異世界転移心が躍る。こんなに心が躍ったのは二度目だ。一回目は転生できると言われ際だ。転生特典は「最高峰の魔術師」だ。
因みに転生前の俺は親に捨てられた施設の子供だった。俺自身は親の顔なんて見たことも無く、もし「私が貴方の親なのよ」と母親が出て来ても「もしもしポリスメン?」する自信がある。
まぁその後、心優しい老夫婦に引き取られ大学院まで行かせてくれた。しかし、大学院卒業祝いで行ったレストランに居眠り運転のトレーラーが衝突。俺は左腕を無くす重症。俺を引き取ってくれた老夫婦はトレーラーに引かれ即死だった。たいした親孝行も出来ず、自身も腕を無くす大けが。数ヶ月後、左腕は無くなってしまったが会社には無事就職出来た。そして、当面の目標も出来た。あの老夫婦………父さんと母さんの立派な墓を作る。
初任給も墓の建築費に充て、それだけを目標に仕事をしていった。御陰で、立派な墓も出来た。左腕が無い所為で周りから異端な者を見る目で見られたが目標の為にここまでしたんだ。後悔は無い。
後は、この墓の維持費を稼ぎ父さんや母さんが生前言っていた「恋人を作る」事にもいい加減目を向けなければならないかもしれない。
俺は父さんや母さんがまだ生きていたときからアニメが好きだった。だからこそ、大学院を出てアニメ関係の会社に就職したんだ。まぁ、社内は女性も結構居るが男性の方が圧倒的に多い。
つまりだ、何が言いたいかと言うと出会いが少ない!
この世界は残酷だ。アニメみたいなラブコメが存在するわけでも無く、どこぞのラノベみたいにニコポナポがあるわけでも無い。どこぞのドラマCDの様にヤンデレで可愛らしい妹が居るわけでも無い。
合コンに行っても機械で出来た義手が俺の邪魔をする。周りの男性も段々俺を合コンに誘わなくなってきた。何処にも出会いが落ちてない。出会いは何処?………ここ?
そして会社で働いて家でアニメを見てゲームして会社で働いてそんな日常を過ごしていた。入社してから既に十年以上過ぎ義弟他と思う。既に現実に諦め、アニメに逃げ寝るときは「不出来な義息子でごめん」と枕を濡らす日々。
段々俺の心は疲弊していった。いや、摩耗していったの方が正しいか。
そしてある日、いつも通りフラフラ目の下に隈を作りながら会社から退社し、帰るとき俺の目の前に恐らく祖母と祖父であろう人物と手を繋いで嬉しそうに笑っている少年が前から歩いてきた。
それを見て俺はかつての俺と父さん母さんを思い出した。
あの頃はこの日常が何時までも続くものだと莫迦みたいに思っていた。施設という愛の無い、いや、愛はあったがアレは博愛と言うんだろう。個人に降り注がれる愛に飢えていた俺は父さんや母さんに依存していたのかもしれない。仕事のしすぎや徹夜でのゲーム、アニメ鑑賞のし過ぎで鈍化した頭で考える。
そんな事を考えているとその祖父母とその孫らしき人物の背後から猛スピードで突っ込んでくる軽乗用車を見た。距離こそまだあるが直ぐにあの三人にぶつかるだろう。声を出そうにも声が出ない。そもそも、最近まともに声を出した記憶が無い。常に「うん」「了解」「終わった」と一言しか喋らなかったのが祟ったのだろうか。
俺は無我夢中で三人を横に突き飛ばした。驚いたような顔をする三人これで車に跳ねられない。そう安心した瞬間俺の体は中に浮いた。
正確には撥ねられた。軽自動車だろうと車と人間では重さが違う。それなりのスピードを出した車に成人男性が撥ねられたら空を飛ぶのも通りだ。
見事撥ねられ地面にドシャリと落ちゴロゴロと暫く転がる。残っていた右腕の感覚も無い。異常な寒気と眠気、なんとなく死期が迫っているのが分かる。聴力が落ちる。
遠くで何か言っている。聞こえない。何を言っているのだろうか。苦しい。肋が肺に刺さったのだろうか。分からない。痛覚も機能しなくなった。寒い、眠い、寒い、眠い、寒い眠い寒い眠い寒い眠い寒い眠い寒い眠い寒い眠い寒い眠い寒い眠い寒い眠い寒い眠い寒い眠い寒い眠い寒い眠い寒い眠い寒い眠い寒い眠い寒い。
めのまえがまっくらだ。うえもしたもわからない。ここはどこだ?
