「清澄高校の宮永咲選手。ここで、{西}を引いてきたぁー。倍満聴牌維持で{西}を捨てたら三家振込みで逆転負け。しかも歴史的なトビ。逆に{西}を捨てなければ聴牌を崩す。他家は逆転手を聴牌。さあ、どうなるかー!」
アナウンサーの福与恒子の声が、控室のテレビから流れてきた。
和は、
「私なら振り込んでいます。でも、咲さんなら、きっと…。」
咲が振り込まないよう、必死に祈るのだった。
咲は、手牌の右端につけた{西}を掴み、それを左端に移した。そして、
「カン!」
{⑤}を加槓した。引いてきた嶺上牌は{②}。
ここで、咲の手牌は
{西②②②④⑧⑧⑧} 明槓{⑤[⑤]横⑤[⑤]} ポン{⑥横⑥⑥}
ここから打{④}。見事に{西}の振込みを回避した。
これを見て、恒子は、
「おおっと! {西}を残して、清一タンヤオドラ2の倍満聴牌から混一対々ドラ2のハネ満に手を落としたー! 振込み回避! この信じられないディフェンス力。さすが、嶺の上の女王! 日本の守護神!」
大興奮状態だった。
衣と淡は、ふと、南三局にかかっていた靄が、いつの間にか消し飛んでいることに気が付いた。
「(これって、いつからだっけ?)」
淡が記憶をさかのぼる。
「そうだ。オーラスに入ってすぐ消えたんだ。まるで、晴れ上がった空のように…。そうか、雲の上に出た山頂は、晴れてるんだ。これが、咲の力…。」
衣も同じことを考えていた。
次巡、淡が{三}をツモ切り、穏乃が{八}をツモ切り、衣が{七}をツモ切りした。
そして、咲がツモってきた牌は{⑧}だった。これを、
「もいっこ、カン!」
暗槓した。そして、引いてきた嶺上牌は{⑥}、
「もいっこ、カン!」
加槓した。そして、次に引いてきた嶺上牌は{②}、
「もいっこ、カン!」
暗槓した。そして、嶺上の奥底に眠っていた最後の牌は………、
「ツモ!」
{西}だった。
「嶺上開花、四槓子。8000 、16000です。」
会場の特設モニターで対局室の様子を見ていた観客達は、この奇跡的な和了りに興奮し、あちこちで大声が上がった。
「まさか、まさかの四槓子。清澄高校大将宮永咲。見事、優勝を決めました!」
恒子も大興奮が続いていた。彼女の声がスピーカーをとおして会場中にこだました。
一方、解説の小鍛治健夜プロは、恒子とは対照的に落ち着いていた。
「それにしても、あの打ち回しは見事でした。龍門渕高校は清澄高校に倍満直撃するか役満ツモで優勝、阿知賀女子学院は清澄高校から三倍満以上を直取りすれば優勝、白糸台高校はダブル役満をツモるか清澄高校から直取りすれば優勝と言う状態でした。その必要条件となる手を各校すべてが聴牌し、どこが優勝してもおかしくない試合でした。」
健夜が淡々と話した。しかし、会場のみんなは興奮していて、健夜の声は、多分聞こえていなかっただろう。
「そして、宮永選手が最後に掴み取った{西}は、全員の和了り牌。しかも、それは嶺上牌の四枚目。恐らく、宮永選手にしか手に取ることができなかった牌かもしれません。」
「それにしても、四槓子って何回和了ってましたっけ、あの子。」
「宮永選手ですか?」
「そうそう。」
「公式ですとインターハイ個人戦決勝と世界大会大将戦。それから信越大会団体決勝に今回の和了りで、多分4回目だと思います。」
「すこやんは、何回和了ってるの? 四槓子。」
「四槓子は和了ったことがありません。天和もですけど…。」
清澄高校控え室では、解説とアナウンサーの会話がテレビから流れ続けていた。しかし、そこにはもう、誰もいなかった。対局室に向かったのだ。
「「「「お疲れ様でした!」」」」
最後の礼が終わり、試合は終了した。
順位及び各校点数は、最終的に以下のとおりになった。
優勝:清澄高校 181200
準優勝:龍門渕高校 110600
3位:阿知賀女子学院 97100
