※この作品はR-18です。

廃人ネカマのロールプレイング   作:栗鼠科.aka.メスガキ撲滅委員会

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 頑張ってエロいの書くぞ〜! 書くぞ〜!





第一話、初プレイ。

 全てのシモベに等しく降りかかる悲報。ナザリック地下大墳墓の第十階層『玉座』に集まった全てのシモベが、一様に涙していた。

 当然だ。この事実を知ってどうして泣かずにいられよう、どうして悲しまずにいられようか。吸血鬼が、悪魔が、狼が、ドラゴンが、ホムンクルスが、呼び寄せられた全ての者たちが泣いている。"またも、至高の御方が還らぬ身となった。今度は御隠れになって"。守護者統括として毅然と振る舞うアルベドでさえ頬を伝う涙を拭えずにいる。沁み入る悲しみを堪えるので精一杯なのだ。

 

 “デミウルゴス”。ウルベルト・アレイン・オードルが創り出した階層守護者NPC。彼もまた、静かに涙を流していた。

 嫌な予感はあった。至高の支配者であるモモンガ様から突如として発せられた招集命令。何事かと思いつつも、命令通りに副官と至高の御方の前に出しても失礼とならない程度のシモベを連れて、玉座の間へと向かった。玉座の間に入ってまず目に入る至高の支配者の姿、最後まで残ってくださった御方の慈悲を感じつつも、安心が生まれない。その側に控える守護者統括、アルベドの様子がおかしいのだ。怯えているのか、困惑しているのか、落ち着かない目をしていた。次々と集まる各階層守護者。招集された全員が集まると、モモンガ様の声。一切の乱れなく命令通りに膝をつく事が出来たが、やはり不安は治(おさま)らない。そして現れるもう一人の慈悲深き御方、創造主たるウルベルト様の盟友、パールンレヴァク様の姿。デミウルゴスはこの時点で、嫌な予感が明確なビジョンとなっていくのを止められなかった。玉座に添えられるようにして並べられる至宝の数々、ワールドアイテムと呼ばれるそれらは大戦(おおいくさ)でもなければ日の目を見ない、あまりにも強力すぎる物だというのに。そして紡(つむ)がれる弔(とむら)いの言葉。聞きたくなかった、知りたくなかった、非情な現実を意味する御二方の言葉を。そう、それは、創造主たるウルベルト・アレイン・オードルが死によって還らぬ身となった事を意味していた。モモンガ様とパールンレヴァク様の悲哀の言葉が、それを物語っていた。

 

『こいつはデミウルゴス、私の最高傑作だ』

 

 あんなにも期待してくださった方が、

 

『デミウルゴス、お前を見ていると、私は楽しくて嬉しくて堪らないのだ』

 

 あんなにも愛してくださった方が、

 

『しばらくナザリックには戻れない、というかログインできなくなるんだが』

 

 本当に還らぬ身となってしまったなんて。

 崩れそうな膝と肩を震わせて、デミウルゴスは宝石の眼を涙でいっぱいにした。

 

 

—————

 

 

 なにがどうなっちゃったんだろう。どうしよう。どうしたらいいのかな。

 

 さっきまでの悲哀を吹き飛ばす衝撃が、2人の眼前に広がっていた。ウルベルトとかつての仲間達へ捧げる黙祷の中、心を同じくした2人は別れを告げることも、再会の約束を交わす事もなく、ユグドラシルのサービス終了をただ黙って迎えたはずだった。

 はずだったのに。気付けば目の前のNPC達は肩を震わせて泣いているのだ。よく出来たAIだなあ、なんて現実逃避に意味は無い。床に滴る涙の音も、数々の嗚咽(おえつ)も、震える鎧のカチャカチャという金属音も、涙で濡れた鼻をすする音すら聞こえるのだ。どうあってもユグドラシルではありえない現象だ。いかにユグドラシルがよく出来たゲームで、ナノマシンを通じて五感に直接伝わる感覚があろうと、発生するはずがないものがあるのはおかしい。

 パールンレヴァクは気付く、知らぬ間にモモンガの右手を握っていたのだが、その手が"痛い"。いや、痛いというよりは痺れるという感覚。それがモモンガのパッシブスキル『ネガティブタッチ』によるものだと悟り、瞬時に困惑が脳を支配する。

