※この作品はR-18です。

みなも-Minamo-   作:おこそとのほもよろを

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第三十六局:四連覇

 大将後半戦が始まった。

 東一局、湧の親。

 今回も淡の絶対安全圏が発動していた。

 淡以外は、手が聴牌形になるまで、最短でも五~六巡はかかる。実際に聴牌するのは、鬼ヅモでもしない限り、中盤になるのが普通だろう。

 なんとか、湧の手牌が形になってきた。そして捨てた{2}を、

「ロン。5200。」

 淡に和了られた。またしても湧の振り込みだ。

 ただ、この時、咲は湧のほうをじっと見詰めていた。湧が、なにか、とんでもないことをしでかす予感がしていたのだ。

 

 東二局、淡の親。

 サイの目は8。最後の角が最も深い位置にあるパターン。

 淡は、配牌聴牌だった。しかし、ダブルリーチはかけなかった。ダブルリーチ槓裏4を狙うには、状況が悪い。海底牌か、その一つ前の牌でないと和了れないとなると、東場の穏乃はともかく、咲が何をしでかすか分からない。

 一先ず、淡は手を伸ばしてゆく方針にした。

「ポン!」

 淡が捨てた{中}を、湧が鳴いた。そして、次巡、

「ポン!」

 またしても淡が捨てた{1}を湧が鳴いた。

 この形から連想されるローカル役満は…、紅孔雀!

 湧が不要な{⑧}を捨てた。基本的に{1579中}以外は不要だ。

 すると、この{⑧}を、

「カン!」

 咲が大明槓した。そして、

「もいっこ、カン!」

 {⑥}を暗槓、さらに、

「もいっこ、カン!」

 {三}を暗槓した。そして、当然のように、

「ツモ。嶺上開花タンヤオ対々三暗刻三槓子。4000、8000。」

 嶺上牌で和了った。春季大会では責任払いは適用されず、これはツモ和了りとなった。

 湧は、その特性上、古役の役満やローカル役満を狙うことになるが、その不要牌を咲に狙われた感じだ。

 これで、淡の親は流された。

 稼ぎたかった親番。しかも、親被りで8000点の支払い。自分が槓させたわけでもないのに…。

 これは、淡には納得のできない支払いだった。当然だろう。

 

 東三局、咲の親。

 ここにきて、湧から不吉な空気が放たれた。

 その捨て牌から、湧の手が筒子に染めているのが分かる。筒子の混一色か清一色を狙っているのは間違いないだろう。

 

 湧の配牌は、

 {二五八①⑥⑧369東南西北}

 

 ここから、8巡で、

 {①①①⑤⑥⑥⑧⑧南南南北北}

 

 とんでもない鬼ヅモだった。

 そして9巡目に湧がツモったのは、{北}。

 これを控室のテレビモニターで見た恭子が、

「南北戦争か!」

 と声を上げた。

 

 今回の形は、並べ替えると

 {①⑧⑥①①⑧⑥⑤南南南北北}  ツモ{北}

 

 アメリカの役満、南北戦争になる。しかし、本大会では認められていない和了りだ。

 ここで、湧は{⑤}を切った。そして、次巡、

「ツモ! 四暗刻!」

 湧が{⑧}をツモった。これで、ツモり四暗刻になったのだ。

「8000、16000!」

 一気に、湧が2位に浮上した。

 ただ、これを見て閑無は、

「(咲のやつ。これを予測してたな。それで、前の局で、しっかり支払い分16000点を用意しやがった。)」

 と思っていた。

 恭子も、だいたい閑無と同じようなことを考えていた。本当に咲は化物だと…。

 

 東四局、穏乃の親番。

 そろそろ、穏乃のスイッチが入り、湧と淡の視界が徐々に悪くなってゆく。

 この局では、湧は萬子に染めていた。萬子の混一色か清一色か、そんなところだろう。

 そして、切り出した{3}を、

「ロン。タンヤオ一盃口ドラ1。7700。」

 穏乃に和了られた。東二局で咲にやられた大明槓と同じで、甘い捨て牌が穏乃に狙われたのだ。これで、穏乃が2位に浮上、湧は4位に後退した。

 ただ、この状態でも、明星は湧にテレパシーを送って相手の和了り形を教えるとかは、しなかった。小蒔からズルをしないように言われていたからだ。

 

 この時、湧の手牌は、

 {一二三四五六七八東東東北北}

 

 聴牌していた。

 しかも、{九}で和了れば東北新幹線と呼ばれるローカル役満だった。

 