4位:白糸台高校 11100
「さきー!」
みなもが対局室に駆け込んできた。
その後から、胸に備え付けられた二つの巨大な果実をバインバインに揺らしながら和が駆け込んできた。
「咲さん。とても…、とても凄かったです。私には、あんな打ち回しはできません。多分、三人同時に振り込んでいました。」
これを聞いて淡が、
「えっ? それって、もしかして全員{西}待ちだったの?」
と驚いた声を上げていた。すると、衣が、
「淡が小四喜聴牌{西}単騎待ち、穏乃が国士無双{西}待ち、そして、衣が大三元{西}待ちだ。今回の対局、特にオーラスは、ビデオで一回見たほうが良いぞ。咲が面白いことを遣って退けたからな。」
と笑みを浮かべながら言った。負けても悔いは無かったし、それ以上に楽しかったのだろう。
表彰式が始まった。
「3位、阿知賀女子学院。」
部長の灼が代表してトロフィーを受け取った。インターハイでは2位だったのが、ワンランク落としての入賞となった。
阿知賀女子学院の各選手の首に銅メダルがかけられた。
穏乃達は、インターハイこそは、と改めて闘志を燃やすのだった。
「2位、龍門渕高校。」
本来であれば、部長の透華が受け取るところだが、まだ入院中であった。それで、純が代わりにトロフィーを受け取った。
「純君。今、ハギヨシから連絡が入った。透華が目を覚ましたって。」
一が、涙を流しながら言った。
「そうか。よかった。」
純も、珍しく目に涙を浮かべていた。透華の無事が、実は誰よりも嬉しかったのだ。
龍門渕高校の各選手の首に銀メダルがかけられた。補員も例外ではない。
すると、歩が、
「あのう…。これって、私が頂いてもよろしいのでしょうか?」
と申し訳なさそうな顔で純に聞いた。
「お前がいなかったら、俺達は棄権だった。お前がいたからこそ貰えたメダルだ。」
「そう言っていただけると、ありがたいです。」
歩が、流れ出る涙をぬぐった。
「優勝。清澄高校。」
部長のまこが代表してトロフィーを受け取った。夏春連覇の偉業を成し遂げたのだ。
しかし、まこは、
「(これ、わしが受け取ってよいんかのう。)」
と思っていた。
正直、自分は何もしていない。むしろ、足を引っ張っただけのようにしか思えなかった。
清澄高校の各選手の首には金メダルが輝いていた。
優希の分は、和が預かることとなった。
まこや歩と同じようなことを、補員の園田栄子も思っていた。
「これって、私が貰ってよいのでしょうか?」
すると、まこが、
「ええんじゃ。もらえるもんは、もらっとけ。この大会は、一回戦は優希と数絵、二回戦と準決勝は、みなもしか打っとらん。決勝は、わしなんか前後半合わせて30000点のマイナスじゃ。なんの役にも立っとらん。」
と言った。これが、まこの本心だろう。これを聞いて、多少は栄子の気持ちも和らいだようだ。
「続いて、各個人の賞を発表いたします。まず、区間賞。先鋒は、清澄高校、宮永みなも選手。」
みなもは、二回戦からの出場だったが、二回戦、準決勝戦と大暴れし、この二試合は先鋒戦だけで終了させた。当然だろう。
次鋒は井上純、中堅は渋谷尭深、副将は国広一が受賞した。清澄高校の面々は、数絵が一回戦と決勝戦のみ、他は決勝戦のみしかなかったため、個人の点数が伸びなかった。それで区間賞は取れなかった。
「大将は、龍門渕高校、天江衣選手。」
これも妥当なところだろう。実に、龍門渕高校のメンバーが区間賞を3つも取る偉業を成し遂げた。
「そして、最多得点賞は、清澄高校先鋒、宮永みなも選手。」
区間賞を取った選手の中で、最も獲得点数が多かった選手に与えられる。これは、文句なしであった。
「それから、優秀選手を3名発表します。先ず、一人目は龍門渕高校先鋒、龍門渕透華選手。二人目は、同じく龍門渕高校、大将の天江衣選手。そして、三人目は、清澄高校大将、宮永咲選手です。」
