応すると共に嬌声をあげ、しまったと口を塞ぐ。しかし既に遅く、一夏はにんまりと悪戯っぽい笑みを浮かべていた。

 

「花の弱点みぃつけた♪」

 

「ち、ちが、これははんっ!?」

 

 小悪魔のような笑みを浮かべ、一夏は先ほどの箇所に再び突き入れる。そこが敏感だったらしく、壱花は再び嬌声を上げる。

 

「ら、らめ、なつ、ふわ! そ、そこ、おかひく、なっひゃう、ひゃんっ!?」

 

 目の端から涙を流し、いやいやと首を横に振る壱花。

 

「そんな事言って。壱花のここは素直だぞ?」

「っ!?」

 

 しかし一夏のピストンは止まらず、しかもどこで覚えたのか壱花の耳元で囁くようにそう返す。と、共にきゅうっと壱花の膣が締まった。それは一夏の息子を捕らえるようにきつく、しかしそれでいて柔らかく包み込んでいた。

 その心地よさを感じながら一夏は再び腰を動かし、同時に壱花の嬌声が再び響き始めた。

 

「あっあっあっ……んんっ、ふあっ……」

 

 一夏がずんずんと腰を動かして自らの息子を壱花の奥へと突き込む。その一回一回が壱花の敏感な所を突き、擦り、それ毎に彼女は頭が真っ白になるような感覚を覚える。

 

「ん、く、あ……」

 

 それは一夏も同じく。ぎゅうぎゅうと締め付けてくる壱花の膣はその圧力で一夏に快感を与えつつも締めすぎて痛みを与えない絶妙な力加減で彼に快楽を提供していた。

 

 

 

 

 

「ぁ、はぁ……ダ、ダメだ……花……で、出る……」

「ふぁ、あ……んんんっ……」

 

 一夏の腰が動くのに合わせて壱花の腰もふりふりと揺れる。既に互いに快楽で頭が蕩けており、どうにか一夏が漏らす言葉の意味すら理解できていない様子で二人は交わる。

 

「で、出るぅっ!」

「っ、あああぁぁぁぁんっ!」

 

 一夏が叫ぶと同時、壱花は自らの中に熱いものが吹き出される感触を覚えて声を吐き出す。

 ぎゅううっと締まる膣は一夏の息子を締めあげながらぐにぐにと蠢き、壱花が無意識の内にふりふりと振る腰の動きもあって一夏の精を全て搾り取ろうと試みる。一夏も頭の中が真っ白になりながら壱花の中に自分の精を吐き出していた。

 

「っ……は、花、ごめん、俺つい……」

 

 精を吐き出して賢者モードに入ったか、落ち着いた一夏は我に返ると共に自分がしてしまった事に気づいて壱花に謝罪の言葉を投げかける。

 

「っん!?」

 

 しかしそれに応えるのは声ではなく自身の股間からくる快感だった。その理由は一つ、壱花が腰をふりふりと振りながらきゅうと膣で一夏の息子を抱きしめるように包み込むものからだ。

 

「一夏ぁ……」

 

 そして壱花がうわごとのように一夏の名を呼ぶ。

 

「もっと……しよ?」

 

 その潤んだ目に可愛らしく首を傾げるような言葉を聞いた瞬間、一夏は再び自分の頭の中で大事な何かがぷつんと切れた音を聞く。

 

「壱花っ!」

 

 同時に一夏は壱花に覆いかぶさるよう彼女を押し倒すのであった。

 

 

 

 

 

「はぁ……昨日はどうなることかと思いましたわ……」

 

 翌日の食堂。セシリアは洋食セットのサンドウィッチを食べながら安堵と疲れが混じったような大きな息を漏らす。

 

「それで、昨日は解散したら皆そのまま部屋に戻ったんだよね?」

 

「ああ。ラウルはもちろんだが全員真面目だ、消灯時間が近づけば部屋に戻る。間違いないようだ」

 

 シャルロットの確認にラウラが頷く。彼ら曰く「年頃の女子が多い寮を夜分無暗にうろうろするわけにはいかないから」という紳士な言い分だ。

 

「しかし、昨日は心労で疲れはしたが、それ以上に充実した……私の剣もまだまだ甘かったことが思い知らされたよ」

「あたしも同感。流石は蓮ね、体術だけならあたしより上だわ」

 

 箒と鈴はどこか清々しい表情でそう言う。なんだかんだ緊急事態の中でもそれぞれ武を志す者としてタダでは起きなかったようだ。

 

