※この作品はR-18です。

みなも-Minamo-   作:おこそとのほもよろを

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第四十六局:明星vs霞のコピー

 穏乃が控室に戻ると、和が満足そうな表情をしていた。

 その横で、咲は意識が飛んでぐったりしており、淡は、頭を抱えていた。

「何があったの?」

 この穏乃の問いに、

「何でもありません。」

 と和が答えた。

「それより、穏乃。とてもよい試合でした。」

 しかし、この和の台詞に、みなもも明星も真尋も蒔乃も、

「「「「(お前、全然試合見てなかっただろうが!)」」」」

 と思っていた。

 この日、和は試合には出られなかったが、人生最良の日であったことは、言うまでもない。逆に咲にとっては厄日であった。

 

「じゃあ、次は明星。頼んだぞ。」

 そう言いながら、恭子は明星にタコスを渡した。

「私もですか?」

「神代から、そう言われている。」

「分かりました。姫様も、何か予知されているのでしょう。」

 そう言うと、明星はタコスを口にした。そして、それ食べ終えると、テレポーテーションせずに、控室を出て対局室に向かって歩き出した。

 

 明星が対局室に入ると、卓上に優希の姿をした小人を見つけた。

 タコス神優希ちゃんだった。

「来たな。でも、私の能力とお前の能力では、毛色が違い過ぎるじぇい。相手にお前の能力の進化形と誤解させるのには無理がありそうだじょ。」

 今回、タコス神優希ちゃんは乗り気じゃなさそうだ。

「でも、安心するじぇ。私の代わりに大天使咲ちゃんが力を貸してくれるじょ。」

「大天使咲ちゃん?」

「お前の胸のところにいるじぇい!」

 淡の時と同様に、

「くそ。このやろ。年下のくせに、何よ、この大きい果実は!」

 大天使咲ちゃんは、宙に浮きながら明星の胸を何回も蹴飛ばしていた。

「ちょっと何気に痛いんだけど。」

「だって、不公平じゃない。どうして、こんなに大きいのよ。」

「神代家も石戸家も全員大きいから、遺伝じゃないかしら。でも、少しだけなら神様の力で大きくできるかも。」

「本当! じゃあ、思い切り力を貸すから、私の本体の胸を少しだけでも大きくして!」

「分かったわ。でも、足を舐めるとか、そういうのは無しにしてくださいね。」

「あれは、私も失敗したと思ったよ。まさか、和ちゃんがドサクサ紛れにあんなことしてくるとは…。」

「じゃあ、絶対にできるかどうかは分からないけど、この大会が終わったら、一応神様に頼んでみる。」

「お願いね。」

 契約成立。これで、大天使咲ちゃんが明星のバックアップをすることになった。

 

 ローザ、アメリカ副将、中国副将が対局室に入ってきた。

 場決めがされ、起家はアメリカ副将、南家は中国副将、明星が西家、ローザが北家に決まった。

 大天使咲ちゃんが、

「石戸霞さんと明星ちゃんって、どっちが強いの?」

 と聞いた。

「大体、霞姉さんが勝率六割ってところだと思います。」

「少し負け越しか。」

「はい。」

「もう日本の優勝は決まったけど、多分、2位狙いでローザは飛ばしてくると思う。ドイツチームは先鋒で4位、次鋒で3位、中堅で2位。トータルでは482600点で現在3位。トータル2位の中国が504300点だから…。」

「そうですね。中国をトータル点で抜くか、もしくは副将戦で1位を取りに行く。そうなると、守りの麻雀ってわけには行かないですね。」

「ところで、霞さんの絶一門の時、霞さんが集めている色の19牌を明星ちゃんはツモれるの?」

「はい。19牌だけは取り合いになります。」

「じゃあ、なんとかなるかな。それじゃ、最初の二局は能力を使わないで普通の麻雀をしてくれるかな。」

「分かりました。親の東三局が勝負ですね。」

「そう言うこと。じゃあ、私は、それまで観戦っと。」

 そう言うと、大天使咲ちゃんは明星の後ろに飛んでいった。

 

