異形に寄生されて女へと変異したが、この身体も悪くない 作:ゲルパンマン♥山崎
バイエルのパーティ全員と肉体関係はあるものと思ってください。
その日、ゲイルは街の酒場で独り夕食を摂っていた。
今日はあのエロティックな冒険者衣装ではなく、普通の服だ。とは言え、サイモンから貰った女物の服ではあるが。
今日の装いは、ニットワンピースに黒のオーバーニーソックス。
柔らかいニット生地が身体に張り付くように包み込み、ボディラインがくっきり現れる。胸の膨らみからくびれ、そしてヒップが魅力的な曲線を描く。裾は膝より上で太ももまで見えそうな長さだ。
黒のオーバーニーソックスの上部にはレースがあしらわれている。歩く度に、太ももが上がる度に、ワンピースの裾からそのレースが見え隠れしている。
もう少しで、その太ももの付け根、その裾の奥の暗闇の中まで見えてしまいそうである。が、決して見えない。決して見せない。
街を歩いていたとき、ゲイルは周囲の男たちからたくさんの視線を感じた。
ボディラインで男の目を引き、その目はギリギリ見える太もものレースを追いかけ、そして隠された秘部へと移っていく。
ゲイル自身、理解の上でこの服装をしている。
匂いがしてくる。男が発情している匂いが。勃起している匂いが。誰かまでかはわからないが、間違いない。
自分を見て興奮したのだ。どこかの誰かが、今の自分をみてペニスをおっ勃て、交尾をしたいと、ペニスをぶち込みたいと思ったのだ。
ゲイルの背筋にゾクゾクとした興奮が沸き立ってくる。
ゲイルは今、そんな興奮を味わいながら食事をするという変態遊戯に勤しんでいる。
あの日、バイエル&少年たちを利用もとい協力し、当面の生活費を稼いだゲイルは、街でより稼げるパーティに参加する方針へ切り替えた。が、なかなか良いパーティは見つからない。
取り分がソロとほとんど変わらないか、むしろソロのほうが稼げる募集しか見当たらないのだ。ゲイル個人の能力が突出して高いということもある。
味方が増える分、安全性は確実に上がるが、人数で割るだけに金銭効率は下がる。必要経費と割り切るべきかどうか、悩ましい。
まあ焦る必要はない。生活費は十分にある。
これからの稼ぎは、あの堕落した生活のための資金だ。あいつらも稼いでくるし、そう躍起にならなくてもいいだろう。
そう考えると、取り分が少なくても参加してもいいと思えてきた。冒険は、とにかく安全が最優先だ。
明日適当なパーティに声をかけてみよう。なに、気に入らなければそのクエスト完了でさよならすればいいのだ。
仲間たちとの、あの堕落した生活を思い出し、ゲイルの股間が疼いてくる。
あいつらが恋しい。今どうしてるだろうか。稼ぎは順調だろうか。別に目標金額に達していなくとも、早く帰ってきて欲しい。そんなことは、口にも態度にもおくびにも出さないが。
ゲイルがもぞもぞしながら食事をしていると、一人の男が語りかけてきた。
「おっ、ゲイルさぁん、もしかして一人? オレと一緒に呑まない?」
「あ? ……てめえかよ」
話しかけてきた男は、肩まである金髪を片手でかきあげながら、親友にでも出会ったかのような笑顔をゲイルに向ける。
この男の名はアラン。
過去一度だけ、ゲイル達とクエストを共にした事のある冒険者だ。
アランは特定のパーティに加入せず、常に飛び入りで活動している。
キリッとした顔つきに長身痩躯、小綺麗な出で立ちをしているが、その見た目に騙されてはいけない。
自称ビショップ級、経歴も十分それを示しているが、その割に役に立たず、女とみれば誰彼構わず口説き、危険を察知したら、女すら見捨てて誰よりも先に逃げる男だ。
(※注釈 階級は、ポーン→ナイト→ビショップ→ルーク→クイーン→キングの順)
今はルーキーの世話という大義名分で恩を売りつつ若人に自分の力を誇示したり、昔面倒をみたパーティに寄生したりして女を食っているらしい。
どうみてもクズ男だが、それを理解した上で面倒を見ている女が数人いるのだから、余計に顰蹙と嫉妬の的となっている。
