混沌の螺旋 作:ヨハネ推し
暑いのでホラーを書きたくなり書いてみました。
死の描写が何回もあるかも知れません。
「…………」
少年はただ放心状態で立ち尽くすだけだった。
やった、俺はやってしまった。
殺った……人を。
月明りを浴びる包丁は赤の光沢をはなって。
少年は立ち竦んでいた。
そもそも何故刺したんだっけ?。
彼女をあの男から守るため。
あの男は自分が刺し殺したこの男。
記憶が堂々と張り巡らされる。
男が彼女に何をした?。
脅したんだ、彼女が学校でスクールアイドルの活動に従事する中、彼女をつけて俺と一緒にいる写真を撮った。
言うことを聞かなければネットに晒す。
それがあの男が示した言葉。
言うことってなんだ?。
「ぼ、僕の善子ちゃんから離れろ!お前みたいな男が善子ちゃんに釣り合うわけないんだ!ぼぼぼ、僕なら幸せにしてあげられる」
善子、津島善子。
彼の彼女の名前。
少年はその男からスマホを奪い壊そうとしたが善子は止めた。
「やめて……!そんなことしたら誠也が!誠也が悪くなっちゃう!」
止められ冷静に考えればこの男が暴力をふるわれスマホを奪われ壊された。
なんて詭弁をされたら確証がなくとも此方が悪くなるのは確実だろう。
まして壊された後のスマホを復元させられ保存された写真を証拠に、コイツが善子ちゃんにも暴力を奮おうとしたんだと言われたら。
「ぐっ!……」
誠也になすすべはなかった。
そこから誠也と善子の地獄が始まる。
男は毎回夜に呼び出され来なければ写真をばら蒔くと言って、2人を呼び出し誠也の前で愛する彼女を犯したりした。
誠也はあまり感情を顔に出すタイプではなかったので犯されるその現場を見てもあまり動じなかった。
悔しさと不甲斐なさと憎悪はどんどん蓄積されていったが。
そんな態度が男は気に食わなかったのか行為を止め誠也をぶん殴ったり、膝まづかせ顔を蹴りやすいボールだと言われ蹴られたりもした。
痣が残り痛みも酷い。
善子は誠也に毎日謝った。
「ごめんなさい!私のせいで!」と毎日謝った。
悪いのはお前じゃない、あのクズだ。
ある日彼は決意する。
あの男を殺そうと。
その日も呼び出された。包丁、通販で入手した防犯スプレー、同じく通販で入手したスタンガンを持って家を出た。
今日も普通に行為が行われた。
善子を下にクズは上に股がり行為に励む。
誠也は男の死角となってるわけだ。
--チャンスはこの時だ。
躊躇うことなく誠也は男の首を刺した。
「う……ぁ……」
低いうめき声を挙げ男は地に伏せた。
これが現在起きたこと。
冷静に自分の頭に言い聞かせた。
「誠也……貴方……この人を……」
「すまん。もう俺は取り返しがつかないな」
最後は彼女の手で警察に捕まって終わりか。
いや、それも悪くないか。
親父や御袋に呼ばれるよりは幾分かマシか。
愛するものの手でなんともドラマチックだ。
だが彼の予想は外れる。
善子はそのまま抱きついた。
「善子……?」
「取り返しがつかないなんて言わないで!。誠也は私のことを助けてくれたもん。ヨハネのことを!。勝手に一人で人生を諦めようとしないでリトルデーモン!」
こいつ結構気丈なのか。
いつも自分がファンにばら蒔く善子節をこんな時使うなんて。
少し笑いながら誠也は男の死体をどうすると善子に聞いた。
「埋めましょう。ここら辺ってあんまり人こなかった筈よ」
呼び出して犯す場所に指定するぐらいだからな。
建物の回りはほぼ雑木林。
ゴミとかもかなり棄ててあった。
暗い今のうちにやれば何とかなるか。
運のいいことにシャベルがあったので直ぐ様林の中で穴を掘って男を埋めた。
善子も気丈に振舞ってたが時折不安そうな顔を覗かせた。
すまないな。俺のせいで。
「これでよし!」
彼女のその掛け声で男の埋め立ては終わった。
「こんな時にも良くお前はいつもの調子でいれんな」
「当然でしょ!。と言いたいところだけど……内心焦ってるわ。でも辛い時ほど元気を出すんだって教えてもらったから」
「aquorsのみんなか」
「そうよ。私は貴方の事は誰にも言わない。だって誠也は私のことを助けてくれたから」
ま、どんな理由にせよ殺したに変わりは無いんだがな。
「ありがとよ。じゃ帰るか」
久方ぶりに手を繋いで帰路についた。
だがこれで誠也は晴れて殺人を犯したこととなる。
警察も馬鹿ではないし捕まるのも時間の問題かもしれない。
今日自分が変わったと思うことはあまりにも多い。
特に殺人がこんなに楽しかったなんて誰が思えたろうか
今までにない気分の高揚を味わえた。
「ん、誠也なに笑ってるの?」
「なんでもねぇ」
誠也の善悪に対する感性が歪み始めた。