 モモンガは気付く、知らぬ間に感じていた手の熱を。自身の右手に添えるようにして置かれていた、パールンレヴァクの手が"温かい"。いや、温かいというよりはむず痒いという感覚。それがパールンレヴァクのパッシブスキル『増幅の肌』によるものだと悟り、脳内がハテナで埋め尽くされる。

 

「どういうことだ!?」

 

 2人は全く同じ言葉を叫びながら、全く同じ速度で立ち上がった。次の瞬間、座して控えていたシモベ達の視線を知る。"命令コマンドも出していないのに、NPCが動いている"。

 

「ど、どうかなされましたかモモンガ様!? パールンレヴァク様!? 私どもが何か失礼を・・・!?」

 

 駆け寄り、足元に跪くアルベドを見て、2人は驚愕する。アルベドはプログラムにない動きをし、プログラムにない言葉を発し、唇が動き、喉が声を出しているのだ。もはやこれはAIではない。ひとつの生き物としか思えない存在だった。困惑はもはや、不理解のまま飲み込まざるを得ないものとなっていた。そう、世界(ユグドラシル)は仮想現実でなくなってしまったのだ。

 

 モモンガとパールンレヴァクの行動は素早かった。

 

「駄目だ! GMコールが利かん!」

「ウィンドウ表示が出ないぞ! どうなってる!」

「伝言(メッセージ)はどうだ!?」

「まて・・・・・・ダメだ、繋がらん!」

 

 ゲームとしての基本システムが尽く利用出来なくなっていることを確認してしまい、信じざるを得ない現実を知る。音と臭いで、触覚で、2人は世界の変質を肌で知った。

 

 不条理とは飲み込む事で初めて理解を許す。モモンガとパールンレヴァクの2人は世界の変質を確信し、ゲームの中でしかなかったナザリックが現実となった事を実感した。

 

「・・・・・・よし、じゃあ・・・最後の確認といこうか」

 

 パールンレヴァクの言葉が意味するところは分からなかったが、モモンガは黙って頷き、事を見守る。意を決したという表情のパールンレヴァクは跪いたままのシモベ達の視線を一身に浴びながら、すぐ側に控えるアルベドの前に立った。

 

「アルベド、立て」

「は、はい。パールンレヴァク様」

 

 アルベドの声からは困惑と不安が感じられ、未だ涙に濡れたままの目もまた困惑と不安の色を示していた。しかし、確かめなければならないのだ。もしも本当に世界(ユグドラシル)が現実となり、プログラムでも擬似信号でもなく確固たる物理法則の上に肉体として存在する事になったのなら、これがゲームの続きでないのなら、絶対の法則である運営のルール、ゲームシステムを破れるはずだ。

 ついに覚悟を決めて、パールンレヴァクはアルベドの胸に触れた。

 

「あっ!? えっ!? パ、パールンレヴァク様っ!?」

「パールンレヴァクさん!?」

 

 その行為の突拍子の無さに、モモンガがロールプレイングを忘れて思わず素に戻る。もちろん、胸を触られた当人、アルベドの困惑はその比ではない。が、驚く骸骨とサキュバスに構わず、力を込めて胸を鷲掴みにするパールンレヴァク。

 

「あっ・・・ん・・・。な、なにをなさるのですか。そんな、んっ・・・あっ!」

 

 パールンレヴァクは手から伝わる感覚で実感する。やはり『増幅の肌』がフレンドリィファイアしている。マザー・サキュバスであるパールンレヴァクのパッシブスキルにより耐性貫通という強化がされた『増幅の肌』の効果は「触れた相手に一定時間ダメージ増加状態を付与する」というもの、スキルの説明欄には「触れるだけで快感を数倍にしてしまう、淫魔の女王の肌」とあったものだ。それがアルベドに作用し、胸を触られただけで達しそうなまでに感じさせているのだ。

 

「ス、ストップ! ストップです! もう十分でしょう!」

 

 さっきとは違う涙を浮かべて上気した頬のアルベドを見かねて、慌てたモモンガが止めに入った。なぜかもの欲しそうなアルベドからパールンレヴァクを引き剥がし、どうしようもない空気をなんとかしようと声を出す。

 

「これで間違いないですね・・・」

「ああ、R−18行為が可能とはな・・・・・・。これはもう、疑う余地はあるまい」

 