 東四局一本場。

 今度は、湧は筒子に染めていた。今度の狙いはローカル役満、東北自動車道。しかし、湧が{一}を切った時、

「カン!」

 咲が大明槓した。そして、

「もいっこ、カン!」

 連続で、今度は{二}を暗槓した。

「ツモ。嶺上開花ドラドラ。60符3翻の一本場は、2100、4000。」

 そのまま咲が嶺上開花で和了った。森林限界を超えたところに咲き誇る花には、穏乃が出す靄は関係なかった。

 

 南入した。

 南一局、湧の親。

 ここでは、淡が配牌一向聴。そして、数巡後に、

「カン!」

 淡が{中}を暗槓した。

 

 現在の淡の手牌は、

 {[五]七1234[5]789}  暗槓{裏中中裏}  嶺上牌{五}

 

 どこかで見た形だ。

 そう。それは、忘れもしない。2年前のインターハイ準決勝戦オーラスの形だ。

「(ここにきて、これか…。神様って結構意地悪だね。)」

 淡は、{横七}を横に曲げて捨てた。

「リーチ!」

 すると、

「チー。」

 咲が鳴いた。それも、ポンではなくチーだ。

 そして、打{9}。

 穏乃、湧はツモ切り。そして、淡のツモ番。

「ツモ。リーチ中一通…。」

 淡が裏ドラ、槓裏ドラの表示牌をめくった。しかし、裏ドラも槓裏ドラも、一枚も乗っていなかった。

「(やっぱりね。)」

 ただ、こうなることを淡は予想していた。これが、深山幽谷の化身、穏乃の支配によるものだから…。

「3000、6000。」

 淡は、落ち着いた表情で点数申告した。

 ただ、湧としては最後の親を流され、もはや三倍役満とか四倍役満を和了ること以外に優勝の道は閉ざされた。もはや、永水女子高校の優勝は非現実的と言ってよい。

 

 南二局、淡の親番。

 淡としては、ここで、連荘で稼ぎたいのは当たり前のこと。

 穏乃の山支配で、配牌で聴牌をさせてもらえなくなったが、一応、一向聴の形にはさせてもらえた。

 

 淡の配牌は

 {二四六⑧⑧⑧345678北白}

 ここから打{北}。

 

 次巡、ツモ{9}、打{白}。

 ここから2巡、ツモ切りが続いたが、その翌巡、淡は{[五]}をツモった。

 

 淡の手牌は、

 {二四[五]六⑧⑧⑧3456789}

 

 一旦、打{9}でタンヤオドラ1の聴牌に取った。しかし、

「ロン。7700。」

 {369}待ちの平和手で穏乃に和了られた。

 これで淡も最後の親を流され、三倍役満とか四倍役満を和了ること以外に優勝の道は閉ざされた。永水女子高校に続き、白糸台高校の優勝も非現実的となった。

 

 南三局、咲の親。

 役満を超える手を要求される湧や淡とは違って、穏乃にはオーラスの親が残っている。ここで、湧や淡に変な動きをされないことも穏乃にとっては重要だった。

 

 淡は、もう優勝できるとは思っていなかった。しかし、宮永照の後継者と呼ばれる意地がある。せめて一太刀浴びせたい。

 

 配牌は、

 {一四七258東東南北北中中}

 

 ここから、無謀とも思えるが、淡は字牌集めに出た。そして、それが功を奏したのか、8巡後、

 {一九東東南南西北北北中中中}

 

 とんでもない手に成長していた。まさに、淡の意地が生んだ手だった。

 ただ、淡は憧のような狡猾さはないし、結構感情が表に出やすい。いい手が出来上がってきているのが、思い切り顔に出ていた。

 これを察して咲は、穏乃に差し込んだ。

「ロン。1300。」

 がっくりきた淡。

 まだ希望に燃える穏乃。

 非常に対照的な2人だった。

 

 しかし、オーラスオブオーラス、穏乃の親。

 この穏乃の希望は、プラスマイナスゼロと言う、咲の最強の守備力から発される強制力によって打ち砕かれた。

「ツモ。300、500です。」

 咲のゴミツモで、試合は終了した。

 

 各校点数と順位は、

 1位:清澄高校 238100

 2位:阿知賀女子学院 61300

 3位:白糸台高校 57700

 4位:永水女子高校 43200

 獲得素点は、高い順に湧が+6700点、咲が+5000点、穏乃が-2800点、淡が-8900点となった。咲は、25000点持ち30000万点返しで考えた時に、前半戦と同様に完璧なプラスマイナスゼロを達成した。

