この素晴らしい「お願いカード」でいちゃラブを! 作:GA 飛びイカ
二人の心情に変化が出てきます。
「エクスプロージョン!!!」
森の木々の間から力強い声が響き渡る。
めぐみんの唯一にして最強の魔法、爆裂魔法が発動する。
目標は森を抜け、その先にある大岩。
かなり距離があるが、最近のめぐみんの爆裂魔法は威力が大きすぎて、射程ギリギリにしないと土埃などで服が汚れてしまうのだ。
今日はこの後に予定があるため、なるべく服を汚したくなかった。
「っふ、今日の爆裂魔法も最高でした・・・」
めぐみんが魔力切れで地面に倒れ込む。
今までならそこで爆裂魔法の採点をしてから、ドレインタッチで魔力を分け与えるのだが、今日は先に魔力を流してやる。
「それで、今日の爆裂魔法は何点でしたか?」
魔力を得たことで立ち上がっためぐみんだが、今は俺の腕の中にいる。
そう、以前言っていたハグをしながらのいちゃつき爆裂魔法採点だ。
「今回の爆裂魔法は威力は申し分ない上に、この後の予定を考慮して遠くに目標を設定し爆風を抑えていた!98点を進呈しよう!」
「ありがとうございます!ありがとうございます!ありがとうございます!」
めぐみんが感謝しながら俺の胸板へぐりぐりと頭を擦りつける。
「ちなみに2点の減点は魔力のタメがいつもよりも出来ていなかったからだ。魔法発動前の魔力のねりも急いた感じがしたな」
そう告げると、めぐみんは驚いたように俺を見上げた。
「まさか爆裂魔法の出来だけでなく、その前の魔力の流れも考慮に入れるとは流石ですね。確かに今日の爆裂魔法は1拍魔力のタメが完了する前に撃ってしまいました。」
「甘く見るなよめぐみん。お前が日々爆裂魔法を向上させているように俺だってソムリエとしての腕を磨いているのだ」
「ならばその意志は私達の子供にも受け継がなくてはなりません」
「それはない」
俺の否定の言葉にめぐみんは背中に回していた腕に力を込め締め上げてきた。
「いででででで!」
「そこは話を合わせてくださいよ!」
こいつといいダクネスといい下手な前衛職よりも腕力があるんじゃないか?
俺は謝罪と共にめぐみんの暴力ハグから脱出すると、例え子供ができてもおしとやかに育てようと決めていた。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「まさか髪が塗れていることでバレそうになるとは思わなかったな」
「笑い事ではないですよ。何とか誤魔化せたからいいものを」
2枚目のお願いカードでみんなに内緒で一緒にお風呂に入った俺たちだったが、二人とも髪が塗れているという点でダクネスにバレそうになったのだ。
言い訳としてめぐみんが入った後に俺が起きて、寝汗を流すために入ったという事にした。
かなり苦しい言い訳だったが疑われつつも何とか通った。
めぐみんの髪は乾きつつあったのに対し、俺の髪はついさっきまで入っていたのではという位に濡れていたからだ。
なんのことはない、めぐみんはちゃんと頭を拭いたのに対し俺は面倒がって適当に拭いただけなのだが。
そんな訳で夕飯後に会う約束をしていたのだが、今日は深夜に差し迫る時間まで遅くしていた。
「でも、ドキドキしたし最悪バレても・・・大丈夫だろ」
「まあ、ダクネスにお風呂のことがバレても問題はないですね」
そもそもダクネスは故意に風呂に乱入してきた前科があるのだから、俺とめぐみんが風呂に入ったとしてもそれを咎めることは出来ないはずだ。
「ですが、なるべく秘密にはしておきたいですね。ダクネスの気持ちを考えると」
ダクネスは俺の事が好きなのだ。だけど振られた。
そんなダクネスのことを考えると仲間想いのめぐみんとしては複雑なのだろう。
俺としては、どうにもしてやれそうにないが。
「ダクネスのことは時間が解決してくれるだろうさ」
「それってなにも考えてないのと一緒じゃないですか?」
めぐみんがジト目で見てくるが実際問題俺に出来ることは何もないのだから放置するしかない。
「仕方ないだろ。それより3枚目のカードの内容は決めてあるか?」
「えぇ、問題ありません。」
いつものようにいっせーのーせでカードを見せあう。そこにはこう書かれていた。
「一緒にゲーム」
「街デート」
・・・・・・・
デート、ようやく来たか。
「このカードの目的が関係の進展というならば、デートは避けては通れないはずです」
「いや、結構予想外でさ。めぐみんのことだから1枚目にデートって書くもんだと思ってたんだよ」
めぐみんの1枚目のお願いは「好きな所を言う」。2枚目は「毎日ハグする」だった。
3枚目にしてデートなのが驚きだったし、もしかしたら最後まで来ないかもしれないとも思っていた。
「1枚目はカズマの気持ちが知りたかったですしね。好き同士でないならデートしても仕方ないでしょう?」
その言葉を「とりあえずデートしてみよ?」ってナンパするチャラ男たちに聞かせてやりたい。
「2枚目は・・・デートにするつもりでしたが、ハグが予想以上に良かったので変則的に入れ替えました」
そういってはにかみながら笑った。
最近思ったのがハグをするようになってからめぐみんは笑う事が多くなったように思う。
めぐみんの言う精神的安心感が影響してるのかもしれないな。
「それで、カズマの言う一緒にゲームとはどういうことです?ゲームなら結構やってませんか?」
めぐみんが疑問を投げかけた。
確かに2人であのくそったれなルールのボードゲームをやったり、みんなでゲームガールをプレイしたりは過去にもあったからだ。
「めぐみん、俺の国ではな「お家デート」なるものがあるのだよ。どっちかの家に行き、そこで一緒に遊んで親睦を深めるといった感じだな。そういった時に一緒にやるのがゲームガールのようなゲームなんだよ」
「お家デートといっても私達は同じ屋敷に住んでるではないですか」
「いやいや!ここで言う「お家」は家と言うよりも「部屋」なんだよ。相手の部屋に行ってドキドキしながら同じことをする。それが新密度を上げる秘訣なんだ」
「ふむ、お家デートの有用性はわかりました。ですがそれならボードゲームでいいじゃないですか。どうしてゲームガールなのです?」