おれはしんだのか?
「おめでとう御座います。十億人目の死者さん、現在区切りの良い数字の方に憧れた能力を持って転生させるキャンペーンを実施しております。拒否権はありません。もし、信じていただけないのなら。適当に貴方の好きな能力を言って下さい。言うだけ
そして、気が付けば俺は赤子になっており幼稚園から全部やり直しをくらったのである。
因みに、親に隠れて魔術の練習はした。そして、中学に入った頃それは起こった。
滅亡を見た。
悲劇を見た。
悍ましい悪意を見た。
苦しみと悲観の混ざった未来を見た。
怨嗟と嫌悪、あらゆる悪意の凝縮体を見た。
俺は狂った。人一人ではどうにもならない痛ましく悍ましいモノを見せられ、俺の精神は狂った。
いや、元から狂っていたのかもしれない。
これまで常識だと思っていたことが常識と思えなくなった。感情の起伏が激しくなり、相手がテンションが高いと俺のテンションも高くなるようになった。
俺は何を願ってしまったのだろう。俺は、ナニに願ってしまったのだろう。
今更、撤回は出来ない。この現代社会に魔術はあまりにも異端なのは狂ってしまっても分かる。それを隠し、生きるのは不便だと俺の中に居る者達が叫んでいる。
そして高校生へと進級し歳を重ねるごとに時を刻むごとに狂った俺の体は段々違うモノに変わっている。俺は如何すれば良かったのだろうか。俺は、何処で選択を間違えたのだ?
「うっそぉ…………………………」
「…………………………なんだ?」
気が付けば
老人は頭を抱え、ボソボソと何かを言っている断片的に「もう一人見落としていたとは……」や「主よ、これも試練ですか」等と言っている。
今の私には何が何だか分からない何十人も一斉に喋るから余計に分からない。
「のう、お主なんで此所に居る?」
「ここ?………………………そう言えば此所は何処だ?私は教室に作った神殿で時間を潰していたはずだが」
「それが原因んんんんんんんんんんんんんんんんんんん!?!?!?!?」
老人は頭を抱えてヘッドバンキングし始めた。最近の老人は頭が可笑しいのかよく分かった。
とりあえず、目が逝っている老人を落ち着けねばならない。如何するか。
そんな事を考えていると老人は私を指さしこう叫んだ。
「お主の魂に問いかけ、そしてそれに最も最適な特典をやるからさっさと行くのじゃ!」
「……………………………は?」
「とりあえず、さらばじゃあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!」
理解できない間に何処かへと私は飛ばされた。
そして、気が付くと私は河を流されていた。制服が水を含んで重いが微妙に浮いている。息だけは出来る状態だ。それと同時に私はもう一度壊れた。
頭の中に響く人類に対しての憎悪の声、冤罪をでっち上げ優雅な暮らしをした者達への恨みの声、神に自身の運命を歪められたと呪う声、神と人に歪められた事を憎む声、この世の全ての悪であれとまつられた者の声、人々の謂われなき噂によって人物像を歪められた者の声、自身を否定した国に対する憎悪の声。声声声声声声声。
頭が割れそうになるほどの憎悪の声。魂すら汚染し、自我の破壊すらし始める。至急自我のバックアップを取る。記憶、口調、癖、前世の過去、全てを一つの陣にインプット。バックアップは随時更新しなければならないな。
バックアップのことすら忘れていれば私は崩壊するだろう。まぁ、それも運命かもしれないな。
あと、私では止まることも出来ないので誰か河から引き上げて下さい。
そう言えばこれ書いている時のFGOピックアップはスカサハ・スカディですね。ちょうど明日は乳上もピックアップに加わります。
……………回すか。