光(みなも)は咲の従姉妹であることが判明しましたが、こちらは『咲の妹』で『みなも』のままと致します。
時は三月。
みなも達の卒業式が執り行われた。
清澄高校には、沢山の取材陣が駆け付けた。
団体戦五連覇の史上最強のチーム。レギュラー陣は、全員二つ名持ち。個人戦では、今年の春季大会、インターハイともにレギュラー5人が全員ベスト16入り。
ダブルエースと呼ばれる宮永姉妹以外の選手も、清澄高校、阿知賀女子学院、白糸台高校、永水女子高校、臨海女子高校以外であれば、全員がエースになれる器だ。
清澄高校校内ランキング1位は宮永咲。『嶺の上の女王』とか『日本の守護神』と呼ばれる清澄高校の絶対的エース。個人戦五連覇の記録保持者。
もっとも出現確率が低いとされる役満四槓子を何回も和了っている奇跡の人。嶺上開花の回数は数知れず。点数調整も自由自在の点棒の支配者。
校内ランキング2位は宮永みなも。『北欧の小さな巨人』と呼ばれ、団体戦で何度もどこかをトバして終了させている高火力の怪物。
全国個人ランキングは2位。咲以外の選手には基本負け無し。世界大会でも咲とのダブルエースとして活躍。
校内ランキング3位は原村和。『デジタルの化身』とまで呼ばれる精度の高いデジタル打ちが特徴。ネット麻雀では運営側が用意したプログラムとまで言われた『のどっち』の正体。
インターミドルチャンピオンで、高校でも常に上位の活躍をした巨乳美女。高校麻雀界のアイドル的存在。
校内ランキング4位は南浦数絵。『南場の鬼神』と呼ばれ、高校麻雀界では、まさに『まくりの女王』と言える。プロ雀士である祖父の麻雀スタイルを引き継ぎ、南場で異常な稼ぎを見せる。
アクの強い選手が多い清澄高校では、結果的に影が薄く感じるが、安定した成績を残す実力者。実は和に続く美女と言われ、ファンも多い。
校内ランキング5位は片岡優希。『東風の神』の呼び名のとおり、五大会中、四大会の決勝戦で天和を和了った記録保持者。高校生麻雀大会で、今後、天和を和了った選手に授与される『片岡賞』は彼女の名前から取られたもの。
東場での爆発力は、咲やみなもにも劣らない。この選手がレギュラー陣の中でランキング5位とは信じられない実力。
それだけ、清澄高校が強すぎるのだ。
こんなとんでもないチームだ。マスコミがおしかけて来てもおかしくない。むしろ、来ないほうがおかしい。
たしかに、千里山女子高校や姫松高校、新道寺女子高校などの強豪校と比べると、伝統といえるほどの歴史は清澄高校麻雀部にはない。
しかし、これだけ強くて、しかもネタに溢れたチームは、もう二度と現れないだろう。彼女達の卒業は、マスコミ陣にとっては、非常に残念なことであった。
当然、これを引き継ぐ後輩達に与えるプレッシャーは相当なものであろう。
卒業式の翌日から、みなも達は都内の大学に進学するため、引越し作業を行った。みなもは、咲と一緒に暮らす。
清澄高校麻雀部のメンバーも、これから散り散りになってゆく。全員が同じ進路を進むわけではない。
その一方で、都内では高校生麻雀大会春季大会が開催されていた。
清澄高校のエースは夢乃マホ(先鋒)。あの魔法少女が、無事、清澄高校に編入してきてくれたのだ。
監督は石飛閑無。
コーチは、この大会で清澄高校を離れる予定の末原恭子。
破竹の勢いで、清澄高校は決勝戦まで進んだ。
ルールは、スーパーエース1人の活躍で試合が終わらないように、昨年のインターハイと同じものに変更された。
そういった意味では、宮永照、宮永咲、宮永みなもの3人は偉大だったと言える。この3人の虐殺振りが、ルールを点数引継ぎ制から星取り合戦に変えさせたのだ。
勿論、この春季大会にも、みなも達と同じように、1人で相手チームをトバすくらいの大虐殺をする選手がいるのだが…。
決勝戦の相手は、石戸明星(大将)、十曽湧(次鋒)、神代蒔乃(中堅)のトリプルエースを擁する永水女子高校、絶対的エース椋真尋(先鋒)を擁する千里山女子高校、そして、宇野沢美由紀(先鋒)や椿野美咲(大将)のいる白糸台高校。
