※この作品はR-18です。

異形に寄生されて女へと変異したが、この身体も悪くない   作:ゲルパンマン♥山崎

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07 サイモン・二

 

「ああ、今日が初めてだよ」

 

「もったいないですよぅ。お姉さん綺麗なんですから」

 

「そうは言っても俺は冒険者だからな。どうしても優先順位は低くなる」

 

「うわぁお姉さん冒険者様だったんですねぇ。引き締まったお身体をされているのも納得ですぅ。やっぱりサイモン様とはそこでお知り合いに?」

 

 少女は目を輝かせて訊いてくる。そういったロマンスが好きなようだ。

 

「知り合いにっていうか、数年来の仲間だよ。サイモンとは」

 

「えっ、あっ、ってことはお姉さん、ウワサの……」

 

「すまん、俺はそのウワサとやらを聞いたことがないんだ」

 

 噂や流行にはさっぱり興味のないゲイルだが、流石に自分の事となると気になってくる。

 店員に噂の内容を聞こうか迷っていると、サイモンが声をかけてきた。

 

「ゲイルー、いいですか? これ試着してみて。下着が決まったらこの服も着てみて下さい」

 

「……多くね?」

 

 サイモンは返事を待たずにカーテンをめくり、服を手渡してくる。

 ゲイルは今上半身はブラしか着けてないが、もうどうでもよくなっていた。

 サイモンが持ってきた服は、ブラだけでも10着ほど、そこにシャツやらセーターやらスカートやら短パンやら、何故かドレスまで持ってきている。

 

「ショーツだけ先に一つ代金を払ってきました。いつまでも男物のパンツなんて履いててはいけません」

 

「毎度ありがとうございまぁす」

 

「はい、ゲイル。これはもう代金払ったから、今すぐ履き替えてくださいね。汚いパンツは捨ててしまいましょう」

 

 サイモンが渡してきたのはレースのショーツだ。娼婦が履いているのを見るのは大好きだったが、いざ自分が履くとなると少し抵抗がある。

 ゲイルが着替えるためズボンを脱ごうとするが、サイモンがいつまでもゲイルをじっと見ている。

 

「おいサイモン、いつまで覗いていやがる。シッシッ」

 

「あはは、ゲイルももう一端の女の子ですね。わかりました。お楽しみは後にとっておきます」

 

 サイモンは言いたい事を言うとひらりと試着室から遠ざかった。

 ゲイルは調子を狂わされっぱなしである。

 

「クソッ」

 

「はわっ、お、お楽しみって、やっぱりそういうっ」

 

 店員がまた真っ赤になっている。

 ゲイルの顔も赤いが、今顔が赤いのは断じてサイモンの言動のせいではなく、下着を着替える事の羞恥と言い聞かせる。

 

 サイモンから受け取ったショーツをまじまじと見る。

 今着けているブラと揃いの柄のショーツ。

 男を誘う事も目的の一つとしたデザインをしている。

 今から自分はその下着を身に着けてしまう。

 ブラはまだ機能性の為という言い訳が出来たが、これにそんなものはない。

 夜の教会だけでなく、昼間、日常まで"女性"に侵食されてきたのだ。

 これを履いたら本格的に女性としての人生が始まってしまう。そんな気がしてくる。

 

 ゴクリとツバを飲み込む。

 見れば見るほど羞恥心が湧いてくる。

 こんなものを、自分が身につけてしまう。

 サイモンが選んでくれた下着を。

 サイモンが選んだ、扇情的な、下着を。

 迷いはある。抵抗感もある。

 だが、ゲイルの頭の片隅で、こ(・)れ(・)を(・)着(・)け(・)た(・)ほ(・)う(・)が(・)都(・)合(・)が(・)い(・)い(・)と囁く自分がいる。

 始めは、ゲイル自身すらその囁きの意味がわからなかった。

 しかしすぐに感づく。「都合がいい」の意味を。

 気づいてしまうと、一瞬にしてそれを身につけることの好奇心が膨れ上がった。

 そしてゲイルは、羞恥で顔を真っ赤にしながら、ズボンと男物のパンツを脱ぎ。

 そのショーツに足を通した。

 ゲイル自身の意思で。

 

 顔を上げると、鏡の中に上下揃いのランジェリーに身を包んだ女がいた。

 顔を上気させ、濡れた瞳をし、妖艶な表情でじっとこちらを見ている。

 その姿はとても美く、魅力的で。

 この姿を見た男は、サイモンは、興奮してくれるだろうかと期待に胸を膨らませた。

 

