Train Cinderella ~A Prohibition Lover~ 作:如月ライト
「やっぱり眠れない…」
さっきの自慰の余韻から覚めた私。
本音を言えばあの心地よい感覚のまま眠れてしまえばどれだけよかったことか。
しかしやっぱり今まで思い続けてきたお兄ちゃんが隣で寝ているとなると胸が高まり寝つけない。
「はぁ…お兄ちゃん…」
ベッドの上で無音の中にいるとお兄ちゃんをオナニーのオカズにしたことへの罪悪感がふつふつと募ってくる。
(やっぱり私、どこかおかしい娘なのかなぁ…)
昔から自分は少し他者と違うとは感じていた。
お兄ちゃんのことが好きすぎるのだ。
もちろん兄妹としてだが。
私の中のお兄ちゃんへの想いはあえなかった時間に比例して大きくなっていた。
そして今日それが爆発した。
今までの兄妹への好きか男の人への好きなのか自分でもだんだんとわからなくなってきていた。
「…なんかこんなこと考えてたら余計眠くなくなっちゃった…」
私はぎゅっと枕を抱き寄せる。
眠れない時、不安なときはいつもこうしている。
私のくせのようなものだ。
昔は私が不安なときはずっとお兄ちゃんが隣にいてくれた、ぎゅっとしてくれた、なので私もぎゅっとし返す。
多分私のこの癖の元になった体験だ。
枕を抱きしめると少し不安だった心が和らいできた気がした。
しかしまだ足りない、自分でもよくわからないが何か足りないのだ。
「…そうだ、お兄ちゃんがいるんだ…本物のお兄ちゃんにギュッとしたい…」
そう考えた私は枕を抱えたまま部屋を抜け出しお兄ちゃんの寝ている部屋へと向かう。
「お兄ちゃん、起きてる…?」
もし眠ってるところをおこしたら悪いので私は控えめなノックをした。
数秒しても返事がない。
私はゆっくりとドアを開けて中に入る。
「お邪魔しま~す…」
自分の家なのにこんなことをいうのは少しおかしいかなと苦笑する。
お兄ちゃんの部屋に入るのに少し緊張していた。
「…ん…すぅすぅ…」
ベッドで気持ちよさそうに寝息を立てているお兄ちゃんを発見した。
私はいたずら心からか寝顔を覗き込む。
しかし夜の闇の中で全く見えやしなかった。
(そりゃそうだよね…)
私は内心で苦笑しつつベッドへと一歩一歩近づく。
そしてお兄ちゃんをおこさないようにそっと布団をめくりそこにもぐりこむ。
ひと肌で温められた布団は眠るのにはちょうど心地よい暖かさだった。
私は無言でお兄ちゃんのパジャマのすそを握り目を閉じる。
本当はぎゅっとしたかったがお兄ちゃんの睡眠を邪魔しては悪い。
暗い部屋の中、兄の寝息だけがやけにはっきりと聞こえる。
ここ数年間感じたことのない他人の寝息、お兄ちゃんの寝息。
それがこんなにも心を落ち着かせるものだったなんて私は思いもよらなかった。
今さっきまで難しいことを考えていた頭がだんだんと黒に堕ちていく。
それと同時に瞼もだんだんと重くなってくる。
「…お兄ちゃん、お休み…」
そうつぶやいたのち私の意識は夢の中へと落ちていった。