結果は、永水女子高校が勝ち星3で優勝。
清澄高校が勝ち星2で準優勝だった。
真尋とマホの対決はマホが勝利し、清澄高校に勢いが付いたと思われたが、やはり永水女子高校との総合力の差は大きかった。結局、湧、蒔乃、明星の3人に、3つの星を奪われる結果となったのだ。
清澄高校の夏春夏春夏春の六連覇は、残念ながら阻止された。しかし、それでも六大会連続決勝進出は、記録的と言えよう。
また、個人戦は、マホが優勝、蒔乃が準優勝、真尋が3位と言う結果になった。明星は残念ながら4位。1年生軍団の大活躍だった。
4月。
始まりの季節。
末原恭子は、無事3年生に進学し、長野キャンパスから西東京キャンパスに移ることになった。
彼女の通う瑛蘭大学には、一応麻雀部は存在するが、インターハイ出場レベルの選手は殆ど入学しないため、超弱小であった。
恭子は、そんな麻雀部に、ムリに籍を置くつもりはなかった。
それに、彼女はプレイヤーとしての人生に、早々に見切りをつけていた。
この春からは、彼女は、西東京地区の麻雀強豪高校のコーチになることにしていた。閑無からの紹介でもある。
今日は、その高校の麻雀部監督への挨拶に向かった。
「コンコン!」
恭子が監督の部屋のドアを叩いた。
「はい、どうぞ。」
「失礼します。」
「待ってたわよ。話は、閑無さんや慕さんから聞いているわ。」
「これから二年間、よろしく御願い致します。」
そこは、宮永照や大星淡の母校、白糸台高校だった。宮永照の入部以来、全国大会の常連校だ。
監督は貝瀬麗香。照が入学した時には、既に監督に就任していた。
「大学院も行く予定なんでしょ。」
「はい。一応。」
「だったら、二年じゃなくて四年かも知れないわね。それに、今年。うちには、とんでもない子が入部したわよ。渡辺琉華って子でね…。」
渡辺琉音の妹だ。
彼女は、きっと、何かやってくれる。そう期待したい。
他にも宇野沢美由紀(宇野沢栞妹)や椿野美咲(椿野美幸妹)と言った強豪プレイヤーもいる。今年もインターハイ上位を狙いたい。
白糸台高校は、以前よりも麻雀部員が増え、今では以前のようなチーム制ではなく、部内ランク上位者がレギュラーになる方式に変わった。実は、既に昨年の秋季大会の時から変わっていたらしい。
恭子は、ここでさらにコーチ業を勉強する。まだ去年二十歳になったばかり。早い人生の決断だ。
一方、みなもと咲は、大学の入学式を終えると、麻雀部の部室の扉を叩いた。大学でも麻雀部に入部するのだ。
ちなみに、みなもと照が余りにも咲の胸の成長のことをグチグチ言うので、2人の胸のサイズアップを咲は明星に御願いしていた。
当然、自分のさらなるサイズアップもだが…。
その結果、みなもと照はワンサイズアップ、咲もさらにワンサイズ(元のサイズから考えるとツーサイズ)アップを果たした。
これで、一応、みなもと照は、咲にグチグチ言わなくなったが、まだ2人は咲との差に不満があるようだ。口には出さないが…。
みなも・咲:「「失礼します。」」
みなもと咲が麻雀部部室の扉を開けると、そこには、みなもと咲の姉、宮永照や、天江衣、宇野沢栞の姿があった。
照:「ようこそ、慶雁心大学麻雀部へ。」
これが照の第一声。
みなもと咲は、姉である照と同じ大学に進学した。
みなも・咲:「「よろしくお願いします。」」
衣:「そんなに畏まらなくても良いぞ。」
一年上の学年には衣もいる。
衣は、透華達が龍門渕大学に進学する中、単独で慶雁心大学へと進学した。ハギヨシが常に同行しているので、単独といえるかどうかは怪しいが…。
ただ、透華から離れて一人で行動(ハギヨシが常に近くで警護)するようになり、龍門渕高校にいる時には経験できなかった苦労も衣なりにするようになった。
これはこれで、衣の成長のために良いことだろう。社会勉強は大事だ。まあ、これまでが社会勉強不足であったのだろうが…。
みなもは、麻雀推薦(学費無料)で本大学に入学した。まあ、あれだけの活躍をしたのだから当然だろう。
