※この作品はR-18です。

廃人ネカマのロールプレイング   作:栗鼠科.aka.メスガキ撲滅委員会

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 とりあえず書けるだけ書いたよ。次があるとは思えないからね。
 今回は少し時系列を遡ってるよ。前回が少し先に行きすぎたともいうけど。
 補足しとくと、これまでに何度もしつこく時間経過を書いてるように、モモンガがナザリックを出るまでの期間が原作より長いよ。だから冒険者御用達の宿屋でブリタ(某ポーションの女)と出会うイベントを逃したりしてるよ。漆黒の剣の一団に誘われたりするイベントも逃してるよ。




第十二話、会食と襲撃。

 ナザリックの今後を決める会議が終わってすぐ、パールンレヴァクは自らの創造物に声をかけた。相手はもちろん総務尚書、オーメンダールである。

 

「一杯飲もう。少し付き合え」

「お供いたします」

 

 パールンレヴァクは気付いている。オーメンダールが嫌に素直な理由は、これから何の話をするか分かっているからだと。そして、悪魔がどんな食物を好むのかはわからないが、口を開かせるには食事と酒だと古来から伝わる通りに、パールンレヴァクは食堂から最も近い個室へと向かった。

 通路ですれ違ったメイドにキッチンへのつなぎ(・・・)を申し付け、2人は着席する。そして三分も経たずにやってきた給仕に対し、それぞれの注文。

 

「ペペロンチーノを頼む。にんにくは少し焦がし、黒胡椒と粉チーズをかけて。それとビール(セルベッサ)だ」

 

 ギルドメンバー“ペロロンチーノ”の名前の元となったイタリアのパスタ料理、ペペロンチーノ。たっぷりのオリーブオイルでスライスしたニンニクを炒め、塩と唐辛子を加えて、茹でたスパゲティに和えたもの。そのシンプルさと手軽さから、庶民の間で長く親しまれた料理である。

 パールンレヴァクはこの数日の間に、様々な美食に溺れた。料理長はその設定通りに五つ星を超えるレベルの、世界を取れる調理の腕を持つ。そんな料理長が出す最高のメニューはどれもが舌を満足させたが、退廃と堕落が習性であるサキュバスの舌に、簡素であったりジャンクであったりという、ある種単純(シンプル)な料理こそが好ましい事をパールンレヴァクは知った。そんなマザー・サキュバスが行き着いたのは、キューバサンドウィッチやペペロンチーノ、あるいは唐揚げや肉じゃがといった家庭的であり酒が進む料理だった。

 

「ラタトゥユと赤ワインを」

 

 一方、オーメンダールが注文したのはフランスの伝統料理、ラタトゥユ。夏野菜をトマトとオリーブ油で炒めた、ごく普通の家庭料理だ。こちらもニンニクを利かし、茄子にオリーブ油を吸わせれば、ワインが進む料理として有名だ。呑むのが名目なのだから、当然の選択といえるだろう。

 

 やがて運ばれてきた料理に2人は舌鼓を打ち、静かに酒を進める。その間、会話は一切なかった。食事中のマナーとしては正しいが、家とも呼べる場所で、親と子といっても差し支えない関係にしては、少々静かすぎる食事風景であった。

 やがて、早々とペペロンチーノを啜り終わり、ビールで口内の油を濯(そそ)いだパールンレヴァクが口を開く。

 

「オーメンダール。お前は私の創造物だ」

 

 オーメンダールはそれを聞き、自身の創造主であるパールンレヴァクの眼を見る。ベーコンと茄子をフォークで刺して口へ運び、咀嚼の後にワインを少し含み、そうしてようやくフォークを置いて話を聞く姿勢に入った。

 

「私が作ったのだ。お前の事は手に取るように分かる——オーメンダール、お前は、“私の存在を不要と考えているな?”」

 

 オーメンダールは5秒の沈黙の後、ワイングラスを手に取り、口を開いた。

 

