※この作品はR-18です。

ようこそ性欲至上主義の教室へ   作:デスイーター

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 こちらは『綾小路清隆×坂柳有栖・前編』の加筆修正版です。
 秋郷さん、評価ありがとうございます。頑張ります。


8時間目~坂柳有栖の時間Ⅰ

 ──俺は結局、3人の女子との肉体関係を継続していた。

 

 櫛田や恵と違い、新たに関係を結んだ椎名は現Dクラス……これまで散々やり合ったクラスの今の纏め役であり、全幅の信頼を置くワケにはいかない相手だった。

 

 まあ、龍園からの口添えもあったから味方として見ても問題はないだろうが、それでも他クラスである以上完全な味方にはなり得ない……故に彼女との関係を続けるのはデメリットが目立つようにも思われるが、かと言って、関係を切るワケにもいかなかった。

 

 現Dクラスの纏め役である椎名とは、今後どうしても接触する機会は出て来る……天然に見えて実は頭がキレる彼女相手では、策略に不得手な平田や成長はしているものの根が純粋な堀北では不安が残る。

 

 今更Aクラスに上がる事に興味が出て来たワケではないが、堀北は櫛田との一件以降俺への接触を意図的に増やしており、現状を鑑みて残念ながらクラスの代表同士での話し合いへの同席は避けられそうにない。

 

 だからこそ、椎名とある程度親交を深めておく事は現Dクラスへの影響を考えれば必須事項だ……間違っても、関係を断って余計な溝を生むべきではないのだ。

 

 ちなみに、椎名との関係は櫛田や恵には既に明かしてある。この二人は勘が鋭く、観察力もズバ抜けている……そして、櫛田はいざという時、理屈より感情を優先する節がある。

 

 関係を隠したまま 櫛田にその事がバレた場合、彼女がどんな行動を取るのか予測が出来ないのだ。幾らか丸くなったと言っても、根本的に何をするか分からない相手である事は間違いないのだから。

 

 ならば、最初から関係を明かしてある程度の不興を買った方がまだリスクは少ないと判断したまでだ。案の定櫛田も恵も椎名と関係を結んだ事に苦言を呈しはしたが、現Dクラスとの関係を考えれば関係継続も止む無しと悟り、結果的に渋々納得した形となる。

 

 櫛田も恵も、堀北と違いAクラスに上がる事に執拗に拘っているワケではない……だが、可能であるならばAクラスで卒業したいのは事実の筈だ。その為、自分に害が及ばない範疇であればクラスの力になる事は吝かではないワケだ。

 

 櫛田はクラスよりも私情を優先した前科があるが、堀北との約束や俺との今の関係を考えれば今更裏切る可能性は低い。

 

 櫛田も今では堀北に対する感情は以前のような悪意に塗れた敵意ではなく、何処かライバルとして対峙しているかのような感情を向けている……明確な証拠があるワケではないが、以前のようなやり方で堀北を追い詰めるような真似はもうしない筈だ。

 

 勿論、椎名と関係を結んだ事に関しては櫛田は明確な不満を訴えた。櫛田は自分を()()な立ち位置に置きたいという強烈な承認欲求があり、今は俺の女になる事で()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()と考える事でその欲求を満たしている状態にある。

 

 櫛田より椎名を優先するような真似をすればどうなるか分からないが、きちんと普段から櫛田を厚遇していけば馬鹿な真似はしない筈だろう。

 

 恵の場合は、()()()()()()()()()()()()()というアイデンティティが崩されない限りは容易に揺らぐ人間ではない為、櫛田の時と違い相手が他クラスの椎名である事もあって自分の立場を脅かすものではないと判断し、櫛田程の不満は洩らさなかった。

 

 けれど俺が意図的に削り取った純情さというか乙女心的に不満があるのは確かだったので、一晩()()する事でどうにか納得して貰ったのだが。

 

 ともかく、櫛田や恵程頻繁ではないが、椎名とも時々部屋を訪れて関係を持っていた。

 椎名は他二人と違って独占欲のようなものは薄いらしく、頻繁に関係を持たずとも文句を言って来る事はなかった。

 

 椎名に関しては関係を持つ他にも一緒に小説を読んだり感想を言い合ったりするだけでも大分満足しているようで、ある意味一番健全な関係と言えた……他二人の状態が、健全とは程遠いものであるのは確かだが。

 

 しかし、最近では椎名だけではなく櫛田や恵とも中々関係を持つ事が出来ずにいた。何故ならば……坂柳の配下と思われるAクラスの生徒が、俺の周りをうろつき始めたからだ。

 