 東一局、アメリカ副将の親。

 明星の配牌は筒子、索子、字牌からなり、萬子が無かった。

 恐らく、ローザは能力を最初から使っているはず。だとすると、ローザの手牌は萬子と字牌のみ。

 この読みどおり、ローザの捨て牌は、字牌から切り出され、途中から萬子のみになっていた。ツモ牌は基本萬子で、まれに字牌が来る程度。そして、9巡目で、

「ツモ。清一ツモ赤1。4000、8000。」

 予想はしていたが、ローザのいきなりの倍満ツモ。

 爆発力の高い、恐ろしい能力だ。

 

 東二局、中国副将の親。

 今度は、明星の配牌は萬子、筒子、字牌からなり、索子が無かった。だとすると、ローザの手牌は索子と字牌のみ。

 やはり、ローザの捨て牌は、字牌から切り出され、4巡目から索子になっていた。7巡目は字牌のツモ切り。そして、8巡目で、

「ツモ。清一ツモ赤2。4000、8000。」

 またもや倍満ツモ。

 これで、ローザと明星の点差は40000点に広がった。

 

 東三局、明星の親番。

 ここで明星は、今まで抑えていた能力を解放した。

 ローザの捨て牌は、またもや字牌から切り出され、途中から筒子のみになっていた。当然、筒子で染めている。

 ただ、明星は、{⑨}を、序盤で1枚だけツモることができた。

 全ての牌が透けて見えている大天使咲ちゃんの指示で、明星は狙う手を決めた。そして、8巡目、明星は聴牌した。

 

 この時の明星の手牌は、

 {一九⑨199東南西北白發中}

 国士無双{①}待ち。

 

 そして、9巡目、筒子染めのローザが、

「カン!」

 {①}を暗槓した。

 ローザからすれば、いくら国士無双を狙ったところで、他家は、{①}と{⑨}を手に入れられないはず。ならば、一向聴牌までしか行かないことになる。

 ゆえに、{①}暗槓は問題無いはずだった。しかし、

「ロン。国士無双。48000!」

 唯一、暗槓槍槓での和了りが認められた手。国士無双が炸裂した。

 これで明星がトップに、ローザは一気に最下位に転落した。

「(どうして{⑨}を持ってるの? この子、何者?)」

 ローザにとって、絶一門が効かない相手は初めてだった。

 一応、明星のことはマークしておいた方が良いだろう。

 

 東三局一本場、明星の連荘。

 連続して、明星の配牌は、萬子、索子、字牌からなり、筒子が無かった。よって、ローザの狙いは筒子の混一色もしくは清一色。

 この局では、

「リーチ!」

 絶一門状態のローザにしては珍しくリーチをかけた。そして、

「ツモ! リーヅモメンチン一盃口赤2。6100、12100!」

 基本的に絶一門状態ならばツモ和了ができる。それならば、一盃口と赤ドラ2枚を持つこの手はリーチをかければ三倍満のツモ和了りになるはず。それで、ローザはリーチをかけたのだ。

 赤ドラが2枚ある筒子の絶一門ならではの攻撃と言える。

 これで、ローザは2位に浮上した。

 

 東四局、ローザの親。

 ここでローザの集める牌は萬子。偶々かも知れないが、ローザからは、明星の攻めどころとなる{一}と{九}が出てこなかった。そして、

「ツモ! メンチンツモ赤1。8000オール!」

 親倍ツモ。これでローザがトップに返り咲いた。

 

 東四局一本場、ローザの連荘。ドラは{八}。

 明星の配牌は、

 {一二六4578東南北中中白}

 

 恐らく、ローザが集めるのは筒子。

 明星の第一ツモは{9}。ここから打{4}。いきなり国士無双狙いのような切り出し。

 しかし、狙いは国士無双ではない。大天使咲ちゃんの指示で、明星は、

「ポン!」

 アメリカ副将が捨てた{中}を2巡目に一鳴きした。打{5}。そして、次巡、

「カン!」

 明星は、{中}を加槓した。そして、引いてきた嶺上牌は{東}。これで{東}が対子になった。

 

 この時の明星の手牌は、

 {一二六789東東南北白}  明槓{中中横中中}

 