「まず1つ目は俺があのゲームが嫌いだからだ。それに対戦型だと下手したらギスギスする可能性がある。その点ゲームガールは一人用だから喧嘩も起きない。それに俺が攻略法を教えてめぐみんがプレイする、とかなら協力感もでてより一層仲良くなれそうだしな」
めぐみんが「なるほど」と首肯し、明日の爆裂散歩の後に街デートをし、帰ってきたら一緒にゲームをするお家デートということになった。
奇しくもデート被りだが、逆にまとめていっぺんに出来たのだから都合が良さそうだ。
「それでは明日は爆裂散歩からのデートですからね、早めに起きてくださいよ」
「それが一番の問題なんだよな。なぁ、デートは深夜からにしないか?」
「どこに深夜にデートするカップルがいるんですか。馬鹿な事言わないでくださいよ」
「いや、深夜デートならそのまま宿屋に行って朝帰りコースになるな、と」
「最低です!最低ですよこの男!普段は責任を取りたくないとか言っておいて結局やりたいだけではないですか!」
「おい!もう夜も遅いんだ!年頃の娘がやりたいとか叫ぶな!ご近所迷惑になるだろうが!」
「あなたが馬鹿なことを言い出したんでしょうが!はぁ、もういいですよ。・・・それじゃ、ん」
そう言ってめぐみんは両手を広げる。
毎日ハグの日課はお風呂に入る前に済ませたはずなのだが・・・。まぁいいか。
ぎゅ。
めぐみんの身体を抱きしめる。
「明日のデート楽しみですね」
「ん、まぁな」
そっけない感じになってしまったが、ごめんなさい実はめちゃくちゃ楽しみです。
「ふふ、カズマも楽しみのようで何よりです」
めぐみんにはバレているようだった。
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爆裂魔法を撃ち終わった俺たちはアクセルの街の入り口まで戻ってきていた。
時間はお昼前。結構早めに屋敷を出たが、それでも行って帰ってこの時間になってしまっていた。
「それで、街デートはどんなプランなんだ?」
デートを言い出したのはめぐみんだったので俺はノープランのままここまで帰ってきたのだが、昼近くだし予定を変更して先に昼食を食べたりする必要があるだろう。
「え?デートプランはカズマが決めるんじゃないんですか?」
おい。
「いやいや!街デートって言い出したのはめぐみんだろ!?ならデートの予定を決めるのもめぐみんだろ!?」
「確かにそうですが年下の女の子にデートプランを丸投げって男としてどうなんですか!?」
「おい、その言葉は真の男女平等主義者の俺に喧嘩を売る一言だぞ!言いたい事があるなら聞こうじゃないか!」
「私の口癖を真似しないでください!」
「そもそも考えてないならもっと早く言えっての!そうすりゃいくらでも考えたってのに」
「それは、すみません。カズマとデートだって思ってたら浮かれてしまい後はもう何も・・・」
「いや、そう言われると責めづらいんだが・・・」
実の所俺もめぐみんとのデートに浮かれてなーんにも考えてなかったのは事実だ。
ぎゃーぎゃーと喧嘩した後にテレテレと恥ずかしがってると、街の門を守る守衛さんが声をかけてきた。
「あー、あんたら痴話ゲンカをするなら別の場所にしてくれ?ここは出入りが激しいからすぐ街中の噂になるしな」
その言葉を聞くや否や、俺たちは慌てて場所を移したのだった。
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「まずは飯にしよう」
門から離れた俺達は目的もなく歩き出したが、時刻はちょうどお昼だ。
昼食を食べながらこの後のことを決めるには持って来いだった。
「ですが、私はあんまり外食しませんし、ご飯が食べれそうな場所としてはギルドしか思いつきませんよ」
めぐみんは倹約家なので無駄な外食などせずなるべく自炊するし、たまに外食するときも味と価格が手ごろなギルドで食事するようだった。
「まぁ、そこは任せておけ。だてにアクアと食べ歩きをした訳じゃない」
この近くにはアクアと食べ歩きした時に星2つを付けたレストランがあったはずだ。
そこはアクセルでは珍しい魚介中心としたレストランで、内陸にあるアクセルでありながら新鮮な魚介を提供してくれる店だった。まぁ、この世界では畑で取れる魚介類も多いのだが。
レストランということで雰囲気も悪くないし、即席で決めたデートの昼食としては上出来であると思えた。
ここはひとつ俺の美食家としての一面をめぐみんにアピールしておくとするか。
店の近くまで来ると目当ての店の前に行列が出来ていた。
お昼時という事もあり多少混んでいることは想定していたが、こんな行列ができるほどというのは予想外だ。
「おいおい、どうしてこんな混んでいるんだ?前に来たときも繁盛してたけどここまでの混みようじゃなかったぞ」
新鮮な魚介を提供するということで運送料もかかるのか、この店の価格は周りの店に比べて少々お高めだ。それ故この店は味は良いが適度な集客性で穴場だと思っていたのだが。
「それは、やっぱりあれですよ。私達含めて冒険者が大物賞金首を狩って一時的に懐が豊かになったのが原因でしょうね」
めぐみんの考察によると俺達や俺達に協力した冒険者が大物賞金首を狩ったことで例年よりも冒険者の財布が重くなり散財。そのおかげで街全体の景気が上昇し、このお店のような少しお高い価格でも昼食の選択肢になったのではないか。とのことだった。
まぁ、肝心の冒険者連中は納税騒動なんかで再び財布が軽くなっていて、この行列には冒険者らしき人物は並んでいないのだけれども。
「つまり、僕達がこの街の活性化を促し、経済を回しているということだね」
「なんですかその口調は。経済を回しているという自覚があるのなら毎日仕事をしてくださいよ」
まるでダクネスの様なことを言い出しためぐみんだが、仕事をしなくても許してくれそうな雰囲気を出していた。前にも俺が働かなくなったら養う的なことを言っていたし。
いや、ヒモになるつもりはないけどな。
「それでどうします?この行列に並びます?それとも別の店にしますか?」
