ここはヤマブキシティ、ヤマブキは きんいろ かがやきのいろ。
かつて、この街のジムリーダーは格闘タイプを専門とするカラテだいおうが務めていた。
彼がジムリーダーとして覇権を振るっていた頃、彼の取り仕切る格闘道場からは野太い怒号が轟き、街の住民からは迷惑がられながらもヤマブキシティの名物として認知されていた。
それが、今やヤマブキシティのジムリーダーはエスパータイプの専門家である。
格闘タイプとは対極を為すと言っていいエスパータイプの使い手に、哀れカラテだいおうは為す術もなく、敗れ去ったのだ。
その後も、格闘道場は存続しているものの、ポケモンリーグ公認のジムの肩書を外され、名物であった門下生達の怒号も鳴りを潜めていた。
代わりにジムリーダーを務めているのは、彼を敗ったエスパータイプの使い手、ナツメであった。
無骨でどこか汗臭いような印象で語られるカラテだいおうと違って、ナツメはクールな美人として知られていた。
女性にしては背が高く、くびれた腰やすらりと伸びた脚はファッションモデルを思わせ、それでいながら出る所は出ており、女性らしさと凛々しさを兼ね備えている。
引きこもりがちな性格からメディアへの露出は少なく、無口で無愛想なイメージが先行しがちなものの、その人気はカントー外にも知れ渡っている。
使っているポケモンだけでなく彼女自身にもエスパー能力があり、それがまたエキゾチックな印象を持たせ、ファンから評価されている。
彼女がエスパーの持ち主だという事はヤマブキシティジムの看板に堂々と書かれている。
ヤマブキシティポケモンジムリーダー ナツメ エスパーしょうじょ!
「舐め腐りやがって!!」
ボカァァン!!
白日の下で街が黄金色に染まる昼下がり。
ヤマブキシティジムの前で一人の道着姿の男が看板に向かって蹴りを入れる。
この街の者なら知らない者はいないだろう、むさ苦しさと汗臭さで知られる格闘道場の師範、カラテだいおうだ。
鉄の如く鍛え抜かれた脛から放たれた下段蹴りは看板の脚をぐにゃりとへし曲げていた。
「あいつが来てからというもの…」
ジムリーダーの資格を剥奪されてから、格闘道場へ足を運ぶ者は急減し、門下生が減った事により道場の経営すらカツカツになってしまったのだ。
リーグ公認の証を持たなければ、ただの男だらけの汗臭い道場に過ぎない。
それに、新しくジムリーダーになったのは若い美女で、街の中での人気も彼女へ傾いていった。
カラテだいおうはそんな風潮が気に食わなかった。
もっとも負けたのは自分なのでポケモンリーグ公認ジムとしての看板を下ろした事は仕方ないと思っていたが、ジムを辞めた事で門下生達が減るのは許せなかった。
「ポケモンリーグ公認でなければ来る価値がない」
そう言って道場を辞めていった連中は結局武道の精神を分かっていなかったという事だ。
それが一人二人ならまだしも、一日で20人も辞めていく事態には看過し難いものがあった。
特に格闘道場を辞めてからすぐにエスパータイプのポケモンを育てて、おめおめとナツメのジムに入門した者にはジムの垣根を超えて鉄拳制裁を喰らわせたくもなった。
加えてナツメ自身の存在も気に食わない。
彼女がジムリーダーになりたての頃、ヤマブキジムに記者が大挙して押し寄せてきたのだ。
勿論、美人で若くしてジムリーダーになった彼女を持ち上げて、色気のある記事でも書こうとしてるクチだ。
カラテだいおうがジムリーダーになった時は記者など誰一人として来なかった。
お陰でカラテだいおうは門下生一人を得るのにも苦労したというのに、ナツメのジムには続々と人が集まってくる。
己の肉体一つだけを信じてきたカラテだいおうには、容姿が美しいだけで得をする風潮が許せなかった。
それに、彼女がエスパータイプの使い手だという事がカラテだいおうの哲学に反していた。
『バトル』『戦い』と言えば、鍛えた肉体同士をぶつけ合って勝敗を競うもの。
その身一つを磨き、その身一つで競ってきたカラテだいおうの頭の中ではこれが常識である。
しかし、エスパータイプの連中ときたら、一切ボディコンタクトをする事なく勝敗を決めてしまう事さえある。
そんな味気ない、冷めたものを戦いと呼んでいいのか。
戦いとは、汗の飛沫を飛ばして、研鑽し抜いた肉体と肉体のぶつかり合いではないのか。
