Train Cinderella ~A Prohibition Lover~ 作:如月ライト
「ご、ゴメンねお兄ちゃん!本当にごめんね!」
あの後お風呂から上がった私が見たモノは真っ赤に腫れた頬を必死に冷やしているお兄ちゃんの姿だった。
あ、もちろんちゃんと服は着てたよ。
「いやいや、俺の方こそ、ろくに確認もしないで…」
多分このやり取りを5,6回繰り返したころだろうか、唐突にお兄ちゃんが立ち上がった。
「ん?お兄ちゃんどうしたの?」
「俺そろそろ帰るな」
「え?帰るってどこに?」
その時私は嫌な胸騒ぎを覚えた。
「いや、自分の家だよ。明日も大学あるしそれに終電逃すとまずいしさ」
お兄ちゃんはそう言って荷物をまとめ始めた。
このままいかせてはまずい。
多分ずっとお兄ちゃんにあえなくなっちゃう。
そんな嫌な予感がした私はお兄ちゃんの腕にしがみついた。
「行っちゃヤダよ!お兄ちゃん!!」
その時子供の頃の私と今の私が重なったような気がした。
あの時の私はできなかったことを今の私がやり遂げなきゃ…。
そんな使命感にかられた私はひたすらにお兄ちゃんに縋り付く。
「今お兄ちゃんが行ったら私おかしくなっちゃう!あいつと一緒にいるってことを考えたらだめなの!」
「俺がいたってアイツがいることには変わりないぜ?」
「それでもだめなの!お兄ちゃんがいたら私は安心できるの…だから…」
私は精一杯のわがままをお兄ちゃんにぶつける。
お兄ちゃんはそんな私の頭をやさしくなでながら微笑む。
「明日も来てやるからそれでガマンしな。それにアイツもお母さんがいるんだからソラには何もしてこないよ」
「そんな保障どこにもないよ!ねぇ、お兄ちゃんは私がアイツに変な事されてもいいっていうの!?前みたいにさ…」
昔アイツに犯されそうになった時のことを思い出し私もお兄ちゃんも苦虫をかみつぶしたように顔をしかめる。
「じゃあさ…私をお兄ちゃんの所に連れ出してよ…それならいいでしょ?」
ここが嫌ならお兄ちゃんの家に行くまで、私はそう決意しお兄ちゃんの顔を覗き込む。
「ソラ、ゴメンよ、お兄ちゃんの家は…その…二人じゃ苦しいっていうか…」
お兄ちゃんは明後日の方向を向きながらたどたどしくそう言った。
「もう頼れるのはお兄ちゃんしかいないの!だからお願い!私を護ってよ!!」
私は少しひるんだお兄ちゃんの隙をつき最高の思いをぶつける。
「…ったく…分かった、俺の負けだ。ソラ、お前を護ってやるよ」
お兄ちゃんはため息交じりに苦笑し私の頭をわしゃわしゃと撫でまわした。
「ありがと、お兄ちゃん!」
私は満面の笑みでお兄ちゃんに抱きついた。
「えへへ…お兄ちゃん…」
お兄ちゃんの腕の中私は急に睡魔に襲われた。
「おっと…大丈夫か、ソラ?…ソラ?」
「ん…お兄ちゃん…むにゃ…」
だんだんと落ちていく意識の中お兄ちゃんの笑みと優しい声だけが聞こえた。