 ここから打{六}。

 次のツモは{⑨}。ローザと取り合いになる牌。これは、確保する。そして、打{南}。

 この直後、ローザは{東}を捨てた。これを大天使咲ちゃんの指示で、

「ポン!」

 明星は鳴いた。そして、打{白}。

 

 序盤だが、これだけ鳴けば他家も警戒する。次巡でアメリカ副将が捨てたのは、先に明星が捨てた牌の筋牌である{三}。

 これを、

「チー!」

 明星は鳴いた。打{北}で聴牌。{⑨}単騎待ち。

 索子からの切り出しで、ローザが筒子を押さえている。

 ならば、ローザの立場で考えれば、明星の狙いは萬子の混一色になる。

 ローザは、普通に自分の手を進めるため、{⑨}を切った。しかし、これを、

「ロン! 東中チャンタ。50符3翻の一本場は6700。」

 明星に和了られた。

 これで、明星が再び1000点差で逆転し、トップに立った。

 

 南入した。

 南一局。親は再びアメリカ副将。

 アメリカ副将と中国副将は、いまだヤキトリ状態で焦っていた。

 一方のローザも、明星相手に、ここまで苦戦するとは想定外だった。次は和了ると自然と気合いが入る。そして、

「ツモ! メンチンツモ赤1。4000、8000!」

 ローザが和了った。

 萬子の面前清一色だった。

 

 南二局。

 ここでも、

「ツモ! メンチンツモ赤2。4000、8000!」

 ローザが和了った。

 今度は筒子の面前清一色だった。

 

 そして、南三局。明星の親番。

 現在の点数と順位は、

 暫定1位:ローザ 157600

 暫定2位:明星 118600

 暫定3位:中国 61900

 暫定3位:アメリカ 61900

 

 この局、ローザは索子で染めていた。

 一方の明星は、

「ポン!」

 序盤から{①}を鳴き、次巡、

「ポン!」

 {九}を鳴いた。

 

 中盤に入り、ローザの手牌は、

 {111222445[5]679}

 

 ここに{4}をツモってきた。

 {9}を切れば{458}の変則三面聴。しかも、リーチツモならば三倍満になる。

 当然、ローザは、

「リーチ!」

 {9}切りでリーチをかけた。しかし、

「ロン。」

 またもや、自分にしか来ないはずの索子で明星に和了られた。これで三度目だ。

 

 明星が開いた手牌は、

 {一一一⑨⑨⑨9}  ポン{九横九九}  ポン{横①①①}  ロン{9}

 

 清老頭だ。

「48000!」

 まさかの和了り。大逆転。

 これで、再び明星がトップに立った。

 ローザは、放心状態になったが、両手で両頬を強く叩き、

「(まだ親番がある。絶対にまくってやる!)」

 気合を入れた。

 

 南三局一本場。明星の連荘。

 ローザは、再び萬子で染める。

 大天使咲ちゃんのバックアップがあるとは言え、明星も毎回、ローザの染める牌で待てる形になるわけではない。

 それに、一色しか来ないことが決まっているローザのほうが、どうしても平均聴牌速度では勝る。

「ツモ! 4000、8000!」

 この局は、ローザの倍満ツモとなった。

 

 オーラス。ローザの親。

 現在の点数と順位は、

 暫定1位:明星 158500

 暫定2位:ローザ 125900

 暫定3位:中国 57800

 暫定3位:アメリカ 57800

 これまでの和了は、全てローザのツモ和了りか、ローザが明星に放銃するか、このいずれかであった。

 中国副将とアメリカ副将は、いまだヤキトリ。

 この局、ローザは索子で染めていた。そして、

「ツモ! 8000オール!」

 ローザの親倍ツモが決まった。

 

 これで、現在の点数と順位は、

 暫定1位:明星 150500

 暫定2位:ローザ 149900

 暫定3位:中国 49800

 暫定3位:アメリカ 49800

 ローザが、明星にあと600点のところまで迫ってきた。次にローザが和了れば、大逆転は間違いない。当然、

「一本場!」

 ローザは連荘を宣言した。

 

 オーラス一本場。

 この局、明星の配牌は、

 {一二四六2378東南南白中}

 