「私(わたくし)の“ナンバー2不要論”について閣下(・・)がお考えになられないはずはないと存じておりました」

 

 ナンバー2不要論、それはパールンレヴァクが“オーメンダール”というNPCを作成するにあたって参考としたキャラクター、『パウル・フォン・オーベルシュタイン』が唱えた自説。君主論(マキャベリズム)に基づくそれは、国家や組織において優れた頂点が存在すれば、その次席となりうる者の存在は予備や保険と成り得ず、むしろ害となりかねないというもの。一理ある事は否定できないそれだが、今のナザリック地下大墳墓とアインズ・ウール・ゴウンにはそれを許してはならない理由がある。

 

 パールンレヴァクの眼が強い力を帯びた。

 

 

————

 

 

 リ・エスティーゼ王国領内、貿易都市エ・ランテル。法国、王国、帝国の中心に位置する流通の要所であるエ・ランテルは、今日も一層の賑わいを見せていた。

 王国は現在、度重なる増税と徴兵によって民が疲弊しているが、ことエ・ランテルにおいてその陰りはない。なにせ貿易都市。目まぐるしく金が行き来するこの場所は、人がとても富んでいた。

 そのエ・ランテルに少々奇異な一行が到着したというのが、昨日の話。世の男の九割九分が喉を鳴らすであろうグンバツな体の美人だが、やたらと高飛車で我儘(わがまま)などこぞの金持ちお嬢様。そしてその付き人である上品な老紳士。そんな金持ちに雇われたというのが、“モモン”という立派な全身鎧(フルプレート)の剣士と、ナ(・)ー(・)セ(・)ッ(・)ト(・)なる黒髪黒目の美女。そしてもう一人、育ちの悪さがにじみ出るどうにも野暮ったくて胡散臭い、ザックという中年男性。

 そして問題の金持ちお嬢様の名はソフィア(・・・・)というどこにでもある名だが、執事のほうは『セバス・チャン』などと名乗っているのだ。セバスチャンというのは一種のミームと化した名だ。創作の世界では執事と言えばセバスチャンという名を当てられ続け、やがてセバスチャンという名そのものが執事というイメージを固めるに至ったものだ。本当にセバスチャンという名前なら邪推して申し訳ないと言うところだが、執事として振る舞うい(・)か(・)に(・)も(・)な老紳士がこうもあからさまにセバス・チャンと名乗っているなどと、“訳あり”を勘ぐるなというほうが無理な話だろう。そういった事情もあり、一向はとても注目を集めた。ワガママお嬢様は何かにつけて飯が不味いだの床が汚いだのとイチャモンをつけて癇癪を起こし。モモンというフルプレートの大男は素肌を一切晒さず、食事をしている姿を見せる事がない。ナーセットという美女は街の有力者であろうと冷たくあしらい、ザックといううさんくさい男はいつも周囲を気にしている様子でいかにもだ。

 そんな奇異な一行が今日、道を分かつという。お嬢様(ソフィア)と老紳士(セバス)は土地勘のあるザックを連れてエ・ランテルを離れる。そしてモモンとナーセットはこの街(エ・ランテル)に残るという。これで話しかけやすくなったと、商人がこぞってソフィアの下へ駆けつけるが、にべもなくあしらわれる。更には今夜エ・ランテルを発ち王都へ向かうと言うではないか。せっかく上客になってくれそうだったのにと、エ・ランテルの商人達は歯軋りする。

 しかしてエ・ランテルの商人達はモモンとナーセットに注目するが、どうにも商売ができる相手ではないと早々に見切りをつけ、離れていくのだった。なにせ、彼らが身に付けている武具はどれも一見して高級品と判るもので、いくら貿易都市のエ・ランテルで商売をしている者といえど、それらに匹敵する品物をすぐには用意できなかったからである。

 

———

 

