※この作品はR-18です。

あやか市の幽雅な日常   作:もっち~!

32 / 47
10/22 誤字を修正、サブタイトル変更


魔を狩る者

お風呂タイムの後、勉強をしようと思ったのだが、ノートを学校に置き忘れたことに気づいた。取りに行かないとダメだな。ノートが無いと翼に勉強を習えないし。

 

夜の学校へ行く事にした。夜の学校は静かだと思っていたのだが、バリン、パリンと賑やかであった。音のする方へと行ってみると、真剣を手にした女性が、何かと戦っていた。あれって、魔物か?なんで、学校に?

 

魔物達を術で屠っていく。

 

「君は魔法使いか?」

 

戦っていた女性に訊かれた。

 

「まぁ、そんな感じだよ」

 

う~ん…この女性…能力者かな?嫌な予感がするんだけど…女性と話している間に、新手の魔物達が現れ、女性に向かって襲い掛かっていく。すかさず、術で屠っていく。キリが無い予感がする。

 

「そういう君は何者だ?」

 

「私は魔を狩る者だ、魔法使い君」

 

魔を狩る者?僕には魔を呼び寄せている者にしか見えない。しばらくすると、魔物達が湧いて、僕が屠っていく。

 

丑三つ時まで、攻防が続き、魔物が出なくなると、女性もいなくなっていた。

 

◇

 

「で、そのせいで、勉強も睡眠もしていないの?」

 

昨夜の出来事を、朝風呂で披露した俺。心配そうに、麻衣に訊かれ、頷いた。

 

「魔を狩る者って、何者なの?」

 

翼に訊かれた。

 

「魔物を召喚して、狩っているように見えた。彼女は何者だろうな?学校の制服を着ていたけど…」

 

放課後、部室には行かずに、図書館室へ翼達と向かった。過去にそういう事例が無いかを調べる為である。

 

「無いわね」

 

無いねぇ…次に、歴代の卒業アルバムに目を通していく。昨晩の女性を探す為である。現在の在校生では無い気がする。でも、卒業生にもいない。

 

「真剣を手にしていたのよね?」

 

千紗希が剣道部のメンバーを顔写真を撮ってきてくれた。でも、そこにはいなかった。あぁ、現場となった廊下の窓ガラスは総て割れていた。そのことから、朝風呂メンバーは全員、俺の話を信じてくれたのだ。

 

「わかったよ~」

 

って、結衣が走ってきた。

 

「平塚先生が思い出してくれたよ。5年前にもあったって。で、その生徒は退学処分になったそうだよ」

 

実在したのか…結衣が静から写真を借りて来てくれた。あぁ、この女性だと思う…ちょっと雰囲気が違うけど…

 

「その生徒は今どうしている?」

 

「う~ん…」

 

結衣が悩み込んでいる。問題があったのか?

 

「それがねぇ、何者かに強姦されて…」

 

お決まりのコース…死人に口無しかぁ。

 

「で、どこでやられたんだ?」

 

「発見されたのは、あの現場だって…退学処分になったのに、懲りずに学校に侵入して、何者かに…」

 

学校内でやられたのか?それは、学校として汚点だから、記録には残していないってことか。退学処分だから、卒業アルバムにも載っていないようだ。

 

「犯人は特定されたのか?」

 

「それがねぇ…」

 

結衣は雪乃を一瞬見た。まさか…でも、年齢的に合うなぁ。5年前に高校1年であれば、20歳前後である。アイツらの闇は終わっていないのか。

 

「そうか…祐一を見つけたから、現れたのか…」

 

アイツら絡みから、答えを見いだした俺。

 

「何の為に?」

 

翼に訊かれた。

 

「復讐だろうな。浮遊霊になって、この辺りにいて、鎮魂されて昇華されていく祐一の魂を見つけて、彼の死を知ったのだろう。そうなると、死因は祐一絡みってことだろうな」

 

「悪霊化する前に、どうにかしないとダメだな」

 

狭霧の言葉に頷く僕。

 

「今夜から、見回りするか。夏凜と狭霧も来てくれ。まゆこも非番なら来て欲しい。能力のない者は、夜の学校へは近寄るなよ」

 

頷くみんな。

 

◇

 

一応、阿良々木警部に調べて貰った。結果、川澄舞は死亡していた。あの廊下で死体で見付かったそうだ。それは惨たらしい死体だったという。着ていた物はボロボロで、身体の一部が欠損していたそうだ。それに関しては、野犬に喰われたのだろうと結論付けたそうだ。だけど、校舎内で野犬は無いだろうに…

 

事件の容疑者は浮かんだらしいが、有能な弁護士と政治的な圧力の前では、地方警察は無力だったそうだ。結果、川澄舞は高校を退学した不良である為、不良仲間達になんらかの報復を受けたと判断され、自業自得だと地元紙の記者は結論付けたらしい。

 

『たぶん、その記者も雪ノ下の手先だろうな。そんな根も葉もない噂により、川澄家の人々はこの地を追い出され、川澄家所有の麦畑は、マンションになったんだ』

 

立ち退きをさせる為に、娘に何かしたのか。相沢家、月宮家に共有する何かを感じる。阿良々木警部にその事を伝えると、同意された。

 

雪ノ下母は、手段を選ばない女帝のようだ。未だに行方が掴めないらしい。

 

◇

 

真琴によると、魔狩り人である川澄舞は、相沢祐一の友達だったようだ。そこにつけ込んで、陽乃が何かをしたのだろう。何をしたんだ?