 明星の第一ツモは{東}。大天使咲ちゃんの指示で、打{四}。

 次のツモは{1}。打{六}。

 その次のツモは{9}。打{中}。

 そして、ローザが捨てた{南}を、

「ポン!」

 明星は鳴き、打{白}。これで聴牌。

 

 明星の今の手牌は、

 {一二123789東東}  ポン{南南横南}

 

 そして、数巡後、アメリカ副将から零れ出た{三}を、

「ロン! 南チャンタ。2300。」

 明星が和了って前半戦は終了した。

 

 よって、前半戦の点数と順位は、

 前半戦1位:明星 152800

 前半戦2位:ローザ 149900

 前半戦3位:中国 49800

 前半戦4位:アメリカ 47500

 僅差で明星がトップを守った。

 

 休憩に入った。

 明星は、対局室を出て自販機に飲み物を買いに行った。

 自販機コーナーは、対局室からそう遠くないところにある。明星は、そこで、つぶつぶドリアンジュースのとなりのレモンジュースを購入した。

「お疲れ。」

 明星の背後から声が聞こえた。みなもだ。

「結構苦戦したね。」

「はい。でも、なんとか1位になれました。ただ、まだ、どうやって霞姉さんの能力コピーと、ローザさん本人を屈服させるか、その手立てが掴めません。」

「でも、何となく見ていて思ったんだけどさ、淡の時と同じで、今回も死神咲ちゃんが来てない?」

「よくわかりましたね。来てます。ただ、死神ではなく、大天使咲ちゃんになってますけど。」

「また、変な見返りを要求されてない?」

「足を舐めろはありませんでした。さすがに、和さんにヤられて後悔したみたいです。それで、まあ、咲さん本体のお願いを神様に告げてください程度の、普通のお願いになりました。」

「ならイインだけどね。まあ、咲の分身が付いているなら、目的達成も何とかなると思うよ。普段は被捕食者側の小動物みたいな雰囲気だけど、卓に付くと最強生物だから。」

「そうですね。」

 みなもは、明星が、余り自信を持っていない雰囲気を感じていた。単なる勝ち負けだけの話なら、大天使咲ちゃんが付いていれば問題ない。

 しかし、明星が言うとおり、どうやって霞の能力のコピーと、ローザ自身に負けを認めさせるかは、方向性が見えてこない。

 ローザが集める色の19牌での和了りは、ローザの領域を侵す者として、ローザに、かなりのショックを与えることはできるだろう。しかし、それが19牌だけに限ることがバレれば、すぐに対応される。

 こればかりは、さすがに、みなももアドバイスできずにいた。

 休憩中に、みなもがアドバイスできないことは、結構珍しい。それだけ、明星に課されたタスクは大きいと言えよう。

 

 もうすぐ休憩時間が終わる。

「では、私は対局室に戻ります。」

 明星は、みなもに会釈すると、対局室に向けて歩き出した。

 みなもは、不安な表情で明星の背中を見詰めていた。このような気持ちで仲間を見送るのは、何時依頼だろう?

 恐らく、初めてではなかろうか?

「(大天使咲ちゃんか。頼んだよ。)」

 今は、姉の分身に頼るしかなさそうだ。

 全ての牌を見通し、しかも、ここぞと言う場面で相手に危険牌を掴ませる。

 それで、二年前の県予選では、天江衣に数え役満を責任払いさせて大逆転勝利を収めているし、自分も二年前の世界大会では、48000点の支払いを余儀なくされ、大逆転負けを喰らった。

 奇跡の闘牌。

 点棒の支配者。

 嶺の上の女王。

 みなもは、ひたすら祈るしかなかった。

 

 明星が対局室に姿を現した。

 少し遅れて、アメリカ副将と中国副将が、さらに、これに少し遅れてローザが対局室に入ってきた。

 場決めがされ、起家が中国副将、南家がアメリカ副将、西家が明星、北家がローザに決まった。

 東一局、中国副将の親。

 ローザは、前半戦での明星への振込みパターンを確認し、19牌の切り出しだけ注意すれば良いことに気付いていた。

 この局では、萬子に染めていたが、今のところ、{一}と{九}を捨てずに手が進められる。そして、聴牌したが、下手にリーチをかけると、{一}か{九}を引いた時に明星の餌食になるかもしれない。それはマズイ。