 また、大将戦前後半戦のトータルでの獲得素点は、咲が+10000点、穏乃が+6700点、淡が-8000。湧が-8700点と、ちゃっかり咲が一番になっていた。

 

 憧は、この点数の意味に気が付いていた。

「(チャンピオン。またプラマイゼロやってる。それも完璧なの二連続。和に怒られるからやらないって聞いていたのに、なんで?)」

 さすがの憧も、咲の精神状況までは分からない。ただ、迂闊に話すと穏乃を傷つけるかもしれない。このことは、黙っておくことにした。

 

「試合終了! 清澄高校が、夏春夏春の四連覇を決めたぁー!」

 アナウンサー福与恒子の声が大会会場の観客席にこだました。

 

「「「「ありがとうございました。」」」」

 終了の一礼がされ、表彰式に移ろうとしたその時、

「お…お…お…おトイレいってきます。」

 咲が会場から飛び出していった。その最強のライバルの後姿を見詰めながら淡は、

「(本当に、卓から離れると貫禄もなにも無いんだから…。)」

 と呟いた。

 ちなみに、本大会での優秀選手はみなも、優秀選手には明星、穏乃、淡の名があった。穏乃と淡は、準決勝戦までの戦いが評価された。

 また、天和を出した優希とみなもには、特別賞が与えられた。

 咲は、決勝戦しか出ていないため、今回も賞の対象にされなかった。ただ、秋季県大会では最多得点賞と最優秀選手に輝いていたが…。

 もっとも、あの虐殺で、最優秀選手とかは全く関係ないことを咲は世間に知らしめていた。誰がどんな賞を取ろうと、今の高校生では宮永咲に敵う者はいないと…。

 

 この頃、霧島神境では、加奈子、里奈子、留美子が一糸纏わぬ姿で、まるでテーブルのような形をした大きな石の台の上に寝かせられていた。

 そして、その周りを小蒔、霞、巴、春の4人が、取り囲んでいた。ただ、こちらも生まれたままの姿だった。

 善からぬ者を払う儀式には、どうやら、この姿が一番良いらしい。これは、霞が降ろした邪神を払う時もそうだった。

 加奈子、里奈子、留美子に植え付けられた能力は、まるで生き物のように、3人の生体エネルギーを貪り喰っていた。

 小蒔の身体に九面の神が降りてきた。これは本物である。

 偽者…つまり、加奈子に取り憑いた神のコピーは、あくまでも人間界で打つ麻雀を破綻させない程度に、力を制御した姿を反映したものであった。いわば、劣化コピーである。

 しかし、今、ここに降りてきた本物の神から放たれる強大なエネルギーを前にすると、歴然とした力の差を思い知ってか、突如逃げ出すように加奈子の身体から抜け出した。

 いや、むしろ、弾き飛ばされたと言ったほうが正しいかもしれない。

 そして、そのまま鬼門の方角に向けて猛スピードで飛んでいった。

 里奈子の身体に取り憑いた治水のコピーと、留美子の体に取り憑いた連続和了のコピーも、神の劣化コピーの後を追うように2人の身体から抜け出した。

 

 同じ頃、マホはネズミの国のパレードを見ていた。

 既に日は落ち、電飾がきらびやかで美しい。まさに夢の国である。

「マホ。ここに来れて、本当に嬉しいですぅ。」

 自分が能力のコピーを貸与した人間達が、どうなっているかなんて、これっぽっちも興味がない。自分の欲が最優先だった。

 完全に、マホは人格まで変わってしまった。

 ここに、強烈な3本の光の線が、南西の方角から猛スピードで飛んできた。

 丁度、それらがマホの上空に来た時、

「「「パン!」」」

 爆竹が破裂したような音を出し、空中で四散した。そして、それらは細かな光の粒子となり、マホの身体の中に吸い寄せられていった。

 ただ、周りの人達は、これをアトラクションの一部と勘違いした。

 これらは、加奈子、里奈子、留美子から抜け出した能力のコピーであった。

 能力のコピーが、マホの体内に戻っていった。

「ふーん。」

 マホは、体内で能力のコピーから発されるエネルギーが、想定よりも少ないことを感じ取っていた。そして、

「残念ですぅ。3人の生体エネルギーを全部は喰い尽くせなかったみたいですね。邪魔が入っちゃったのかな?」

 と、あっけらかんとした顔で言った。

 マホは、能力貸与の引き換えに、最初から加奈子、里奈子、留美子の生命エネルギーの全てを吸い取るつもりでいたようだった。

 