「皆、おはよう」

 

 するとそこに男性の声が聞こえてくる。一夏ではない、が箒達は慣れたようにそっちの方を向く。

 

「おはよう、総司」

「おはようございます、セシルさん」

「おはよ、蓮」

「おはよ、シャルル」

「おはよう、ラウル」

 

 一人ずつ異なる男性に挨拶。その男性達は壱花と同じく異世界における自分達の同一存在だ。

 男性陣も朝食を取って来て彼女らの近くに座り、食事を始める。そんな中でふと総司が口を開いた。

 

「……そういえば、夏はどうしたんだ?」

 

「え? 朝部屋行ったら留守だったみたいだし、てっきりあんたらと一緒にいるんだと思ってたんだけど? ってか花は?」

 

「え? 皆と一緒にいるんじゃなかったの? いつも起きてくる時間になっても部屋から出てこなかったからてっきり……」

 

 総司、鈴、シャルルがそう話し、「え?」と全員の声が重なる。

 

「わわ、もう食堂一杯だよ!? 一夏が寝坊するから!」

 

「そんな事言っても、壱花があんなに誘ってきたら……」

 

「も、もう、他の人がいるんだからやめてよ!」

 

 そこにわたわたとした様子の壱花と一夏が食堂にやってくるのを箒達が発見、そこで二人の姿に妙な違和感を覚える。二人とも妙に照れくさそうな表情になっており、壱花なんて最後の台詞を言いながら顔を淡く赤くして一夏の背中を叩いている姿がまるで照れ隠しのようだ。

 

「お、皆! 悪いけど席ってまだ空いてるか!?」

 

「あ、ああ……空いているが……」

 

「よかったー。今ご飯取ってくるから待っててね!」

 

「あ、ああ……」

 

 一夏と壱花の言葉に箒と総司が曖昧に頷く。そして超特急で朝食を取って来た一夏と壱花が席についたところで一夏が口を開く。

 

「あ、そうだ。皆に言っときたいことがあるんだ」

 

 そう言って一夏はにへっと頬を緩ませる。

 

(……なあ)

(なんですの?)

(そういえば私達……)

(す、すっかり頭から抜け落ちてたね……)

(……)

 

 嫌な予感というか昨夜のミスにそこでようやく気がついた女子メンバーがプライベート・チャネルを使うまでもなく目で会話をしていた。なおラウラに至っては顔を真っ青にしてまるで石像の如く固まっている。

 

「俺、壱花と付き合う事になったんだ」

 

 そして一夏が爆弾をぶっ込む。

 

「「「「「はあああああぁぁぁぁぁぁっ!!??」」」」」

 

 その爆弾に反応したのは男性陣。なお女性陣は己のミスと迂闊さに気づいた結果白目を剥いてフリーズしていた。

 

「壱花!? どういうことだ!?」

 

「それがね、昨日……その、ちょっとあってね……」

 

 そう言ってポッと顔を赤らめる壱花はまさに恋する乙女といった表情。冗談ではないと感じた男性陣も真っ白になった。

 

「あ、それでさ。今朝千冬姉ぇにも報告に行ったんだけど……顔を青くしてそうかって言ったきり、これは夢だって繰り返してベッドに潜り込んじまったんだ。朝早かったし、寝ぼけてたのかな?」

 

「そりゃそうでしょうね……」

 

 どこの世界に異世界の自分と同一人物(異性)と恋に落ちるなんて想像できる姉がいるだろうか。一足早く現実に戻って来た鈴が一夏の言葉に呆れ顔を見せた。

 

「一夏、花……」

 

 するとそこに突如先ほどの話の中心こと千冬が登場する。突如というのも当然。そこにいたメンバーが誰一人千冬の気配を感じ取れなかったためだ。しかしそれは彼女が気配遮断をしていたのではなく、素で生気が感じ取れず気配が分からなかったという意味である。

 

「ん? あ、おはよう。千冬姉ぇ」

 

「……夢を、見たんだ」

 

 一夏が元気に笑って挨拶すると、やはり幽鬼のような淀んだオーラを放つ千冬がそう呟く。それは感情がこもっていないような平坦で虚ろな声だった。

 

「一夏と花が付き合い始めたという夢だ……おかしいだろう? 笑ってくれていい。許す」

 

 そう言い、千冬は乾いた笑みを浮かべながら一夏と壱花を見る。しかしそのすがるような目は「頼むから笑って否定してくれ」と語っている。それに対し、一夏はきょとんとした顔で首を傾げた。