「ほ、本当に男物の下着……やっぱりお姉さん……お、お兄さん?」

 

 店員は顔を赤らめながらも興味深げにゲイルを見てくる。

 先程から初々しい反応をする店員に、ゲイルの悪戯心がくすぐられた。

 

「店員さん、気になる?俺の身体」

 

「はえっ!? いえっ、そんなっ」

 

「触ってみるか?」

 

「はわっ!? いいいいいえいえいえいえいえいえ!」

 

「ほら」

 

「ひええっ」

 

 ゲイルは少女の手をとって、無理やり自分の乳房に押し当てる。

 少女は真っ赤になりながらもゲイルの乳房を凝視し、手のひらはおずおずと乳房に指を沈めてくる。

 

「や、柔らかい。それにすべすべで、さらさらで、シミもなくて……お姉さんが羨ましいです。私はこんなくせっ毛だし、肌も……」

 

 そんな事をつぶやかれてしまった。軽い気持ちでからかっただけに、ゲイルは少し罪悪感を覚える。

 "店員さんも可愛いよ。自信を持って"などと言うことは簡単だが、そんな気休めの台詞を吐いたところで納得などできないだろう。何を言うべきか悩む。

 

「店員さん、俺は一種の事故によってこの身体になった。ハッキリ言って自分で見ても魅力的な身体だと思っている。羨ましがる気持ちはわかる」

 

 手を開放して、店員の両肩を掴む。ゲイルはいつになく真面目に語りかける。

 

「だがな、冒険者にとっては女性ってだけで大分不利なんだ。俺はキャスターだが、だからといって体力や筋力がいらないわけじゃない。どうあがいても持久力は必要で、持てる道具や装備の重量も限られて、場合によっては俺も前衛の真似事すらするんだ。俺が今の身体になって、必ずしも喜んだと思うか?」

 

 店員の少女がハッとして見つめ返してくる。

 

「俺たちは今ルーク級冒険者だが、もしかしたら俺のせいでクイーン級に上がれないかもしれないんだ。男の俺ならば上がれたかもしれないのに。俺はキャスターだったからまだマシだ。女になったのが前衛のサイモンかパトリックだったら、もしかしたらその時点でメンバーの交代、最悪パーティ解散もあり得る」

 

 少女はショックを受けたようで、少し涙目になってきてしまった。

 ゲイルは慌てて少女の頭を撫でながら方向修正する。

 

「すまんすまん。別に攻めてるわけじゃない。他人を羨ましいと思うのはもうしょうがない。それが人間というものだからな。だけど卑屈になるのはやめとけ。俺にはサイモン並の筋力も耐久力もない。だけど、サイモンには俺並の殲滅力はない。それと同じことだ。事実を事実として受け止め、自分に必要なことは何かを考えるんだ。君は仕立て屋を目指しているんだろ? 仕立て屋と冒険者を比べて卑屈になってどうするんだ」

 

「えっ、なんで私が……」

 

「あれ? 違った? あの部屋から出てくる時、ちらっとミシンが見えたからてっきりそうじゃないかと」

 

「い、いえ、あってますぅ。そうですね。ありがとうございます。少し気が楽になりました」

 

 そう言って少女が微笑む。その笑顔が可憐で、ゲイルはつい少女を抱きしめた。

 

「ふわっ、おふっ、む、むねが」

 

「おっと悪い」

 

「いえ、その、あの、ご、ごちそうさまですぅ」

 

 少女が真っ赤になって不思議な礼を言った。

 そこにカーテンの向こうから声が掛かる。

 

「でもゲイル、偉そうなこと言ってますけど、もう男に戻るつもりあんまり無いんですよね」

 

「ちょっ、シッ!綺麗に纏めたんだから水差すなよ!」

 

 向こう側でサイモンがちゃっかり聞いてたのだ。

 

「えっ、なんでですかぁ?」

 

「さあ、なんででしょうね。まったく、ゲイルのせいでクイーン級に上がれないかもしれないというのに」

 

「お前ちょっとこれ売り場に返してきて」

 

「ええっ! 僕が選んだ服、ちゃんと着て見せて下さいよ!」

 

 言えるわけがない。

 女の快楽が忘れられないからなどと。

 

 

 

 その後ゲイルは、店員の"ブラは同じサイズでも細部が違いますんで、絶対に試着をしてくださぁい"という強い勧めによって、結局サイモンが持ってきたブラを全て試着し、その中でも特にフィット感の良かった物を選んだ。

