アカーシャside
「おかえりなさい。ロマニ、刈愛ちゃん」
「ただいま、アカーシャさん」
「ただいま〜。ふう、座り疲れちゃったわ」
2人が仕事に出て4日、無事帰ってきてくれてほっとしている。
「お疲れ様、一茶さんは仕事でいないから報告は私にお願いね。どっちが─」
「僕がしますよ。
「ありがと、お言葉に甘えさせてもらうわ」
行く前と比べて刈愛ちゃんの笑顔がより晴れやかになっているし──ロマニは呼び捨てだし。
「…どうやら2人に任せて正解だったみたいね」
「ん?何か言いました?」
「いいえ、なんでも」
私は2人の関係の変化が垣間見えて内心喜んでいた。
「──というわけで乗り込んだんですけど、聞いてたよりかなりの人数がいて結構苦戦しましたね。ざっと予想の3倍はいたかな…」
「そうだったの…」
報告を聞いているとどうやら厳しい仕事を与えてしまったようで少し反省していた。
「…それに、かなり高位の召喚術を操る男がいて刈愛はほぼ瀕死の状態まで追いやられました」
「えっ…」
高位の召喚術─?たしかあの集団の─。
「まさかかの大英雄ヘラクレスを召喚してくるとはびっくりしましたね」
「ちょ、ちょっと待って。貴方達、どうやって生還してきたの…?」
「どうやってって…倒すしかないじゃないですか」
そんなバカな…!だってロマニの言っていることが正しければその男は人間界では封印指定と呼ばれる超危険人物…!
「仕事に関しては以上です。あとの一日は刈愛とのんびり観光してました」
「そ、そう……ありがとう。疲れてるのに…」
「いやいや、全然大丈夫ですよ。では失礼します」
そう告げてロマニは部屋を出た。
「…どういう事なの」
私は改めて彼─いや、
刈愛side
「おかえり!刈愛お姉様!」
「ふふ、ただいま心愛。萌香ちゃんも」
「ああ、無事で何よりだ」
部屋に戻ると妹たちの労いを受けた。私がいない間も1日置きにマーリンの指導を受けていたらしい。
「すっっごく強くなったんだから!だから今から─」
「バカ、刈愛姉さんは仕事明けで疲れてる上にマーリンから無闇な手合わせは控えろと言われただろう。せめて明日以降にしろ」
「うぅ、そうだけどぉ」
「ふふ、楽しみにしてるわ」
いつも通りヤンチャな心愛の様子を見て心が和む。
「そうだ!手合わせがダメならチェスで勝負よ!」
「ふん、私にも勝てない心愛が刈愛姉さんに勝てるとも思わないが」
「な、じゃ、じゃあまずは萌香お姉様と勝負よ!」
それから2人はチェス盤のある部屋のほうに向かっていった。
「哎呀~、相変わらず2人とも元気ね。おかえり、刈愛」
「ただいま亞愛…姉さん」
すると入れ替わりで亞愛姉さんがやってきた。
「…ロマニとはどうだったの?」
「っ!?」
いきなりロマニの話題を振られて私は急に緊張感に襲われた。
「…その様子だと好きになっちゃったのかしら」
「ちょっ!?な、なんで…っ!?」
「ロマニの名前出してそんな顔赤くされたらわからない方が可笑しいわ」
あまりの恥ずかしさに顔を両手で覆う。うぅ~、ナイショにしたかったのに…。
「でもよかったわ。あのままだったら私も居心地悪かったもの。
「…ちょっと揶揄ってるでしょ」
「あ、わかっちゃった?」
亞愛姉さんが悪い笑顔で答える。いつか仕返ししてあげるんだから…。
「ま、お疲れ様。とりあえずゆっくり休んでね」
「うん。ありがと、亞愛姉さん」
「…やっと詰まらず姉さん呼びしてくれたね」
そう言って亞愛姉さんも部屋を出た。言われてみればやっと亞愛姉さんへの遠慮みたいなものが無くなったかもしれない。
「…ふふ、ふふふ」
私は周りとの関係が良くなったことを実感し、思わず笑みをこぼした。