それは人間同士でもポケモン同士でも同じだ。
一種のアレルギー反応とでも言うべきか、カラテだいおうはエスパータイプの存在自体を認められなかった。
もっとも、そのエスパータイプに惨敗した自分が情けなくて仕方なかったのだが。
そんなこんなでカラテだいおうのナツメへの憎しみや妬みは日に日に募る一方であった。
道場の赤字と共に、彼女への一方的な復讐心は膨らんでいく。
「いつか…いつか絶対に復讐してやるからな…」
真っ当なポケモン勝負ではまず勝てない。
では彼女に復讐するため、何をすれば良いのか。
カラテだいおうは筋肉で凝り固まったような体育会系思考をひたすら巡らせた。
「どうやら、勝負ありのようね」
「負けたぁーーーっ!」
ヤマブキシティの真ん中、ワープ床で張り巡らされたジムの真ん中で、ジムリーダーのナツメは勝利を告げる。
負けた男性は悔しそうな顔をしながらも、鞄から一枚の色紙とペンを取り出した。
「せっかくこうしてバトルできたのも何かの縁です。ナツメさんのサインを、お願いします」
「え…さ、サイン?」
ジムリーダーになってまだ日の浅いナツメはサインをせがまれる事に慣れていなかった。
バトルし終わった後でなくても街中を歩いているだけでサインや握手をせがまれるのだが、その度におどおどしてしまう。
「…はい、これで良いかしら」
「おおおおおおお!ありがとうございますっ!!」
覚えたてのサインを色紙に書いてあげると、男が感極まったような声を出して喜ぶ。
ジムリーダーになればこういうファンサービスも求められるのだろうか。
それほど社交的でないナツメにとっては不得意な分野かもしれない。
「しばらく来客もなさそうだし、少し、落ち着こうかしら…」
ふぅっと胸につかえたものを出すように息をつき、イスに腰掛けて、温かい紅茶を楽しむナツメ。
ダージリン・ティーの茶葉の薫りが連戦の疲れを癒す。
「大変ですナツメさん!」
突然目の前にあるワープ床から紫色の衣装に身を纏った男性が現れる。
ヤマブキシティのジムトレーナー、サイキッカーのタクミだ。
「どうしたのかしら?そんなに慌てて」
息を急き切らして、全身を弾ませる様子に尋常ではないものを感じる。
床に手をついて肩で息をするタクミにナツメは歩み寄る。
「はぁっはぁっ、と、隣の格闘道場の、奴らがやってきて、はぁヒロとケサコさんを、攫っていったんです!」
「な、なんですって!?」
にわかに信じ難い報告を受けて、ナツメの体と思考が硬まる。
ヒロとケサコというのはタクミと同じくヤマブキシティのジムトレーナーだ。
(なんで格闘道場の連中がヒロとケサコを…?)
格闘道場の人間とはボコボコに打ち負かしたあの日以来顔を合わせていない。
何か特に恨みを買うような事はしていないはずだ。
(一体何が目的なの…?)
「そ、それと、これ、奴らが置いていった手紙です」
「手紙?どれ…」
タクミが手紙と言って差し出したその和紙には、筆でなにやら書かれていた。
ヤマブキシティジムリーダー ナツメ殿
此の度、御ジムのジムトレーナーを二人、身柄を預からせて頂き申した
今週中にナツメ殿自らが格闘道場に足を運んで頂く事を条件に二人の身柄も解放す
ナツメ殿のご来場、お待ちしております
格闘道場 師範 カラテだいおう
「滅茶苦茶ね…」
頭を抱えて、はぁっとため息を吐くナツメ。
「いいわ、今日の夕方、格闘道場に行くから、ジム番よろしくね」
「警察に通報しなくても良いんですか?」
タクミが訝しげに聞く。
「あの格闘道場の連中の事だから、通報したら二人がどんな目に遭うか分からないわ…それに、何かとても不吉な予感がするの」
生まれつきエスパーを持っていたナツメには不穏な空気が嗅ぎ取れた。
それに相手はジムの看板をへし折りに来るような連中だ。
通報などしたら逆上して何をされるか分かったものじゃない。
ここは相手の言う通りにするのが正解だと、ナツメは判断した。
空一面、茜色に染まる黄昏時。
昼間は黄金色に輝くヤマブキの街も、夕映えには銅のような鈍い輝きを見せる。
もうしばらくすると普段仕事をしている会員達が仕事を終えてやってくる。
格闘道場では己の肉体一つで生計を立てていこうとする専業格闘家、いわゆるプロの練習時間を昼間に、趣味の範疇として格闘技を嗜もうとする、一般クラスの練習時間を夕方に決めていた。
