※この作品はR-18です。

みなも-Minamo-   作:おこそとのほもよろを

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第三十四局:タコス神優希ちゃん

「もしもし、赤土です。」

 晴絵がスマホに出た。

「熊倉だけど、ちょっといいかしら。」

「なんでしょう?」

 トシは、晴絵に今ある状況を説明した。そして、それは選手達には内緒にして欲しいことも併せて…。

「そんなことって…。」

「まあ、事実だからしょうがないねぇ。詳しいことを情報共有したいんでね。会場の小会議室にいるから、きてくれないかしら。」

「分かりました。」

 晴絵は、何も言わずに血相を変えて控室を飛び出していった。

 トシは、

「白糸台にも連絡を入れないといけないね。」

 今度は、白糸台高校監督の貝瀬麗香に連絡を入れた。

 

 みなもが対局室に入った時、既に白糸台の大場加奈子、阿知賀女子学院の浦木里奈子、永水女子高校の越智留美子が既に場決めの牌をめくり、卓についていた。

 加奈子…つまり小蒔のコピーが東家、里奈子…治水状態の透華が南家、留美子…照のコピーが西家だった。残りの1枚は{北}。これをみなもが引いた。

 東一局、加奈子(小蒔)の親。ドラは{⑧}。

 加奈子の配牌は、若干萬子に偏った配牌だった。別に操作したわけではない。偶々あることだ。ただ、これをチャンスと捉えた。ただし、{一}は里奈子(透華)が1枚、留美子(照)が2枚持ち、{九}は里奈子が2枚、みなもが1枚持っていた。この時点で、萬子の九連宝灯はなかった。

 加奈子は筒子、索子を序盤に切り出し、それから字牌を捨てていった。そして7巡目、

「ツモ!」

 開かれた手牌は、

 {二二三三四四五[五]六六七七八}  ツモ{八}

 大数隣だった。

 本大会ルールでは、ローカル役満である大数隣は採用されていなかった。しかし、

「メンチンツモ平和タンヤオ二盃口赤1。16000オール。」

 数え役満だった。

 

 これで各校点数は、

 暫定1位:清澄高校(北家) 152100

 暫定2位:白糸台高校(東家) 124400

 暫定3位:永水女子高校(西家) 62500

 暫定4位:阿知賀女子学院(南家) 60000

 いきなり、白糸台高校が大きく清澄高校に詰め寄った。

 

 東一局一本場。加奈子の連荘。

 今度は、里奈子(透華)が、

「ツモ。600、1000。」

 安手で和了った。

 そして、そこから里奈子の怒涛の連荘が始まった。

 東二局、「ツモ。1000オール」

 東二局一本場、「ツモ。2100オール。」

 東二局二本場、「ツモ。2800オール。」

 東二局三本場、「ツモ。2900オール。」

 東二局四本場、「ツモ。2400オール。」

 東二局五本場、「ツモ。3100オール。」

 

 これで各校点数は、

 暫定1位:清澄高校(西家) 138200

 暫定2位:白糸台高校(北家) 109100

 暫定3位:阿知賀女子学院(東家)105100

 暫定4位:永水女子高校(南家) 47600

 いきなり、阿知賀女子学院も大きくリードを縮めてきた。

 

 東二局六本場、ここになってようやく留美子(照)が動いた。

「ツモ。900、1100。」

 そして、今度は留美子の連続和了に入った。

 東三局、留美子の親番。「ツモ。2000オール。」

 東三局一本場、「ツモ。4100オール。」

 東三局二本場、「ツモ。6200オール。」

 東三局三本場、「ツモ。8300オール。」

 一気に永水女子高校が得点を挙げた。

 

 さらに高い和了を目指し、東三局四本場では、

「リーチ。」

 留美子がリーチをかけた。すると、

「ポン。」

 これを里奈子が鳴いた。そして、次の留美子のツモ番の時、留美子が捨てた牌を、

「ロン。2000の四本場は3200。」

 里奈子が和了った。

 

 これで各校点数は、

 暫定1位:清澄高校 116700

 暫定2位:永水女子高校 108100

 暫定3位:白糸台高校 87600

 暫定3位:阿知賀女子学院 87600

 永水女子高校も高得点を挙げ、中堅戦開始時と比べて、かなり場が平らになってきた。この時点で、白糸台高校と阿知賀女子学院が同着3位となった。

 

 東四局、みなもの親。

「(結構削られたな。今のところ、3人が、まともに結託して私を潰そうとしてる感じはないけど、ただ順番に和了って場を平らにしようとしてる感じがする。さて、これからどうなるかな。まあ、もう少し様子見だね。でも、ここらでちょっと和了っておかないとマズイな…。)」

