デスノート--シャドウワールドオーダー-- 作:御殻糸也
「…………てっ! なんでそこまで犯人像が分かってるなら捕まえないんですか!?」
「ニンジャかもしれないじゃないですか」
「は?」
これには意表をつかれた。
「ニンジャには二種類いる、陰忍とは、姿を隠して敵地に忍び込み内情を探ったり破壊工作をする方法であり、一般的に想像される忍者とはこの時の姿である。対して陽忍とは、姿を公にさらしつつ計略によって目的を遂げる方法である、wikiに載ってました」
「後者はスパイですよね?」
「そうです、スパイは三種類いる、陽忍みたいなのと外交を裏で支える人達とあとは貴方のような人です」
「そうか、それでニンジャかもしれないというよりもっと分かりやすく教えてくれ」
「囮かもしれないという事です」
「囮…………」
「複数犯なら当たり前です、私を殺しにかかってきてる、囮というより釣り餌ですね」
新たに持ち出したアメコミのヒーローが女体化された殺人鬼達に囲まれている、その向こうでは椅子に座った吸血鬼が笑っているように見えた。
「何が囮なのか…………」
どのモンスターのフィギュアをアメコミのヒーローの前に置こうか迷っていた。
「むしろ、私情で、とかありませんかね?」
「私情?」
ニアが首を傾げた。
CIAの男が続ける。
「それは多重人格の交代の影響とかで」
「では多重人格の定義を言ってくださいよ、ドラマや映画で知ったかぶる人が多いですからね」
ニアが厳しい視線を投げかける。
「人格が沢山分裂するという事だ」
「正確には多重人格なんてそもそも存在しないですね、元々一つの人格がピザのように切り分けられるだけです」
ニアが淡白に返答する。
「そういえばその吸血鬼も多重人格のキャラクターでは?」
「正確には魂が多い…………魂が多い? 魂が多いとどうなる? 一連の集団人肉食事件は多くの魂が犠牲になった、それでどうなる? 世界卵の大規模反転?魔術はミステリーに絡んではいけないからないとして…………いや待て、死神が魂を多く所有したらどうなる? そもそも死神は魂を所有してどうする? 寿命を増やすだけ? それはありえないがどうにもありえる気がする、ミクラトンテクートリはそもそも冥王と言える、ブラックハーデス、ダークハーデス…………死神大王? いや違う、そこまでの存在が地上には降りないはずだ、仮に降りてきたら人類滅亡のために?大虐殺?最終戦争?いやそれはデスノートでは出来ない、それは超速筆がないと不可能だ、それ以前に魂というスピリチュアルな記号が大切ではない、あの吸血鬼は魂の放出が出来たから人格憑依の可能性か?これも違うな、オカルトもミステリーに絡めては駄目だ…………そうか多重人格は悲惨な極限下でも増えるから『A-キラ』は拷問場を確実に有しています」
「拷問場ですか、考察の大量切除で抉り抜かれたのがそんなおぞましい単語とはね」
「えぇ、家の下に地下室がある、なんて昔から日本では当たり前です、今では地域間が希薄化してわざわざそんな所在を確認する事はないです、空き家をどう改造しようがホームレスや不法移民が滞在しようが知った事ではない、しかし『黒い羊の仮説』持ちならば両親はそんなモノを家に持たないでしょうね、少し離れた古民家、いやいっそ家出して上京した時の古巣がアジトでしょうね、日本ではそんなイカれた古巣が見つかっていないという事はまだ見つかっていないという事です、あぁそうか、『キラだからノートしか使わない』も先入観ですね、『浚われて行方不明になり殺される』ならばこれは拷問場のレンタルビジネスが出来ますね、スナッフビデオ撮影だって出来る、つまり思ったより闇は根深い」
青褪めながら男は呟く。
「日本語で言えば『KICHIKU』だな」
「そんな鬼畜は身の回りにいる、連続殺人鬼のケースはやはり家の中を見られるまでバレない、しかしここまで大々的に自己アピール出来るからにはむしろ足を洗ったという可能性もありますね、悪ぶったヤツがまだ自分は悪いヤツだって言う感じです、この件に関しては限度がありますが」