 さっきまで豊満な胸を揉みしだいていた手を"わきわき"と何度も握っては開きつつ、パールンレヴァクが答える。もう間違いない。ここは現実の世界である。ゲームではありえない。このような18禁行為は、違法なソフトウェアでなければ実現できないのだ。つまり、これは仮想体験ではない。それが今、実証された。

 ならば次にしなければならない事はなにか。2人は互いの目を見て考えを同じくする。状況の調査と安全の確保だ。

 

「んんっ!」

 

 わざとらしく喉をならして———肉の無い骸骨の身体でどうやっているのかは不明だが———モモンガは格好つけて玉座に座り直す。そして、さっきまでのパールンレヴァクの異常行動は存在しなかったと言わんばかりに、威厳を意識したロールプレイングで号令を出す。

 

「聴け! シモベ達よ! 今、ナザリック地下大墳墓は未曾有(みぞう)の事態にある。よって、ウルベルトの鎮魂は後日、改めて行うものとする!」

 

 控える守護者達が、シモベ達が、意識を新たに次の言葉を待つ。

 

「さて・・・、ではパールンレヴァク、皆に指示を」

 

 今の流れでそうくるとは思わなかった。パールンレヴァクは突然投げられたバトンに困惑し、顔に「え?」と書いてモモンガを見るが、暴投した本人は何も続けない。

 

「私か?」

「ああ」

 

 聞いてみればこの答え。埒が開かぬと小声で耳打ちをすると。

 

「いやほら、俺ってば魔王ロールは苦手でしたから・・・」

「・・・そうは思わないが」

「お願いしますよ! パールンレヴァクさんは得意でしょ!? ほら、みんな見てるじゃないですか! あの目! あれ絶対こっちを神か何かと勘違いしてる目ですよ! このプレッシャーの中で噛まずに魔王ロールなんてできませんよぉ!」

「ああー・・・分かったわかった・・・。じゃあそれっぽく合わせてくれればいいから・・・」

「頼みます・・・」

 

 眼前に跪く全てのNPCは今や自由意志を持った命である。そして彼らは畏敬の念を隠しもせずに見つめてくるのだ。モモンガも何度かやったことはあるが、しょせんはウルベルトやパールンレヴァクの真似をして覚えた魔王ロール。プレッシャーの中、気が動転している今は、とてもじゃないが完璧には振る舞えないと。元がただのサラリーマンでしかないモモンガは、ロールプレイングに拘りまくったパールンレヴァクに丸投げするのが一番だと考えたのだ。

 モモンガの切羽詰まった態度に驚き、一瞬素に戻ってしまったが、パールンレヴァクはすぐに佇まいを直した。そして魔王ロールに従って言葉選び、指令を下す。

 

「セバス! 前へ!」

「はっ」

 

 呼び出されたのは九階層に控えるナザリック地下大墳墓の執事長、たっち・みーが創造せしセバス・チャン。厳格を体現するかのような凛々しい老齢の男性だ。

 

「セバス・チャン、そなたにはナザリックの外の探索を命ずる。プレアデスよりソリュシャンとエントマを連れて行け。現場での対応は任せよう。だが、戦闘は極力避け、モンスターは観察に留めるよう努めよ。対話可能な知的生物と遭遇した場合は、可能であればナザリックへと連れよ。その際、金銭などによる誘惑や取引を許可する——ソリュシャン・イプシロン。エントマ・ヴァシリッサ・ゼータ。前へ」

 

 続いて呼び出されたのは7人いる戦闘メイド「プレアデス」の2人。美しい美貌だが、その正体は残忍なスライムのソリュシャン・イプシロン。美少女の姿をしているが、精巧な仮面の下は蟲の身体であるエントマ・ヴァシリッサ・ゼータ。

 

「ソリュシャン、そしてエントマ。そなたらに金貨と宝石を預けよう。セバス、そなたには宝剣だ——物の価値がわかる程度の知能あらば、欲望もまたしかり。心理を読んで、上手く使え」

「御命令、仰せつかりました、パールンレヴァク様。至高の御方々の御期待に添えるよう、気を引き締めて事に当たらせていただきます」

 