 この局、みなもは、

「ツモ。平和ツモドラ2。2600オール。」

 なんとか和了り、ヤキトリを解消した。

 そして、東四局一本場。ここでも、

「ツモタンヤオ一盃口ドラ2。4100オール。」

 他の3人が攻めてくる中、みなもは、なんとか和了った。

 

 しかし、東四局二本場。里奈子の冷気が強まった。そして、

「ツモ。1500、2800。」

 里奈子に、みなもの連荘を止められた。

 

 南入した。

 南一局は加奈子の親。ここでも加奈子は、東一局の時と同じように染め手に出た。今度は筒子だ。そして、

「メンチンツモ一通赤2。12000オール。」

 親の三倍満を和了った。

 

 しかし、南一局一本場は、

「ツモ。1400、2700。」

 里奈子にタンピンツモドラ1で親を流された。そして、また、東二局の時のように、ここから里奈子の和了りが続いた。

 南二局、「ツモ。2600オール。」

 南二局一本場、「ツモ。2700オール。」

 南二局二本場、「ツモ。2800オール。」

 そして、南二局三本場、

「ツモ。2900オール。」

 この里奈子の和了りで、阿知賀女子学院が清澄高校を逆転してトップに立った。

 

 これで各校点数は、

 暫定1位:阿知賀女子学院 113800

 暫定2位:清澄高校 107800

 暫定3位:白糸台高校 102300

 暫定4位:永水女子高校 76100

 

 続く南二局四本場も、

「ツモ。3000オール。」

 里奈子が和了った。しかし、南二局五本場で、

「ツモ。1000、1500。」

 留美子が和了った。

 そして、南三局は留美子の親番。ここで、このまま連続和了に突入した。

 南三局、「ツモ。2000オール。」

 南三局一本場、「ツモ。4100オール。」

 南三局二本場、「ツモ。6100オール。」

 この留美子の和了りで、今度は永水女子高校がトップに立った。

 

 これで各校点数は、

 暫定1位:永水女子高校 113500

 暫定2位:阿知賀女子学院 109000

 暫定3位:清澄高校 91500

 暫定4位:白糸台高校 85000

 みなもが7万点以上も失点し、清澄高校が10万点を割った。

 日本中の殆どの人達が、この展開に驚かされた。予め、能力移植の話を知らされていた、ごく一部の者達を除いて…。

 

 南三局三本場は、

「ツモ。1000、1600。」

 里奈子が和了り、留美子のこれ以上の連荘を止めた。

 

 そして、オーラス。みなもの親。

「(結構派手にやられたな。でも、少しは足掻かせてもらうよ。)」

 みなもは、面前で中赤2を聴牌した。最初の和了りは何翻でも制限はないので、普段ならリーチをかけない。しかし、今回は、

「リーチ!」

 打{横北}でリーチをかけた。この時点で{北}の対子を持っている者はおらず、リーチ宣言牌を鳴かれることはなかった。

 そのまま、誰も一発消しをできずに、みなものツモに回った。治水下ゆえに、鳴きにくい部分もあったのかもしれない。そして、

「ツモ! リーチ一発ツモ中赤2。」

 みなもが裏ドラをめくった。

 これは、運の善し悪しだ。今回は、運良く雀頭が裏ドラになった。

「…裏2。倍満! 8000オール!」

 この和了りで、みなもはトップを取り返した。

 しかし、続くオーラス一本場は、加奈子の支配が強くなった。そして、

「ツモ。メンチンツモ赤1。4100、8100です。」

 索子の面前清一色をツモ和了りした。これで加奈子は、萬子、筒子、索子の面前清一色を、この半荘だけで全て和了ったことになる。

 

 これで各校点数は、

 暫定1位:清澄高校 106400

 暫定2位:阿知賀女子学院 100500

 暫定3位:永水女子高校 99800

 暫定4位:白糸台高校 93300

 清澄高校が、なんとかトップを取り返したが、全体的に点数は平たくなった。この半荘での、みなもの失点は6万点以上と、これまでに無い結果となった。

 