 ショーツについてはもはや面倒になってきたゲイルがサイモンと少女とマダムに丸投げした。

 そして着せ替え人形が始まった。

 

 

 初めに着せられたのは、Tシャツにジーンズ、そこにカジュアルなジャケットを合わせたもの。

 ジーンズは細見で、太ももとふくらはぎをキュッと引き締め、脚を細長く見せるタイプのものだ。

 短い髪の毛とボーイッシュな服装がマッチしつつも、それでいて一目で女とわかるシルエットが魅力的である。

「これはまぁ、特に抵抗感はないな。物はレディースだが男でも通用する格好だ」

「お姉さん、かっこいいですぅ」

「流石に初めは肩慣らしになる服を選びました。でも可愛くないからボツですね。ゲイルのくせに背が高く見える服装とか、生意気なんですよ」

「てめぇ、喧嘩売ってんのか?」

 

 

 次は、へその出た白のハイネックノースリーブにミニスカートとスパッツ、その上からひらひらしたカーデを軽く羽織ったものだ。

 ゲイルの顔が赤い。

 本格的に女の格好となり、照れくささが勝るのだ。

「くぅっ……ハズい……そ、そんなにへそを見るな、へそを」

「いいですね。可愛いですよ。今の僕と並んで歩いても見劣りしません」

「ムカつく言い回ししやがって」

「ところで知ってますか? スパッツの下に下着は履かないのが本来の着方らしいですよ? ちゃんと脱ぎましたか?」

「知らねぇよ。ちゃんと履いてるわ。普通に」

「残念です。まぁ可愛いので買いましょう。次着るときはちゃんとショーツを脱いで履いて下さいね」

「脱がねぇよ」

 

 

 次は、ニット生地の長袖ワンピースだ。

 セーターの裾をそのまま長くしてワンピースにしたような服である。

 伸縮する生地が身体にぴったりと張り付き、ボディラインを魅力的に見せる。

 スカート丈は短めで、歩くと太ももが覗き、下着まで見えてしまいそうだ。

「わあ、よくお似合いですぅ」

「露出は少ないけどこれエロくね?」

「わかります。とてもエロいです。見えそうで見えないのが男心をくすぐりますね。計算づくの作りでしょうか」

「そ、そんなことありませんよ! け、計算なんて」

「これ店員さんが作ったの? やるなぁ。こう、ちょっとキュッとしてボディラインがわかるのが、この滲み出るエロさの原因かな?」

「女の子が着るセーターというのは何故こうも可愛らしいのでしょうか。買いますね。こっちのだぼだぼのやつも後で着てくれません? 気だるげな感じで」

「しょ、しょうがねえな」

 

 

 次は、黒いドレスだ。

 背中が大きく開き、腰近くまで入ったスリットからショーツの紐が覗いている。

 ブラも外したので乳首が浮き出てしまっている。

 当然だが、ゲイルはドレスなど初めて着る。

 ゲイルの顔は真っ赤になって羞恥に耐えている。

「お姉さん、綺麗……」

「ぐう……ジロジロ見んじゃねえよ……そもそもこんなドレス必要ないだろ?着る状況がねえんだから……」

「いやぁ、一度着て欲しかったので。とても似合ってますよ。買いますから定期的に着てくれません?」

「そ、そうか……いや、いらねえし着ねえよ」

「そうですか。買いましょう」

「着ねえっつってんだろ」

「そうですね。買いますね」

 

 

 次は、やたらひらひらの多いゴスロリ服だ。黒を基調にところどころ白があしらわれ、コルセットでウエストを絞ってその細さと胸が強調される。袖も襟もひらひらで、膝丈のスカートは層状にひらひらだ。そこに横縞のニーソックスが加わる。

 またもゲイルの顔は真っ赤だ。

 そのひらひらの多さにドレスよりも強い羞恥を感じている。

「も、もういいだろ。着替えるわ」

「まだ早いですよ。もっとよく見せてください。はい、回って、ほら、よく見せて」

「うう……」

「お姉さん、可愛いですぅ」

「ええ、本当に可愛いらしいですよ。とても可愛い。よくお似合いです。いやあ、可愛いですねぇ」

「や、やめろよぉ」

「あ、これも勿論買います。今この瞬間に立ち会えた事に感謝するほど可愛いです。明日も着てください」

「き、きねえよ……」

 

 

