刈愛side
「くうっ……待っ…て………ダ…メ」
突如現れた大男の強さ─パワー、スピード申し分ないものだった。まったく対応が出来ずに痛手を負わされてしまった。
「カッカッカ、なんだ?まだやるのかい?」
「…………」
首領格の男は圧倒的戦力を手にしてロマニを挑発し始める。ロマニは何も言わず大男の方に歩みを進める。
「おいおい、それ以上進んだらキミ死ぬよ?死ぬよ?」
「…………」
それでもロマニは歩みを止めない。
「チッ、無視かよ。じゃあお望み通り─行けっ!!ヘラクレス!!」
「■■■■■ーーーーーーー!!!!」
ついにロマニへの抹殺命令が大男に出され、大男は咆哮をあげる。
「…いやっ!」
私がちゃんと避けていれば…私がもっと強かったら…そんな後悔が頭を過ぎる中、ロマニが殺される様を直視出来ずに私は目を瞑った。
「ぎゃあ゛あ゛あ゛あ゛!!!」
やめて…やめてやめてっ!!私は祈るが絶叫は止まない。
「か゛あ゛あ゛あ゛っ!!な、なぜ!なぜ私か゛あ゛あ゛あ゛……」
「…えっ?」
しかし、よく聞いてみるとロマニの声というより─確認するために私がゆっくりと目を開くと─。
「…終わったぞ」
「………なん……で…?」
さっきまでと何一つ変わらないロマニの姿がそこにあった。
「まあ、種明かしはできないが私には
どういう事なのか。そしてなんかロマニの口調がいつもより固い気がする…。
「─いや、さすがに僕も
と思ったらいつの間にか普段のロマニに戻っていた。
「それより─」
「きゃっ!?」
すると突然ロマニが私を俗に言うお姫様抱っこしてきた。
「ちょ、な、お、下ろし…ゲホッ!?」
「ほら、まだ身体治ってないんだから、このまま車まで送るよ」
「う……ありがとう…」
そしてロマニの言う通り、私はお姫様抱っこされたまま車に連行された。
「体調はどうだい?」
「だいぶ良くなったわ」
「よかった……」
それから宿泊先に戻り、ロマニの治療の甲斐あって腹部の痛みと吐き気はほとんど治った。
「…ごめんなさい。今日はなんの役にも立てなくて…」
正直今回の仕事はロマニ1人の方が何事もなく終わったと思う。私にはまだ実力が足りない…。
「…まったく」
「ふぇ!?ちょ、え、」
すると突然ロマニは私を優しく抱きしめてきた。あまりに突然過ぎて何も言葉が出てこない。
「いいかい、まだ僕もキミも子供だ。いちいち完璧なものを求めていては疲れてしまうよ。子供は子供らしく失敗しなきゃ。キミは少し思い詰めすぎだ」
そう私の背中を優しく撫でながら諭すように言うロマニ。
「……うん」
そんなロマニの優しさに甘えたくなり、私もロマニを抱きしめ返し、涙がこぼれた。
「…いつもありがとね」
それから互いに流した汗を洗い落とし、明かりを消して2人でベッドに入った。そして数分くらい経って私はロマニに感謝の言葉を述べた。
「なんだい?突然」
「ふふ、とぼけないで。いっつも気にかけてくれて、私嬉しいの」
そう、ロマニは
「…だから、これからは私もロマニのこと、ケアして…あげたいな…って…」
そう告げて私は向こうを向いているロマニの背中を抱き寄せた。