異形に寄生されて女へと変異したが、この身体も悪くない 作:ゲルパンマン♥山崎
そうしてゲイルは無理やり教会に連れてこられ、治療を行う神父の前に座らされる。
神父はもう高齢ではあるが、体格は未だガッチリとして背筋は伸び、たまに剣の素振りすら行う人間だ。
声もしわがれておらず、ハキハキと低い声で喋る。身長こそ高くはないが、祭服から着替えれば屈強な老紳士と見紛う風貌である。
たくましい冒険者が多いこの街の神父ならば、たくましくならねば務まらないと鍛え上げた結果だ。
「それで?お嬢さんはどこが悪いのかな?」
「いやどこも悪くないんだが、こいつらが勝手に」
「……重症だな。お嬢さんと呼ばれても違和感を覚えてねえ」
「まぁここまで来たら大人しく受けてやるよ。とことん調べてくれ。何もねえだろうけど」
「神父様、先月連れてきた男を覚えていますか?急患で、僕がおぶってきた、気絶した中肉中背の男です」
「ん?ああ、覚えているとも。パトリックの仲間の若者だな。私が浄化をかけた。その彼がどうかしたのかね」
「その男が、その後これになったんだ。しかも本人に自覚がない」
「なんと?神父をからかってはいけない。天罰が落ちてしまうよ」
「本当だジジイ。俺は教会の人間を騙さねえよ」
「ふむ、確かにパトリックはそのような人間ではないな。ふ~む。どう見てもお嬢さんだ。これがあの時の白目向いて泡吹いてた男か……私もこんな症状は初めて見る」
「どうだ?治せるか?」
「……服の中をみたい。どうなっているのかね?」
「神父様?正気ですか?」
「勘違いをしてはいけない。私は女性の病人もたくさん見てきたが、間違いなど一度として起こしていない。だからこそ神父をやっているのだ。信用したまえ」
「サイモン、この神父は本物だ。信用しろ」
「そのようですね。疑って申し訳ありませんでした」
「なんだ?脱げばいいのか?わかったわかった」
「うおっ」
ゲイルはポイポイと服を脱ぎ始める。その脱ぎ方に色っぽさは何一つなく、男気溢れる脱ぎっぷりだ。
そんな男らしい行動とは裏腹に、冒険者とは思えないシミひとつない肌が露わになり、大きすぎず小さすぎず、まさに丁度よいサイズの揺れる乳房が男たちの視線を集める。
ゲイルは今年24になるはずだ。しかしその肌は日焼け一つなく、10代の如きハリと美しさを持っている。
そしてブーツを脱ぎ、ズボンを脱ぎ、最後の下着まで脱いで、あっという間に裸となった。
胸は膨らみ、腰はくびれ、ヒップへの曲線が魅力的な、完全に女性の身体付きだ。三人はゴクリとツバを飲み込む。
たくましいとまでは行かないが、無駄を削ぎ落としたその肉体は、娼婦とは違う魅力を引き出している。
髪の毛は特に伸びていないためベリーショートだが、それがまた肉体とマッチし、健康的で無垢な印象を強くさせる。
その股間に、男性器はついてなかった。
毛も生えておらず、見るからに一度も使われたことのない割れ目だけがあった。
「これは……」
「ヒュー」
「つるつる……っていや、そこまで脱がなくて良かったんですよ……今更ですけど」
男性陣は口々に感嘆の声をあげるが、当のゲイルはどこ吹く風だ。
「な?何もねえだろ?」
「あ、ああ……ねえな。大事なもんが」
「ゲイル、今の自分の身体を見てさ、何か思う事ないのですか?」
「ああ?あー、まぁ、冒険者にしてはちょっと筋肉足らねえとは思ってるよ。でも俺はキャスターだしこんなもんだろ」
「これです。おかしいですよね。頭が」
「なんだとおい」
「幻覚系に掛っている疑いあり、と。ふむ、口を開けて」
「あーーーー」
「異常なし。触るよ」
神父はゲイルの首元、頭を触る。添えた左手が探知魔法のため淡く輝く。
左手は輝いたまま、打診を始める。
「ふっ、んっ、くっ」
「変な声出すなよ」
「出ちまうんだよ。んっ」
その手が、鎖骨から順に徐々に下へ降りていく。
「ふ〜む、む?これは……とても弱いが……何か反応がある」
