デスノート--シャドウワールドオーダー-- 作:御殻糸也
「そうですか、一応謝って下さい、…………デートですか、そのまま恋人関係にもつれこんで対象を監視してください」
「えぇ…………」
「一つだけ忠告しますがあまり情を感じないで下さい、相手はキラかもしれませんからね」
「それは分かってますが」
「彼の家庭事情を知ってしまった事で後ろめたさかそれでも疑っている自分に罪悪感を持っているのは結構ですがそういう病みかけた人間の心の闇なんて隙でしかありません」
電話をそのまま切ったニア。
手元には二つのデスノート。
「特筆すべきルールは『死ぬのにかかる時間は23日以内』、逆に言えば二十二日間はどんなに殺されかけても見つからずに放置される死なない状況が作れる、日本では昔そういうおぞましい凶悪な少年犯罪がありましたがまさにこれですね」
「えぇその資料を拝見したら本日二度目のトイレで吐きました」
まだ青白い顔をしている男がいた。
「このルールは本来死神が早く魂を欲しがるがゆえに発生したルールで同時に病以外の死因は突然起こりえますからね、長いと他の死因で死んでしまうかもしれない、いや、死因を固定したら暫く不死身になれるから許せないんでしょうが」
その言葉に男は以前から考えた推理を述べた。
「不死身ですか、四回名前を間違えてもデスノートによる殺人は不可になるんでしたっけ?」
「えぇ、それだから囮になり得るんです、四回間違えさせる事こそが目的の一つでしょうね、だから他のキラは囮をやすやすとは殺せない」
「そもそもが外国人なら誤字脱字をしそうな漢字ですからね、いや、普通でも間違いやすい」
「戸籍上の名前と今使われてる名前が似て非なる事もあります、棒線が一本少ないとか多いとかでも間違っている判定をされるでしょうからね」
「名前をわざと開示してその間違いに引っかけられたらあと三回で正解に導かないといけないと」
「そうなりますね」
「なら国際結婚した場合は?」
「そこら辺のルールは前例がありませんがその場合書きやすくなるというだけです、この人の場合名前の真ん中に何々左衛門とか隠し名があったりしそうな感じがします、ルール上はミドルネームも全て書かないとダメらしいですからね」
「戸籍そのものを偽造しているとかは?」
「そこまではまだ調べてません」
「そうですか」
「他にもキラがいるかは調べてます」
「結果は?」
「まだ分かりません、せめてデスノートは人間界に数冊しか持ち込んではいけないとか死神界のルールがあったりすれば少し助かるんですけどね」
デスノートは人間界には6冊しか存在できないというルールがあり、 もし何らかの方法で7冊目以降が人間界に来た場合、それはただのノートとなってしまう(但し、死神が自分で使うノートはその数には入らない)。
つまりノート本体を使った殺人は最大6人までしかできない。勿論切れ端等を含めれば話は変わってくるが……
ここでデスノート所持者は四人いる事になる。
四とは漢字文化圏の迷信において、死と音韻が通じることから『忌み数』である。
すなわち四人のキラが今、人間界にいる。果たしてこのデスゲームで生き残るのはどのキラか?
「確かに二十二日間死なないのは助かる」
その女は俗にインテリヤクザと呼ばれる。
目の前には椅子に縛られた不良少年がいた。
「二重線で消して生き残りたいならば情報をさっさとはけ!」
「もう殺してください! 殺せ!」
「まだ十五日しかたってないぞ?」
「そんな事言ってもリーダーの居場所なんて数年前から知らねーっすよ!」
「知らないわけないだろう? 仲間だったんだろ? 日本人のクセにカラーギャングをやってよぉ!」
「俺なんてしたっぱなんすよ! た、確かにデスノートの切れ端を貰ってえげつないエロ行為をしましたけど二、三回しかやってねーんすよ!」
その行為を思い出したのか勃起する不良少年。
「一回でもやったなら外道だろうが!」
「あ、でも擬人化した百足みたいな死神がリーダーが海外逃亡するかもな!お前なんてトカゲの尻尾切りにされるとか言ってましたね」
「はぁ…………やっと思い出したのか」
「た、助けてくれるんですよね?」
「いや貴様は三日後生き埋めになって死ぬ」
その言葉にいつも以上に青ざめた顔をする不良少年、同時に久しぶりに失禁をしてしまった。
「そんな約束が違うじゃないすか!」
「デスノートの死因を訂正できる時間は六分四十秒と決められてるのでね、遅すぎたんだ」
不良少年が最後に呪詛を吐いた。
「…………あ、あんたなんかリーダーに殺されればいいんだ!リーダーは仲間思いで仲間を売ったとしても報復だけはきっちりする男なんですよ!」
「それで抱腹絶倒するわけか」
「え?」
「言葉遊びだよ、じゃあな」
「ならもう一つ良い事を教えてやる、あれは死神じゃねぇ!とんでもねぇ悪魔だよ!あのおぞましい凶悪な少年犯罪の実行を唆したのはあの化け物だ! お前もあんな目にあって死ねばいいんだ!」
「肝に銘じておく、そうはならないけどな」
煙草をふかしながらその場から去った女。
その後ろを死神がついていく。
「やっと終わったのか? 私は死神界の汚点のようなヤツと同じにされたくないのだが」
「すまんな、だが私も弟をそうやって殺されたんだ、私が裏社会にいるのはそんな殺し方をデスノートでわざわざ書いたヤツを殺すためだ」
煙草を噛み締めて復讐鬼は怒りを封じ込めた。
「私の戦いはこれからだ…………」