一方の咲は、AOで入学した。麻雀推薦をみなもに譲った形になる。
ただ、咲を確保すべく、咲にも学費無料の条件を大学側が提示してきた。親にとっては、非常に嬉しい話だ。
みなも達が歓談している中、少し遅れて、
栄子:「新入生の園田栄子です。麻雀部に入部させてください。よろしくお願いします!」
栄子が入ってきた。彼女は、一般受験で慶雁心大学に入学した。結構彼女は、成績優秀なほうだった。
みなも:「あれ? 栄子、久し振り!」
栄子:「みなもちゃんも咲ちゃんも元気そうで。」
咲:「栄子ちゃんも慶雁心だったんだ。」
栄子:「うん。なんとか合格できた。」
みなも:「阿知賀のみんなは、どうなったの?」
栄子:「穏乃ちゃんは、玄さんや宥さん灼さん達のいる阿知賀大に進学したよ。」
みなも・咲:「「へー。」」
栄子:「それと、憧ちゃんは、最高学府、東帝大に行ってる。」
さすが偏差値70が余裕な人。
と言いたいところだが、高校受験の際に偏差値が70あっても、最高学府に行けるとは限らない。相当な努力が必要だ。
高校受験偏差値が70を超えていても、私立のトップクラスの大学に合格できない人は沢山いる。
そもそも、高校受験と大学受験では母集団が違うのだ。
大学受験する人が全体の50%だとすると、野蛮な言い方になるが、高校受験の頃に偏差値50以上だった人達だけで新たに平均点と偏差値を算出するのに近い。よって、高校受験の偏差値と大学受験の偏差値は全く別物になる。
それが理解できない人も結構いるようだが…。
咲:「すっごーい!」
栄子:「それで、今、私は憧ちゃんとルームシェアしてるんだ。」
咲:「そうだったんだ。」
みなも:「ねえ。私と栄子で、入れ替わらない?」
半分冗談だが、みなもの目は本気だ。みなもは、やっぱり憧に友情以上の何かを感じているようだ。
ちなみに、憧に対して、みなもと同じ感情を抱く初瀬は、阿知賀大に進学した。憧のことだから、阿知賀女子学院メンバーのいる阿知賀大に行くと踏んだのだ。
しかし、阿知賀大に憧はいない。
このことを知って、初瀬は、来年、憧を追って東帝大を受け直すことになる。
栄子:「清澄高校のみんなは?」
みなも:「和は久先輩や福路さんと同じで、日十稲田大学。」
栄子:「じゃあ、ここから結構近いんだ。」
みなも:「和は、私達と同じ賃貸の隣の部屋にいるよ。」
当然のことだが、和は咲から離れようとしない。大学は違うが、隙あらば同じ部屋に住もうと企んでいる。
一方の咲は、世界大会の時の下半身舐められ事件があって以来、和と2人で会うのを避けるようになった。
容姿の整った和に好かれて嫌な気はしないが…。
ただ、身の危険は感じているようだ。
咲:「数絵ちゃんは加治木さんと同じ立攵孝大学だったかな。」
咲は、和の話をスルーして数絵の話に切り替えた。別に、和のことを嫌っているわけではない。むしろ好きなほうだ。
ただ、恐怖心は拭えない。
栄子:「そこも結構近いよね。」
みなも:「そうだね。」
照:「立攵孝だと、菫と一緒ところだな。」
ちなみに、東横桃子も加治木ゆみを追いかけて立攵孝大学に入学した。言うまでもないだろうが…。
みなも:「あと、優希は美伊蘭大学に麻雀推薦で入った。」
照:「美伊蘭だと、淡と一緒か。」
衣:「池田も一緒だな。」
ちなみに、辻垣内智葉、渋谷尭深、亦野誠子、花田煌も美伊蘭大学だった。優希は、煌を追って美伊蘭大学に入学した部分もあるようだが…。
衣:「あと、さっき言ってた東帝だと小走のところか。」
照「あの弱小ね。」
衣:「王者王者と騒ぐ割りに弱いからな。」
照:「そうだね。」
衣:「衣には、小走に特殊な何かは感じないのだが…。何故、あれだけ自信過剰でいられるのかが不思議でならん。」
照:「激しく同意だね。」
衣:「あそこなら、憧なら、すぐにレギュラーになれるな。」
照:「わたしもそう思う。あの子は鳴きのセンスがある。むしろ、新子さんのほうが小走よりも今は強いと思う。」
憧のことを照に褒められて、みなもは嬉しそうな顔をしていた。