 夜の公道を一両の馬車が行く。馬を操るのは素性も知れぬ男、ザック。そう、何処とも知れぬお金持ちの令嬢、ソフィアが乗る馬車である。

 なぜ野盗や野犬といった危険を恐れず夜間に馬車を走らせているかというのは、すべて織り込み済みだからである。そう、ザックという雇い人が野伏(のぶせり)、野盗の類いである事は既に調べがついている。この道中で強盗団が馬車を強襲し、ザックがその手引きをしていることも、既に分かっている事なのだ。つまりは——

 

「なんだテメェは!? 」

「殺されてえか!!」

「怪我したくねえならとっと失せな!!」

 

——冒険者モモンの初陣に相応しい舞台という事である。

 

 尾行を悟られないように馬を使わず、Lv100のステータスを活かして徒歩で追いついたモモン(アインズ)が躍り出て、馬車を止めた強盗団の前に立ち塞がる。全ては実験。この土地のレ(・)べ(・)ル(・)を確かめ、そして新たなロールプレイである剣士職の試し斬りというわけである。

 

「なんだコイツ!?」

「速ぇぞ! 周りこめ!」

「おい! お前が行っがぁああ!!」

 

 モモンは1メートルを越す大刀を軽々と振り回し、次々と野盗を切って捨てる。事前の講習にてコキュートス等に教わった術が活きて、一切無傷にて場を切り抜ける。元々後衛専門であったモモンガは前衛職の戦闘スキルを学び、新たな知覚に感動していた。

 

(防御と攻撃の一体化! 盾殴り(シールドバッシュ)がこうも便利とはなあ。通りで相手しててめんどくさかったわけだ。使う側になって初めて分かる事もあるってことか。なるほどなあ・・・)

 

 襲撃者たる強盗団の全員が倒れ伏して、立っているのはモモンと名乗るモモンガ(アインズ)のみ。それを確認して、馬車から2人が降りてくる。即ち、ソフィアという偽名を用いているソリュシャン・イプシロンと、セバス・チャンである。

 

「お見事ですわ、モモン様」

 

 ソリュシャンの言葉を受けて、モモンは左手の盾を挙げてみせる。

 モモンガ(アインズ)は思う。臆せず教えを乞うて正解だったと。

 

 アインズがナザリックを発つ一週間前のこと。アインズは新しい世界では新しいロールプレイをしたいと言い。それを叶えるため、パールンレヴァクが手ほどきを行った。つまりは近接職の立ち回りである。

 相手となるのはもっぱら地上世界の雑魚ども。ならば、ガチ(・・)の訓練は必要ない。必要最低限の、それらしく見えるものになれば良い。そこでパールンレヴァクが教えたのが、左手に盾、右手に剣という普遍的(オーソドックス)で古典的(オールドファッション)なスタイル。盾を上手く用いれば素人目には巧者に見え、レベル100のステータスを活かした力で振り抜く剣は達人のものにしか見えないという公算によるものだ。そこで、剣の達人であるコキュートスが基礎を教え、ロールプレイに長けたパールンレヴァクがカッコよく映える動きを教える。

 そうして基本を叩き込まれたアインズことモモンは、見事カッコよく立ち回ってみせて、悪党どもを薙ぎ倒したのである。惜しむべくは、現地人の証人が1人も居ないことだろうか。強盗団との繋がりを理由に採用したザックは既に、ソリュシャンの腹の中である。この一件を見聞きするのは、ナザリックの者のみだ。

 

「感謝いたしますわ、モモンガ様。この男は、是非とも私が溶かしてあげたいと思っておりましたので」

 

 ザックを腹に収めたソリュシャンが、衣服のズレを直しつつ言う。元より生かす価値のない者ども。人間性を徐々に喪失しつつあるアインズにとっては、ザックなぞ意識にも上らない存在。そんな木っ端の小悪党の身一つで部下が喜んでくれるのなら、お釣りがくるというものだ。

 

「そんな者でよければ、いくらでも食わせてやるとも。謝辞は不要だ。遠慮するな」

 