透華は、最多得点をあげた、みなもを唯一苦しめた選手として選ばれた。また、衣は準決勝戦まで傍若無人な戦いぶりが評価された。
そして、咲は、決勝後半戦オーラスでの四槓子と、それを和了るまでの奇跡的とも言える過程が評価された。
あの四槓子は劇的で、非常に印象深いものであったため、咲を最優秀選手にしたいとの意見もあったが、『決勝戦しか出場していないから…』と言う意見もあり、結果的に最優秀選手を逃すことになった。
「そして、最優秀選手は、清澄高校先鋒、宮永みなも選手です。」
会場から大きな拍手が上がった。
ドイツにいた頃は、勝って当たり前とされ、このような感情のこもった拍手を受けることはなかった。それゆえに、この受賞が、みなもには非常に嬉しいものになった。
団体戦1位と2位を長野県の2校が押さえ、しかも優秀賞と最優秀賞を長野県の先鋒と大将が独占した。
この時から、マスコミ界隈でも『魔境長野』の言葉が表に出るようになった。
翌日、団体戦の興奮も収まらないまま、個人戦が開始された。
個人戦は、春の大会に団体出場したチームから、8名まで出場することができた。清澄高校からは、咲、みなも、和、まこ、数絵、そして、補員の栄子の計6人が出場することになった。優希は、盲腸手術の後、出るモノも出ていたが、さすがに個人戦出場は辞退した。
全ての高校から8人出場できるとは限らないため、人数の補正が行われる。つまり、卓割れを防がなければならない。
基本的に、団体戦順位が高かった高校から出場枠を増やして補正するのだが、優勝した清澄高校は6名、準優勝校の龍門渕高校は透華、衣、純、一、智紀の5名(歩は辞退)、3位の阿知賀女子学院は穏乃、憧、初瀬、灼、玄の5名と、余剰人員はいなかった。
他の高校は、全て8名ずつの参加だった。全32校のうち、29校が8名参加、残る3校から計16名の、合計252名が個人戦に参加する。
結果的に、卓割れのない丁度よい数になった。
スイスドロー式での対局となった。
ただ、これまでの各選手の戦績をAIに読み込ませ、極力同じ高校の選手同士が当らないよう、また、強い者同士が潰しあわないように配慮がなされていた。
初日は、半荘十回戦で、上位16名が明日の決勝戦に出場することになる。
みなもは、一回戦で当然のごとく暴れた。その局は、北家での始まりだった。
東一局は、
「ツモ! 中北ドラ4。3000、6000。」
みなもの和了り。
東二局も、
「ツモ! タンピンツモ一盃口ドラ2。3000、6000。」
みなもの和了り。
東三局も、
「ツモ! 東南混一ドラ2。3000、6000。」
みなもの和了り。
そして、東四局、みなもの親番。
「メンタンピン三色ドラ2。8000オール。」
東四局二本場も、
「メンホンダブ東チャンタドラ2。8100オール!」
全員トビ終了した。みなもの相手は、箱下3100点。三人ともオカがついて、得点はマイナス33だった。
よって、みなもはプラス99を稼いだことになる。
ここでのルールは、25000点持ちの30000点返しでオカが付くが、順位点(ウマ)は付かない。そのため、40000点でトップだった場合、得点はプラス30になる。
みなもの稼いだ得点が、どれだけ異常かが分かる。
また、個人戦ではダブル役満以上は認められなかった。25000点持ちでダブル役満を認めたら運の要素が強くなりすぎるとの運営側の判断だった。
それと、もう一つ。この個人戦では、女性スタッフの進言で、ヤバそうなプレイヤーのために紙オムツが用意された。病院とかで使うものと同じだ。
みなもや咲との対局で漏らしても大丈夫なようにとの配慮だった。
ただ、その女性スタッフは、カメラマンが密かにお漏らし映像を撮っていることを知らなかった。知っていたら、多分、セクハラで訴えたことだろう。