 

「で、その女の能力はなんだ?」

 

夏凜に訊かれた。

 

「魔物召喚だよ。自分で召喚した魔物を狩っていただけだ」

 

「何の為に?」

 

狭霧の疑問は、僕の疑問でもある。

 

「わからない。ただ、理由は有ると思う。理由も無く、そんな能力は身に付かないからな」

 

元々、なんらかの能力があった可能性はある。ただ彼女の場合、召喚術というより『強奪』に近い気がする。近くにいる魔物を呼び寄せた感じがするのだ。一般的に、召喚術は使役した魔物を呼び出す為の物である。彼女の場合、狩る為に召喚している為、使役していない魔物を召喚していることになる。

 

そして、たぶん…呼び出した魔物を狩ることが出来ずに、魔物達に陵辱されたのかもしれない。陽乃が何かをして…

 

0時を回った。空気が微かに鳴動している。

 

「来るぞ!」

 

狭霧と夏凜は得物を構えた。

 

バリン!パリン!

 

窓ガラスが割れ始めた。2階の廊下のようだ。3人で現場へと向かった。そこでは舞が魔物達を狩っていた。窓ガラスを突き破って出てくる魔物達。突き破って?外には魔物はいなかった。舞の影からも湧き出す魔物。昨夜よりも湧き出る魔物の数が多い上、湧き出る間隔が狭い。

 

夏凜、狭霧、僕が参戦をし、僕は舞の元へ向かう。廊下の角を曲がった先に舞はいた。

 

「犯したりないのか?このド変態が!」

 

魔物達が舞を制圧し、舞を陵辱していた。迷わず、屠っていく。だけど、ボス格は簡単には屠れなかった。なんだ、コイツ…

 

「貴様は何者だ?ほぉ~。中々の霊力持ちだな。お前も喰うかな」

 

舞はコイツに喰われたのか。霊力を奪う為に…お札での封印。これも効かない。コイツの正体はなんだ?聖水…効かない。今までに遭遇したことの無い種族のようだ。

 

「亘!そいつは、ゴブリンロードよ」

 

って、九重様が転移してきた。ゴブリンロード?この世界にいないだろうに…

 

「転移門で異世界から転移させたのね」

 

あぁ、なるほど…そうなると、物理攻撃しか効かないのかな。ゴブリンロードは魔法に対する耐性持ちだと、聖域で習った。神刀朧を使いたいのだが、エロ師匠に喰われて、まだ使い物にならないようだ。では、バトンソードで応戦だな。

 

ゴブリンロードは斧による打撃である。斧を振り上げた瞬間、瞬動術で懐に入り込み、イチモツをまず使い物に出来なくしておく。

 

「貴様…」

 

斬り落としたイチモツを『地獄の業火』で灰にしておく。これで、舞を襲えないだろう。イチモツを斬り落とした切断面に、九重様が毒矢を撃ち込んだ。

 

「貴様ら…」

 

「なんだ?こんなのいたのか?」

 

エロ師匠が九重様の隣に転移してきた。師匠の張り手一発で灰になっていくフロアボス。

 

「じゃ、帰るよ」

 

師匠は転移していった。弱っている女体に目をくれないって、忙しいようだ。俺は、舞の元へ駆け寄り、状態を確認する。既に心は折れているようだった。あの真剣は無い。気力で発現させていたのかな。

 

「おい、大丈夫か?」

 

「君は…魔法使い君…」

 

九重様の能力で、神社の敷地内に転移した俺、九重様、舞。強力な結界で護っているここなら、舞は消えないはずである。

 

「話を訊かせてくれ。状況によっては、祐一の元へ送ってやる」

 

「祐一…君…逢いたい…」

 

舞の視線は、どこにも焦点が合っていない。あまり時間が残っていないようだ。

 

「どうして、こんなことになったんだ?」

 

「祐一君が行方不明になって…陽乃が降霊術をするって…それに参加したら、あの魔物に目を付けられて…」

 

そうか、いい加減な方法で降霊術をしたのだろう。いや、転移門を使ってヤッタのか。そのせいで能力者の舞にゴブリンロードが憑依して、仲間達を呼び込んだのかもしれない。

 

