デスノート--シャドウワールドオーダー-- 作:御殻糸也
「人は贖罪の羊を求めてしまう」
贖罪の羊は心理学の一つの用語としても存在する。特に精神分析学や社会心理学において、人は無意識のうちに、不満や不快を覚えると、不快感やルサンチマンなどを他者に対して抱く。このような現象はあらゆる集団で発生しうるものであり、そうした不快感を押し付けられたり被られたりした個人は、その特定の集団内においてスケープゴートとなるのである。
「つまり虐めの原理だ」
A-キラはかつて虐められていた。
それを向けられるには少々精神が強かった。
反撃をしたり仕返しだってした。
加減を忘れて徹底的にやった。
その結果、彼は何も出来なくなった。
「窮鼠猫を噛むなんて言われたりしたね、虐められただけで弱者扱いされる、パターンだねぇ、社会学も経済学も心理学も結局パターンがある、パターンから外れない限りは普通でいられる、それでいいと思うよ、普通でいたいならね、でも自分は少し違ったかもねぇ、バカはアノマリーに憧れるというけれどはてさて異常者に成りたいという精神はパターンから外れるだけの行為であってまたそれだけの話でしかない、殺人鬼といえばロッド・フェレルという吸血鬼カルトの赤いカラーギャングみたいだかなんだか知らないけどそういうヤツがいたね、真似してネットで組織をエピゴーネルしたら続々とメンバーが集まったねぇ、ま、それはあの世界的探偵Lによって壊滅させられたがねぇ、あの時は痛み分けって感じかなぁ、自分が何者であるか?の前には何かをしなければならない、それ如何様にパターンに当てはめられる、パターンとは臨床心理学的なレッテル張りで日本なら何か変わった事をすればアスペ扱いされるからねぇ、それもパターンであるからにして、Nもパターンの外、これからの自分もパターンの外、それゆえにNとNの対決だ、勧善懲悪なら間違いなくこっちが邪悪であっちが正義、いくらでも戯れ言は言える、虚言だって紡げる、自分は悪ぶる事に躊躇がない、中学の美術の時間で漢字一文字を変わった道具で書きなさいって言われた時も『悪』って書いたからねぇ、虚勢だったけどね」
安楽椅子探偵がいるならこれでは拷問椅子犯人だ、と思いながら彼は独り言を続けた。
正確には日記帳の余白に書かれた言葉である。
現在、空き巣のように部屋に侵入し模写した。
「ロッド・フェレルはパターン外というならば俺もまたパターンの外だろうな、蛇の道は蛇っていうしね」
無精髭に血の匂いが肌から離れない男が言った。