刈愛side
どうして...どうして
「─刈愛、ちょっといいかしら?」
私が部屋で思い悩んでいるとアカーシャさんが部屋にやってきた。
「...どうぞ」
「元気、なさそうね。ロマニのこと?」
「.....」
実の母親ではないけれど、こうして萌香ちゃんと分け隔てなく接してくれるアカーシャさんはお母さんも同然の存在だ。
「...だって、いつもいつも無理するな無理するなって─」
「ふふふ、そうね。貴女たちの話を聞いてみれば大体そんな感じだものね。でもね、アレは彼なりの貴女への気遣いなのよ?」
「それは.....わかってるんですけど...」
頭ではそんなこと百も承知だった。けど、何故か彼の言葉は素直に受け取れなくて...。
「...ちょっとムキになっちゃったのかな?頭ごなしに否定されて」
「...!.......たぶん...」
「んふふ、いつも優しくて柔軟な刈愛ちゃんにしては珍しいわね。もしかして、ロマニのこと意識してるのかな?」
「なっ!?」
いきなりアカーシャさんがそんな冗談を言ってきて焦ってしまう私。冗談なはずなのに顔が熱くなってきた...。
「ふふ、陰ながら応援してるわね♡」
「そ、そんなんじゃ...っ!」
そんな私の様子を見てかアカーシャさんがからかってくる。
「そんな刈愛ちゃんには朗報かな。刈愛ちゃんに初めてのお仕事の話よ。一茶さんの所に行っておいで。
「ほぇっ?」
ロマニside
「突然呼び出してすまないね」
「いえ、いつもの通り
「それは重畳...キミの勤勉さは目を見張るものがあるね。本題に入る前に1つキミに話したいことがあってね─刈愛の事なんだが」
急に一茶さんから呼び出されて来たら、刈愛ちゃんの話題が持ち上がった。まあ、あれだけ揉めてたら耳に入るのも仕方ない、大人しく叱られようと覚悟した時─。
「─刈愛のことを気遣ってくれて、本当に感謝している」
「えっ?」
聞き間違いか?でもたしかに感謝しているって─。
「フッ、怒られるとでも思ったのかい?まあ言い方に難があるとは聞いているが、それも刈愛を思ってのことだろうと割り切っているよ」
「す、すいません...いつも熱くなってしまって...」
「いやいや、むしろ我が娘のことにそこまで熱くなってくれるならなおのこと、だ...。刈愛がああなってしまったのには理由があってね─」
それから色々な話を聞いた。刈愛ちゃんの母親は嫡子である自分の娘に英才教育を無理矢理施したということ。アカーシャさんに対して敵意に近いものを抱いており、今は別居していること。刈愛ちゃんはそんな母親の期待を裏切れないと無理を押すことが当たり前になってしまったこと─。
「─気づいた時には涙を流して感情を押し殺しながら戦う娘になってしまっていたわけだ。ただ、この家の存続も至上命題だったのでね」
「向いてないからと萌香ちゃんに家を継がせればその玉露って人がアカーシャさん共々命を狙いかねない。だから仕方なくですか」
「ああ、家族で果し合いなど恥ずかしい限りなのだが…」
そう言って肩を落とす一茶さん。初めてあった時の覇気や威厳はすっかり抜け落ち、そこにはただ思い悩む一家の主の姿があった。
「けれど今は亞愛がいる。腕も刈愛と同等かそれ以上、性格を鑑みても刈愛に比べれば…そこでだ。刈愛と
「!!」
その瞬間、扉が開く。
「刈愛ちゃん…」
「ロマニ…」
「丁度いいタイミングだったようだね」
それから改めて刈愛ちゃんと共に赴く仕事の説明を受けた。