「なんで、校内で死んでいたんだ?」

 

「校内?そんな筈は無い。私は雪ノ下家の儀式の間で、襲われたんだから…」

 

そうなると、死体遺棄か。見せしめの意味である舞の死体は、発見されないと意味がないから。

 

「ねぇ、祐一君は、どこ?」

 

「今、送り出してあげるよ」

 

本殿の儀式場に、舞の魂を連れて行き、浄化、鎮魂、昇華の術を発動していく。煤けていた舞の魂は純粋無垢なる魂になり、天へて昇華していった。

 

「無事に送れたか?」

 

夏凜と狭霧がやって来た。

 

「あぁ、送れたよ」

 

舞が旅立った大空を見上げた僕。

 

 

◇

 

「ねぇ、天使はどこにいるの?」

 

天使を探す少女の夢を見た。街中を探し回る少女。

 

「どうして、探しているんだ?」

 

俺は少女に訊いた。

 

「天使のストラップ…願いを込めると、奇跡が起きるんだよ。祐一君が言っていたんだよ」

 

◇

 

妙な夢を見て目覚めた。右に狭霧、左に夏凜、上には幽奈が憑依したアーシアが載っていた。ここって、神社の仮眠室か…起こさないように抜け出して、アーシアと共に、男湯へ転移した。

 

温泉でアーシアと抱き合って、のんびりする。アーシアはスヤスヤと寝ている。幽奈も寝ぼけていない。俺も気持ちが良いし、三者両得だな。

 

いつもの時間になると、全裸の女性達が入浴しに入って来た。何度も言うが。ここは男湯である。

 

「やっはろー♪」

 

今朝の一番乗りは、結衣だった。こいつ、朝から元気だな。

 

「うっ!由比ヶ浜先輩に負けた」

 

くやしそうないろは。

 

「ケダモノ君、解決したの?」

 

俺の隣を陣取った結衣に訊かれた。

 

「舞に関しては解決した。だけど、根本は解決していない。聖域から陽乃は出所したらしいのだが、行方不明なんだ。雪ノ下母と逃げているのかもな。で、陽乃がアレコレ暗躍していたようなので、後何をやらかしたのかを訊かないとダメだ」

 

あの女がしでかしたことを、総て解決しないと、この案件は終わらない気がする。

 

「警察が捜して見付からないんだよね?」

 

「魔物に喰われたかな?」

 

「可能性ってあるんですか?」

 

いろはが割り込んで来た。

 

「ある。転移門を降霊術の道具に使っていたようだから」

 

異世界から呼び出した魔物は、あの1体だけなのかも、わからないし。基本、異世界の魔物は、エロ師匠で無いと倒せない。僕の能力は、この世界の魔物に対して、効果があるだけだからだ。

 

「おはよう」

 

翼、雪乃、ひたぎ、麻衣がやってきた。

 

「あぁ、おはよう」

 

今日はアーシアがいるので、誰も無茶をしない。アーシアがいるってことは、俺が疲れているってことであるからだ。だけど、そういうローカルルールに縛られない自由人もいる。

 

「やぁ、先輩!今朝は元気そうですね」

 

って、駿河が俺の前に立ち、妙なポージングをしてアピールしている。すかさず、ひたぎが制圧してくれた。その後も火憐が翼に制圧されているし。まぁ、概ねこの2名だけであるが…

 

お風呂タイムを終えて、部屋に幽奈入りのアーシアを寝かし付け、学校へ行く支度をして、朝飯に向かった。

 

◇

 

「亜樹!夏凜はどうした?」

 

ホームルームの時間…雪姫先生は開口一番にそう訊いてきた。

 

「夏凜?たぶん、神社の仮眠室でないかな?」

 

「起こさなかったのか?」

 

「安眠しているのに、起こせないでしょ?」

 

って、まだ寝ているのか?あの二人は…

 

「お前は、妙なところで優しいな」

 

って、心外である。俺はいつも優しいケダモノである。って、言うか、ホームルームって、俺との会話だけで終わっていいのか?

 

放課後…狭霧と夏凜に詰め寄られている。

 

「なぜ、起こさぬ」

 

「いつも言っているだろ?」

 

二人共午後から登校したらしい。

 

「スヤスヤ寝ているんだもの。起こすのが忍び無いと言うか」

 

「頼むから起こしてくれ。遅刻の常習犯になりつつあるんだ」

 

って、狭霧。まぁ、そうだな。毎朝、置き去りにしているし。

 

「おい!狭霧と同じ扱いにするな」

 

って、夏凜。

 

「不公平は良くないでしょ?」

 

今日はお客さんはいないようだな。って、二人の小言はまだまだ続くようであるので、帰れそうもないけど…

 

 

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。