手口がバイエルに似ているのも当然である。アランはバイエルのパーティから独り立ちした人間だ。
「よく俺だとわかったな」
「有名人よー? 今のゲイルさん。嫌でも目立つから。いやあ、近くで見ると納得だねぇ。チョーいい女じゃん」
「まあどうでもいいわ。シッシッ。お前が居るとメシが不味くなる」
「そう構えないでくださいよぉ。一度は組んだ仲じゃない」
ゲイルもアランが嫌いだ。
自分の実力を過大評価しているのが気に食わないし、女を見捨てるのも気に食わないし、喋り方がイラつくし、いちいち身振り手振りが大仰でイラつくし、モテるのもイラつくし、身長が高いのもイラつく。
過去の協力で、勝手に行動し、勝手にピンチになり、勝手に逃げ出した件はゲイルは気にしていない。彼を選んだ自分たちの落ち度だと思っているからだ。
アランが語りかけてきた理由など、言われなくてもわかる。
下心だろう。
女となったゲイルに、いつも一緒にいる二人の邪魔者がいない今が好機とみて口説きに来たのだろう。
ゲイルとて相手は選ぶ。わざわざ嫌いな男と致す必要はない。
何より、あいつらとの思い出で疼いた身体を、このクズ男で解消するのは癪だ。
「勝手に隣座ってんじゃねえよ。消えろ消えろ。てめえのツレと呑んでろよ」
「まあまあ、そう言わずに、ね? あの頃はオレも若かったんだよ。昔のことは水に流してさあ、楽しもうじゃない。オレ奢るからさ」
「おねーさーん、ロースカツとビーフシチュー、それとハイボール追加でおねがーい。会計は全部こいつね」
「はーい、ただいまー」
「うっ、遠慮ないね。でもそれ、Yesの返事って事でいいね? あ、お姉さん、オレにチキン南蛮とわかめサラダと……うーん、焼き鳥盛り合わせ、あと梅酒をロックで」
「はーい、承知しましたー」
「で? 何の用?」
「ゲイルさん、パーティ解散したんだって?」
「一時的に別行動してるだけだ」
「オレと組もうよ。損はさせないぜ」
「しね」
「先にお飲み物、お持ちしましたー」
「お酒が来たね。じゃ、オレたちの未来に乾杯」
「ねーから、そんなもん。んぐんぐ、ぱはぁーっ」
「根に持ってるの? 昔の事。誰にだって未熟ゆえの恥ずかしい経験はあるもんじゃない」
「昔の事は気にしてねえよ。単にお前が信用ならないだけだ」
「そう言わないでさぁ。オレも成長したんだ。昔のままだと思われてるのも心外なんだよね」
「ふーん。ごくごく」
「だからさ、汚名返上の為にも、一度でいいから組んでみてよ、オレと。絶対見直して貰えるからさ」
「ええ~~?」
はっきり言って怪しすぎる。
何せ、今まで謝罪一つなしのままお互い無視するような関係だったのに、この突然の手のひら返しだ。しかも、女になったゲイル一人になった時を狙って。怪しんでくれと言っているようなものである。
が、食事を奢ってくれるのは助かる。組むつもりは毛頭ないが、適当に煮え切らない返事をして、今後も財布になってくれないだろうか、とゲイルは考えた。
「まあ、考えといてやるよ」
心の中で「あいつらが帰ってきてからな」と付け加える。
1対1でこいつと組むつもりなど毛頭ない。
「ホントか!? さっすがゲイルさぁん、懐も胸も大きい」
「お待たせしましたー。ロースカツとビーフシチュー、それとチキン南蛮とわかめサラダでーす」
「おっと、折角の料理の前に酒がなくなっちゃったね。オレの奢りだから、好きに頼んでよ」
「マッカラン、ストレートで」
「ね、年代物は流石にやめてくれよ?」
……
「らからぁ! らからおまえはしんようならなんや、わかっへんのら」
「ちょちょちょ、ゲイルさん大丈夫? めっちゃふらついてるけど」
「あー? よゆーらし、よゆー。つぎのみへいこうれ」
「はいはい、こっちだよこっち」
「あ~~~……つかえた」
「うんうん、じゃあちょっと休憩できるとこ行こうね~」
「おうおう、らからおまえはしんようれきないんやれ」
「はいはい、こっちこっち。ここで一休みしようね。いやーゲイルさん、ちょっと引くほどチョロいわ」