 前半戦の展開を見て、泉は驚いたが、それと同時に笑顔が灯っていた。

「(あの外国人の言うことは本当や。なら私も、あの外人さんに会って、強くしてもらえばいい。宮永姉妹と同じ『最強』の位置に立てる!)」

 彼女は、

「(今夜にでもなんて言ってられない。もう、いますぐ…。)」

 ロビーに出てイーヴリンに電話を入れた。

 ただ、相手は外人。ちょっと緊張する。

 相手が出た。

「ハロー!」

「も…もしもし…。」

「ああ、その声は、さっきの子ね。」

「はい。大会会場で紙をもらった二条泉です。それで、私を強くしてもらいたいと思って電話しました。」

「本当にいいのかしら?」

「はい。是非。」

「ただ、白糸台、阿知賀、永水の副将が、宮永みなもを完全に負かすかどうかは、まだ分からないわよ。見ていて、なんかイイ気になって飛ばし過ぎ。途中で息切れするかもしれないわ。」

「それは、能力を使う側の人間が、能力をきちんと使いこなしていないからです。清澄の補員みたいに巧く使えばイイだけです!」

「それは、そう…なんだけどね…。でも、あなたも飛ばし過ぎたりしないか心配があるけど…。」

「大丈夫です。きちんと使いこなして見せます。」

「分かったわ。では、これから言うところに来てくれるかしら?」

「はい。」

「でも、実際に強くするのは個人戦の後になるけど。」

「なんでです?」

 これは、肩透かしを食らった感じがした。

 今すぐじゃない。これは、泉でなくても『なんで?』って思う。それに、既に3人も強くしているのなら、今すぐにできてもおかしくはないように感じる。

「その能力移植を行える人間が、急遽、今日の昼にドイツに戻っちゃったのよ。」

「えっ…、ドイツですか?」

 泉は、これを聞いてチャンスを逃したと思った。ドイツに行く金もない。しかし、

「ええ。でも、もしあなたがその気なら、こちら持ちでドイツに来てもらってもイイわよ。ただ、その場合、こっちの都合で悪いけど、ドイツの学校に留学って形を取らせてもらうけど。」

 こう、イーヴリンに言われて、まだ運は逃げていないと泉は感じた。当然、泉はドイツに行くことを即決した。

「分かりました。」

「ただ、麻雀部の人達には、絶対に内緒にすること。監督にも友人にも。折角の決断に茶々を入れられても困るでしょ。」

「はい。」

「じゃあ、学校とか、色々と手続き関連の話をしたいし、それに、私達のところで麻雀を強くした選手の活躍するビデオも見せてあげるから…。」

 イーヴリンは、昨日、留美子達を呼んだホテルを泉に教えた。

 泉は、早速、タクシーに乗って、そのホテルに向かった。

 ちなみに、タクシー代は、イーヴリンがもってくれるらしい。太っ腹だ。ただ、この余りにも美味しい話に裏がないのか、そこまで泉は疑ってすらいなかった。それだけ、精神的に追い込まれていたのだ。

 

 控室に、みなもが戻ってきた。

「ただいま。結構やられた…。」

 そう言いながらも、みなもは笑顔を絶やさずにいた。絶望は感じていない様子だ。

「優希。済まないけど、タコスもらえる?」

「おお、いいじょ! これか!」

 優希が、みなもんタコスを渡そうとした。しかし、みなもは、

「あーーーーん。」

 開けた口を優希のほうに向けていて、タコスを受け取ろうとする気配は無かった。

「どうしたんだ、ミナちゃん?」

「優希のタコスパワーを分けてもらいたくてね。それで。」

「なんだ、そういうことか。なら、ほれ!」

 優希が、みなもの口にタコスを運んだ。

「うん。おいしい。これで結構生き返った。それと、監督。」

「なんだ?」

「つぶつぶドリアンジュースを頂戴! もってるんでしょ。」

「あるけど、試合中にいいのか?」

「別に美味しいんだからイイじゃん。それに、今回の敵には、臭い思いをさせたってバチは当たらなそうだし。」

「それもそうだな。」

 閑無が、つぶつぶドリアンジュースをみなもに渡した。みなもは、それを開けると、一気にグビグビ飲みだした。

「味は美味しいよね。ニオイはなんだけど。」

「まあな。でも、後半戦の対策はあるのか?」

「大丈夫でしょ。多分、コーチも気付いているんじゃない?」

 突然振られた感じではあったが、恭子は、ニヤッとしていた。

「多分、今のまま打てばイイ。違うか? みなも。」

「そう思う。結構、3人ともイイ気になって飛ばしすぎ。いきなり強くなれて、喜んでやり過ぎた感がある。」

「そう。3人とも、昨年春の団体戦で、龍門渕透華が倒れた時以上に顔色が悪い。後半戦の途中でガス欠を起こす。なので、永水のお…。」

 恭子は、また『おっぱいオバケ』と言いそうになった。

 ちなみに、霞と小蒔が並んでいるのだから気持ちは分かると、この時、咲は思っていた。

「ええと、永水のお2人には、対局終了とともに医務室に急行してもらうことになると思います。その辺の手配は、監督…。」

「ぬかりはない。対局終了とともに映像は司会席に切り替えられて、対局室を映さない手はずになってるって、今、慕から連絡があった。もう、ストレッチャーも準備されてるらしいぞ。」

