亞愛side
「はぁ、はぁ、はぁ...」
攻撃を総て躱され、私のスタミナもだいぶ尽きてきた。なんとか息を整えようとしていると目の前には頼りなさそうな方が立っていた。
「なに...?選手交代かしら?」
「ああ、あいつに任せていたら日が暮れそうなんでね」
「もう疲れたの...?私はまだピンピ─」
まだピンピンしていると言いかけたその時─。
「どうでもいいけど、降参しないなら
「くっ!?」
瞬く間に男は私の目の前まで迫り、拳をお腹にあてがっていた。私はすかさず後方に跳んで一旦距離をとったが、冷や汗が止まらなかった。
(...速い。見えなかった...)
「で、どうする?大人しく私たちをキミの家に連れて行くか。ここで死ぬか」
「...フン、違うわ。アンタ達がここで私に負けて這いつくばるのよ」
「...それが答えか」
「ええ」
そう言い終えると私は気合を入れ直す。一瞬でも油断したら死ぬ─。
「!!」
するとまた気づけば男は目の前に迫っており、お腹に拳をあてがっていた。あんなこと言いながらまた降参を求める気だろうとひとまず後ろに跳躍しようと脚に力を込めた─その時だった。
─どぼんっ!!!
「.....え?」
下から爆発音のような音がしたかと思うと脚が宙に浮いている。一瞬何が起きたか理解出来ず音のした方を見るために下を見ればお腹に男の拳が深々と埋まっていた。
「う゛ん゛っっ.....」
現状を視認すると同時に痛み、吐き気がせり上がってくる。
─グチュ...
ここでようやく拳が抜かれ、圧縮された内臓が元に戻ろうと動き出す。そして手足の力は抜け、ぺたりと地面に座り込む。
「う゛っふ゛ぅ...」
ようやく脳が処理が終わったのか、いよいよ本格的な鈍痛がお腹を襲う。
「がアッ!?ガハッ!!ガハッ!!け゛あ゛あ゛ッッ!?」
お腹に穴が空いてしまったような錯覚に陥るほどの激痛に私はお腹を抱えてのたうち回った。
「う゛あ゛あ゛.....んぶっ!?ん゛、ん゛んふぅ...」
そして遅れて胃液が食道をせり上がってきて口から外に出ようとする。私はなんとか堅く口を閉じてそれを拒む。
「ん゛むふ゛.....ぅん゛.....ぅぅ.......」
「この一撃をくらって吐かないとは、
涙で視界が滲む。鼻水も止まらない。吐き気は収まらない。お腹は未だに
「さて」
「う゛.....」
蹲る私の髪の毛を引っ張り、私の顔を上げさせる。
「まだ話さないかい?話さないなら話すまでキミの大事なお腹を潰すだけだ。ああ、心配しないでくれ、殺しはしない。ただ─死んだ方がマシ─と思うくらいには甚振るけどね」
「い、いや.....やめ.......て...」
私はもうひたすら
ロマニside
「いやあ、しかしロマニの闇の部分を垣間見たね。いい収穫だったよ」
「うるさい、亞愛ちゃんの声が聞こえないじゃないか」
あの後、亞愛ちゃんは心が折れてしまい、僕達に大人しく従った。話せるレベルまではお腹を治療しようと手を添えた途端泣き出すくらいには弱ってしまい、今は朱染家までナビゲートしてくれている。
「あ、あとは.....1本...道.....なはず...だから.......くぷ.....」
「まったく、こんな可愛い子をこんな目に遭わせるなんて人でなしはどっちかな?」
「お前もジワジワ体力削っていただろ。お互い様だ」