 坂柳有栖は、この学校で理事長と茶柱先生以外に唯一、俺の過去を知るAクラスの女子生徒だ。

 彼女はAクラスで葛城と勢力を二分するリーダーであり、葛城の影響力が墜ちた現在ではほぼAクラスの長と言って差し支えない存在だ。

 

 彼女はこの学園の理事長の娘でもあり、足が不自由というハンディキャップを背負ってはいるが、その頭脳は凄まじく、人心掌握の術にも長けている。

 

 俺の過去を知っている以上放置するワケにはいかない存在だが、それ以上に……俺を、一方的に敵対視している事が問題だった。

 

 俺の過去は櫛田のそれとは違い、ただ明かされただけで致命的となるものではない。そもそも、俺の過去は一口に言って常識では考えられないものであり、単に口にしただけでは戯れ言と判断されるのがオチだろう。

 

 万一俺の過去の話が周知のモノとなったとしても、既にあの男に知られている以上多少俺を見る目が変わる程度で致命的に追い込まれるワケではない筈だ。

 

 もっとも、平穏な学校生活を望む俺からしてみればそんな形で注目を浴びる事は勘弁願いたいので、可能な限り俺の過去を伏せておきたいのは確かだ。

 

 坂柳はどうやら俺を打ち負かす事に異様な拘りを持っている様子だったが、こんな形で大々的に人を動かすとは思っていなかった。

 

 彼女は自分一人だけで俺と対峙するのを望んでいる様子であった筈だが、俺が散々挑発を無視した所為で遂に堪忍袋の緒が切れたのだろうか、と勘ぐってしまう。

 

 坂柳は頭脳明晰だが、非常にプライドが高い事も分かっている。そんな相手の挑発を、俺は今まで無視し続けて来たのだ……あの好戦的な少女がいつまでも俺が盤上に上がらない事に業を煮やし、直接的な手段に訴えたのだとしても不思議はない。

 

 明言はしなかったが、坂柳が俺を敵視するのはあいつの父親である理事長が俺の事を高く評価している為だろう。

 要するに、自身の優秀さを自負するあいつにとって父親が自分以外の存在を持ち上げた事がどうしても気に食わないワケだ……兄の背に追いつきたいと願う堀北のように、坂柳もまた俺より自分の方が上である事を父親に証明したいのだろう。

 

 坂柳理事長はあの男の事もよく知っている様子だったし、坂柳の話しぶりからしてホワイトルーム時代の俺を何らかの形で目にしている様子だったから坂柳が俺へまとわりつく事を止める事は難しい。

 

 自分が()()である事に異様なまでに拘っている様子だったし、俺があいつの相手を務めるまで、あいつが止まる事はないだろう。

 

 他のクラスへ目を向けられれば俺への興味が薄れるかもしれない、とも思ったが……依然として、坂柳の俺に対する執着は消える様子がない。

 

 龍園は俺に敗北して以降積極的にクラス間の争いに関わるつもりはないようだし、人を陥れる事が苦手な一之瀬では坂柳の相手はきついだろう……遠からず坂柳が俺を盤上に上げる為の策を弄して来るとは思っていたが、それがこうまで直接的なものとは思わなかった。

 

 坂柳の配下と思われるAクラスの生徒は、特段身を隠す様子もなく俺の周りをうろついているだけで何かを仕掛けて来る様子はない。

 しかし、俺だけではなく櫛田や恵にも同じようにAクラスの生徒が張り付いている為、此処最近は櫛田や恵と関係を持つ事が出来ず、悶々とした日々を送っていた。

 

 一度女体の味を占めてしまった俺にとって、この禁欲生活は少々辛いものだった。関係を持つ女生徒の中で唯一マークされていない椎名と関係を持つという手もあったが、そんな事をすれば櫛田が何をするか分かったものではないので、事実上不可能である。

 坂柳がどういうつもりか知らないが、今の俺にとっては坂柳の行動は結果的に覿面と言えた。

 

 恐らく、坂柳は普段俺を取り合う櫛田達の様子を見て、俺の女性関係に干渉する事で俺を挑発する事を思いついたのだろう。

 弱みを見せれば、あの少女は容赦しない……女性関係を俺の弱みと見做し、配下を使う事で攻撃を仕掛けて来たのだろう……事実として俺も現状を放置するワケにはいかない為、坂柳の策は成功したと言える。

 

 今の状況が続くのは、非常によろしくない。俺の欲求不満もそうだが、櫛田や恵からも時折縋るような視線を向けられており、椎名からも無言のプレッシャーを受けている。

 