 アインズはそう言って、剣を仕舞い込む。そう、これは始まりに過ぎない。ザックは単なる餌ではないのだ。『死を撒く剣団』とかいう野盗集団を襲い、『武技』なるユグドラシルには無かった技を持つ人間を探す一手なのだから。

 

——

 

 場所は既に知れていた。相手がただの強盗団程度でしかないならカウンターマジックを警戒する必要もなく、探知の魔法が込められたスクロールも無警戒で使えた。襲撃地点から程遠くない山の中に人工の洞窟があり、そこに『死を撒く剣団』とかいう御大層な名前の集団の本隊が潜んでいることを突き止め、モモンとナーセットは夜の森を駆けた。

 そして2人はすぐさま件の強盗団のアジトに到着するが、ここでひとつ、モモン(アインズ)には懸念があった。ナザリックのシモベ達はどうにも殉教主義に過ぎると。「アインズ様の盾となって死ぬ」だとか、「至高の御方のためなら死なぞ恐れません」とか、シモベ達に意見を求めると度々そういった答えが返ってくる。それではいけないと、アインズは思う。モモンガ(アインズ)にとってナザリックのNPC達は子供も同然である。傷付くことはもちろん、死ぬなぞもってのほか。当然、今回のような危険度の低い任務では問題ない。だが、何かにつけて殉教的な言葉を吐かれるのも困りもの。そこで、少しずつ慣らしていこうと、アインズは思考する。

 

「いいかナーセット、お前はこの入り口にて待機だ。周囲を警戒しておけ」

 

 が、ナーセットと呼ばれた女性はそれに意を唱える。

 

「お待ち下さい。私はアインズ様の盾。それではアインズ様をお護りする役目が——」

「今の私は“モモン”だ。そしてお前はナーベラル・ガンマではなく、“モモンの冒険者仲間のナーセット”だ。役割を忘れるな」

「はっ! 申し訳ありません! ですが、お一人で潜入というのは・・・」

「それくらい1人でこなせなければ、冒険者としての名が上がるまい——心配するな、いざとなれば魔法を使うさ」

「そこまで仰られるのであれば」

 

 そう、ナザリックの戦闘メイド『プレアデス』が一人、ソリュシャン・イプシロンが“ソフィア”という偽名を用いているように、ナーベラル・ガンマもまた「ナーセット」という偽名を使っている。「ナーセット」とは主に達人や賢者を意味する名であり、次に術師を意味する。元が戦闘特化の魔法詠唱者ビルドであるナーベラル・ガンマが正体を隠しつつ、真価を損なうことなく動くならば、ナーセットは適当な偽名であろう。真相を知るナザリックの面々からはあまりにあからさますぎるという意見もあったが、地上の現地人には分からないという決定的な理由で許可がおりた偽装工作である。

 

 ともかくもモモンの単独行動を許し、待機命令に従った事で、まさに堅物といったNPC(ナーベラル)にも殉教主義的意識を堪えさせる事が可能と分かり、アインズはほっと息を吐く。

 

「では、私は洞窟に入る。挟撃は避けたいからな、誰一人通すんじゃないぞ」

「かしこまりました。どうかお気をつけて」

「そのつもりだ」

 

 そうして、大層なフルプレートを纏った大柄の剣士、モモンという新しいロールプレイングに心踊らせて、アインズは新しい世界での初めての洞窟探索に赴く。

 

 が、やはりというべきか、いやわかっていた事なのだが、野盗どもは雑魚すぎた。盾でぶっ叩けば岩の壁まで吹き飛んで、衝撃で意識を失う。鎧の手甲(ガントレット)で顔をフック気味に殴れば、首が90°オーバーで回転し、即死する。いくら死霊系特化で後方専門の魔法詠唱者であるとはいえ、アインズのレベルは100である。10レベルあるかないかという程度の野盗如き、苦労を覚える方が難しい。

 

「なんか・・・・・・面白くないな・・・」

 