みなもは、意気揚々と対局室を出た。
「これなら、まず一回戦全体でも1位は確実かな。」
3人トバしである。普通なら参加者252人中ダントツトップだろう。
しかし、モニターに映し出された順位表には、
「3位:宮永みなも 99点」
の文字が記されていた。
「えっ? 3位って?」
みなもが、その上の名前を見ると、
「2位:天江衣 112点」
さらに、
「1位:宮永咲 138点」
思わず、みなもは大声を上げた。
「ナニこれ?」
衣は、南家スタートで、上家にハネ満、下家に親満、対面に親満一本場を順に直撃し、その後、親倍二本場ツモ、親三倍満3本場ツモで、プラス112を叩き出していた。
一方の咲は、親の連荘で全員を0点にした後に、暗槓からの嶺上開花、四暗刻を和了った。それで、全員を箱下16300点にし、プラス138を獲得した。
咲、衣、みなもが大暴れし、全十回戦の結果、
予選1位:咲 プラス1381
予選2位:衣 プラス1118
予選3位:みなも プラス1002
予選4位:荒川憩 プラス303
3位と4位に大きな差が付く結果となった。
通常は、十局全部1位は困難で2位になる局もある。よって、予選1位でも普通は200点台になる。そういった意味では、この4位も普通ではなかった。
ただ、それ以上に普通ではない長野の魔物達が1位から3位を独占した。
ここで一つ気になるのが、咲の合計点である。全局プラス138点なら、合計は1380点のはずだ。しかし、1点多い。
これは、予選三回戦で全員トバしではなく、最後に一人の選手に役満を直撃したためであった。芝棒で1点増えたのだ。
この試合では、珍しく咲がカチンと来ていた…。
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個人戦予選三回戦を前にして、咲は、廊下でタコスを食べていた。
「(京ちゃんが作ってくれたんだけど、どんだけ数があるの? 尋常じゃないよ、この数。タコスちゃん用の優希………じゃなくて優希ちゃん用のタコスを作るために材料を買い込んでいたって言ってたけど、いくら材料を持ち帰るのが面倒だからって全部タコス化することないのに…。それに、これを食べると起家になる率が上がる気が…。私は、西家のほうが慣れていて好きなんだけどなぁ…。)」
そんなことをブツブツ言いながら対局室に咲が入ると、袖なし改造制服でヘソ出しの女性が、先に場決めの牌を引いていた。彼女は、千里山女子高校の二条泉だ。
泉は、{南}を引いていた。
「よお、宮永。この第三試合は、高1最強の泉が相手になってやる。」
「(なんなんだろう、この人…。思い出した。一回戦で優希ちゃんにボコボコにやられて、二回戦では、みなもにトバされた子だ。それで高1最強って…。なんか、ムカつく。)」
早速、泉は触れてはならないもの…、逆鱗に触れてしまった。
咲が場決めの牌を引いた。{東}だった。
広島県鹿老渡高校の補員と北海道琴似栄高校の次鋒が対局室に入ってきた。この四人で第三回戦を行った。
咲は、タコスのお陰で『枕神怜ちゃん』ならぬ『タコス神優希ちゃん』の御加護が得られていた。優希ちゃんは、大会に出たかった優希の思念集合体で、泉に誰が高1最強かを教えるべく咲についてきた。
咲の周りを優希ちゃんが回り出した。
「(ここは、早速ダブルリーチだじぇ。)」
配牌前に優希ちゃんが言った言葉だった。
たしかに配牌は聴牌していた。槓材もある。しかも{東}。これは咲と優希の合体技らしい配牌だ。
「リーチ!」
咲がダブルリーチをかけた。次巡、
「カン!」
暗槓した。槓ドラ表示牌は、{北}。これも優希らしい。そして、嶺上牌をツモると、
「ツモ! ダブリーツモ嶺上開花、ダブ東一盃口、ドラ4。12000オール。」
楽して三倍満を和了ってしまった。
東一局一本場は、