「ううーん。正直この行列に並んでいたら昼食というよりおやつの時間になっちまうな」
食事だけの約束ならそれでも構わないのだが、今日はデートだ。
食事をしたあともどこかに寄っていきたいと思っている。食事も大事だがそればっかりに時間は割けないのだ。
「あ、あそこなんてどうです?並んではいますがお客の回転率が早くて、そこまで時間はかからなそうですよ」
めぐみんが指さしたのは昼は定食屋、夜は酒場兼宿屋のアクセルの街では一般的な飯屋だった。
いわゆる安い・早い・そこそこ美味いって奴だな。
「めぐみんがあそこでいいならいいけど、俺の国ではデートでああいう店を選ぶ男は地雷だって言われてたぞ」
「カズマの国は面倒ですね。その時々で最適な店を選べばいいだけではないですか。早く並びましょう」
男勝りでさっぱりとした性格のめぐみんは気にならないらしい。俺も相手が気にしないなら気楽なこっちの方が助かるけどな。
わずかな時間行列に並んだが割とすぐに中に入れた。
店の中は喧騒につつまれているが悪い雰囲気ではない。ギルドの食堂に近いな。
「俺は今日の定食①で」
「私は今日の定食②のご飯大盛りで」
席についてメニューをみると、飲み物の他は定食①と定食②しかなかった。
これなら確かに客の回転率も上がるだろう。
というか
「こういう店って結構盛りがいいんだが、ご飯大盛りにして大丈夫なのか?」
「我が家の家訓は「食べられるときに食べる」ですからね。問題ありません」
確かにめぐみんは見た目に反して結構食が太い。
それに今日は早めに屋敷を出たのでお腹も空いていたのだろう。本人が大丈夫って言うなら大丈夫なのだろう。
料理はすぐに来た。
メニューの数が絞られているし、ある程度は作り置きされていたのだろう。
俺の定食①はなじみの蛙の唐揚げがメインにちょっとした付け合せにご飯とみそ汁だ。
めぐみんの方の定食②はメインが蛙のハンバーグという以外は俺と同じだった。
味は、結構うまかった。
ギルドの食堂とは少し味付けが違う性か、飽きずに食べられそうだ。
めぐみんも上機嫌にぱくついているし、ここは当たりの店だったな。
唐揚げの味も分かったことだし、箸休めに付け合せの野菜を食べようかと思った・・・が、俺の苦手なブロッコリーがあったためさりげなく皿の端に寄せた。
「あ、ダメですよカズマ、野菜も食べないと。栄養が偏ってしまいます。」
「いやでも、「苦手な物を無理して食べるな」が我が家の家訓だからな」
「それ嘘ですよね」
めぐみんに目を付けられた以上、食べないわけにはいかないが・・・。
どうにか話をそらせないかな。
「野菜を残すなって、まるでめぐみんは俺の母ちゃんみたいなこと言うんだな」
「まぁいつかカズマには「母さん」と呼ばれたいですからね」
こいつは。どうしてこういうことをさらっと言えるんだ。
恥ずかしさを隠すために無理やりブロッコリーを食べると、めぐみんはそれをにっこりと見つめていた。
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食事を済ませた俺達は雑貨屋に来ていた。
なんでもめぐみんが買いたいものがあるとのことだったので、ちょうどいいとばかりに寄ったのだ。
こういう雑貨屋では大抵女の買い物は長くなると相場が決まっているのだが。
「へぇ~こんな物まであるんだな、おいめぐみん、これなんかいいんじゃないか?」
「カズマ、もう私の買う物は選び終わったのですから後はカズマの物だけですからね」
めぐみんは余分な買い物をしない主義なのか、目当てのものを見つけるとすぐに会計を済ませてしまった。
一方俺の方は特に買いたいものがなかったためかあれこれと目移りしてしまい、結果男の俺が女のめぐみんを待たせるという結果になってしまっていた。
「デートで女の長い買い物に付き合う、ってのもある意味醍醐味みたいなものだからな」
「今はカズマの長い買い物に私が付き合ってるんですけどね」
結局俺はとあるキーホルダーのような物を買って店を出た。
店の外に出ると、めぐみんは早速買ったばかりの品物を取り出してきた。
「それではこれはカズマに上げますね。どこか目立つ場所に付けてくれると嬉しいのですが」
めぐみんが取り出したのは小さな剣の形をしたピンバッジのような物で、服に付けられるような代物だ。
剣の柄やバッジ全体の色は緑色で、そこは俺の外套の色に合わせたのだろう。
「これは?ピンバッジか?」
「まぁ、お守りみたいなものです」
お守りと言えば前にめぐみんが作ってくれた、みんなの髪の毛入りお守りがある。
俺の胸の内ポケット入れて肌身離さず持ち歩いている訳だが、これは目立つ場所にということなので左胸の少し下、白地の部分に取り付けた。これなら目立つだろう。
「あー、俺もめぐみんにプレゼントがあるんだが」
俺も先ほど買ったキーホルダーを取り出した。
それはくつろぐ黒猫をかたどった物で、猫には小さな鈴が付いていた。
キーホルダーが揺れるたびにチリンと小さく鳴るように出来ていた。鈴の色は赤だ。
黒猫の黒と鈴の赤で紅魔族のイメージにぴったりだった。
「これは・・・ありがとうございます」
めぐみんは心底嬉しそうな声を上げてキーホルダーを受け取る。
「実はそれな、最初鈴が青色だったんだ。それで色違いの白猫の方が赤い鈴だったんだ。店主のおっちゃんにお願いして特別に黒猫の赤鈴にしてもらったんだよ」
商品に目移りして時間がかかった風だが、実際は鈴を取り換えてもらってる間の暇つぶしで店の商品を見ていただけだった。
それを知るとめぐみんは殊更嬉しそうにはにかんだ。
「そうですか、それではこれは世界に一つだけの物なんですね。大切にします」
そう言って早速キーホルダーを腰のベルトに取り付けた。
めぐみんが歩いたり、風を受けたりするとチリンと小気味良い音が聞こえる。
値段は大したことないが良い買い物ができたと思う。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
雑貨屋を後にした俺たちはギルドに来ていた。
めぐみんがギルドに用がある、と言い出したからなのだが何故ギルド?