 

「……千冬姉ぇ、やっぱ寝ぼけてた? 俺と花、付き合うことにしたってさっき説明しただろ?」

 

 がくん、とまるで不意に重い物を持たされて耐えられなくなったかのように千冬の膝が折れる。しかし崩れ落ちることなく辛うじて持ち直した彼女は背負っている重苦しいオーラが増していた。

 

「ラウラ……」

 

「は、はい、教官!」

 

「私は今日、体調不良で休む……そう、山田先生に伝えてくれ……」

 

「了解しました、教官!」

 

 どんよりとしたオーラを背負う千冬の言葉にラウラは咄嗟に敬礼をして返答。

 

「千冬姉ぇ、体調不良ってどうしたんだ!? 言ってくれれば看病むぐむぐ――」

「あんたはこれ以上話をややこしくさせないの!!!」

 

 一夏が素で千冬を心配し労わる様子を見せるが、背後から鈴が一夏の口を両手で押さえて無駄な口を叩かせないようにする。

 そして千冬はふらふらと去っていくが、ただでさえいつも織斑先生と呼ぶよう注意しているのに一夏が千冬姉ぇと言っても何も注意せず、ラウラが教官と呼ぶのもノーツッコミな辺り重傷だった。

 

「千冬姉ぇ、体調不良って大丈夫かな?」

 

「そうだね。もう時間だし、放課後は千冬お義姉ちゃんのお見舞いに行こう」

 

「ああ。ごめんな、壱花。放課後はカフェでデートする予定だったのに」

 

「ううん、別にいいよ一夏。千冬お義姉ちゃんも私の家族になるんだもん」

 

「ありがとな。俺も千雪義兄ぃに挨拶出来ればいいんだけど」

 

 いちゃいちゃとピンク色の空間を展開する二人。その光景を見た箒を始めとしたヒロインメンバー、総司を始めとしたヒーローメンバーががたんっと音を立てて席を立ち、彼ら彼女らの身体を覆うように光が奔流する。

 

「「え?」」

 

 それで周りの状況に気づいた主人公二人が声を漏らし、同時に光が弾け飛ぶ。彼ら彼女らは全員、ISを身にまとっていた。

 

『いぃぃぃぃぃちぃぃぃぃぃかぁぁぁぁぁ!!!』

『なぁぁぁぁぁつぅぅぅぅぅ!!!』

 

 刀、レーザーライフル、衝撃砲、パイルバンカー、プラズマ手刀、他にも武装が展開される。その矛先は壱花ではなく、一夏に向いていた。

 

「な、な、な……」

 

 約束された――

 

「なんでさぁぁぁぁぁっ!!??」

 

 ――暴力による終焉(ドツキオチ)ー!!!




 お目汚し、大変失礼いたしました。R18執筆は初挑戦です。その辺の未熟さを誤魔化すためにコメディ色やギャグチックな描写を強めてみました。そういう描写が不慣れだったからついでに練習をしたともいう。
 ぶっちゃけ、書いてみたかった。以上。あとオチの「約束された暴力による終焉(ドツキオチ)」をやらせたかった。

 ちなみに一夏×壱花をわざわざ「インフィニット・フェイトメンバーが原作世界に異世界転移しちゃった(テヘペロ」という理由を強引につけてまでやったのは
 ・この二人の絡み面白くね?
 ・さっき言ったように「約束された暴力による終焉(ドツキオチ)」をやらせたかった。
 の二つがあるんですが、最大の難点
 ・壱花ヒロインR18をやるにあたって男性役が難しい
 です。いや、順当にいけば総司なんだろうけどさ……総司を男役で書いたら絶対セシル、蓮、シャルル、ラウルも書かなきゃいけなくなるので。そんなにネタないし逆にいっぺんに済ませようと壱花逆ハーレム6Pものなんて業が深すぎるもの初っ端から書きたくねえし……。
 そういうわけで「じゃあいっそ原作主人公で彼女とは異世界の同一存在である一夏とならいいんじゃね!」と思いついたのが一夏×壱花をやらせた最大の理由です。
 あと言っちゃなんだが一夏なら原作ヒロインズがいればある程度ボコられてもオチとして通用する。

 R18は初めてなので至らぬ点もあるやもしれませんが、お許しいただければありがたいです。もし何かご意見やご指摘、ご感想があればお気軽にどうぞ。それでは。
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