 次は、テカテカした素材の紫色のブラとショーツに、やたら丈の短いライダースジャケットとショートパンツだ。

 ブラとショーツは布の面積が少なく紐で縛るもので、水着に近く、どんな素材なのかテカテカキラキラしている。

 ショートパンツは股下ほぼゼロで水平に切られ、股上も骨盤までしかない。

 更衣室で普通にショートパンツを履いてボタンを止めたところ、マダムからダメ出しをされた。

 このショートパンツは、ボタンもジッパーも全開が正しい着方であると。むしろめくってショーツを見せびらかすくらいがいいと。

 その出立ちは正しくビッチ。

 自分がこんな格好をするなど、ぞわぞわと変な気分が湧いてきてしまう。

「おらぁ!! 注文通り着てやったぞクソァ!!」

「はわわ……えっちですぅ……」

「満足かぁ!? ええ!? サイモンよお!! いい趣味してんじゃねえかオイ!!」

「あら、それ選んだのあたしよ? 若いならこれくらいやってもいいじゃない」

「マ、マダム……」

「これはこれは……小麦色に日焼けしてると一層栄える装いですね。むき出しの太ももが眩しいです。下腹部のハートのタトゥーシールもエロかわいくていい味出してますね。買いましょう」

「冷静に評価してんじゃねえよ。もう着ねえから買う必要ないぞ」

「……でもゲイルさ」

 サイモンがこっそり耳打ちしてきた。

「ヤケクソのフリして、実はそれ着て興奮してるでしょう?」

 ゲイルは何も答えなかったが、その代わり耳まで真っ赤になった。

「買いますね」

 

以下略

 

 

 大量のお買い上げとなった。

 

「おいおいおい、なんだこの金額。いくらなんでも買いすぎだろ。量も量だし減らしてもいいんだぞ。半分くらいに」

 

「いえ、問題ありません。これで」

 

「毎度ありがとうございまぁす」

 

「なぁサイモン、俺は冒険者だからな? この衣服を保管しておく場所もねぇし、持ち運ぶことも出来ねえし、有事の際は処分するからな? わかってるよな?」

 

「あら、それならウチで預かるわよ。サイモンくんはお得意様だし、それくらい構わないわ。奥の部屋に掛けておくから、いつでも使ってちょうだい」

 

「これはこれは、ありがとうございます。助かります。いやぁ良かったですね。いつでも可愛い格好ができますよ」

 

「べ、別に嬉しかねぇよ」

 

 そうは言いつつも、なんだかんだでゲイルも着せ替えを楽しみ、可愛いと言われて満更でもなかった。

 ちなみに今のゲイルの服装は、ふんわりとした品の良い白ブラウスと黒のプリーツミニスカート、それに黒のガーターストッキングだ。

 ゲイルは動くたびにヒラヒラとはためくスカートに気が気でない。前を気にすると後ろから、後ろを気にすると前から下着が見えてしまいそうな気になるのだ。

 ガーターストッキングも羞恥の原因の一つだ。

 スカートの中に隠れた、最上部にあしらわれたレース部分、そしてガーターストッキングと太ももの境界。

 ゲイル自身も間違いなくエロいと確信している。鏡を見て、ゲイルの心のペニスが勃起したほどだ。

 それが自分自身なのだと思うと、極度に恥ずかしい。

 慣れない格好のおかげで自意識過剰が多分に含まれているが、周りからのお世辞がゲイルを余計に羞恥へ追い込む。

 

 その羞恥心は嘘ではないが、本当のところは少し違う。

 扇情的な下着を身に着け、かわいい服を着て、そんな自分に興奮している事が恥ずかしいのだ。

 そう、ゲイルは女の格好をする事に興奮している。

 そして周囲からそれを見られる事にも興奮している。

 女の格好をすると言うことはつまり、自分が女であることを自分自身が認め、そして周囲に宣伝することに他ならないから。

 知られてしまう。バレてしまう。

 自分自身がもう完全にメスであることを。街のペニスたちに。

 それこそ自意識過剰だとゲイル自身もわかっているが、わかっていても興奮してしまう。

 

 特に仲間であるサイモンからの視線が気になってしょうがない。

 さっきから可愛いと言ってくれているが、それは服の事だけだろうか。今の自分を魅力的だと感じているだろうか。

 本当に自分を女として見ているのだろうか。

 そして、サイモンのペニスは勃起するのだろうか。

 考えるほど、ゲイルの頭はぽーっとしてくる。

 どんな大きさだろうか。どんな形だろうか。入れた感触は神父とどう違うのか。どれだけ自分を気持ちよくしてくれるのだろうか。

 ゲイルはずっと頭の片隅でそんな事ばかりを考えている。

 昨日からずっと。

 

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