正直デートに行くようなところじゃないし、普段何度も訪れているから新鮮味もないし。
まぁ、ノープランで始まったデートだから行く先がぽんぽん決まる事は悪い事じゃないんだが。
ギルドに付くとめぐみんはテーブルのある食堂の方へ足を進めていく。
「この時間帯なら十中八九ギルドにいるでしょう」
そう言いながら歩いていくと、食堂の端の方、あんまり人がいない隅っこの席に彼女はいた。
「ゆんゆん」
「え!?め、めぐみん!?めぐみんの方から話しかけてくるなんて珍しいね・・・」
めぐみんと同じく紅魔族の少女ゆんゆんだった。
ゆんゆんはテーブルの上でトランプを使ったタワーを作っていた。かなりの高さだ。
他人が見ると人の少ない端っこで魔法使いが精神集中しているように見えるのだろう。そんな所へ声をかける人はいない。
今日もゆんゆんは絶賛ぼっちだった。
「めぐみんにアクセルの人達から頼りにされてる、って言われてこうして待ってるんだけど誰も声をかけてくれないの・・・」
「案外頼りにされてる、と言ったでしょう!それにこんな隅っこじゃあ話かけたい人が居ても近づきづらいですよ!」
「でも、真ん中の方のテーブルは大きいパーティの人が来ると迷惑になるし、私みたいなソロの人は端っこの方が良いと思うんだけど」
「うじうじした人ですね!文句を言う人がいるなら蹴散らせばいいでしょう!」
「やめて!私の平穏を奪わないで!」
ひとしきり騒いで落ち着いた後にゆんゆんがこちらに顔を向け挨拶してきた。
「カズマさんこんにちは、挨拶が遅れてすみません。それで、何か私に御用ですか?」
「いや、俺は特には。めぐみんは用があるみたいだが」
そう言ってめぐみんを見ると、薄い胸を反らして勝ち誇ったようなドヤ顔を見せた。
「えぇ、私はゆんゆんに用がありますよ。私とカズマが揃っている訳が分かりますか?」
「ええと・・・爆裂魔法で怒られて警察の帰りだとか?」
「違いますよ!デートですよデート!私達今デートの真っ最中なんです!」
ゆんゆんの指摘に大声で反論するめぐみん。
というか声が大きすぎる。さっきのゆんゆんとの言い合いで注目を集めていたのに、ここにきてデート宣言ではより一層目立ってしまう。
「おい、声がでけぇぞ。あんまり大声で言う事じゃないだろ」
「えぇ!?ってことは本当にデートの最中なんですか!」
「あぁ・・まぁ・・・」
俺の注意によって本当にデート中だと悟ったらしい。
ゆんゆんはあわあわと驚いている。
「ようやく信じたようですね。まぁ、私とカズマは恋人同士ですからデート位当然ですけどね」
どうやらめぐみんはゆんゆんに俺たちの関係を正確に言ってないみたいだ。
その上で自慢するためにギルドに足を運んだのだろう。
まぁ訂正するのも野暮だし、ここは成り行きにまかせよう。
「いつのまに恋人にまで進展したのよ!というかカズマさんが付けてるそのバッジ!」
「?これがどうかしたのか?」
ゆんゆんが先程付けたバッジを見て驚きに目を開く。
「それを付けてるってことは本当に恋人になったんですねぇ」
はぇ~といった感じでゆんゆんが俺とめぐみんを交互に見て来る。
「おい」
「言いたい事は分かりますが後でお願いします」
こいつお守り的なもの、とか言ってたけどどうみても恋人が付ける類のものじゃねーか。
「でも、その、二人は本当に恋人なんですか?紅魔の里の時もそうでしたが、無理してるだけなんじゃ?」
バッジに関する問答を見ていたゆんゆんは、やっぱりまだ信じられないようで、疑問の声をかけた。
「これでもまだ信じられないとは疑り深い子ですねぇ。いいでしょう、証拠をお見せしますよ。カズマちょっとそこに立って下さい」
「え?あぁ・・・」
何だか嫌な予感がするが、めぐみんの言うままに突っ立った。
そしてめぐみんは俺に近づき。
ぎゅ。
最近おなじみのハグをしたのだった。
「ちょ!」
「え!」
俺とゆんゆんが驚きの声を上げる。
遠巻きに見てたギルドの連中もざわ付きだす。
さらにめぐみんの暴走は止まらない。
「カズマは私のモノです!誰にも渡しませんよ!文句がある人はかかってきなさい!」
そんなことをギルド中に大声で宣言したのだった。
「お前このロリっ娘が!何でお前は自爆に俺を巻き込むんだよ!」
「私がロリっ娘ならそんな子供と一緒にお風呂に入りたいって言ったあなたはロリマじゃないですか!」
「おまっ!それは言っちゃダメだろーが!」
めぐみんによる、お風呂に入りたい、という特大の爆弾によりギルドの空気は一変した。
ゆんゆんは本気でドン引きしたようで、少し距離を離している。
他の女性連中は引き半分の羨望半分といったところか。羨望の奴らは独り身の連中だろう。
風呂に入りたい、というのは気持ち悪がっている様子だが、単純に恋人がいることを羨ましがっている感じだ。
そして男共は混浴のロマンが分かるのか、まぁしょうがねぇみたいな冷やかしの視線に変わった。
俺とめぐみんはぎゃあぎゃあと喧嘩しているが、いまだにめぐみんは俺に抱き着いたままだ。
発言に問題はあるが遠巻きに見てるぶんには痴話ゲンカにしか見えない。
男連中からヒューヒューといった野次が飛び出した。
クソッ!このままここにいても冷やかしを受け続けるだけだ。
かといってめぐみんはがっちり抱き着いていて離れる素振りはない。
俺の腕力だとめぐみんの拘束を解けない。
こうなりゃやけだ!素早くその場にしゃがみ、めぐみんのひざ裏に左手を差し込む。
そして右手をめぐみんの背中に回しグンと持ち上げた。
腰のキーホルダーがチリンと鳴る。
腕力が上がっていようともめぐみん自体の体重は見た目通りだ。俺にだって持ち上げられる。
「ふぇ!?え!?」
めぐみんが驚きの声を上げるが気にしない。
素早くこの場を移動するにはこれしかない。
めぐみんを抱きかかえた俺はギルドの扉をくぐり、屋敷に向かって走り出した。
「お姫様抱っこなんて素敵!!」
後方ではギルドの女性連中のキャーキャーした騒ぎ声が響いていた。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
俺だって冒険者だ。
一般人に比べたら筋力や持久力のステータスは上がっている。
それでも女の子を抱きかかえてギルドから屋敷までを全力疾走したら疲れる。
息を切らしながらも屋敷の前までたどり着いた俺は、めぐみんを降ろして膝に手をついた。
「はぁ・・はぁ・・くそ、なんでこんな目に」
ギルドは街の中心にあり、俺たちの屋敷は外れの方にある。
道中抱きかかえたまま走る俺とめぐみんを結構な人に目撃されてしまった。
俺たちはこの街では有名人なので大概の人はスルーしてくれたが、中にははやし立てる人もいた。
これじゃあしばらくは冷やかしを受ける事間違いない。
「どんだけ考えなしなんだお前は。俺は明日っからしばらく外に出ないからな!」
ようやく息が整いだした俺は、原因を作っためぐみんに恨み節を口にした。
「・・・・・・・・・・・・」
当のめぐみんは心ここにあらず、といった様子でぽーっと突っ立っている。
「おい、聞いてるのか?」
「お姫様抱っこっていいものですねぇ・・・。ダクネスが自慢してくるのも分かります・・・」
どうやらめぐみんは先ほどのお姫様抱っこに夢中で、ぽんやりとしていたようだ。
「カズマに抱きかかえられて、いろんな人達が私達を眺めてて、上を見るとカズマの必死な顔がありました。まるで夢の様でした」
ふへへと笑うめぐみんは最後にこういった。
「お姫様抱っこ・・・癖になってしまいそうです!」
勘弁してくれ!