「ツモ、平和。700オールの一本付けは800オール。」
咲が平和をツモ和了りした。これを見て、
「宮永が平和?」
と泉が、ついつい心の中の声を口に出してしまった。
咲からすれば、単なる点数調整なのに、こう言われて、さらに咲の、
「(こいつ気に入らない。)」
が増した。
東二局二本場は、
「ツモ! ダブ東混老対々三暗刻三色同刻嶺上開花。12200オールです。」
これで泉達は全員0点になった。
そして、東二局三本場。
2巡目に泉が捨てた{⑨}を、
「ロン! 国士無双。48900!」
麻雀部に入りたての頃、咲は2巡目で国士無双を聴牌し、京太郎から和了り牌が出たが、それを見逃したことがあった。しかし、今回は見逃さなかった。
これで、広島県鹿老渡高校の補員と北海道琴似栄高校の次鋒はともにマイナス30、泉はマイナス79となり、咲はプラス139を叩き出したのだった。
泉は、失禁こそはしなかったものの、しばらく麻雀牌を見るのが怖くなった。
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翌日、16位までの選手が抽選を行った。
1位から4位の選手をトーナメント表のシードの位置に順におくのではなく、まず、1位から4位の選手が最初にくじを引き、それぞれAからDまでの卓に割り振られた。
次に5位から8位までの選手が順にくじを引き、AからDまでの卓に分かれた。
同じ要領で、9位から12位の選手、13位から16位の選手を、それぞれの卓に割り振った。いきなり、一つの卓に上位者が集まらないようにしたのだ。
A卓は、以下の四人
宮永咲(清澄高校1年)
多治比麻里香(白糸台高校1年)
多治比真祐子(松庵女学院2年)
鶴田姫子(新道寺女子高校2年)
B卓は、以下の四人
宮永みなも(清澄高校1年)
鷺森灼(阿知賀女子学院2年)
新子憧(阿知賀女子学院1年)
津秋優奈(鹿老渡高校2年)
C卓
荒川憩(三箇牧高校2年)
南浦数絵(清澄高校1年)
龍門渕透華(龍門渕高校2年)
高鴨穏乃(阿知賀女子学院1年)
D卓
天江衣(龍門渕高校2年)
原村和(清澄高校1年)
大星淡(白糸台高校1年)
上重漫(姫松高校2年)
団体戦の決勝戦進出校のメンバーが多かった。しかも、清澄高校4人に龍門渕高校2人と、長野勢が16名中6人を占めた。
準決勝戦は、A卓の上位2名とB卓の上位2名の計4名と、C卓の上位2名とD卓の上位2名の計4名で、それぞれ行われる。そこから共に上位2名が勝ち上り、決勝戦を行う。
また、一回戦は半荘1回だが、準決勝戦と決勝戦は半荘2回で行なわれる。
同点の場合の取決めもされていた。一回戦では100点棒まで数えて同点だった場合、席順で順位を決める。
二回戦では、25000点持ち30000点返しで、オカまで入れて100点棒を五捨六入で計算する。1000点を1として計算し、前半戦と後半戦のトータルで決めるが、同点だった場合は、後半戦の席順で決める。
決勝戦は、前半戦と後半戦のトータルで決めるところまでは準決勝戦と同じだが、同点だった場合は、同じ順位とする。つまり、1位が2人とか、2位が2人とかが有り得る。
この抽選の様子を、霧島神境の姫、神代小蒔は、ワクワクしながらテレビで見ていた。彼女の高校、永水女子高校は、インターハイの時のレギュラー3人が3年生だったため、秋季大会は大幅に戦力ダウンしていた。
その3人は、いずれも小蒔が従える6人の巫女、六女仙に属していた。
レギュラーのうち残った選手は、小蒔と1年生の滝見春だけだった。春も六女仙の1人だった。
他にも部員がいるにはいたが、さすがに九州大会を勝ち残れるだけの力がなかった。
しかし、今年は六女仙の最後の2人、十曽湧と石戸明星が入学する。小蒔は、夏の大会では鹿児島県大会を勝ち抜き、インターハイに出場するつもりでいた。