Train Cinderella ~A Prohibition Lover~ 作:如月ライト
「ふぅ…これでよしっと…念のため明日の朝お風呂入れよ?」
「はーい」
情事が終わった後お兄ちゃんは綺麗に私の体をティッシュで拭いてくれた。
いまだに私のおなかの奥ではぽかぽかの幸せがたぽたぽと溜まっている。
ゴミ箱にティッシュを捨て終えたお兄ちゃんは私の隣で横になる。
互いにしばし無言になる。
無言で顔を見合わせる。
「フフ…お兄ちゃん…」
「ソラ…」
何気なくお互いの名を呼び合ってしまう。
気恥ずかしいような嬉しいような何とも言えない空気がその場を満たしていた。
PiPiPiPi...!
急にけたたましい電子音が部屋に響く。
私達はびくりと肩を震わせてしまった。
それは私の携帯の音であった。
脱ぎ散らかした服のポケットに携帯が入ったままだったのだ。
「ちょっと待ってねお兄ちゃん」
私はケイタイを取りディスプレイを覗く。
その瞬間息をのんだ。
「ねえお兄ちゃん?今日は何の日か知ってる?」
「え?今日…?」
「あ、ちなみに日付はもう変わってるからね」
携帯で確認するとちょうど12時、日付は変わっていた。
「今日…え~と…」
お兄ちゃんはしばし考えた後…。
「ソラの誕生日、そうだろ?」
「覚えててくれたんだね、お兄ちゃん!」
そう、今日は私の誕生日。
なぜか自分の誕生日の日にアラームを設定していたのだ。
「お兄ちゃん…私ね、もう16になったの」
「もうそんな年か…この前までちんちくりんだったのにな」
そう言って笑うお兄ちゃん。
私は笑えなかったが。
ちんちくりんってほど小っちゃかったかなぁと思った。
「それでね…もう結婚も出来るんだよ?」
お兄ちゃんはあまりにも突飛な例えを持ってこられたので口をあんぐりと開けたままだ。
「だからさ…結婚しよ、お兄ちゃん」
日本の法律じゃ無理だというのは知っている。
もしお兄ちゃんが承諾してくれれば海外まで行く覚悟もある。
「ソラ…」
お兄ちゃんはしばし私を見つめたのち…
「痛…!」
私のおでこにデコピンをしてきた。
じんわりとおでこに痛みが広がっていく。
「バカ言うなって…まだ16だし結婚なんて考える歳じゃねぇよ。本気で結婚したいんだったらまずは学園を卒業しろ」
「むぅ…お兄ちゃんのケチ…」
「ケチでも何でもいいさ…とにかくまだ結婚したいとか言うなよ…それに結婚なんてしなくても俺たちはもう家族なんだからさ、結婚してなくてしてるようなもんだろ?」
うぅ…お兄ちゃんと家族になるとかそういう問題じゃないって…。
やっぱりお兄ちゃんって女心が分かってないのかなぁ…。
まあそこがお兄ちゃんのいいところで好きな所なんだけどね。
「わかった…じゃあ私が卒業したら結婚してよね?」
「そん時になったらな、考えておくよ」
私達はそのあと他愛ない会話を繰り返して気付いたときには眠ってしまっていた。
お兄ちゃんをおなかの中で受け止めながら眠るのはとても心地よくて幸せな気持ちだった。
これから私たち兄妹を引き裂くようなことが起こるなんて今の私には想像もできなかった…。