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
屋敷に入るとアクアもダクネスは外出中だった。
時間的にアクアはウィズの所でお茶を飲みに、ダクネスは分からないが実家の方に顔を出しているのかもしれない。
とりあえず広間のソファーにならんで座った。
「はぁ・・・肉体的にも精神的にも疲れた」
「そうですか?私は大満足でしたが」
俺の気も知らずに、めぐみんはそんなことを言った。
「大満足じゃないだろ。あんな大声出しやがって。あれじゃしばらくギルドも街の中も歩けたもんじゃない」
冒険者って連中は噂好きだ。情報が命に直結する職なんだから当然なのだが、そんな奴らに今回の件はいい酒の肴になるだろう。
街の中だって遭遇することがあるし、おちおち出歩くこともできやしない。
「私としてはせいせいしましたけどね。最近はカズマにいいよる女冒険者が増えてきましたし、ここらで一発カズマが誰の物か宣言しておきたかったんですよ」
めぐみんがふんす!と鼻息も荒く返答する。
「というかこのバッジ、ゆんゆんが反応してたけど、結局なんだったんだ?」
俺の左胸には今日めぐみんからプレゼントされた緑色の剣のバッジが光っていた。
「それは今若い娘の間で流行っている恋人バッジですね。バッジの形によって意味が違うんです。剣は「私には恋人がいます」ですね」
他にも弓なら「恋人募集中」。盾なら「恋人はいりません」。など全て裏のメッセージがあるのだとか。そしてこの剣バッジを付けた人物に言い寄る事は、暗黙の掟で禁止されている。破った場合は街の女の子全員から総スカンを食らうのだとか。
女のいじめは恐ろしいというが、怖い話だ。
「まぁ、バタバタしていましたしノープランでしたが初デートとしては成功じゃないですか?」
そう言って俺の肩へ頭を乗せて上機嫌なめぐみん。
「はぁ、まぁ、いいさどうせ俺は屋敷から出ないのには慣れているしな」
そう言って許してしまうあたり、俺も相当甘くなっているな。
「それで、私の願いごとは終わりましたが、カズマの願いごとはどうしますか?」
「もちろんやるさ。これじゃ俺はくたびれただけだろ」
街デートの次はお家デートならぬ、一緒にゲームの時間だ。
歩き疲れていたところだし、部屋でのんびりゲームをするのは渡りに船だった。
「部屋でゲームする、と言っていましたがカズマの部屋でですか?」
「いや、俺はめぐみんの部屋に遊びに行きたい。ダメか?」
普段俺たちが会う時は、暗黙の了解で俺の部屋ということになっていた。
めぐみんの部屋はアクアやダクネスの部屋に近いし、男の俺が遊びに行くと問題だしな。
だが、今はアクアもダクネスも外出中だ。つまりめぐみんの部屋に行っても何の問題もない。
「私の部屋ですか?ふふ、いいですよ」
めぐみんは薄く笑って了承したのだった。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
実はめぐみんの部屋にはほとんど入ったことが無い。
アクアに屋敷を追い出された時、それに二人に内緒でハグしに行ったとき位だろうか。
めぐみんの部屋は小ざっぱりしていて、物で溢れているアクアの部屋なんかとは対照的だ。それでいて部屋の中はめぐみんのいい匂いが充満していて、否応にでもドキドキと緊張してしまう。
「片付けてはいますが、あんまりじろじろ見ないで下さいね」
自分の部屋に男を招き入れるという事実にすこし緊張しているのか、上ずった声で牽制するめぐみん。
「あああああ!めぐみんの部屋だ!めぐみんのベット!めぐみんの枕!」
「ちょおおおおお!」
俺はというとめぐみんの部屋に子供みたいに興奮し、めぐみんのベットにダイブしめぐみんの枕の匂いを嗅いだりしていた。
「やめ、やめろおおお!」
「はい、やめます。嫌われたくないからな」
「そう思うなら最初っからしないでくださいよ」
「それは無理な相談だ。あぁそうそう、自分の手で部屋に男を招き入れた場合、襲われたとしても和姦になるらしいぞ」
「何を言ってるんですか!やりません!やりませんからね!」
「いや、流石に冗談だよ」
めぐみんは「冗談に聞こえないから問題なんですよ・・・」とぶつぶつ言っていたが、気を取り直したのか話を進めてきた。
「それで、ゲームガールをするという話でしたがどこでしますか?見ての通りこの部屋には椅子は1脚しかありませんし」
めぐみんの部屋、というか屋敷の全ての部屋には椅子は1脚だけしか備え付けられてない。
あくまで寝室だから複数人で使う事を想定していないのだろう。
「椅子に座ってだとゲーム画面が良く見えないからな。俺にいい案がある」
そう言って俺はベットのふちに深く腰掛けると、股の間を叩いて合図した。
「ささ、めぐみんにふさわしい席を用意しました。」
「え!まさかそこに座って遊ぶんですか!?」
俺の案とは俺の前にめぐみんを座らせて、二人羽織みたいに遊ぶというものだ。
めぐみんは驚きの声をあげたが、やましいことを抜きにしてもこの体勢は色々便利なのだ。
「勘違いして貰っては困るぞ。この体勢は2人でゲームをするには色々と捗るんだ。まず、ゲームガールのような小さな画面でも後ろから覗き込みやすい。次にゲームの操作を教える時なんかも手取り足取り教えやすい。最後に密着しているからほどよくイチャつける」
「その最後のいちゃつくのが一番の目的ですよね」
いちゃつくのには反対はないのか、めぐみんは文句を言いながらも俺の股の間に腰かけた。
「わーい!めぐみんがきたー!」
そう言って後ろからめぐみんを抱きしめる。
両手はお腹の辺りで交差する。
「何だか部屋に来てからのカズマは子供みたいですね」
そう言いながらも頭を後ろにこてんと倒して密着してくるめぐみん。
いつものハグと違って座った状態のため、身長差も無くなっている。
めぐみんの頭と俺の頭はほぼ同じ高さにあった。めぐみんの髪からいい匂いがする。
自分でも幼児化しているのは理解している。でもそれは女の子の部屋に入ってハイになっているだけだと思う。
このままいちゃつくだけでもいいのだが、当初の目的のゲームをすることにした。
「それじゃ、ゲームガールをするか。前にも言ったようにめぐみんがプレイして俺がそれにアドバイスをする形にしようと思う」
「それでいいですよ。まぁ私にかかればゲームごとき、余裕でクリアできますとも」
そう言って張り切るめぐみんを見てほくそ笑む。そう簡単にいくかな?
