Train Cinderella ~A Prohibition Lover~ 作:如月ライト
はぁ…昨日は寝れなかったとはいえその…お、お兄ちゃんで…え~と…その、言わなきゃダメかな?…お、オナニーしちゃって…うぅ恥ずかしいよぉ…
え?ソラのオナニー姿が可愛かったって?…何勝手に見てるの?お兄ちゃんたちのえっち…
そのせいでちょっと遅刻気味になっちゃってお弁当も持っていけなくて…でもお兄ちゃんが届けてくれたんだぁ!嬉しいなぁ
お、お兄ちゃん!?なんでそんな我が物顔で席に座っちゃうの!?
お昼ごはん
「ねぇねぇヒナタさん、ソラちゃんとはどういう関係?」
「まぁ兄と妹ってとこかな」
「ソラちゃんにお兄さんがいたという話は聞いたことないのですが…?」
「まぁちょっと複雑な理由がな…」
「あ、もしかして血が…」
「いや、血は繋がってるよ」
このような感じでお兄ちゃんはクラスメイト達に大人気である。
突然学校に来たお兄ちゃんはそのままそこでお昼ご飯を食べるらしく…。
(こうして学校で一緒にお昼なんてやっぱり兄妹って感じがするけど…ギャラリーがじゃま…)
そう、お兄ちゃんの周りにはクラスのみんながおしくらまんじゅう状態になるほど溢れかえっている。
一方で私はというとその波に取り残されたカノンと一緒にお弁当だ。
「ソラ、私に内緒であんないいお兄さん隠して…」
カノンは私をうらめしそうに見る。
「隠してないよぉ…事情が事情だしね…」
「ふぅん、そう。でも私あのお兄さんキライだなぁ。なんかムカつく」
「ははは、そうだよね、私みたいな可愛い妹がいるのに他の子に目移りしちゃって…」
カノンは私が事情の事に踏み込んでほしくないと判断し話題を変えてきた。
カノンは私が踏み込んでは欲しくない場所はわかっている。
人のことをいろいろ考えてくれているいい娘なのだ、カノンは。
その性格のおかげで私たちは結構長い付き合いになっている。
「お兄さんに一言いっときなよ。あんまり街中でそんなにやけ顔晒してると職質にあうぞってね」
カノンはドヤ顔でそう言ってきた。
私はそれについふきだしてしまった。
「ソラやっと笑った。お兄さんが来てからなんかぎこちなかったから…」
「え?そ、そうかな…」
私は自分に思い当たる節を見つける。
お兄ちゃんがほかの子にデレデレしているのを見ていると何か胸の奥にもやもやがたまっていく。
それがなんなのかは理解できなかったが私は相当その感情を顔に出してしまっていたらしい。
「う~ん…私は気付いてたけどたぶん他の人じゃ気付かないんじゃない?ほら、私相手の表情よむの得意だし」
カノンはそう言って誇らしげに胸を叩く。
歳にあわない成熟した胸がプルンと揺れる。
べ、別に羨ましくなんてないんだからねっ!
「そうかぁ。やっぱりカノンにはかなわないや」
私はそう言ったのちご飯を口に運ぶ。
どうやらまだ炊いてから時間のたっていない米は温かみを帯びていた。
「ソラ」
「!?…ん?何かな、お兄ちゃん?」
私はいきなりかけられたお兄ちゃんの声にびくりとする。
一瞬米を喉に詰まらせそうになるが必死に飲み込む。
「ソラ、ちょっとじっとしてろよ…」
お兄ちゃんがグイッと私の方に体を寄せる。
そしてそのままだんだんと私の元へと近づいてくる。
(え?お、お兄ちゃん…?どうしたの、こんなところで!?)
だんだんと近くなるお兄ちゃんの顔。
それに伴って私の鼓動は高まり顔もだんだんと火照ってくる。
いかにも真剣そうな顔で近寄るお兄ちゃんを私は拒むことができなかった。
「えっと…あの…その…」
口をついたのはそんな言葉だった。
それにいつもと声音が違っていた。
「ソラ…」
そう言ったお兄ちゃんは私の頬に指を突き立ててそこについていたモノをつまむ。
「米粒、付いてたぞ」
そしてそれを口に運び飲み込んだ。
私にはいきなりの事でわけが分からなかった。
ただ男子からも女子からも黄色い悲鳴が飛び交っているのが聞こえるのが聞こえるだけ。
「えっと…お、お兄ちゃん、にゃにしたの!?」
あまりの動揺で舌が回らなかった。
「なにって…ソラのほっぺにご飯粒がついてたからとっただけだ」
お兄ちゃんはそんなのなんともなかったとでも言うように軽くそう言ってみせた。
でも私には一大事なようで顔から思いっきり火が噴き出してうつむいてしまう。
「ソラ、どうした?あんまり箸が進んでないぞ?」
恥ずかしさでフリーズしていた私にお兄ちゃんは優しい声をかけてくれた。
私は何とか平静を装い顔をあげる。
「ほら、あーん」
その刹那そんな声とともに口の中に卵焼きが放り込まれる。
口の中にふんわりとした感触と醤油の辛味が広がる。
「俺の自信作だ。ウマいか?」
私はそれに頷いてみせた。
お兄ちゃんはそんな私に気をよくしたのかもっと勧めてくる。
「あ、あの…!」
私は勇気を出してそう言った。
お兄ちゃんは頭に疑問符を浮かべながらこちらを見る。
「えっと…その…お返し!」
私は卵焼きを乱暴に箸で刺してからお兄ちゃんの口へ。
「はい、あーん…」
もうすぐお兄ちゃんにあーんができる。
その寸でのところで別の口が卵焼きを飲み込んだ。
「もぐもぐ…う~ん…ちょっとこれ辛すぎ!醤油入れすぎじゃないの!?毎日こんなの食べてたら身体壊すよ!」
カノンはそう言いながらお茶を飲み干す。
「ほら、お兄さん。私の食べて参考にしてください」
箸で自分の卵焼きを掴んだカノンは何のためらいもなくお兄ちゃんの口に放り入れる。
(お兄ちゃんにあーんしたかったのに…先越された…)
私は敗北感を感じながらその光景を見つめる。
「う!?なんだこれは…」
「お兄ちゃんどうしたの!?まさかカノン…」
「ウマすぎるぞ!」
多分今の私は相当間の抜けた顔をしていただろう。
なんせ急にうめいたと思えばこのザマだからだ。
「甘すぎず辛すぎずの絶妙な味付け!後味のかつおだしの風味もなんとも…それに弁当の卵焼きとは思えないこの半熟ふわふわ感、そこにネギのしゃきしゃきとした食感が交わって口の中でハーモニーを奏でている!」
お兄ちゃんはどこぞのグルメリポーターのような感想をつらつらと言ってのけた。
お兄ちゃんが将来こういう路線に走ってしまうのではないかと思うとぞっとした。
一方褒められたカノンはというと誇らしげに胸を張っている。
そうすると図らずもそのたわわな2つの果実が揺れるわけで…
べ、別に大きいのが羨ましいとか思ったんじゃないんだからねっ!?
「カノン…お前こんなの作れるんだったらいいお嫁さんになれるぞ」
(な!?カノン、うらやましい!私もお兄ちゃんにいいお嫁さんになれるねって言われたいのに!)
私は胸の内で妙な対抗心を燃やした。
その時カノンの頬が薄く赤に染まっていることには気付かなかった。