 これを聞いて、みなもが、

「準備満タンだね!」

 と言った。当然、恭子に、

「万端だろ!」

 と言われたが…。

「じゃあ、みなも。後半戦は、たのむぞ。」

「うん。大丈夫。コーチもメゲないで応援よろしくね。」

「おお。(胸の差でメゲてるって気付いているな、あいつ…。)」

 みなもが、控室を出て行った。

 

 数分後、対局室にみなもが姿を現した。

 既に、加奈子、里奈子、留美子が既に場決めの牌をめくり、卓についていた。

 里奈子が{南}、加奈子が{西}、留美子が{北}を既に引いていた。残る牌は{東}。

 みなもは、これを見て、

「(こうくると思った。去年も、龍門渕さんにやられたからね。)」

 と心の中で呟いた。

 能力が持つ間に、さっさとみなもの親を終わらせようと言う魂胆だ。それで、{北}を引かせないと言うもの。昨年の春季大会で、治水状態の透華自身にやられたことだ。

 これくらいのことは、既に、みなもの中で予想済みだったようだ。ある意味、治水の力を与えられた里奈子に、芸がないと言ったところだ。

 みなもが卓につくと、卓上に1/6フィギュア化した優希が立っていた。みなもは、

「(なんだ、これ?)」

 と驚いた。当然だろう。

 そのミニチュア優希が宙に浮き、みなもの周りを回り出した。

「(もしかして、これ。前に咲が言ってたやつじゃ?)」

「本体が、色々とミナちゃんにはお世話になったからな。御礼に、前半戦で取られた分の回収に、ちょっと手を貸すじぇえ。」

 それは、『枕神怜ちゃん』ならぬ『タコス神優希ちゃん』だった。

 

 東一局、みなもの親。

「おお、これは捨てる牌がないじょ!」

 優希ちゃんが配牌前に言った。

「(優希のタコスパワーを借りるって、まあ、ゲン担ぎくらいのつもりだったけど…。本当に借りられるとは思わなかった…。)」

 みなもが、14枚目の牌を開いた。

「(なるほど。東風の神の力。たしかに、これは誰にも止められないよ。治水でも、照おねーちゃんの力でもね。ありがとう、優希。)」

 みなもは、配牌を、そのまま倒した。手牌は、

 {二三四④⑤⑥⑧⑧⑧22678}

 既に和了っていた。

「ツモ。天和。16000オール。」

 起家にされることを読んで、それを逆手に取るため、半分洒落で優希からタコスパワーを借りたいなどと思っていたわけだが、それがこうも巧く行くとは、しかも、ここまでとんでもない結果が出るとは、みなも自身思っていなかった。

 嬉しい誤算だ。

 ただ、みなもとしては、この和了り役はタンヤオだった。

 天和が偶然役。これは、みなもの翻数上昇の対象にはならない。

 東一局一本場、ここでも、

「ダブルリーチ!」

 優希ちゃんパワーは健在だった。そして、

「ダブルリーチ一発ツモ、平和タンヤオドラ2。8100オール。」

 親倍をツモ和了りした。これも他家には、どうにもならない。

 ダブルリーチも一発も偶然役。ここでの和了り役は、みなもとしては平和とタンヤオだけになる。

「じゃあ、私はここまでで帰るじょ。あとは、よろしくな、ミナちゃん。」

 そう言うと、優希ちゃんは壁をすり抜け、対局室の外に出て行った。

 

 東一局二本場は、

「ツモ。1500、2800。」

 透華と化した里奈子が和了った。

 ただ、里奈子は既に顔が青白く、唇は真紫になっていた。そろそろ体力の限界が来ていたようだ。それでも、気力を振り絞って里奈子は戦った。しかも、ここから、治水支配下での和了を連発した。

 東二局、「ツモ。2600オール」

 東二局一本場、「ツモ。2700オール。」

 東二局二本場、「ツモ。2800オール。」

 東二局三本場、「ツモ。2900オール。」

 東二局四本場、「ツモ。3000オール。」

 ところが、東二局五本場、里奈子が袖で壁牌を引っ掛けて派手に山を崩してしまった。

 これで里奈子はチョンボを取られた。それだけ、既に体力を消耗していた。

 