やることにしたゲームはシューティングゲームだった。
具体的には縦スクロールシューティング。元の世界のゲームガールはそこまで遊んでないが、ソフト自体は有名な奴だ。でも、このソフトにゲームガール版があったとは驚きだ。もしかしたらあの日本人の転生者が無理やり移植したのかもしれない。
めぐみんに遊ばせる前に予習はばっちり済ませてある。
一言で言うと、かなり難しかった。
縦シューティングは地形などの接触ダメージはないものの、代わりに弾の密度が濃く、避けるのに苦労する。
しかもこのゲームは残機を増やせないし、今では当たり前のボムだとかパワーアップなどもない、相当シビアな作りになっていた。
少なくとも今日中にクリアは無理だと思う。
「まずはカズマのアドバイスなしでやってみます」
「あぁ、後ろで見てるから」
めぐみんがゲームを始める。
1面はそこまで難しくはない。操作に慣れる面だからだ。
めぐみんも何度かゲームはやっているので操作に関しては問題なかった。
しかし、1面の終盤に差し掛かる辺りだろうか。
めぐみんは弾に当たってしまってゲームオーバーになってしまった。
「あ!やられてしまいました」
「いや、初心者にしては良くやった方だと思うぞ」
「む、なんだか上から目線ですね」
「実際問題俺の方が上手いからな。それで、アドバイスはいるか?」
「聞きましょう」
めぐみんにアドバイスをする。
このゲームは自機狙いの弾とそうじゃない弾がある。丸い弾は自機狙いだが、細長い弾はあらかじめ決まったコースを通る。
どちらか片方だけならそう難しいものじゃない。1面は基本的にどちらか片方の弾だけを撃って、撃ち終わったら弾種が変わる。だけど両方が同時に撃たれる個所が何回かあり、めぐみんがやられたのもそのポイントだった。その山場を覚えてその直前にいいポジションに付くことが1面クリアのコツだ。
俺のアドバイスにふんふんと頷いていためぐみんが早速2回目のプレイを再開した。
1回目よりも動きに無駄が無く先程やられたポイントまでやってきた。が、やられてしまう。
「あぁ!おしかったです!」
「まぁアドバイスを受けてすぐに反映出来たら天才だろ。こういうのは何回もやり直すのが基本だしな」
「言いませんでしたか?私は紅魔族随一の天才だと!」
「元・随一だけどな」
「うるさいですよ!」
現・紅魔族随一のゆんゆんは俺とめぐみんのお姫様抱っこに顔を真っ赤にしていたっけな。
今度会ったらフォローしておきたいが、あんなことがあったし次に会うのは当分先になるだろう。
そんなことを考えていると、めぐみんが1回目2回目で死んだ1面の山場を越えた。
「やりましたよカズマ!」
「ああ、実際問題スゲーよ」
天才を自称するあたり、やはりめぐみんの飲み込みは早いようだ。
その後は危なげないところも無く、1面のボスを倒しクリアした。
「どうですか!私のすごさを再認識したのではないですか?」
「ああ、すごいすごい」
そう雑に返事をしながら俺はめぐみんの頭を撫でてやった。
めぐみんは突然撫でられて驚いた様子だったが、すぐに目を細めてえへへと頭を後ろに倒して甘えてきた。
普段は子ども扱いすると怒るが、こういう時は以外にも素直に応じるのがめぐみんだ。
2面は1面と違い、最初っから両方の弾が発射される。だが、密度自体は1面よりも少なく、冷静に対処すれば抜けられるように出来ていた。
めぐみんは集中してゲームに向き合っているのか、最初のような「あぶない!」だとか「ちょちょちょ!」などといった悲鳴も少なくなりもくもくとプレイしている。
こうなってしまうと俺はヒマだ。
アドバイスもあるにはあるが、プレイの最中に話しかけると頭に入らないし、そもそもうるさがられる。邪魔する訳にもいかないし・・・いや、いいのか別に!