 性行為にのめり込んでいるのは、何も俺だけの話ではないのだ。このまま坂柳の行動を放置すれば、櫛田達がどういう反応をするか分からない……業腹だが、坂柳の誘いに乗るしか手はなさそうだ。

 

 Aクラスの生徒が俺達の周りに張り付き始めた頃から、1日一回のペースで坂柳から俺との接触を求める旨のメールが送られて来ている……今まではそれら全てを無視していたが、こうなっては仕方ないと割り切り俺は坂柳にメールを送り返した。

 

 ……俺は暫く返信を待つつもりだったが、メールを送って数秒も立たないうちに坂柳から長文のメールが送られて来た。

 いつ俺からメールが返信されてもいいようにチェックしていたのだろうか、と邪推するも取り敢えず坂柳のメールに目を通し、了解の旨をメールで送り返した。

 

 これで坂柳との接触準備は完了した。相手の思惑に乗った形にはなるが、何もかも思い通りにさせるつもりはない……一度、坂柳の事は何らかの形でどうにかしたいと思っていた……その機会が巡って来たと考えれば、悪い話ではない筈だ。

 

 

「お待ちしておりました、綾小路くん。ようやく私からのラブコールに応えてくれたようで、非常に嬉しいです」

 

 その日の夜、俺は寮の近くにある海辺の道で坂柳と対峙していた。待ち合わせの時間には充分余裕を持って向かった俺だったが、坂柳はいつから待っていたのか既に待ち合わせ場所に佇んでいた。

 

 俺を見る頬は微妙に上気しており、少なからず坂柳が高揚状態にある事が見て取れる。知らない人間が見れば、坂柳が俺へ告白しようとしているようにも見えるだろう。

 ……事実はそんな甘酸っぱいものではないのだが、傍目から見れば今の坂柳の態度は恋する少女のそれである事は否定し難かった。

 

「あれだけ人を張りつかせて置いてそう言えるあたり、随分面の皮が厚いんだな。ラブコールどころか、ありゃ脅迫の類だろ」

「いいえ、どんな形であれ想いを伝えるのであればそれはラブコールですよ。私は貴方と対峙するこの時を、一日千秋の想いで待ち続けていました……ならば多少のお茶目くらい、笑って許すのが男の度量というものではありませんか?」

「……あれが多少のお茶目で済むなら、ストーカー規制法は要らないだろ。お前がどういう意図を持っていたところで、迷惑行為をしでかしていたのは確かなんだからな」

 

 全く反省の色が見られない坂柳に対し苦言を呈するが、坂柳は全く笑みを崩す様子がない。それどころか俺の言葉であれば罵倒でもなんでも構わないといった様子で、頬を上気させたままこちらを見つめている。

 

「愛は倫理を超越するんですよ、綾小路くん。それは複数の女性と関係を持った貴方なら、理解している事なんじゃありませんか?」

「お得意のコールドリーディングのつもりか? 残念だが、そんな事実はない……と言っても、お前は引き下がらないんだろうな」

「ええ、櫛田さんと軽井沢さんが貴方を見る目がある時を境に明確に変わりましたからね。何より、貴方がこうして此処に現れた事が何よりの証拠です。流石の貴方も、男性の生理現象には勝てなかったご様子で……女性の身としては複雑な心境ですが、こうして自ら貴方が私の下へ来てくれた以上は歓迎せねばなりませんね」

 

 この様子では、坂柳は俺と櫛田達の関係をほぼ察しているようだ。残念ながら、俺がこうして此処に来た時点で半分以上その事を認めているようなものである為、何を言っても坂柳が意見を変える事はないだろう。

 

「歓迎、ね……一体、何をしてくれるって言うんだ? こっちは散々迷惑を被ってんだ。正直、詫びの一つでもして欲しい気分だよ」

「お詫びですか? そうですね……それなら、私の身体……というのは如何でしょう?」

「……へぇ……」

 

 内心、()()()と叫びながら俺は坂柳の姿を凝視した。わざとお尻や胸元に視線を向け、傍目から見て邪心があるように演出する……案の定、俺のそんな視線を察知した坂柳は深い笑みを浮かべた。

 

「ふふ、流石に複数人と関係を持つだけあって性欲旺盛ですね。私の身体に欲情するのは結構ですが、そういった不躾な視線はどうかと思いますよ」

 

 咎めるような口調だが、坂柳の声は喜色に満ちている。以前の高円寺とのやり取りを見る限り、坂柳が自分の年齢不相応の未成熟な肉体に何らかのコンプレックスがある事は明らかだ。

 

