※この作品はR-18です。

グランドキャスターが往く   作:エミヤ好きのギルファン

27 / 31
4-2

亞愛side

 

「はい、王手」

「ぐぬぬ…」

 

マーリンの指導が厳しくなった翌日、私はマーリンと『ショーギ』を指している。

 

「…そういえば、お腹の調子はもういいのかい?」

「…おかげさまで昨日の夕食全然食欲湧かなかったわよ」

 

散々ボコボコにされた後、処置はしてくれたけど後から吐き気とかがぶり返して苦しかった。朝起きたら治ってたからよかったけど…。

 

「ハハハ、だからロマニに治してもらえばよかったんだ」

「…うるさい。はい、次マーリンの番よっ!」

「んっ?そんな手でいいのかい?なら…はいっ、コレでどうかな?」

「あっ…」

 

怒りに任せた手は見事に悪手だった。もうこれどうしようもないじゃない…!

 

「……負けました」

「ハハハ、亞愛は単純だから与し易いなあ」

「…言ってくれるわね」

 

これでも刈愛とかロマニ相手なら互角程度に戦えるのに…っ!なんでマーリン相手だといっっつも負けてばかりなのよ!

 

「あー!今日も亞愛姉さん負けて─」

「─何か言ったかしら?」

「イ、イエ、ナンデモナイデス」

「次はアナタね。容赦しないから」

 

腹いせとばかりに心愛を相手にボコボコにした。

 

「うぅ…亞愛姉さん…強い…」

「ふっふっふ、お姉さんを甘く見ない事ね」

「…最低なお姉さんだな、キミは」

「ぅぐっ!?」

 

マーリンの一言は私の心を深く抉ったのだった。

 

 

 

「はぁ〜…」

 

一日が終わり、私はベッドにダイブした。朱染家に来て今までと違う生活を送り、楽しいけれど少し疲れもある。特に勉強とか…。っていうかなんでマーリンが教えてくるのよっ!

 

「やあ、今、大丈夫かい?」

「ひゃっ!?」

 

するといきなり部屋にマーリンがやって来て、私は素っ頓狂な声を上げてしまった。

 

「ハハハ、驚いたかい?」

「な、何しに来たのよ!っていうか、女の子の部屋に無断で入るなっ!」

「ぶっ!?」

 

とりあえずこのデリカシーの欠片もない男にビンタを一発お見舞いしておいた。

 

「いたた、乱暴だなキミは。せっかく最近疲れていそうだから癒してあげようかと─」

「だ、誰がアンタに…っ!」

 

胡散臭さMAXのマーリンの言葉に私は反発しようとしたけど、力で抑え込まれて気づいたらマーリンの膝の上に座っている。

 

「な、何する気よっ!」

「言ったじゃないか、キミを癒してあげる、って」

 

そう言うと、マーリンはあ(・)る(・)言葉を発し始めた。

 

「─星の内海 物見の台(うてな) 楽園の端から君に聞かせよう 君達の物語は祝福に満ちていると 罪なき者のみ通るがいい─」

 

すると突然目の前世界が崩れて私とマーリンは広大な花畑の中に佇む形になっていた。

 

「えっ?なに?ここは…」

「大丈夫、暫くしたらキミの部屋に戻るから…今はここでゆっくりしよう」

 

そう言われても──でも、なぜかこの場所にいると体力、妖力共に満たされていく。ずっとここに居たいと思ってしまうほどの安らぎ…。

 

 

「……っん」

「…やっと起きたかい?」

「…あれ?」

 

どうやら私は眠ってしまったらしい。見渡すと先程の花畑ではなく、私の部屋だ。もしかして…夢?

 

「なんで私…」

「随分疲れていたんだろう。彼(・)処(・)に行ってからものの数秒で寝てしまったよ」

 

そうカラカラと笑いながら教えてくれるマーリン。

 

「いやあ、やはり女の子の寝顔はいいもんだねえ。眼福眼福」

「っ!?ってかなんでアンタが膝枕してるのよっ!!」

「うげっ!?」

 

それからいつも通りふざけたこと言ってくれるマーリンの鳩尾を思いっきり殴ってやった。

 

「かはあ……す、少しくらい手加減してくれても」

「ふんっ!私の寝顔見たんだからそのくらい安いものよ、このスケベ…んっ?」

 

よく見てみると、部屋の扉が少し開いて─。

 

「誰っ!?」

「…や、やっほー…亞愛姉さん」

 

そこには刈愛と萌香の2人がいた。

 

「ど、どこから見てたのっ!?」

「え、えーと…」

「─姉さんがマーリンの膝で寝てるところからよっ♪」

 

しどろもどろな萌香と違い、刈愛はどこか楽しそうな様子で教えてくる。─っていうかそれほとんど最初からじゃない!

 

「まさか姉さんとマーリンがそ(・)ん(・)な(・)関係だなんて…ねえ、萌香ちゃん」

「ちょっ!?違─」

「あ、ああ……私も今後配慮しなくては…」

「人の話を聞いて!!マーリンとはそんな関係じゃ…っ!」

「あら、あんなイチャイチャしてたのに…ねえ?」

「ああ、隠したい気持ちはわかるが、さすがに無理があると思う…」

 

そして無事、妹たちに勘違いされてしまったのであった。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。