 鍛え上げた力で弱者を蹂躙する時、人間は快感覚えるものである。しかし、人間的欲求や快楽が失われたアンデッドであるオーバーロードの身体では、それが無い。なまじ人間であった頃の精神がそのまま搭載されているため、生者を憎むというアンデッド特有の感情も打ち消されてしまっているので、アインズには何を想う事もできないのだった。

 そうして数十人をブン殴りながら洞窟を奥へと進むモモンの前に、ついに手応えのありそうな存在が現れる。曲がり角の先に立っていたその男との距離は、実に4メートル。4メートルを挟んで、二人は静かに立ち止まる。

 

「おー、こりゃまたご立派な騎士サマですこと。なるほど、アイツ等じゃ歯が立たないわけだ」

 

 燻(くす)んだ青髪。ハンサムな顔立ち。引き締まりつつ肉付きのよいガ(・)タ(・)イ(・)。腰に差すは刀。防具を纏わぬ姿から、一撃必殺を旨(むね)とする剣士である事は明白。

 

「お前がこいつ等のボスか?」

 

 これまでで一番の実力者と見て、モモンが言う。しかし、青髪の返答は否定(NO)。

 

「俺はただの雇われ。用心棒さ。腕を磨くためにと与(くみ)したんだが・・・———こうしてアンタみたいな強ぇ奴と出会えたんだから、俺の考えは間違ってなかったってことだな」

 

 男はするりと剣を抜く。その姿は堂に入っており、一見して熟練者である事が窺(うかが)えた。

 

「抜きなよ」

 

 男が言う。しかし、モモンは微動だにしない。

 

「・・・・・・いいんだな? じゃあ、行くぜ?———俺の名はブレイン・アングラウス! その身に刻んで、あの世に逝きなあ!!」

 

 4メートルという距離は一歩の踏み込みにて埋まり、二人は肉薄する。

 

(もらった!)

 

 ブレイン・アングラウスは勝利を確信する。いかに立派な鎧であろうと、寸前に筋力増強を始めとした数種類のポーションによるドーピングを施している身、板金の両断なぞ容易い。ドーピングの有無が知られていないからこその侵入者(フルプレート)の油断だが、殺し合いの場で油断する方が悪いのだ。

 だが、ブレインの確信はそり立つ壁に阻まれる。刀身を握り、剣撃を殺されるという形で。

 

「ばかな・・・!」

 

 モモンの手の中で、ブレインの刀が震える。

 一瞬の事であった。凄まじい速度で降り抜かれた刀を、モモンの右手が握り止めたのだ。

 

「ぐぅっ・・・!」

 

 ブレインは握られた刀を引き抜き、瞬時にバックステップで距離を取る。これが素手なら、刀は取り返せなかっただろう。だが鎧は金属。吸着力も摩擦も持たないのなら、簡単に滑る。

 

(どんな反射速度だよ・・・! 受けるとか、躱すとかなら分かるが、握り止めるだと!? ふざけやがってバケモノめ・・・!!)

 

 ブレインは瞬時に戦況を把握する。侵入者は恐るべき握力と反射神経を備えており、まともな太刀筋では見切られ防がれることは明白。刀を握った手甲に傷らしい傷がついていない事から、鎧そのものが凄まじい硬度を持っていることはもちろん。左腕に備えられた盾はたしかに脅威だが、背中の大剣は抜かれておらず。いざ抜かれても洞窟内という狭い環境では問題にならない。つまりは、剣を掴み取るほどのあの反射速度で振るわれる右手が一番やっかいだということ。

 

(ちぃーっと分が悪いか? だが、それは武技(・・)が無ければの話!)