 俺はそんな彼女に敢えて性的な視線を向ける事で、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()と思わせる事で坂柳の自尊心を満たしたワケだ。

 

 ……坂柳は、非常にプライドが高い少女だ。表面上取り繕ってはいるが、彼女もまた櫛田と同じく自身の感情を第一に行動している……そんな彼女だからこそ、()()()は有効な手段なのだ。

 

 自分の上位を確信した人間は、非常に口が軽くなり警戒心も薄れてしまう。坂柳は自分で感情を制御しているつもりだろうが、彼女は自分の自尊心の高さを甘く見ている。

 

 彼女のようなタイプは自分自身が驕っている自覚はなく、()()()()を知らぬ間に取り違えてしまう……俺はそんな坂柳の弱点を、これから徹底的に突くつもりでいる。

 

「お前から言い出した事だろう? ともあれ、こっちとしては安易に信じる事は出来ないな……お前を襲おうとした所を撮影して弱みを握る、なんて事も考えられる。配下の人間を使えば、簡単な事だろう?」

「……ふふ、この期に及んでそんな無粋な真似は致しませんよ。ですが、綾小路くんが私を疑う気持ちも分かります……それなら、これでどうでしょう?」

「……っ!」

 

 坂柳はにこりと笑うといきなり持っていた杖を投げ捨て、そのまま俺に向かって倒れ込んで来た。俺は咄嗟に坂柳の身体を抱き留め、柔らかな少女の身体が俺の身体に密着する……杖はそのまま海に落下し、水音と共に沈んで行った。

 

「これで、私は自力で動く事が出来ません。貞操を含め、生殺与奪を貴方に握られた状態にあります……さあ、後は好きな所に連れ込んで結構ですよ。今日はAクラスの方々には櫛田さんと軽井沢さんの監視に回って貰っていますので、途中で彼女達に乱入される心配もありません……それとも、今更怖気づいたとか言いませんよね?」

 

 坂柳は俺に寄りかかったまま、鬼の首を取ったかのような表情でそう告げた。坂柳の足が不自由なのは、事実だ。彼女は車椅子ではなく、杖を使って歩いている……だからこそ足の不自由な人間特有の動きが顕著に出ており、それが演技でない事は見れば分かる。

 

 彼女は現実問題として、この場で俺が支えを放棄すればそのまま地面に崩れ落ちるだろう……それを分かった上で、坂柳は自分を人質にして俺を相手に要求を通そうとしているのだ。

 そんな坂柳の思惑を承知の上で、俺はその思惑に乗る事を選んだ。俺も俺で、何も考えていないワケではないのだから。

 

「……そこまで言うなら、望み通りにしてやるよ。お前を背負って歩くと目立つし、予備の杖があるなら自力で歩いて欲しいんだが……」

「予備の杖はありますが、今は持ち歩いていません。それに、誰かに見られても杖を落としてしまった私を見かねて部屋へ連れて行く最中と言えばどうとでもなります……そもそも、今の時間帯は、生徒が出歩く事は殆どありませんしね」

 

 どうやら、坂柳は最初から俺に背負われて行くつもりだったようだ。今日は杖を突く音がいつもと違っていたし、先程投げ捨てた杖は予め此処で使い捨てる予定だった安物だったのだろう。

 

 車椅子ではなく杖を使っていた事から支えさえあれば歩く事は出来る筈だが、足の不自由な人間を介助しながら歩くのは周囲を警戒しつつ肩を貸して歩く事になる為、想像以上に体力を使う。それならば、相手の体重にもよるが背負って歩った方が疲労度としてはまだマシだ。

 

 俺は不承不承といった様子で坂柳に背を向けて彼女に腕を回して貰い、坂柳を背負い込んだ。俺は柔らかな少女の感触を背中に感じつつ、寮へ向かって歩き始めた。

 

 街灯の灯りだけが頼りの夜闇の中、俺と坂柳は図らずも同時に笑みを浮かべた……此処からが本番だ、と俺達は共に理解していた……それがどういう意味なのかは、すぐに分かる事になるだろう。




 というわけで坂柳編その1です。今までと違ったロリ系のキャラなので、また違った良さがあるんですよね。
 足の不自由な人を連れて歩くのって、想像以上に気を遣うんですよね。他人や障害物にぶつからないように警戒しながら歩かなきゃいけないし、施設内ならともかく街中とかだと足の障害の程度にもよりますが杖も歩行器もなしに歩かせるのは無茶です。それを分かった上で、坂柳は杖を手放したワケですが。
 坂柳編は3話構成になっていて、濡れ場は3話目のみです。結構筆が滑ってしまって…
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