 その日の深夜、里奈子と加奈子はテレポーテーションで監督の元に帰された。

 2人とも、激怒されるものと思っていたが、それよりも、晴絵も麗香も教え子が無事であることを喜んだ。少しは説教を喰らったが…。

 一方、留美子は、小蒔に激しい説教を食らった。巫女として問題行動だ。これで留美子は、修行のやり直しとして、永水女子高校の在籍期間が半年間延長された。

 

 

 翌日、個人戦予選が行われた。

 春季大会団体戦出場の32校より、最大8名が参加できる。ただし、留学生の参加は認められていなかった。

 清澄高校からは、みなも、咲、和、優希、数絵、栄子、ムロに、さらにムロの同級生の子が1名の計8名の出場となった。一応、数絵は、参加できるくらいには復活した。

 スイスドロー式で全十半荘の対局が行われ、その上位16名が明日の決勝トーナメントに進出する。

 みなも、咲、和の3人は、昨日の惨劇の記憶がまだ残っており、少し調子を落としていたが、それでも上位をキープした。

 一応、里奈子、加奈子、留美子も参加したが、成績は散々たるものだった。まあ、仕方がないだろう。

 この日は、加々美も戻ってきていた。みなもは、加々美に声をかけて連絡先をゲットした。咲よりも、みなものほうが積極的である。

 

 全十回戦の結果、予選順位は以下の通りになった。

 1位:大星淡

 2位:石戸明星

 3位:宮永みなも

 4位:宮永咲

 5位:高鴨穏乃

 6位:佐々野みかん

 7位:東横桃子

 8位:原村和

 9位:南浦数絵

 10位:片岡優希

 11位:新子憧

 12位:園田栄子

 13位:多治比麻里香

 14位:十曽湧

 15位:小走ゆい

 16位:二条泉

 

 泉は、待望のベスト16に入れた。

 惜しくも16位以内に入れなかった選手達として、17位寺崎弥生(射水総合高校)、18位宇野沢美由紀(白糸台高校)、19位森垣友香(劔谷高校)、20位春日井真澄(粕渕高校)の名前があった。

 他に、全国的には真屋由暉子も有名だが、彼女の所属する有珠山高校が秋季大会を勝ち抜けなかったため、残念ながら、本個人戦には出場できなかった。

 

 翌日、16位までの選手が抽選を行った。

 1位から4位の選手をトーナメント表のシードの位置に順におくのではなく、1位から4位の選手が最初にくじを引き、それぞれAからDまでの卓に割り振られた。

 次に5位から8位までの選手が順にくじを引き、AからDまでの卓に、同じ要領で、9位から12位の選手、13位から16位の選手を、それぞれの卓に割り振った。

 これにより、いきなり、一つの卓に上位者が集まらないようにしたのだ。

 

 A卓は、以下の4人

 宮永咲(清澄高校2年)

 佐々野みかん(白糸台高校2年)

 片岡優希(清澄高校2年)

 多治比麻里香(白糸台高校2年)

 

 B卓は、以下の4人

 宮永みなも(清澄高校2年)

 東横桃子(臨海女子高校2年)

 園田栄子(清澄高校2年)

 二条泉(千里山女子高校2年)

 

 C卓は、以下の4人

 大星淡(白糸台高校2年)

 原村和(清澄高校2年)

 新子憧(阿知賀女子学院2年)

 十曽湧(永水女子高校1年)

 

 D卓は、以下の4人

 石戸明星(永水女子高校1年)

 高鴨穏乃(阿知賀女子学院2年)

 南浦数絵(清澄高校2年)

 小走ゆい(阿知賀女子学院1年)

 

 やはり、昨年同様、団体戦の決勝戦進出校のメンバーが多かった。しかも、清澄高校からは、2年生6人全員が本戦出場となった。

 

 A卓は、まさに因縁の対決だった。

 清澄高校2名vs白糸台高校2名と言うこともあるが、やはり、それ以上に一昨年のインターハイ個人戦で佐々野いちご(鹿老渡高校:みかんの姉)、多治比真祐子(松庵女学院:麻里香の姉)、椿野美幸(劔谷高校)が咲を相手に失禁した事件のほうが、当事者達にとっては大きかった。

 しかも、麻里香は真祐子と共に、昨年の春季大会個人戦で咲を相手に失禁していたし、昨年インターハイ個人戦でも真祐子は咲を相手にやらかしていた。

 個人的な因縁が、大会を重ねる毎に大きくなっているようだ。

 