師範を務めるカラテだいおうは早朝から拳を振るっていたせいで体中が汗まみれになっていた。
あまりにも汗をかくと道着が黄ばんでくる上に汗臭いので、一般クラスの会員達からはむさがられ、客離れの要因となってしまう。
よって自らが講師として取り仕切る一般クラスが始まる前にシャワーを浴びる事を欠かさない。
己の肉体一つを信じて生きてきたからてだいおうからすれば汗臭いだとかそんな事はどうでもいいのだが、今以上に客足が遠のいてしまうと自分の練習する場所さえ確保できなくなってしまう。
そういう危機感が彼にシャワーを浴びさせていた。
しかし、そんなしちめんどくさい事をするのも今日で最後だ。
なぜなら今日でヤマブキシティジムリーダーの座は再び自分の元へ戻ってくるのだから。
軽く体を洗い流し、鏡で自分の姿を見つめる。
研鑽された肉体は量と質を兼ね備えており、厚みもあれば筋肉のカットも数多く刻まれている。
彫刻の如く磨きあげられた自分の姿を鏡で見て、自己陶酔するカラテだいおう。
しかし、そんな彼も最近はストレスが溜まってきたのか、顔がやつれていた。
(全てはあいつのせい…だが、それも今日で終わる)
濡れ手で顔をぴしゃぴしゃと叩くと、弟子の声が外から聞こえる。
「押忍!だいおう!今、ナツメが道場に現れました!」
「応!今すぐ行く」
バシャッと冷水を頭から被り、身を引き締める。
冷たい水とは反対に、だいおうの体の芯では憎しみや妬みの炎が燃え上がっていた。
「ヒロとケサコは無事なんでしょうね?」
ニヤニヤと不敵な笑みを浮かべる門下生達に言い募るナツメ。
揃いも揃って無言でニヤついているのがどことなく不気味であった。
どす!どす!と板の間から重たげな足音が近づいてくる。
その音を聞いて、それまでナツメを取り囲むように立ちはだかっていた門下生達がかき分けられるように一つの路を空ける。
開けられた道を大仰に、ふんぞり返って歩いてきた男。
戦った時よりも少しやつれているように見えたが、その奢り高ぶった表情は少しも変わっていない。
「久しぶりね、カラテだいおう」
「半年ぶりか、ナツメ」
偉丈夫と呼ぶに相応しいカラテだいおうが華奢なナツメの前に立つと、その体格のギャップが鮮烈に現れる。
だいおうの前に立つとナツメなどマッチ棒にしか見えない。
ナツメも女性としては身長が高い方であったが、だいおうとは同じ人間とは思えないほど体格に差があった。
しかし、そんな迫力に物怖じせず、ナツメはだいおうに鋭い視線を送る。
「ヒロとケサコはどこにいるのかしら」
「あの念力使いと祈祷師の事か、おい!」
「押忍!」
だいおうに指示された門下生が更衣室から二人を連れてくる。
人質に取られた彼らは腕と脚を縛られ、身動きを封じられていた。
「ヒロ!ヒサコ!」
「くくっ、安心しろ、そいつら二人には何の危害も加えてねぇ」
二人の前にはそれぞれ門下生が立ち、抵抗しないように見張っている。
「…一体、何のために彼らを?」
怒りを帯びた声色で問うナツメ。
どんな理由であれ、ジムトレーナーを拉致するなど許される事ではない。
対照的にだいおうは不気味なほどニヤニヤしている。
「そりゃあお前をここに釣り出してくるためのエサに決まってるだろ」
人をエサ呼ばわりするような非人道的な彼らのやり口に憤りで身震いする。
そして、奴らの目的が自分にある事を知り、得体の知れない恐怖を同時に感じる。
「目的は何?」
本人に直接聞かずとも、ナツメにはエスパーでだいおうの心を読む事でその真意を探る事はできた。
しかし、彼の心に触れようとする度、どす黒い何かが見え隠れする。
ナツメはその黒ずんだ、まるで太陽に浮かび上がった黒点のような有象無象に辟易してしまう。
「目的ぃ…?くくく、お前に対しての復讐に決まってるだろう!」
違う。それだけじゃない。
勿論ナツメに対する憎しみや妬みの鬱積がたまっているのは見て取れた。
しかし、それだけではだいおうのこの不気味なニヤつきは説明できない。
「それで?何がお望みなのかしら」
細い腕をきゅっと硬く組む。
「なーに、簡単な事だ」
ごくりと生唾を呑み、緊迫した面持ちでその答えが語られるのを見守るナツメ。
「ジムリーダー辞めろ」みたいな到底承諾しづらい条件を突き出してくるのだろう。
てっきりナツメはそういう理不尽な選択を迫られるものだと思っていた。