 東二局五本場は、やり直しになった。この局は、治水支配が急激に弱まった。この瞬間を見逃さず、みなもが和了った。

「ツモタンヤオドラ3。2500、4500。」

 

 東三局、加奈子の親。

 加奈子も相当苦しそうだった。しかし、気力で手牌を染め上げた。そして、

「ツモ。九連宝灯。16000オール。」

 そして、連荘。ここで加奈子は稼ぎたい。結果、東三局一本場では、

「ツモ、清一。6100オール。」

 清一色を和了った。しかし、これ以上は体力が続かなかった。

 

 東三局二本場は、

「ツモ。500、700。」

 照と化した留美子が和了った。そして、ここから連続和了に入った。

 東四局、「ツモ。1000オール」

 東四局一本場、「ツモ。2100オール。」

 東四局二本場、「ツモ。4200オール。」

 東四局三本場、「ツモ。6300オール。」

 

 そして、東四局四本場、

「リーチ。」

 留美子がリーチ宣言した。しかし、その牌で、

「ロン。1000点の四本場は2200。」

 みなもが和了って留美子の親を流した。

 

 南入した。

 南一局、みなもの親。

 他家3人の能力が、相当弱まっていることを、みなもは肌で感じ取っていた。狩りに出るチャンスだ。ここで、みなもは一気に叩き込むことにした。

 南一局、「タンピンツモドラ2。4000オール」

 南一局一本場、「タンピンツモ一盃口ドラ1。4100オール。」

 南一局二本場、「タンヤオツモ三色ドラ2。6200オール。」

 南一局三本場、「メンホンチャンタツモ。6300オール。」

 南一局四本場、「混一対々三暗刻ドラ2。8400オール。」

 

 これで各校点数は、

 暫定1位:清澄高校 228400

 暫定2位:白糸台高校 78200

 暫定3位:永水女子高校 50900

 暫定4位:阿知賀女子学院 42500

 みなもの大量得点で、清澄高校が大きくリードした。

 

 南一局五本場は、

「ツモ…。1800、3100。」

 里奈子が和了り、みなもの親を流した。そして、里奈子は四度目の治水による連続和了に賭けた。

 南二局、「2600オール」

 南二局一本場、「2700オール。」

 南二局二本場、「2800オール。」

 

 しかし、ここが限界だった。

 南二局三本場は、

「ツモ。2300、4300。」

 みなもに和了られた。

 

 南三局、加奈子の親番。

 今一度、九面の神の力を使う。そして、

「ツモ! メンチン平和赤1。8000オール。」

 親倍を和了った。

 しかし、南三局一本場で、里奈子が東場の親でやったように、山を崩してしまった。体力の限界なのだ。これは、チョンボとなった。

 加奈子が罰符を払い、南三局一本場が仕切り直しとなった。もう、里奈子も加奈子も支配力がなくなった。

 

 残るは留美子。ラス親。

 オーラスは、

「ツモ。1000オール。」

 留美子が和了った。そして、

 オーラス一本場、「2100オール。」

 オーラス二本場、「4100オール。」

 

 しかし、留美子も、ここが限界だった。

 オーラス三本場は、

「ツモ。1300、2300。」

 みなもに流された。

 

 これで各校点数は、

 暫定1位:清澄高校 228100

 暫定2位:白糸台高校 65400

 暫定3位:阿知賀女子学院 54600

 暫定4位:永水女子高校 51900

 結果的に、副将戦開始前よりも清澄高校がリードを広げる結果となった。ただ、この得点のうちの72300点は、タコス神優希ちゃんのお陰であった。

 みなもは、

「(これは、優希の得点だね。あとで、タコスを沢山おごってあげよう。)」

 と心の中で考えていた。

「「「「ありがとうございました。」」」」

 対局終了の挨拶の直後、映像は対局室から放送席に切り替えられた。

 

 対局室では、対局者4人が卓から離れた。

 対局室の外には、咲と和が、みなもを迎えに来ていた。そして、2人が対局室の扉を開けた、まさにその時だった。

 

「ゲ…ゲロゲロゲロゲロ…。」

 里奈子が血を豪快に吐いた。3人の中で、もっともキツイ能力…治水を使った反動が一気に出たのだ。そして、里奈子は、その血溜まりに、突っ伏すようにアタマから倒れこみ、動かなくなった。

 加奈子も留美子も、まるで全身の力が抜けたように、その場に倒れこむと、死んだように動かなくなった。

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