ゲイルの下腹部。女性ならば子宮がある場所だ。
「何かありました?」
「何かはわからないな。だがとても弱々しい。この程度ならば……いや、肉体をこうも変容させたモノだ。ナメないほうが良いな。ホアアッ!!」
「ブハハ、ホアアだってホアア。その顔でホアアって、ブハハ」
「……ふむ、中のものは消えたようだ。後は肉体の問題だな」
「それで?治るのか?」
「わからないな。浄化も一応は掛けてみるが、以前効果がなかったのだろう?何しろ前例がないからな。いくつか試しては経過を見る、の繰り返ししかあるまい。まずは……ホアアッ!!っと、もう一つホアアッ!!……ふむ、こんなものだろう。とりあえず今日は終わりだ。もう服着なさい。目の毒だ」
「長期戦ですか……」
「チッ」
「一応なんかあったのか。あれか?おしっこの石とかか?すっげえ痛えらしいな、あれ。小さいうちに見つかってよかったわ」
当の本人であるゲイルは何も理解せず、服を着始める。
「ふむ……おいゲイル。ちょっと待て。お前娼館好きだよな」
「お?おう、最近行ってねぇけど。なんだよ唐突だな。ああでもそろそろ行きてえな。またアカネちゃんを抱きたい」
「そこで女に何をする?」
「え、何って、ナニだよ。言わせんな、おいニヒヒ。なんだパトリック、お前も実は興味津々か。今度一緒に行くか」
「真面目な話だ。いや、俺自信バカバカしいと思っているが、真面目な話だ。女にする事を順番に言え」
「えーなんだよ意味わかんねぇ。えーと、おっぱい揉んで、キスして、乳首いじって、ペロペロして」
「今お前の胸についてるそれはなんだ?」
「あ?俺の胸?ん?あれ……ん??あ????」
「女の股ぐらが濡れたら、お前はどうするんだ?」
「え??ん??どうするっておま、そりゃ俺のチンポコをだな」
「それはお前のどこにあるんだ」
「あ??どこってお前、ここに。うん????あれ????」
ゲイルはしきりに疑問符を浮かべながら、自分の身体を触り、観察し、目をこすり、首を傾げる。
その顔色が徐々に悪くなっていく。
「あーーーー!!!なんじゃこりゃーー!!!!」
「やっと気づいたか」
「パトリック、ナイスです」
「こんな簡単な誘導に何故今まで思い至らなかった……」
「理性を取り戻せたのは今日の私の施術よりも大きな功績だ。誇っていいのだよ、パトリック」
「おい!おれの!おれのチンコが!ない!おっぱいが!おれにおっぱいが!ニヒヒ!」
「なんでちょっと嬉しそうなんですか……」
「どうせいつでもおっぱい揉み放題とか考えてるんだろ」
「あーーー!チンコがないともうアカネちゃんとパコパコ出来ない!」
「もうちょっと真面目に考えてください。直前まで狂ってたんですよ、あなた」
「あー……、面目ない」
「まぁ、今日はこれで終了だ。また明日様子を見て施術を行う。暇を見て来なさい」
「おう、ありがとよ神父。これ寄付金な。今後もよろしく」
そうして三人は教会を去り、帰路につく。
「あぁ……俺のチンコが……」
「いつまでグダグダ言ってるんだ」
「ま、まぁ、正気には戻った上、原因と思われるモノは取り除けたんです。初日にしては十分な前進ですよ。このまま治療を続ければ元に戻れますって。たぶん」
「そうだな。そうだよな!おう!お前らにも面倒かけたな!助かったぜ!」
「俺たちも気をつけねばならんな。自覚を奪う効果は恐ろしい。仲間割れになりかねん」
「そうですね。一応ギルドにも報告をしておきますか」
「もう明日にしようぜ。今日は休み休み。たまにはいいだろ」
「じゃあ僕が行ってきますよ。お二人は先に休んでてください」
「頼む。俺はちょっと買いたいものがあるから店に寄っていく」
「よろしく頼むわ。後で酒場行こうぜ。また奢るわ」
三人は一度解散し、ゲイルは一人宿へ戻る。
「……チンコ…………俺も……俺の中に……それを……」
今は入れる側ではなく、入れられる側である事を考えると、ゲイルの心臓がドクンと大きく跳ねた。
その呟きは誰にも聞こえなかった。