「俺らと今から一緒に練習してくれれば良い。それだけだ」
「…え?」
その意外な答えに、ナツメは内心拍子抜けしてしまう。
「どうもお前には武道の精神を注入してやる必要があるみたいだからなぁ…会員になれとは言わないが、今日一日みっちりと稽古をつけてやる」
パシ!パシ!と拳を平手に叩きつけながら、だいおうが嬉々として語りかける。
(何か裏があるに違いないわね)
あまりにも簡単な条件に疑心を膨らませながら、渋々その条件に従う意を見せた。
「いよーし!それじゃ体操始めるぞぉ!!」
「「「押忍!!」」」
白い道着を身にまとったゴツい男達の中で、一人赤と黒を基調とした服の女性が一際目立つ。
だいおうから道着に着替えなくても良いと言われ、いつも着ている、体にぴっちりフィットするような服で練習に参加するナツメ。
正に紅一点と言うべきか、体操をしているだけでも女性特有の軟らかい動作は武骨な男達の中で際立つ。
本当に練習に参加するだけで人質を解放してもらえるのなら良いのだが。
一通り体操が終わると次は柔軟体操に入る。
厳しい練習の最中に怪我をしないように、予め体をほぐしておくのだ。
二人一組になってお互いの柔軟体操を手伝い合う。
「げへへへ…」
門下生達が卑らしい笑みを浮かべてナツメに近付いてくる。
「ッ…!」
門下生には若い男が多い。
皆、ナツメと柔軟体操をして、肌と肌の触れ合いを堪能したいのだ。
「おい、お前らは下がれ。ナツメの相手は俺だ」
一人の女性に群がる雄共をかき分けて、その雄共のボス、だいおうが姿を現す。
それまでは鼻の下を伸ばしていた門下生達もがっかりしたような表情をしながらも解散していく。
「そこで股を開け」
「…!?どういうつもりっ!」
女性に対し「股を開け」など、通常なら倫理的に許されざる発言。
しかし、この畳の上では一般的な倫理規範が全く通用しない。
「ほら、皆やってるだろ?だからお前も股を開け」
「…くっ」
敢えて『股』という言葉を使い、ナツメを辱めるだいおう。
ナツメも人質の命がかかっている事を考えると、従わざるを得なかった。
畳の上でがばっと開脚してみせる。
普段こうして柔軟体操をする事など無かったため、自分の体の軟らかさというものが分からなかったが、意外なほど脚が開いた。
「ほーう、なかなか軟らかいじゃないか」
男性と違って女性は体が軟らかい。
女性の会員など全盛期の頃すら入ってこなかったので、だいおうはその体の軟らかさに舌を巻く。
「それじゃ、後ろから押すぞ」
だいおうのゴツい体が背後から密着すると、ぐぐっと前へ軽く圧力をかけられる。
相撲や空手の世界では通称『股割り』と呼ばれる、この柔軟体操。
開脚した状態で背中を押されると、膝が焼けるように熱くなっていく。
「…ッ!?」
突然感じた嫌な感触にナツメは体をびくっと震わせる。
柔軟が痛かった訳ではない。
だいおうのどす黒い復讐心はその胸に伸びていた。
「ちょっ…何をするの…っ」
慣れない柔軟体操中で息苦しい所に迫る乳揉み攻撃。
ただでさえ、不慣れな体勢で呼吸をしづらい上、驚きと怒りで顔が火のように赤くなる。
だいおうはそのごつごつした両手でナツメの形の良い乳房を揉みしだく。
「練習に参加しろって…こういう事だったのね…」
後ろから圧し掛かるだいおうを横目で睨みながら呟く。
「んんー?何の事かな?」
だいおうのふざけたような声がナツメの耳朶を打つ。
最初からこうしてナツメを弄ぶ魂胆だったのだ。
「ヒョロヒョロかと思っていたが、意外と乳あるじゃねえか」
全体的にか細い印象があるナツメだが、引き締まった肢体に反して、バストは豊満だった。
嬉しい誤算に気を良くしたのか、ナツメの乳を弄ぶだいおうの指が小気味良く踊り出す。
「それに、髪…良い匂いだな」
「ッ!?」
耳元で囁かれ、どきりとするナツメ。
相手がだいおうとはいえ、初心なナツメは異性に容姿を褒められ余計に顔を赤く染める。
「引きこもりなのかと思っていたが、意外とこういう所にも気遣ってんのかぁ?」
背後からナツメの黒髪に顔を埋め、スンスンと犬のように嗅ぎまわる。
「意外と可愛い所あるじゃねえか」
シャンプーの甘い香りがだいおうの荒んだ心を潤した。
「柔軟やめー!」
柔軟が終わると次は打ち込み練習に入る。