 ローザは、ダマで通した。そして、

「ツモ! 4000、8000!」

 萬子の面前清一色のツモ和了り。一盃口と赤ドラがついて、倍満ツモとなった。

 

 東二局、アメリカ副将の親番。

 ローザは、今度は索子で染める。そして、当然のように、

「ツモ! 4000、8000!」

 面前清一色赤1の倍満ツモ和了りを決めた。

 

 東三局、明星の親。

 今度は、ローザは筒子で染めて行く。

 ようやく、この局になって明星が動き出した。

「ポン!」

 ローザが捨てた{東}を鳴き、続いて、

「ポン!」

 アメリカ副将が捨てた{一}を鳴いた。そして、

「ツモ! ダブ東混一対々。6000オール!」

 明星が親ハネをツモ和了りした。

 ただ、今のところ、ローザが集める色の19牌で攻めてくる感じではない。しかし、それが、何時前半戦のような攻め方に変わるかもしれない。

 ローザは、当然、明星の動きをマークし続ける。

 

 東三局一本場、明星の連荘。

 ローザは、再び萬子で染め上げた。そして、

「ツモ! 4100、8100!」

 またもや倍満をツモ和了りした。

 

 現在の点数と順位は、

 暫定1位:ローザ 142300

 暫定2位:明星 101900

 暫定3位:中国 77900

 暫定3位:アメリカ 77900

 ローザが、圧倒的なリードを見せ付けていた。

 

 東四局、ローザの親。

 この局は、ローザにとって稼ぎどころである。彼女は、ここでは筒子で染めていた。

 しかし、聴牌したが、切るべき牌が{⑨}。これは、前半戦で明星に狙われた牌。

 やむなくローザは、{⑨}を切らずに一向聴に落として打ち回した。

 この隙に、

「ツモ! 1000、2000!」

 中国副将にツモ和了りされた。

 この時、明星は{①}も{⑨}持っていなかった。前半戦で明星に植え付けられた幻影に、ローザが勝手に踊らされたのだ。

 

 南一局、中国副将の親。

 ここでもローザは、萬子で染め上げていたが、{一}が切れずに聴牌できないでいた。この隙に、今度はアメリカ副将が、

「ツモ! 700、1300!」

 平和ツモドラ1を和了った。

 

 南二局、アメリカ副将の親。

 ローザは、この局は索子で染めていた。

 

 7巡目の手牌は、

 {12233445[5]789白}

 

 ここに、{9}をツモ、当然、打{白}。

 しかし、次にツモった牌は{5}。

 

 手牌は、

 {122334455[5]7899}

 

 普通、{1}か{9}を切って聴牌にするだろう。

 しかし、前半戦で植え付けられた幻影のせいで、{1}も{9}も切るのを躊躇した。

 その結果、{4}切りで聴牌。

 次巡、ツモってきたのは{3}。もし、{9}切りで聴牌していたら和了っていた。

 こんなことをしているうちに、

「ツモ。1300、2600。」

 中国副将にツモ和了りされた。

 

 南三局、明星の親番。

 ローザは、自分のペースが崩れていることを強く感じていた。

 その原因は明星。

 後半戦は、東三局で和了ったのみで、他は、おとなしくしているが、いつ牙をむき出すか分からない。

 やはり、マークは怠れない。

 しかも、この局は、その明星の親番。

 ただ、ここを流せば、ほぼ勝利が確定する。

 この局、ローザは萬子で染めていた。

 

 6巡目のローザの手牌は、

 {二二二三四六七七七九九九北}

 

 ここに絶好の{[五]}ツモで聴牌。

 これなら、{一二三四五六七八}待ちで、{九}が来ても暗槓で処理できる。明星の幻影に踊らされる心配はない。

 {三}か{六}が来れば三暗刻も付く。

 ローザは、迷わず、

「リーチ!」

 攻めに出た。そして、

「一発ツモ!」

 ツモったのは、{一}だった。

「リーチ一発ツモ面前清一赤1。4000、8000。」

 裏ドラは乗らなかった。ギリギリ倍満止まりの悔しい翻数。

 しかし、これでダントツ1位になった。

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