 チームの代表であるセバスが返事をする。そして3人は、手の皿に乗せられた物の重みは信頼の重みであると感じ、恭しく頭を下げた。しかし、3人が感じ入るのはそれだけではない。これは至高の存在から初めて命じられた大役であるのだ。どんな小さなものであってもナザリックの外に出た事はない。この指令はナザリックに産まれた者として非常に名誉な事であると理解しているのだ。場合によってはナザリックの今後を左右しかねない、重要な任務であると。

 パールンレヴァクは正しく僕(しもべ)としての態度を取る3人に満足し、次なる指令を下すべく顔を上げる。

 

「続いて、各階層守護者に命ず! 自らが守護する階層へ戻り、隅まで徹底的に調査せよ! 僅かでも異常と思うものあらば、すぐさま守護者統括へと報せよ。私やロード・モモンガですら全貌を掴めぬ異常が、ナザリック全域に影響している。充分に警戒するのだ!」

 

 ナザリックの僕の中でも格闘戦最強のセバスを、わざわざ周辺探索程度の任務につかせる。その意味を考察し、警戒心を高めていた階層守護者達は、パールンレヴァクから掛けられた言葉を受けて、さらに気を引き締めた。ユグドラシルにおいて、かつて最強の名を欲しいままにしたアインズ・ウール・ゴウンの支配者である2人が最大の警戒を払っているのだ。これを軽んじるような者は、ナザリックのシモベにはいない。

 階層守護者達は力強く答え、全身に覇気を充満させた。

 

「最後に、守護者統括アルベド!」

「はっ」

 

 気を取り戻していたアルベドが膝をつく。

 

「ナザリック全体の警戒レベルを最大に引き上げ、確実な連絡網を構築せよ。残るプレアデスとメイドは自由に使え。そして、お前の姉、第五階層のニグレドを起こせ。セバス達の探索範囲外を視るように伝えよ。仔細は後(のち)に直接会って聞くゆえ、お前が概要を纏めるのだ。よいな?」

「御命令、受け賜わりました」

「第四階層は私が、第八階層はモモンガが調べる。その後、第九階層の円卓にて協議を行う。火急の用あらば、円卓に寄越せ」

 

 パールンレヴァクは深く頷いたアルベドからゆっくりと目を離し、跪いたままのシモベ達の方を向いた。そして、強く、威厳のある声で言った。

 

「各員、"己が命を最優先として行動せよ!" ナザリックの宝たるそなたらの命を粗末に失う事は、パールンレヴァクの慈愛を裏切り、モモンガの信頼に叛(そむ)くものと知れ!!」

 

 その言葉は玉座の間に集まった全ての僕の心に響いた。ナザリックで作られたNPCは皆、至高の存在の役に立つためにあるもの。そのためなら死ぬことなぞ怖くない。だというのになんと慈悲深い御言葉であろうか。アルベドやデミウルゴスなどは度重なる感涙を堪えるので疲労を覚えるほどだ。

 

「所要時間は2時間! 2時間後、セバス並びに各階層守護者は玉座の間に集合せよ!

 ——では、各員、行動を開始せよ!」

 

 

—————

 

 

 ようやく人の目の無い円卓の間に座ることができて、オーバーロードとマザー・サキュバスは肩を投げ出して息を吐いた。

 

「いやー・・・、疲れたぁ・・・」

「素が出てますよ、パールンレヴァクさん」

「おっといけない。んんっ!」

「ね? だから言ったでしょう、プレッシャー凄いって」

 

 身振り手振りは役者のようで、表情を崩すこともなく、威厳たっぷりに支配者らしい演技をしてみせたパールンレヴァクであったが、それはユグドラシルでのロールプレイングという予習があったからこそ。初めての本番を終えた疲労と心労はかなりのものである。だからあれだけ拘っていたロールプレイを忘れて、完全にだらけきっている姿を晒したとしても仕方がないのである。

 しかしその全力のリラックスも数分だけの話。2人は佇まいを直すと、協議を開始する。

 口火を切ったのはモモンガだった。

 

「やはり・・・・・・ここは新しい現実世界ですね・・・」

「間違いないわね。舌には味覚があって、空気の振動を肌で感知できて、痛覚も快感もあるんだから。これは間違いなく現実よ」

 

