Train Cinderella ~A Prohibition Lover~ 作:如月ライト
「あ、ソラ!おはよ~」
私が登校しているとふと後ろから声をかけられた。
けたたましい蝉のだみ声とは違い澄んだ綺麗な声だった。
振り返るとそこには朝の夏の光を浴びてキラキラと輝く金髪、もといカノンがいた。
たったったっと走ってくるカノン。
その度に金髪が揺れて周りの視線を独占していた。
かくいう私もその輝かしい髪に目が離せなかった。
「ん?どしたの、ソラ?」
私ははっとする。
さすがに女の子の髪に見惚れていたというのを悟られてはまずいだろう。
とにかく挨拶を返した。
そしてそのまま学校へ。
「そう言えばさ、ソラなんか今日元気だね。何かあったでしょ?」
「え?そ、そうかなぁ…?」
さすがに昔から思っていたお兄ちゃんと両想いになりましたとは言えず適当にごまかすことに。
それに兄妹で恋しちゃうなんて普通じゃないことだし、カノンがそれをきいてひいたらと思うと怖くて言えなかった。
「あ!もしかして…あの人とうまくいった、とか?」
やっぱりカノン鋭いなぁ…。
カノンの前には隠しごとなんてできっこないようだ。
「う、うん…そうなんだ…」
「やっぱり!ねぇ、それでどうなったの?その人と」
「え、え~と…内緒…かな」
私が内緒というと即座にその話を打ち切ってくれるカノン。
やっぱりカノンっていい子だ。
「あ、そうだ!じゃあソラも元気になったことだしさ、明日ソラの家に行ってもいい?明日から夏休みだし、それに久しぶりにソラのお母さんの作ったお菓子食べたいし」
一番の目的って最後のやつじゃない?
私はそう思ったが断る理由もないので承認することに。
私も久々にカノンと遊びたいし。
「そだ!お泊り、していい?」
いや、どうしてその発想にいくの!?
お泊りって…
あ、そういやその日はママはいないし…お兄ちゃんはどうなんだろ?
まぁお兄ちゃんがいたところでどうってことはないんだけどね。
「あ、でもその次の日は遊園地に行くんだっけ?」
そうだった…日曜日は遊園地に行こうかなと思っていたところだった。
カノンからもらったお膳で。
しかし今の私にはもう不要な品物だった。
「う~ん…あ、そうだ!カノンも一緒に行かない?もう私あれ必要ないし、お兄ちゃんと一緒に行こうかなぁって考えてたとこなんだ」
お兄ちゃんといくっていうのは当初の目的からずれてないし…
それに嘘でもないしね…
「え?でもいいの?その人と行かなくても?」
「大丈夫大丈夫!実はその人遊園地みたいな人混みが苦手でね…」
よくもまぁこんな嘘が出てきたものだ。
しかしこれも私とカノンとお兄ちゃんが楽しい時間を過ごすためだ。
あまり心も痛まない。
「そう?じゃあ明日お泊りでその次の日は遊園地ってことでいいの?」
「うん!いいよ!待ってるからね!」
そうして私たちは明日からの予定を立てた。
それが私の今後を脅かすものとは知らずに…
焦げるような夏空の舌蝉がけたたましく泣き喚きまるで警報のように騒いでいた。
しかし今の私はそんなこと気にも留めていなかった…。