俺はめぐみんのお腹で交差されていた両手でめぐみんのお腹をさわさわと触りだした。
「ひゃっ!ちょ、ちょカズマ邪魔しないで下さいよ!」
「一体いつから――敵がゲームだけだと錯覚していた?」
「何カッコつけてるんですか!あぁ、やられちゃいました」
ゲームガールの画面はゲームオーバーの文字が。そしてこのゲーム一番の難敵がこれだ。
「!やられたら最初からなんですか!?」
そう、やられた場合何面まで進んでいようとも1面からの再スタートだ。
これが本当にキツい。何度投げ捨てようと考えたことか。
「めぐみん勘違いしてないか?俺たちの目的はゲームのクリアじゃないんだ。ゲームを通して新密度を上げることだろ。つまりある程度のおさわりは致し方なし!」
「致し方なし!ではないですよ!しつこいと新密度が下がりますよ!」
「えっ、下がるの新密度。それは勘弁してほしいな」
俺の情けない顔を見たからだろうが。めぐみんは「はぁ」とため息を付くと最終的には折れてくれた。
「あんまりやりすぎないで下さいよ?」
「善処する」
「だから誓ってくださいってば!」
めぐみんがゲームを再スタートする。
先程は危なげない操作をしていたのだが、今回はしょっぱなから精彩を欠く動きだ。それもそのはず、俺も1面からめぐみんへのおさ・・もとい妨害をしているからだ。
さわさわさわさわ
めぐみんのお腹は引き締まっていて余分な脂肪が全くついていない。それなのに柔らかくどこかの腹筋令嬢とは大違いだった。
「ふっ・・ん・・んひ・・・」
俺がお腹をさわさわと撫でるたびに、めぐみんはくぐもった声を出していた。
風呂の時も思ったがめぐみんって敏感だよな。
そんなことを思っているとめぐみんの声に反応したのだろう。俺の息子が激しく自己主張をしだした。
「・・・カズマ」
「なんだ?」
「何か当たってるんですが」
「当ててんのよ」
「何を!?」
「おい!いたいけな少女がナニとか言うんじゃない!興奮するだろ!」
「馬鹿な事言わないでください!」
めぐみんが怒りのあまり俺の方へ振り向きゲームから目を離す。当たり前だがそんなことをすればやられてしまう。再び画面にはゲームオーバーの文字が浮かんだ。
「今の状況でどうしてそこが大きくなるんですか!」
「いや、不思議ですみたいなこと言われても困る。女の子と密着していて、その子が悩ましげな声を出してたら誰だってこうなる。俺だってこうなる」
「変な声を出させているのはカズマでしょうが!」
「いや、俺は自分に正直なだけだ。その、好きな子が目の前にいたら触りたくなってしまうのは男のさがだ」
そう言うとめぐみんはジロリと俺を睨みあげ、怒っているのだが嬉しくもなってしまったような、そんな何とも言えない顔をした。
「カズマはずるいです」
「そんな所も、好きなんだろ?」
「いいでしょう!もうカズマが触ってきても反応しませんから!」
おいおいそんな負けフラグ立てて平気なのか?
めぐみんは俺を無視することにしたのかゲームを再開した。
先程のようにお腹をさわさわと撫でていくが・・・
「・・・・・・・・・・・」
めぐみんは無言のままゲームを続けていた。
しかし何とも思わないわけではなく、時たまビクッと身体を動かしてその度に顔を赤くしていた。
・・・正直その反応もどうかと思うぞ。
だが、確かにこのままじゃひねりがない。俺も本気を出す時が来たようだ。
「んひっ!ふぁっ!・・・・!・・・!!」
俺はめぐみんの太ももを撫ではじめた。
太ももの上をさするように撫でたり、片手はお腹、もう片方は太もも。さらには片方の太ももを両手で包み込んでしごくように撫でたりもしてみた。
効果は絶大だった。
めぐみんは声だけは出さないよう歯を食いしばっていたが、身体の震えは激しさを増し、とてもゲームをする状態じゃなかった。
ゲームオーバーになった画面を確認し、俺は手を止めた。
めぐみんが振り返る。その顔は真赤になっていたし、眼も紅く光っていた。
「・・・・・・・・・・・・・」
だけど何も言ってこない。それどころか口の端を軽く上げ、再びゲームを再開した。何か秘策がありそうな顔つきだ。だけど俺のやることは変わらない。ゲームが始まったのを確認し、めぐみんのお腹や太ももへの攻撃を開始した。
「・・・・!・・・・・!!」
めぐみんは声を我慢できるようになっていたが身体のビクつきは抑えられていない。これではさっきと結果は変わらない。
だけど、そこで、めぐみんが動いた。
「うぉ!め、めぐみん・・!?」
めぐみんが俺の息子が当たっているお尻の部分を激しく動き出したのだ。そのあまりの快楽に俺はめぐみんを攻撃する手が緩んでしまった。
「ふふん」
めぐみんが小さく笑う。してっやたりという顔だ。
このあまー!調子に乗るんじゃない!それなら俺にも考えがある!
「あっ!ひぃ・・!んひぃぃぃ!あっあっあっ!」
俺はめぐみんの太ももの内側を撫ではじめた。
ここは誰でもかなり敏感な場所だ。どこでも過敏な反応をするめぐみんにとってはたまらないだろう。
「あああ!ひぃん!あぁあっあっあ!っく・・!この!」
「うお!あ!ぐうう!」
だけどめぐみんも負けていない。なすがままでなく腰のこすり付けを激しくし俺の息子への攻めを激しくしたのだ。
「あっあっあっ!ひん!ぅあ!あぁっ!」
「はぁ・・!はぁ・・・!く!う!」
しばらく、お互いの攻めが続いている。部屋には俺とめぐみんのくぐもった声とベットが軋む音、それに鈴のチリンという音だけが響く。もうゲームの画面はとっくにゲームオーバーになっているが関係ない。もうここまで盛り上がってしまったら行くところまで行くしかない。
「め、めぐみん!もう!限界だ!出そうだ!!」
先に根を上げたのは俺の方だった。
俺の内側から熱いものが込み上げてくるのが感じられる。
「あひぃ!あぁあっ!あっ!わ!わたしもっ!んあああっもう!」
めぐみんは声にならない声で返事をしつつ、こくこくと何度も頷いている。
「ぐ!出る!」
「!?んひぃぃぃぃぃいいい!」
最後の瞬間、俺はめぐみんの身体を抱きしめ、自分の力で腰を打ち付け、めぐみんの尻に息子を擦りつけた。今まで自分のペースで動いていためぐみんだったが、最後の最後で不意打ちを食らったためだろう、一際大きな声でがくがくと震え背中を丸めてしまっていた。
俺はその身体を強く抱きしめ、自分のズボンとパンツに精を吐き出した。吐き出しながらも一滴残さず出しつくそうとめぐみんの尻に腰を何度も打ち付けていた。めぐみんも息を切らしながらもびくびくと震えて、俺の腰を迎え入れていた。
全て出しきった感覚のあと、脱力感を覚え、俺はそのまま後ろのベットへと倒れ込んだ。
