リリカル龍騎ライダーズinミッドチルダ R-18 作:ロンギヌス
メインは龍騎本編にも登場したあのライダーです。
それではどうぞ。
それは、今はもう誰にも語られる事のない物語……
「「ハァッ!!!」」
ガキィンッ!!
ミラーワールド、とある街中。ミラーワールドの環境音だけが聞こえ、白い霧でイマイチ視界が悪いこの場所では現在、人と人が争っているかのような掛け声と、金属同士がぶつかり合っているかのような音がうるさく鳴り響いていた。その白い霧の中、街路樹をへし折る勢いで吹き飛んだのは、白銀の鎧を纏った白虎の戦士だった。
「ぐはぁ!?」
「ハァァァァァ……!!」
へし折れた街路樹がズズゥンと音を立てて倒れる中、吹き飛んだ白虎の戦士―――“仮面ライダータイガ”は地面を何度も転がされ、そこにサーベル状の武器を構えた毒蛇の戦士―――“仮面ライダー王蛇”が首を回してゴキゴキ鳴らしながら迫り来る。
「ぐっ……はぁ、はぁ……!!」
「おいどうした、もう終わりかぁ……?」
「がっ……!?」
煙の出ている胸部を押さえながら、何とかその場から起き上がろうとするタイガ。そんなタイガを見下ろしながら、王蛇はその手に構えたサーベル状の武器―――“ベノサーベル”を振り下ろし、起き上がろうとしたタイガの頭部に命中し彼を地面に薙ぎ倒す。
「もっと戦えよ……英雄なんだろぉ? お前……!!」
「が、ごはっ……あぐぁ!?」
何度もベノサーベルが振り下ろされ、タイガの胸部装甲から何度も火花が散らされる。続けて王蛇の右足がタイガの腹部を力強く踏みつけ、タイガの苦しそうな呻き声が上がる。
「はぁ、はぁ……ぐ、ぅう……ッ!!」
「……つまらん、その程度か」
王蛇に蹴り転がされ、うつ伏せの状態になったタイガはそれでもなお地面を這いずり、王蛇の目の前から必死に逃げ出そうとする。その様子を見ていた王蛇はタイガをいたぶるのに飽きてきたのか、苛立ちの混ざった溜め息をつきながらベノサーベルを振り上げ、タイガの背中に振り下ろそうとした……その時。
≪STRIKE VENT≫
「うぉあっ!?」
「ッ……?」
ベノサーベルがタイガの背中に叩きつけられようとした瞬間。どこからか飛んで来た水流が王蛇を押し流し、近くのビルの壁に叩きつけた。王蛇が吹き飛んだ事に気付いたタイガは、仮面の下で困惑の表情を浮かべる。
「あの、そこの人!!」
そこに、王蛇やタイガとは別の戦士が姿を現した。両腕に鮫のような形状の手甲を装備した鮫の戦士が、倒れているタイガの傍まで駆け寄り、右腕の手甲を外してタイガの体を起こし上げる。
「大丈夫ですか!? しっかりして下さい!!」
「う、ぅ……君、は……?」
「掴まって下さい、私の肩に腕を……ッ!!」
タイガの腕を自身の肩に回そうとした鮫の戦士―――“仮面ライダーアビス”はすぐに左腕を振り上げ、鮫の手甲を模した召喚機―――“アビスバイザー”から大きな金属音が鳴り響く。アビスが見上げた先には、ベノサーベルをアビスバイザーで受け止められている王蛇の姿があった。
「邪魔するなよ……それとも、お前が俺の相手をしてくれるのか……?」
「ッ……浅倉威……!!」
アビスの左足が王蛇の腹部を蹴りつけ、王蛇が後退した隙にアビスバイザーから水のエネルギー弾が放射される。飛んで来るエネルギー弾を王蛇がベノサーベルでしっかり防御する中、アビスはうつ伏せのままこちらを見ているタイガに叫びかける。
「逃げて下さい、早く!!」
「ッ……」
アビスに促されたタイガは、残る力を振り絞って何とか立ち上がり、フラフラと歩きながらどこかに逃げ去って行く。その一方、アビスは再び襲い掛かって来た王蛇のベノサーベルをアビスバイザーで受け止め、2人は互いの肩を掴み合う。
「お前の方が、さっきの奴より楽しめそうだぁ……!!」
「させません……あなたにこれ以上、人は殺させる訳には……!!」
「……ハッハァ!!!」
王蛇がアビスバイザーを蹴り上げ、ベノサーベルの一撃がアビスの装甲に打ちつけられる。アビスは仮面の下で苦悶の表情を浮かべるもすぐに体勢を立て直し、アビスバイザーを王蛇の装甲に叩きつけて怯ませる。2人の戦士の戦いは、ミラーワールドで活動できるタイムリミットが迫るまで続いていく。
「はぁ……はぁ……」
一方、現実世界。ミラーワールドから帰還したタイガは変身を解除し、青年の姿に戻っていた。額から僅かに赤い血が流れる中、青年は壁伝いにどこかへ歩き去ろうとするが……
「ッ……」
王蛇との戦いで傷を負い過ぎた為に、青年は途中で力尽き再び倒れ込んでしまった。青年は立ち上がろうとするも、今度は腕に力が入らず起き上がれそうになかった。
「……今日は、ちょっと……調子悪かったかな……?」
青年の顔に笑みが浮かび上がる。王蛇に追い詰められてボロボロであるにも関わらず、彼はそんな事を呟いた。
(先生……僕、ちゃんと強くなれた、かな……)
視界がぼやけていく中、青年の脳裏に浮かび上がったのは今は亡き恩師の姿。青年はその後も薄い笑みを浮かべながら、その意識はどんどん闇の中へと沈んでいく。
(これで、また……僕は……英雄、に……)
「―――すか―――て下さ―――」
誰かの呼ぶ声が聞こえるような気がした。
ただそれだけ考えてから、青年は完全に意識を失ってしまうのだった。
それから月日が経ち……
「―――ぅ、んん」
青年は静かに目を覚ました。窓の外から照らされる日の光、そして窓の外から聞こえて来る鳥の囀りを聞いて、青年は包んでいたフカフカの布団を捲り、ゆっくり体を起こす。
(……朝か)
ベッドの横の棚に置かれている目覚まし時計。その短針は7時を指しており、今が朝だと認識した青年は少しずつ意識がハッキリしていく。起き上がった青年は部屋を出た後、欠伸をしながらも階段を1段ずつ降りていき、眠気を覚ます為に台所まで移動する。
「~♪」
台所には既に先客がいた。花柄模様の可愛らしいエプロンを巻いたその女性は、鼻歌を歌いながらこの日の朝食を作っており、流し台に設置されている三角コーナーに卵の殻がある事、ジュージュー音を鳴らしているフライパンから胡椒の香りがする事から、彼女は目玉焼きを作ろうとしているのだと青年は察した。
「おはよう、
青年はにこやかに笑いながら、調理中の女性に後ろから呼びかける。青年から“
「あ、悟さん。おはようございます♪」
青年……名前は
これは今ではもう語られる事のない、彼のちょっとした物語の1つである。
To be continued……
御覧の通り、今回のストーリーは『エピソード・タイガ』です。
何故こんな話を書き始めたのかと言うと、特に深い理由はありません。何故か思い付いたから取り敢えず書きたかっただけです←
ちなみに、今回登場したアビスの台詞に違和感を感じた方は、通常版のとある短編を見直して来たらその理由がわかると思います。