もっとも、憧自身は全国で春夏ともにベスト16に入っているのだから、強豪選手の1人として認められて不思議はない。
それに、照も衣も、小走やえが高校3年生、憧が1年生の時なら、やえのほうが強かったかもしれないが、今の実力では憧のほうが1枚も2枚も上手との見方をしていた。
勿論、みなもも咲も、同意見だった。
栞:「あと、全国だと鹿児島の霧島女子大の神代、石戸、薄墨、藤原とかが有名ね。」
宇野沢栞は、照の白糸台高校の1年先輩。
大学に通いながら、瑞原はやりプロの所属するハートビーツ大宮に籍を置いている。
はやりが、
『一応大卒のほうがイイ!』
と事務所に掛け合い、在職入学を許可させたのだ。
実は、2年先輩の渡辺琉音も、この大学に麻雀推薦で進学していた。しかも、彼女も栞と一緒でハートビーツ大宮にも所属している。栞と共に行動することも多い。
なので、昨日もちゃっかり麻雀部に顔を出していたようだ。
ちなみに、照は、栞と琉音を追って(慕って)、この大学に麻雀推薦(学費無料)で進学した。
栞:「大阪の関西女子学院大も強いし。」
照:「荒川憩、園城寺怜、愛宕洋榎、江口セーラ、清水谷竜華のところですね。」
一応、浩子も泉も関西女子学院大だった。
移植された能力コピーを失った泉は、今では憩、怜、洋榎、セーラ、竜華に、全く歯が立たない。これは、仕方がない…と言うか、当然だろう。
それと、莉子も実は泉と同じ大学に通っている。
ニーマン傘下にいたこともあってか、泉と莉子は仲が良い。互いに励ましあって自己向上に励んでいるようだ。
衣:「岩手の宮守国際とか、面白い打ち手がいるぞ!」
そこには、エイスリン以外の宮守女子高校メンバーが、そのまま進学している。相変わらず、みんな仲が良い。
今でも元永水女子高校のメンバーと交流が深いらしい。
エイスリンは、ニュージーランドに戻ったが、また日本への留学を計画していた。宮守女子高校のメンバーとの再会を果たすために。
照:「北海道の洞爺女子には、有珠山出身の獅子原に、琴似栄の吉田がいる。」
衣:「白水哩と鶴田姫子も洞爺女子だ。」
栞:「そう言えば洞爺女子に、今年、真屋由暉子が入ったって聞いてるよ。」
爽達北海道勢が、北海道の大学に進学するのは別に不思議ではない。
ただ、洞爺女子大学は、特に全国から学生が集まるような一流大学ではなかった。
それなのに、哩と姫子は、何故か九州から洞爺女子に進学した。九州から北海道に鞍替えしたのだ。
理由は良く分からない。
ただ、この4人が揃ったことで、洞爺女子大学の麻雀部のレベルは飛躍的に上がったことは言うまでもない。全国区レベルに達しただろう。
そして、洞爺女子大学には、待望の5人目が入学する。これで、全国上位校との試合の際、穴のないオーダーが組めるようになると言えるだろう。
今後、麻雀部での活躍を目指して全国から洞爺女子大学に学生が集まるようになるかもしれない。
結局、大学に進学しても面子は大きく変わらない。むしろ、ライバル同士が同じ大学に進学し、より強いチームを作っているところすらある。
昨日の敵は今日の友だったり、その逆もあったり。
とは言え、慶雁心大学チームは、今年、
先鋒:宮永照
次鋒:天江衣(点数引継ぎルールの時は、大将だと回ってこないので次鋒を志願した)
中堅:宮永みなも
副将:宇野沢栞(プロ雀士)
大将:宮永咲
このメンバーで大会に挑む。宮永三姉妹勢揃いの、とんでもないチームだ。
大学史上最強と言っても良いだろう。
大会ルールは、10万点持ちの点数引継ぎだったり、星取り戦だったり、その時によって違うが、いずれにしても、このメンバーで負ける気がしない。
そして、栞の引退後には栄子が入る。
照、咲、みなも、衣のクアドラブルエースチーム。ここでも、みなも達は、高校の時以上の新たなる伝説を築き上げることになるだろう。
大学でのお話は、今は特に考えておりません。
一先ず、ここで区切りと致します。
長い間お付き合いいただき、有難うございました。