 

 ブレイン・アングラウスの真髄、それは二種の武技よる絶対剣撃。〈領域〉による瞬間把握と、〈瞬閃〉による刹那の斬撃。間合いに入った途端、まさに一瞬で敵を斬り伏せる妙技。この合わせ技の前には、誰であろうと逃れる事は出来ない。

 

「・・・・・・もう終わりか? なら、こちらから行くとしよう」

 

 これが小説なら御都合主義と揶揄されるであろうほどにブレインの目論見通り、侵入者(モモン)が歩み寄る。そして、ならば、決着は確実。いかに優れた鎧であろうと、いかに脅威的な反射速度であろうと、この一撃は決して防げないと、ブレインは信じている。そして、ついにその瞬間——

 

(これで終わりだ!)

 

——ブレインの剣は、モモンの手の中にあった。

 

「そん・・・な・・・」

 

 この日、ブレイン・アングラウスは、二度目の決定的敗北を喫したのだった。

 

 

———

 

 

 貿易都市エ・ランテル。その中で最底辺の人種と言われるのが「冒険者」。というのも、彼らは冒険者とは名ばかりで、実際は野犬退治やモンスター討伐を生業とする傭兵でしかないからだ。決して冒険などではない、実利を求めて今日の食い扶持を稼ぐ事ばかりが目当てのならず者の防波堤、それが王国における冒険者という存在だった。

 そんな冒険者をまとめ上げるのが冒険者ギルド。その冒険者ギルドの館に、思いよらぬ人間が訪れる。

 

「モモンだ」

「ええ、覚えておりますよ。昨日、登録されたばかりの方ですよね。本日はどういったご用件でしょうか?」

「もう1人、冒険者登録をして欲しくてな」

「というのは、後ろの方でしょうか・・・? でしたら、こちらの用紙に記入をお願いします——それで、お名前は?」

 

 その名前に、居合わせた全員が顔を引攣らせた。

 

「ブレイン・アングラウスだ」

 

 この日がエ・ランテルの新たな歴史の始まりであった事を知る者は、いない。

 




 なぜブリタ含む冒険者集団が死を撒く剣団のアジトを襲撃するイベントと重ならなかったのか、法国の調査団と鉢合わせするイベントは? ってのは次回書く予定なんだけど・・・
 次回があるかなあ・・・

※追記
 ペペロンチーノとラタトゥユについて書いておくね。
 まずペペロンチーノ。
・スパゲティを普通に茹でる。
・スパゲティが半分くらい茹でられた頃合いでフライパンに「もったいない・・・」ってくらいオリーブオイルを敷く。
・弱火でスライスのにんにくと鷹の爪(トウガラシ)(粉末の一味唐辛子でもOK)を炒める。弱火なのはオリーブ油にニンニクのエキスを溶かすため。
・スパゲティに少し芯が残ってる程度(アルデンテ)で、湯切りしてフライパンに入れる。この時、ニンニクがキツネ色になるように調整するには経験を積むしかない。
・オレガノでもバジルでも黒胡椒でも粉チーズでも好きにかける。
・皿に盛り付けて完成。
・くっそうめえ。しかも簡単

 次にラタトゥユ
・ベーコン。ナスビ、タマネギ、パプリカなどを食べやすい大きさに切る。
・フライパンにオリーブオイルを引いて刻みにんにくとベーコンを炒める。ベーコンから脂が出て、ニンニクに色がつかないように。
・先に切っておいた野菜を入れる。塩を振ってから蓋をして蒸すようにすると火が通りやすい。
・トマトの酸味を極力減らしたいなら他の野菜より先に入れてね。しっかり炒めればOK。
・ナスビの仕上がり具合を見て、足りないようなら追いオリーブオイル。もう蓋はしないで。
・トマト投入。缶詰めのホールトマトが便利。トマトを潰しながら炒める。
・メインはオリーブオイルとベーコンの旨味を吸ったナスビ、そう心得よ。
・味付けは粒状のコンソメでも鶏ガラスープの素でもお好きに。胡椒は使うな。
・冷めても美味しい。ワインとよくあう。冷めるとナスビからオリーブオイルが溢れ出るが。

 ラタトゥユのトマトについての記述が抜けてたから追記したよ。
 じゃあみんな、美味しいお酒ライフを!


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