 パールンレヴァクはネカマとしてのサキュバスロールを取り戻し、絵画的、アニメ的な映えるオーバーなリアクションを取って話す。パールンレヴァクのこの行動はユグドラシルにいた頃は当たり前のようにやっていたことであり、モモンガにとっては今さらである。もちろんパールンレヴァクとしてプレイしていた中の人(・・・)が男性だと知っているので、思うところはあるが。

 

「身体のほうはどうですか。私は・・・、骨なのに色んな感覚器官があるようで、不思議なカンジなんですけど・・・」

「ん〜・・・・・・サキュバスの身体がどういう仕組みなのかは詳しく知らないけど、人間の身体より快適で知覚に優れてるってとこかな。ほら見て、肌がすっごいハリツヤしてる。前の体とは大違いだよ〜」

 

 そう言いつつ、パールンレヴァクが自分の胸を持ち上げたり押さえたりする。見れば、パールンレヴァクの目はモモンガの顔を凝視しており、反応を窺うつもりで大きな胸を弄っているらしい。

 

「うん・・・、残念なことに・・・、性欲も骨同然みたいですね・・・」

「ええっ!? それは流石に・・・・・・かわいそう・・・」

「ちょっとはドキっとしたので、無くはないみたいですけど。でも、それだけですね・・・」

「ピクりともこないの? ほら、胸チラ胸チラ」

「・・・・・・・・・ううっ、虚しい・・・!」

「そ、そんな・・・」

 

 胸チラどころか乳首まで見せているサキュバスを前にしても、骸骨の身体は何の反応も示さなかった。モモンガは多大な喪失感からくる失望がアンデットとしての性質によってリセットされるのを感じると、あらためて大きなため息を吐いた。そして、目の前でくねくねと踊るようにして自身の身体を確かめているサキュバスを見直す。

 美しさと妖艶さを極めたかのようなアバターだ。タブラ・スマラグディナが心血を注いで造型したアルベドもサキュバスに相応しい美しさと妖艶さを持っているが、課金に次ぐ課金で手に入る限り最高の素材を集めたパールンレヴァクのそれは更に上をいく。頭部に生えた2本の角が視覚効果により全体をスラっと細く見せ。ねっとりと輝く紫色の髪が長く伸びて、肩に掛かって広がることで腕の細さを強調している。背中に生えるコウモリのような翼はともかく、お尻から伸びる尻尾は誘うように揺れていてサキュバスらしい淫靡さを醸し出している。ハリのあって形もよい巨乳、くびれて締まった細い腰、指が沈み込みそうな程の柔らかさが見て取れる大きなお尻、むっちりという擬音が相応しい艶のある太ももと、男の性的欲望の全てを叶えたかのような魅惑的にして蠱惑的なセックスアピール全開の身体。マザー・サキュバスというサキュバスの種族における最上位に相応しい身体だ。身に付ける衣装も当然ドスケベ。サービス10年目にして目に見えて減ってきた客を取り戻そうとユグドラシル運営が行なった暴挙、「こんな物がよく審査通ったな!」と当時のプレイヤー達が驚いたほどの、きわどい、エロい、スケベすぎる装備品の実装。待ってましたと言わんばかりに貯金を崩してガチャを回しまくったパールンレヴァクの姿を、モモンガはよく覚えている。そうして手に入れたランジェリーそのままの、下着姿も同然のドスケベアバターがパールンレヴァクなのである。もっともパールンレヴァク本人は常々「カッコイイでしょ? クールでしょこれ?」と言っていたのだが。

 

「人の前でよくそんなことできますね」

 

 下着の中に手を入れ始めたパールンレヴァクを見かねて、モモンガが言う。

 

「だってぇ、性別から変わっちゃってるじゃない? こっちも本物か調べたいじゃん?」

「で、どうなんですか?」

「うん、本物。豆も穴もあるし、ちゃんと湿ってる。・・・・・・いやあ、感慨深いやらどうしていいやら・・・・・・」

 

 パールンレヴァクがまた素に戻っていることなど、もうどうでもよかった。同じ男であった友人が劇的な性転換を遂げ、自身は肉の一片も存在しない骸骨となってしまったのだ。モモンガは先行きの不安とやり場のない困惑で、頭を抱えた。

 

 

 

 






 ダメみたいですね。
 なんか要望とかアイデアとかあったら気軽にどーぞ。待ってますわよ。


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