2人1組で相手とかける技を約束し合い、相手に技を受けてもらう練習だ。
勿論ナツメの相手はだいおうになる。
「お前はまだ技も何も知らないからな。俺が手とり足とり教えてやる」
何か企んでいるような、そんな卑らしい笑みをナツメに向ける。
(どうせ碌な事じゃない…)
先程の柔軟体操という名のセクハラ行為から大体予測がつく。
だいおうの戯れに付き合うのは嫌だが、仲間のためには耐えなければならない。
なるべく目を合わせないようにしながらも、礼を交わす。
「よし、まずは正拳突きを教えてやる」
他の門下生が怒声を放ち、鬼気迫る勢いで打ち込みをしている中、道場の隅でだいおうの教育が始まる。
正拳突きといえば、空手をやった事のない人でも知っているような、空手を代表する技だ。
だいおうが先にやるのを真似る形でナツメが続く。
(あんまりこういうの…得意じゃないけど)
ぎこちない形ながらも拳を前へ突き出す。
「全然成っとらんぞ!どれ、一から教えてやる」
見かねただいおうがナツメのそばへ近寄る。
「もう少し腰をだな…」
ナツメのくびれた腰をおもむろに掴んで指導するだいおう。
余分な物の一切付いていないナツメの腰はだいおうの大きな両手二つで腰一周をすっぽりと包めるほどであった。
(ちょっ…!くすぐったい…)
だいおうの手の温かさが素肌にまで伝わってくる。
ナツメの衣装は腰の部分が素肌にぴっちりとフィットする構造になっていた。
「腰をもっと、こう…くいっと捻ってだな。こら、もっと力を入れろ」
腰をがっしり掴まれると、なんだかくすぐったい気分になって体に力が入らない。
腰が抜けるような感覚の前に立っている事さえやっとであった。
「ダメだな、特にこの尻が…うーん、引けてるんだよなぁ」
「きゃっ!」
パシィン!
気付いた時には既にだいおうの手を叩いていた。
尻を撫でられたので思わず驚いてしまったのだ。
「何をする貴様ッ!それが物を教わる態度かッ!!」
鬼の形相でナツメを怒鳴り付けるだいおう。
その剣幕に思わずたじろいでしまう。
「も、申し訳、ありません…」
自分のやった事は間違っていないと分かっていながらも、だいおうの気迫に怖気づいて謝ってしまうナツメ。
謝るナツメに征服感を覚えたのか、鬼の形相から満面の笑みを見せるだいおう。
「こちらこそ急に怒鳴ってすまなかった」
それでも依然として体に密着してくる。
「次からはもっと優しく指導してやるからな」
ナツメの耳までかかった黒髪をかき分けて、息を吐きかけるように熱っぽく囁きかけた。
「なかなか、飲み込みが早いじゃないか…それとも、俺の指導が良いのかな?」
「い、一っ、二っ…さ、三っ」
だいおうに絡み付かれるように抱き付かれた体勢で、やりづらそうに正拳突きを繰り返すナツメ。
尻たぶを乱暴にぐにっと掴んだかと思うと、優しくさするように撫でてくる。
胸を触られ、下半身を撫で回され、傍から見ればその光景は淫らな行為に耽っている男女二人にしか見えなかった。
だいおうのセクハラに耐えながらも、なんとか正拳突き20回を終わらせ、次のステップへ歩を進めるナツメ。
「よし、正拳突きの次は、上段蹴りだ」
上段蹴り。
腰を廻すようにして、己の脚を高く舞い上げ、相手の顔面を足で蹴飛ばす。
一発で勝負を決めてしまうその性質故に打撃系格闘技では最も華のある技として知れ渡っている。
そんな打撃の華を素人の私に教えるなんて荷が重すぎないか。
だいおうの解説を聞きながら首を傾げるナツメ。
蹴り技を教えるにしても下段蹴りや前蹴りから入るのではないのか。
「今日は時間がないからな。すぐに始めるぞ」
ナツメを急かすように、上段蹴りの手本を見せる。
「セイッ!!」
ぶうんと空を足が斬る。
何十年間にも渡って磨かれ続けてきただいおうの蹴り技、いわば業物を目の当たりにし、身震いするナツメ。
「せ、せいぃぃっ!」
自身も続こうとするが、当然の如く上手くいかない。
足を高く振り上げようとした瞬間、体の軸がぶれ、畳の上に倒れてしまう。
「流石に初心者には厳しいか…どれ、俺が手伝ってやる」
ナツメの背後に壁のように立ちはだかるだいおう。
「俺が支えになってやるから、思いっきり蹴ってみろ」
「せいっ!」
言われた通り、だいおうの体を支えにして、思いっきり脚を振り上げるナツメ。
しかし、黒タイツに包まれた美脚は自身の胸の辺りまでしか上がっていない。
