ロマニside
マーリンに促されてやってきた倉庫では僕達と同い年くらいの少女が大勢に嬲られていた。
「...もしかしてあの
「ああ、視えたからね」
「じゃああの怪物が...」
そして互いに千里眼で視たものが
「とりあえず彼女を助けて接触を図る。異論はないね?」
「ああ」
「じゃあ私が前に出てるスキにお願いするよ?」
「わかった」
そして頃合を見計らい、マーリンが連中に向かう。
「キミたち、楽しそうなことしてるね」
さすがマーリン。人をいらつかせる口調は健在だ。現に連中は突然現れた軽薄男に注目している。
「いやいや、男が寄ってたかって女の子一人いじめているわけだろう?なかなか見れるものじゃない」
「ンだてめえ!なんか文句あるかぁ?」
早速胸ぐら掴まれてガンつけられてる─いいぞ、1発殴っておいてくれ、などとそこはかとなく思いつつ未だに苦しそうにお腹を抱えている女の子の元に向かう。
「よっと」
気づけばマーリンの方は乱闘騒ぎになっており、誰もこちらに気づいていない。
「あ、あな...」
「しっ。バレるとまずい」
女の子の口を塞ぎ、なんとか倉庫の外に出た。
「はー...はー.....うぷ.....っ」
「よしよし、今楽にしてあげるから」
そして女の子を楽な体勢にして回復魔術をかける。
「待てやオラァ!!」
「きたきた」
そしてあらかた処置が終わる頃にちょうど追いかけられながらマーリンが合流した。
「もう大丈夫かい?」
「ああ、十分だよ」
「よし、じゃあ─」
そう言うと辺り一帯の雰囲気が変わる。
「これが幻術か」
「さすがだね。これで大手を振って車に戻れるさ」
見ると連中は突然僕達を見失って当惑していた。
??side
な、なんなのよコイツら...。
急に現れて私のこと助け出してよくわからない力で治療までしてくれちゃって、おまけにまたまた謎の力で資格を誤魔化して─。
「さて、まずは自己紹介といこうか。私はマーリン。マーリン・ペンドラ」
「僕はロマニ・アーキマン。ロマンとでも呼んでくれ」
そんなことを考えているとなんか軽薄そうな男が自己紹介を促してきてちょっと頼りない方も名前を告げてきた。
「.....朱染...亞愛」
どうするか悩んだが助けて貰った恩もあるから仕方なく名乗った。
「アクアちゃん、ね。ところでキミ、大変だったね?どうしたんだい?」
「...アンタにはカンケーないから」
「おや、つれないねえ」
なんか会話するだけでイラつくのはなぜだろうか。
「それよりなんであそこで私が襲われてるって気づいたのよ」
「あぁ、それかい?まあ視えてしまったからね」
「視え...た?」
「まあ私たちの力、さっきから見ててよくわからないだろう?なんとなく察してくれたまえ」
なによこいつ、こっちが質問しても答えてくれないじゃない。
「そんなことは置いといて...キミはこれからどうするんだい?」
「...家に.....行く」
「そうか.....うん。それじゃあ僕達が家まで送っていくよ」
「は、はあ?またなんで...」
「いやなに、キミはどうやら色んな人から恨まれてみたいだからね。この先帰路でまた襲われてしまったら救い損になってしまうだろ?」
「そ、そんなに私は弱くないっ!!」
そしてこのバカにした口調にとうとう私も怒りを抑えられなくなった。
「...それは
「え...」
しかしその後に紡がれた言葉に私は驚きを隠せなかった。
「...なんでわかったの?」
「その赤い瞳と八重歯じゃあバレバレだ。正体を隠したいならもっと上手くやらなきゃいけないんじゃないかい?」
コイツら、油断できない。
「とりあえず、助けてくれてありがとう。じゃあね」
これ以上会話を続けても向こうのペースに呑まれるだけと察したので強引に別れようとした─その時。
「─困るなあ。私たちは
「なっ!?」
男から更に驚愕の一言が飛び出した。
ロマニside
いや、待て。助け出してヒーローになってそのまま...っていう流れじゃなかったのかい???いやまあ
「...アンタ達、ホントに何者?」
「そうだねえ、魔導師というのが1番近いかな」
「ふ〜ん、
「それは言えないなあ」
「そう、なら─ここで死んで」
そう言って女の子はマーリンに向かって突撃する!
「おっと、乱暴だなキミは」
「ちっ、はあっ!!」
まあこの流れは完全なる人選ミスだろう。とりあえずマーリンには不手際のケジメをつけてもらおうと傍観することにした─。
「はぁッ...はぁッ...なんで.....当たらないのよ...」
「キミ、面白い技を使うんだね。別空間と高速で行き来することで刃のような手刀を繰り出してるわけだ」
「なっ!?」
あっさり自分の技を見抜かれて女の子は驚きを隠せないでいた。おまけにこちらからは攻撃せずに全て身のこなしだけで躱している。
「このっ!!」
「おっと」
─というかいい加減ケリつけてくれないかなあ!もうかれこれ30分は経ったんじゃないかな!
「なんだい、早くしてくれって顔をしてるねえ」
「わかってるなら早くしろ」
すると感情が表情に出ていたのかマーリンが女の子の攻撃を躱しながら話しかけてくる。
「よそ見してんじゃないよっ!!」
当然女の子は怒りを露わにして更にマーリンへの攻勢を強める。...まあ恐らくそれが狙いでスタミナを削っているんだろうけどなんだかんだ女の子も30分このクズに付き合っているんだ。やはり『力の大妖』なんて大層な名前つけられるだけあるなと実感。
「しかし、いい加減諦めたらどうなんだい?キミの攻撃は
「...うる.....さいっ!!...はぁ、はぁ、まだっ...!」
そういう彼女は既に肩で息をするまでに疲弊している。
「まったく、困った
「もういい、マーリン。変われ」
流石にしびれが切れたので僕はケリをつけることにした。
「おやおや、慈悲がないねえ。せっかく私がなるべく穏便に済ませようとしていたのに」
「あんまり悠長なことも言ってられないだろ」
「まあそれもそうかな」
そして僕─私は女の子の前に立ちはだかった。