 場決めがされた。

 起家は優希、南家はみかん、西家は咲、北家は麻里香になった。

 みかんと麻里香は、

「「(宮永咲…。殺す!)」」

 と心の中で叫びながら咲を睨んでいた。

 一方の咲は、

「(この2人、なんで私のこと、睨んでるんだろう。睨みたいのは、むしろこっちのほうだよ。2人とも綺麗で羨ましい…。絶対に、子供の頃から異性に不自由しなかったタイプだよね。これは、麻雀を楽しませるべきだね。うん。)」

 魔物スイッチが入った。

 運営側からは、みかんと麻里香には、紙オムツの着用を進められていたが、2人は、これを断った。やはり、この年でオムツは嫌だし、それ以前に、オムツ着用は、最初から咲に負けを認めるようなものとしか思えなかった。

 

 東一局、優希の親。

 3巡目でいきなり、

「リーチだじぇい!」

 優希のリーチがかかった。さすが東風の神。そして

「一発ツモ! メンタンピン一発ツモ一盃口ドラ2。8000オールだじぇい!」

 いきなり、親倍をツモ和了りした。

 咲は、

「(これで、優希ちゃんの貯金ができたね。じゃあ、これからが本番だね。)」

 と心の中で呟いていた。

 

 東一局一本場。

 ここは、咲が、

「ロン。7700の一本場は8000。」

 みかんから平和タンヤオドラ2を和了った。

 

 東二局、みかんの親。

 みかんとしては、ここで奪われた分を取り返したいところ。しかし、

「ロン。平和三色ドラドラ。8000です。」

 咲が、また平和手を、今度は麻里香から和了った。

 

 そして、東三局、咲の親番。

 みかんの捨てた{①}を、

「カン! 嶺上開花ドラ1。1300オール。」

 大明槓して、そのまま和了った。ただし、ここでは、責任払いではなく、ツモ和了りとして扱われることになる。

 

 東三局一本場。

 今度は麻里香が捨てた{發}を、

「カン! 嶺上開花發。1400オール。」

 これも、大明槓して、そのまま和了った。

 

 東三局二本場も、

「カン! 嶺上開花ツモ。1500オール。」

 今度は暗槓でツモ和了りし、東三局三本場も

「カン! 嶺上開花ツモ。1600オール。」

 咲は、嶺上開花を見せ付けるように和了った。

 

 東三局四本場、ここでは、

「カン!」

 みかんの捨てた{九}を大明槓し、

「ツモ! 嶺上開花赤1。1700オール。」

 平然と、咲は嶺上開花で和了った。

 この段階で、みかんと麻里香の点棒は、残り1500点になった。

 

 東三局五本場。

 咲は、みかんが捨てた{中}を、

「カン!」

「ひっ!」

 大明槓した。咲が発声する『カン』で、みかんは震え上がった。

 そして、次巡。今度は、麻里香が捨てた{東}を、

「カン!」

「ひっ!」

 咲は大明槓した。咲が発声する『カン』で、麻里香も震え上がった。

 もはや、条件反射的に『カン』の発声に反応してしまう。

「もいっこ、カン!」

 そのまま連続で、咲は、今度は、{白}を暗槓した。そして、嶺上牌を引き、

「ツモ。ダブ東混一混老対々三槓子小三元嶺上開花。16500オールです。」

 これで、みかんと麻里香のトビで終了となった。

 テレビの映像が、急いで対局室から放送席に切り替えられた。これは、いつものお約束である。

 

 恐怖の対局が終わった。

 優希は、別に慣れっこだったし、いつもの調子で、

「咲ちゃん、強すぎだじぇい!」

 と言っていた。

 この時、咲は、

「(五本場で、1000オールの五本付けを和了っといたほうが良かったかな。)」

 などと考えていた。

 

 一方、みかんと麻里香は、敵討ちとか仕返しはできなかったが、やっと、最強の魔物との対局から解放された。

 それで、ホッとしたのも、つかの間、

「「チョロチョロチョロ…。」」

 2人の括約筋が緩み出し、

「「ジョー………。」」

 ダムが決壊し、放流が行われた。もう、途中では止められない。最後まで出し切るしかなかった。

 聖水により形成される黄金色の2つの泉。

 やってしまった。

 喜んで隠し撮りする男性テレビカメラスタッフ達。きっと、これらの映像は高額で裏取引されるのだろう。彼らにとって、この対決は、夢の対決であった。

 これで、さらに咲との因縁が深まるのであった。




善からぬ者を払う儀式のところで、
『みんなでくり出した儀式』⇒『みんなでクリ…出した儀式』
のくだりを入れようと思いましたが、やめました。
R-18ですので、入れること自体はOKと思いますが…。「儀式をくり出す」は、さすがに抵抗がありましたので。
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