「…もう一度蹴ってみろ」
だいおうが耳元で囁く。
こそばゆさと気持ち悪さが耳から脳へ伝わり、全身へ悪寒を走らせる。
その悪寒を振り払うように蹴りを放つ。
「せいっ!…ッ!?」
蹴りを放ったその瞬間、ふとももをがしっと抱えられる。
脚を高く宙に舞い上げたまま、バレリーナのような姿勢で固定される。
「お前がなぜ上段を蹴れないか、分かるか?」
背後から顔を覗き込むように問いかけるだいおう。
片脚を高く上げさせられているので、自然と背後のだいおうに身を任せるような姿勢になってしまう。
「股関節が硬いんだ、股関節が。今から軟らかくしてやる」
だいおうがよからぬ事を考えているのはエスパーを使わずとも分かった。
「ちょっ、何を?いやっ、くすぐったい!」
片方の手でふとももを抱え、もう片方の手でナツメの股間をまさぐる。
股関節を軟らかくするとは名ばかりの、だいおうの狙いは股間にあった。
「股関節を温めて軟らかくしてやるんだ。ほぉら、スリスリ…」
「やっ、そこっ…!ちがっ…ふぁあっ!」
逃げようにもだいおうの大樹のような肉体はびくともしない。
ごつごつとした山肌のような手指がナツメの大事な所を優しく撫でてくる。
「おぉー、おほぉ…」
横に向かって開脚するようなナツメの股を休憩中の門下生が覗き込む。
黒タイツを履いているとはいえ、股間を覗き込まれるなど恥ずかしくてたまらない。
なんとかして脚を閉じようと試みるも、か細いナツメの脚とだいおうの幹のような腕とでは勝負にならなかった。
「どうだぁ…大分軟らかくなってきたんじゃないのか?んん?」
愛おしそうにナツメに頬擦りをするだいおう。
荒くなった鼻息が首元に吹きかかり、滑り気を帯びただいおうの汗がナツメの肌理細やかな肌を汚していく。
「はぁっ…はぁっ…くぅぅっ!」
10分ほど経っても、余程愉しいのか、未だだいおうはナツメの股間を愛でていた。
門下生達が乱捕りを始めている中、依然としてじっくりとナツメの股間をくにくにと撫で回す。
「よし、こんなもんで良いだろう」
やっと満足したのか、乱捕り稽古が後半に差しかかった所で、股間への愛撫が終わる。
執拗でねちっこい責めの前にナツメの股間はじっとりと濡れてしまっていた。
「はぁっ、はぁっ、ふぅっ」
ずっと片脚を上げさせられていたので、拘束を解き放たれた途端、思わず畳に倒れ込んでしまう。
華奢な肢体が畳の上で、呼吸を荒げて弾んでいた。
「疲れている場合じゃないぞ。最後、乱捕りやるぞ」
「ま、待って、ちょっと、休ませてっ」
休憩をせがむナツメを強引に引き起こし、乱捕りを始める。
乱捕りとは実戦形式の練習の事。
疲労しきっている状態ではとても練習にはならない。
「はぁっ、ふぅっ、はぁ、はぁ」
「最後くらいしっかりやろうや。ほら、いくぞ」
呼吸の整わないナツメに容赦なく前蹴りを入れるだいおう。
勿論、だいおうといえども、本気の前蹴りを入れたらナツメが大怪我をしてしまう事くらい分かっている。
軽く足指で突き押すように、疲弊しきったナツメを蹴り倒す。
「うぐっ…そんなっ、酷い…」
そして、倒れたナツメに覆い被さるだいおう。
空手に寝技はないはずだが。
細い手首を掴み、重たい体で圧し掛かり、完全にナツメの自由を奪うだいおう。
はだけた道着からだいおうの火照った胸板がナツメの服越しに熱を伝える。
「ちょっ、なんで!?寝技はないはずじゃ…」
空手に寝技がない事くらいナツメにだって分かる。
「ぐへへっ、空手ってのはなぁ、武器のない戦いにおいてどう戦うか、って所から始まってんだよ。戦いに寝技も立ち技も関係ねぇ!」
「きゃあああっ!!」
ビリビリと乱暴にナツメの服を破り去るだいおう。
「戦いで女が倒れたらどうなるか…分かるよなぁ?」
下着ごと強引にひん剥かれ、あっという間に全裸になってしまう。
普段は露出度の低い服を着ているせいで分からなかったが、いざ全裸に剥いてみると相当な色白だという事が分かる。
色白だという事は顔を見てもすぐ分かる事だが、体は顔以上に真っ白だ。
汗で光った宝石のような素肌は赤ん坊のような清らかさを放つ。
かつ、メリハリの付いた肢体は妖しささえ感じさせる。
特に引き締まった腰とすらりと伸びた脚線美はモデル顔負けだ。
思わず口元に垂れた涎を拭うだいおう。
