使命
とある深い森の中。木に紛れるように建造物が立ち並ぶ、すこし開けた空間。
人の生活の気配はあるが、自然の調和し、決して文明が自然を浸潤していない、いわば里のような場所に、ほの建造物はあった。
神殿のようで、神殿でない。だが、確かに何かを祀っている場所に、一人の女性がいた。
「参上いたしました。」
自身を召喚したと思われる存在に自身の到着を告げると、複数の影が現れ、実体化する。
「よく来たわ、王女。今回呼んだのは貴女に使命を授けるためよ。あ、ところで貴女の娘、今いくつになったのでしたっけ?」
「13歳にございます。」
「そう。つまり子育てに一段落ついたのね。そこで私達から貴女達に頼みたいことがあるのよ。」
「そうじゃ。この里と種族全体の使命といってもいい。そして、お前の娘の使命。」
「左様。この子を育てなさい。それが精霊王の命なのです。」
「手をお出しになって。」
最も優しい声の、女性の姿をした人が幼子を渡す。
そして、目映い光に包まれる。
影達が光に吸い込まれると同時に、さらに荘厳な声が響き渡る。
「この子をオラリオにつれていけ。そして神の恩恵を受けさせるのだ。預ける神は、、、誰でも良い。相応しくない神はこの子の魂が弾く。神ならばこの子が何者かわかるだろう。そしてこの者が19になってもまだ子がいなければーーーーー。
この子をお前達に託す。くれぐれも間違えるなよ。かの地は必ずこの子を必要とする。精霊王の血をひくこの子をな。」
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数年後、とある山の中の村、立派な髭をたたえた老人が話していた。
「私は上に戻りますので。一人でやってください。知りませんからね。」
妻に「もう付き合いきれん」と言わんばかりに見捨てられたと思わしき夫が、立ち上がる。
「リベリー、お前の息子は俺がしっかり面倒を見ようぞ。リナ、心配しなくても良い。あいつの元に召されよ。」
自分の妻がいなくなり、妙齢の女性と赤ん坊との3人だけになったその空間で静かに話す。
「はい。夫がお世話になりました。」
「はは、お前には嫁も世話になっておる。気にするでない。お前も解っているだろうがワシが直接あの地に干渉することはできない。だがかの地では導き手が芽吹き始めておる。心配せずとも良い。安らかに眠れ。」
「はい。最後までのお心遣い感謝いたします。」
「はは。なら礼として向こうであいつの面倒を頼んだぞ。あとアヌビスにも宜しく言っといてくれ。」
「心に留め置きます。」
行きも絶え絶えであった女性は息を引き取った。
「ベル、お前にはこの世界の未来がかかっておるのじゃぞ。元気に育つのじゃ。」