俺が私室に戻るとアシュレイが顔を出した。
「お帰りなさいませ、シャルル様。夕食のご用意はできておりますので、お手洗いがお済みになりましたらどうぞお召し上がり下さい」
俺は促されるまま手洗いを済ませ食卓に着いた。
アシュレイの目は朝、俺が外出する前の、期待に満ちた色っぽい眼差しのままだった。
俺と二人きりなので、それを隠そうともしていない感じだ。
そんな彼女の様子を横目に俺は至って普通に食事を終えた。
「さて」
俺は口を開いた。
「汗をかいたので、アシュレイに背中を流して貰いたい訳だが」
「はい」
「今日は浴室ではしない。純粋に入浴するだけだ」
「はい、かしこまりました」
そんな会話の後、浴室に向かう。
手早く脱衣し、中に入った。
そして、掛け湯した後、二人で湯船に浸かる。
湯船の中の俺の上半身は落ち着いているにも拘わらず、下半身は落ち着いてはいなかった。
別段妄想を逞しくしなくても、俺の目の前にはアシュレイの魅力的過ぎる裸体がある。
反応するな、という方が無理な話だ。
そんな俺のものの状態にアシュレイの視線は釘付けになっている。
「気になるか?」
「はっ、はい。それは……」
「唯の生理現象だから気にしないでくれ。アシュレイみたいな美女の裸が目の前にあるんだ、反応しない方がおかしい」
「えっ、ええ……」
そうは言いつつも昨夜とは違い、落ち着き払った様子の俺の態度を訝しく思わずにはいられないようだ。
その後も俺は平静な態度を終始貫き通し、特に悪戯をする事もなくお互いの身体を洗い終え浴室を後にする。
その間も俺のものは自己主張しっ放しで、現在進行形で今もそそり立ち続けている。
アシュレイの方はこのご褒美をいつ貰う事が出来るのか、気が気でない様子だ。
寝室に彼女を伴い、声を掛ける。
「アシュレイ」
「はい。何でしょうか、シャルル様」
「アシュレイは昨夜のように、激しい情事を期待してくれているかもしれない訳だが」
「はい」
「俺は色々と思うところもあって、ゆったりとした時間を過ごしたい訳だが、それでも構わないか?」
それに対するアシュレイの答えはというと。
「私はもうシャルル様のご命令には何でも従わせて頂く、忠実な侍女(メイド)にして頂きましたが」
「ああ」
「例え、そうでなくてもシャルル様のおっしゃることには従わせて頂きます。シャルル様のお望みになることは何でも叶えて差し上げたい、それが私の悦びですから」
「有難う、アシュレイ」
俺は彼女を抱き寄せた。
「あっ……!」
それにアシュレイも身を任せてくれる。
「シャルル様……」
「ん?」
「暗殺者(アサシン)である私がこんな穏やかで心安らぐ時間を頂く事ができて、夢のようです……」
耳元でそんな言葉を囁かれる。
今まで自分より強い相手に巡り会った事のない彼女にとって、俺の腕の中は心の底から寛げる唯一無二の場所らしかった。
「それは光栄だな。暫くの間は思う存分心安らいだ幸せな時間を過ごして……」
「幸せな時間を過ごして……何でしょうか?」
「その幸せな気持ちのまま、アシュレイにはアシュレイと俺の子を産んで欲しい」
「もちろん、産ませて頂きます。シャルル様と私の血を継いだ素晴らしい御子を」
「その為には今夜もこれから子作りをして貰う訳だが……」
「はい」
「今は……もう少しだけ……アシュレイの温もりを感じていたいかな……」
「ええ、シャルル様がお望みなだけ、いつまでもどうぞ。私の方もシャルル様の温もりが心地いいです……」
「有難う、アシュレイ……」
お互いの温もりの心地良さに酔いしれる。
そんな訳で、今宵の俺達二人の間をしっとりとした時間が流れていった。
その後。
俺は身嗜みに気を遣うべく散髪に行ったり、服の手配をしたり、俺の足となってくれる愛馬を手に入れたり、練武場の木剣を集めたり、それらに魔力を付与(エンチャント)して貰ったり、錬武場で汗を流したり、俺の職場となる寝所の準備を整えたり、とそれなりに忙しく過ごし、二ヶ月という時間はあっという間に過ぎていった。
その二ヶ月間の間にアシュレイを本当に数え切れない程抱きまくり、彼女をきっちりと妊娠させた。
そんな訳で、馬鹿王子がお付きの侍女(メイド)をお手付きにした、と噂されたのは言うまでもない話なのだが。
彼女は出産の準備の為、俺の元を離れた。
今までは俺の世話をしてくれる立場だったのだが、今は世話をして貰う立場になり、穏やかな日々を過ごしているとの事だ。
俺が仕事に専念出来るように再び何人か世話係があてがわれているものの、今度はアシュレイのような美女、という訳ではなく、大分年配の女性達だ。
それというのも、俺がお役目に専念出来るように、との事らしい。
俺も好色ではあるものの分別はついているので、それを余計な気遣いだとは思いつつも、特に口出しするような事はしなかった。
こうして俺は言わば準備期間である二ヶ月を終えた。
俺の種馬としての本当の仕事はこれからだ。