2-1
マーリンside
「さて...と.....」
「時間だぞマーリン!!出てこーい!」
扉の向こうから聞こえる元気な声に思わず苦笑してしまう。
「はいはい、お待たせ」
扉を開いてみれば亞愛ちゃん、刈愛ちゃん、萌香ちゃん、心愛ちゃんの4姉妹が勢揃いしていた。
「どこでやればいいんだい?」
「案内するからついてきて!」
ここに住み着いて2週間、いよいよ彼女たちのお世話係─もとい育成係を自ら買って出た私はとりあえず今の現状を知るべく手合わせをすることになっている。
「キミとは1度やった訳だけど、どうだい?もう一度やるかい?」
ふとそんなことを思いついたので亞愛ちゃんに尋ねてみる。
「...いいわよ。どうせまた躱されるだけ躱されるのが見えてるから」
「そうかい?ま、キミがそれでいいなら私は楽ができるからいいんだけど」
「さあ、まずは私からだからねっ!」
「はいはい、かかってきなさい」
まずは末っ子心愛ちゃんから─一目散にこちらに向かって
─ドゴッッッ!!!
「い゛っっ!?」
これは驚いた。ガードをぶち破るほどの威力─これは
「はぁ、はぁ、なんで当たらないの!!」
とはいえその
「お疲れかい?私としてはもう充分だが...」
「まだよっ!絶対ぶっ倒してやるんだから!!」
そう叫んで再度向かってくる心愛ちゃん。これは多分やられないとずっと向かってくるな…。そう直感した私はやむなしと背後をとってスリーパーホールドで心愛ちゃんの頸動脈を締める。
「ぐっ...!ぎぎ.....はな.....せ...!」
「血管を締め上げているから苦しいだろう?人間なら気絶するくらいで済むかもだけどキミたち
私の言葉に恐怖したのか心愛ちゃんはより一層じたばたして脱出を試みるが、私は胴締めに切り替えてさらに脱出困難な体制を築く。
「...お゛.....おね.....がい.....はな.....じで...」
ここでようやく心愛ちゃんの心が折れたようなので解放してあげた。
「ゲホッ!?ゲホッ!?はぁ、はぁ...うあぁ.....」
初めて『死』の恐怖を感じたのか咳き込みながら涙を流している心愛ちゃん。最初の威勢はどこかに吹き飛んでしまった。
「うぅ.....ごわ...がっだよぉ.....グズッ...」
刈愛ちゃんによしよしされながら涙を流す心愛ちゃん。さすがにやりすぎたかな?
「おやおや、怖かったかい?これは申し訳ないことをしたかな。とはいえこうでもしないとキミは勝負を諦めなかった...違うかい?」
「.....グズッ」
心愛ちゃんは私の言葉に少しだけ頷いた。
「諦めないことはもちろん大事だ。けれどそれで命を落としてしまってはどうしようもない。これからは引き際も大事だ、ということを心の片隅にでも留めておくといい」
言葉をつなぐ私を怯えた目で見る心愛ちゃん。うーん、恐怖で言葉が入ってきてないとかなければいいんだけど...。
「まあキミは攻撃の威力自体は逸材と言っても過言ではない。あとは
「.....ホン...ト...?」
「もちろん。私は嘘はつかないさ」
そう言うと心愛ちゃんの瞳に光が宿った。
「...頑張る。私頑張るから!」
「うんうん、その意気だ」
そう言いつつもこれから怯えられずに済んだことに内心安堵していた。