めぐみんの方はまだ回復していないのか「んっ」だとか「ひっ」と言いながら背中を丸めわなないていた。
しばらく経っただろうか。めぐみんが復帰しこちらを振り返った。
「・・・カズマ?」
「・・・あー?」
「どうでしたか・・・?」
何がとかは言わない。そこまで馬鹿じゃない。
「最高だった。今までの人生で一番出た」
その言葉を聞いためぐみんは小さく「そうですか・・・」と呟き、嬉しそうに笑った。
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パンツもズボンも脱がずに致してしまったので、下半身がぐちょぐちょで不快だ。
それに気づいたのだろう、めぐみんが声をかけてきた。
「カズマ、パンツなんかは私が洗濯しますからお風呂に入ってきてはどうですか?汗もかいたでしょう?」
そんな殊勝なことを言い出した。
「いや、流石にパンツの処理は自分でするよ。でも風呂には入ろうかな、汗かいたし」
行為の前にもめぐみんをお姫様抱っこしての全力ダッシュもしている。今日1日としては十分な量の汗はかいているだろう。
めぐみんの部屋を出て脱衣所に行き、服を脱いだ。
パンツの内側を見てみると自分でも驚きの量の精がまき散らされていた。
我が息子たちよごめんな。いつか必ずめぐみんの中へ連れて行ってやろう。
そんな馬鹿な事を考えながら風呂場へ入った。
先に洗濯した方がいいのは分かっていたが、気だるさを覚えていたため、先に風呂に入ってから洗う事にした。
魔道具に魔力を流し水をお湯に変えていく。
まだ風呂はぬるま湯といった感じだろうか、そんな時脱衣所の方から声が聞こえてきた。
「カズマ、脱いだパンツを洗いに来ましたよ」
めぐみんだ。
めぐみんがそんなことを言い出したのだ。
「え!?いやいいよ自分で洗うから!」
さっきも断ったが俺が風呂場に入ったのを見計らって様子を見に来たのだろう。
「いえ、そもそも私の性でカズマはもよおして出してしまったのですから、私にも責任があります。それに、どの位出したか気になりますし」
「エロ!エロみんだお前は!ダクネスのことを馬鹿にできないぞ!」
「はいはい。それじゃ洗っておきますね」
俺の抗議を軽くいなして、めぐみんは俺のパンツを洗い出したようだ。
「少し時間が経ってる性か落とし辛いですね。それにしても随分出しましたね。普通の量は知りませんが、それでもこれが多いのは分かりますよ」
マジメに解説しないでください。恥ずかしくて死にそうです。
風呂の水も完全にお湯になったころ、洗濯も終わったようだ。
じゃぶじゃぶといった音も聞こえなくなった。
男のパンツを洗ってもらうなんて。めぐみんには頭が下がる。
そんなことを思っていたら脱衣所と風呂場の間の扉が開き、めぐみんが現れた。
「カズマ、パンツは洗い終わりましたので干しておきましたよ」
めぐみんは既に服を脱いでいて、身体にはタオルを巻いていた。
突然のめぐみんの登場に俺は狼狽してしまった。
「え?え?め、めぐみん?どうした?まさか一緒に風呂に入るのか?」
「言いませんでしたっけ?出来るだけ一緒にお風呂に入りましょうって」
凄い!めぐみんはすごい!いつも俺の予想の斜め上を超えて来る!
めぐみんは風呂場に入ってくると鏡の前に座りこちらを振り返った。
「それでは今回は先に私の頭をお願いします。先に言っておきますが下に水着を着ていないので身体を洗ったり触ったりはダメですよ」
そういって前に向き直って待機するめぐみん。
俺としては怒涛の展開であたふたするしかなかったが、めぐみんの髪を洗わなければいけないという使命感でシャンプーを掌に溜めて泡立てていく。
めぐみんの髪にシャンプーの泡を広げ、優しくしゃかしゃかと洗っていく。
先程のこともあり、気恥ずかしさがあるためか、どちらも何も言わず無言で洗っていく。
「さっきの」
「っえ!?」
めぐみんが突然話しかけた。
「さっきの、カズマは満足できましたか?」
鏡越しの眼は少し不安げに揺れている。
「・・・・さっきも言ったろ。最高だったって」
「ふふ、そうですか」
すると、めぐみんが不意に後ろに倒れてきたので慌てて受け止める。俺の胸にめぐみんの頭がぶつかり、俺の胸に泡が付いた。
「め、めぐみん?」
「私は途中から訳が分からなくなっていました。とにかくカズマに負けるか、ってそれだけ思ってました。でも最後の方は頭が真っ白になって体が自然と動いていました。」
めぐみんは俺に身体をあずけたままそんなことを語りだした。
「このまま何処かに行ってしまうような。飛んで行ってしまうような感覚でした。でもお尻にカズマの温もりを感じて、そこだけは繋がっているような気持ちでした。」
めぐみんは後ろに倒れた状態で、俺を見上げながら語りかけて来る。
俺は何も言わずにめぐみんの眼を見ていた。
俺の顔を見ているはずだが、どこか遠くを見ているようだった。
「これから先、私たちはどこへ行くんでしょう」
曖昧で漠然とした質問だった。めぐみんは答えを求めている訳ではないのかもしれないが、俺は返事をしていた。
「どうにかなるだろ。悪くはならないはずだ」
我ながら適当な返事だと思ったが、思いのまま言ったのだから仕方ない。
俺の返事を聞くとめぐみんは口を笑みの形にすると
「そうですね!」
どこか吹っ切れたような声で椅子に座りなおした。
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めぐみんの頭を洗って、俺の頭を洗ってもらって、俺達は湯船に浸かっていた。
まさか2日連続でめぐみんと風呂に入るとは思わなかった。
めぐみんは昨日とおんなじように俺と手を重ねながら、頭を俺の肩に乗せてぼーとしていた。
俺もあんな激しい射精をしたからだろうか。昨日にもまして何をするでもなく、時たま響くちゃぷんとした水音を聞いていた。
「カズマ、このまま、ハグしてみませんか?」
めぐみんの唐突な問いかけに俺は身を起こした。
今日のめぐみんはアンニュイな感じだ。
「あぁ」
俺も茶化すことなくめぐみんを迎え入れる。
お互いにタオルだけの状態でのハグだ。いつも以上に柔らかさを感じる。
幸いにも息子の方はチャージ中なので、変な雰囲気にはならなかった。
「カズマ、好きです」
めぐみんが、ぽつりと言った。
いつもと違って、真剣な声色だ。
そんな雰囲気に押されたのか、俺は「知ってる」と言うつもりだったのに、気づけば別の言葉をしゃべっていた。
「俺も、めぐみんのこと、好きだ」
しばらく二人で見つめ合ったあと、どちらともなく「へへ」と笑うと、一緒に手を繋いでお風呂から上がったのだった。