艶を放つ黒髪と珠のような色白の肌が美しいコントラストになっていた。
「「「うおおーっ!」」」
乱捕りをしていたはずの門下生達がナツメの裸体を見て歓声を上げる。
男臭い道場の中で美女が裸になればそちらへ意識が行くのは雄として当然の事だ。
「何見てるお前ら…とっとと乱捕り続けろぉ!!」
「「「は、はいっ!」」」
怒鳴りつけられた門下生達は即座に乱捕りに戻るも、どうしても視線はナツメへ向かう。
乱捕りをしているふりをしながらも、ナツメの白むく裸体を凝視する。
「ぐへへ…キレーな体してるじゃねえかよ、ナツメぇ」
普段の鬼のような厳しい形相とは打って変わって、美しい女体を組み敷いて鼻の下を伸ばすだいおう。
同じ裸でも紙面や液晶で見るのと、実物を目の辺りにするのとでは訳が違う。
久しぶりの女体に分厚い胸板に閉じ込められた心臓がばくばくと動悸する。
女を抱くのは久方ぶりだった。
「最初から…こういうつもりだったのね…許さないっ!」
筋骨隆々とした体に圧し掛かられて、息苦しい中でも口では抗ってみせる。
その気丈さに気を良くしたのか、眉をハの字に緩ませてニヤつくだいおう。
「こういうつもりだぁ…?決まってるじゃねえか、お前が来てからこっちは商売あがったりなんだ!たっぷりと、この身に仕返しさせてもらうぜぇ」
裸になったナツメの腹の上でいそいそと道着を脱ぎ出すだいおう。
「な、何をしてるの!?」
「女だてらにジムリーダーやるってのがどういう事なのか、俺が教えてやるよぉ」
ほどいた黒帯でナツメの両腕を縛り上げる。
(こんな奴…超能力さえ使えれば一瞬なのに!)
超能力を使えば如何に体の強いだいおうといえども倒せる。
しかし、超能力を使えば間違いなく人質に取られた二人に危害が加わるだろう。
(抵抗したい…けれども抵抗したら皆が…私、どうすれば良いの!?)
二つの葛藤に解を見出す時間を与えてくれるほど、だいおうは悠長ではなかった。
袴を下ろすと、既にビキビキに勃ち上がっていたペニスが姿を現す。
ずっとナツメの体に密着していたため、興奮して勃起してしまったのだ。
「そ、そんなもの見せないでっ!」
男のペニスなど間近で見た事のないナツメは思わず目をつむり、顔を背ける。
「この俺様がお前に、女の悦びを教えてやるよぉ…そらぁっ!」
「!?」
両手を腰の後ろでクラッチし、ナツメの体を抱えたかと思うと、いきなり宙に持ち上げられる。
足の付かない高さまで持ち上げられたナツメは空中で脚をばたばたさせるのみであった。
「な、何!?何をする気っ!?」
さらに持ち上げた状態からナツメの腿を抱え、空中でM字開脚をさせられるようなポーズにさせられる。
幹のような筋骨を持ち、岩をも砕く怪力を誇るだいおうにしか為し得ない芸当だった。
「ちょ、何これ!?離してっ、恥ずかしいから!」
股を広げた姿勢でだいおうに抱き着かれているその様は、まるで売女のようにさえ見えた。
あまりの恥ずかしさに顔を赤らめ、だいおうの腕の中で体を揺すって暴れるナツメ。
それがだいおうの罠とも知らずに。
「おぉ?良いのか、そんなに暴れて?」
ナツメの抵抗をニヤニヤと不気味な笑みを浮かべて見守るだいおう。
天を衝く勢いで反り立ったペニスの先端が、股を広げさせられたナツメの大事な所に触れた瞬間、その目論見は明かされる。
「なっ、え、うそっ!?あ、いやっ!そんなっ」
股を広げられて、持ち上げられたナツメの股の下にあったのは、だいおうのガチガチにいきり立ったペニスだった。
つまり、ナツメがもがいてだいおうの拘束が緩めば、腰が落ちて自然とだいおうのペニスがナツメの膣に挿入されてしまう。
「良いのか、この姿勢で力を緩めて?それじゃあ、お前の望み通り、ちょっと休ませてもらおうか」
注連縄の如く硬く結ばれた両手から、ゆるゆると力が抜けていく。
持ち上げられたナツメの体がどんどんだいおうの滾った欲望の源へ落ちていく。
「いやぁっ!いやだっ!誰か、誰か助けてぇえええっ!!!」
ミイラ取りがミイラになる、とはこの事か。
仲間を助けに来たはずが自身が助けを叫ぶような状況へ追い詰められてしまった。
しかし、その叫びは、鼻息を荒くして、ナツメとだいおうが一つになる瞬間を待ち侘びている道場生の興奮を煽る事しかできなかった。
ずぶっ!!ぐちゅううううううううううううっ!!!
「いやぁああああああああああああっ!!」
ナツメの腰がだいおうのペニスに向かって沈んだ瞬間、処女を奪われたナツメの悲鳴が道場内にこだまする。
血脈を浮かせてそそり立った肉の剛直が、槍のように容赦なくナツメの膣を貫く。
「あぁっ!いや、だめ!抜いてぇぇ!!」
ナツメを持ち上げた姿勢から小刻みに腰を振り、小さなストロークを何度も連発するだいおう。
そのペニスはナツメの奥深く、子宮を突き上げるように、その膣を一杯に満たす。
「あぁっ…すげぇ締まりだ…こんな気持ち良いマ○コ、味わった事ないぜぇ…」
それまで処女だったナツメの膣は、だいおうのペニスに吸い付くように、キュウキュウに締め付ける。
その膣もさる事ながらも、今最もだいおうを悦ばせているのは、あの憎きナツメの処女を奪ってやったという征服感であった。
ズボッ!クチュッ、クチャッ!ずるっ
濡れそぼったナツメの膣は、だいおうのペニスが通る度に卑猥な水音を立てる。
ナツメにはその音がだいおうの愛を受け入れているように聞こえて、屈辱的な気分にさせられる。
反対に、だいおうにとっては本能を燃え上がらせるリズムと化す。
「おい見ろよ…あのナツメが…」
「ハァ、ハァ、エロ過ぎだろ…」
「ちょっとトイレ行ってきまーす」
もはや周りの道場生も練習を放棄して、ナツメとだいおうのセックスに股間を膨らませて見入っている。
だいおうも目の前の快感を追いかけるのに精一杯で、今更怒鳴る事もない。
ナツメを犯しているという優越感と征服感のままに、腰を振りたくる。
「うおおああーーーっ!!我慢できんっ!イクぞっ!!」
長い間、禁欲を続けてきただいおうにとって、ナツメの蜜壺は毒であった。
吸い上げるような締め付けの前に2分ほどで絶頂を迎えてしまう。
いくらだいおうが百戦錬磨とはいえ、ペニスを鍛える事はできない。
「いや!中はダメ!ダメなのぉぉぉっ!あぁああああああああああっ!!」
最後の力を振り絞り、だいおうの膣内射精をなんとか逃れようともがくも、無駄な足掻きに終わる。
ナツメの心の最後の柱、理性の柱は儚くも、だいおうの白濁の前に押し流されてしまうのであった。
ドビューッ!!!ドビュッ!!ドビュビュッ!!
だいおうの腰が一瞬、電流でも走ったかのように躍動すると、秘められた思いが溢れ出す。
格闘一筋で生きてきた自分が若い女に敗れ、ジムリーダーの座を奪われる屈辱。
エスパータイプには相性上、勝つのは至難の業だという絶望。
時代遅れ、汗臭いなどと誹られる事への憤怒。
そういった積りに積った思いが、ナツメの子宮へ向かって吐き出される。
「はぁ…はぁ…」
普段の練習よりも疲れているかもしれない。
一度射精を終えると、持ち上げたナツメの体が少し重く感じられる。
多量に出し過ぎた白濁が、ナツメの膣に収まりきらず、ぱたぱたと音を立てて畳に垂れていた。
だが、本能の炎はまだ鎮まる事を良しとせず、未だくすぶっていた。
「はぁ…はぁ…え、うそ、まだ終わって…!」
白濁で満たされた膣を、グジュグジュと淫らな音を立てて、再びペニスが律動する。
「ククク、お前に舐めさせられた苦汁はこの程度では収まらんからなぁ。まだまだ、たっぷりと出させてもらうぜぇ、ナツメ」