亞愛side
「コラコラ、大人しくしてくれないと治せないじゃないか」
「自分を殴った相手に身を預けられるわけないでしょ...げほっ!げほっ!」
未だに収まらない吐き気に苦しんでいたら、突然ロマニが部屋に入ってきて『治療するからここに座って』なんて言い出した。私は抵抗しようとしたけれど声を荒らげたことでお腹に響いたのか背中を丸めて咳き込むハメになった。
「まったく、女の子が無茶するからだぞ?」
そう言って私のお腹に手を当てる。
「や、」
「ん?」
「やめ.....て...お腹.....苦しいから...」
その瞬間、先程浴びたボディーブローがフラッシュバックし、私は男に涙を浮かべて懇願した。
「もう
「うぅ...」
仕方なしに言われた通りにすると、ゆっくりと吐き気やお腹の痛みが抜けていくのが感じられた。
「よし、こんなものかな。どうだい?」
「う、うん.....もう痛くはない...かな...」
さっきもだが、コイツらはどうやってヒトの身体を治しているのだろうか。
「おや、これはいい所を邪魔してしまったかな?」
「なっ!?」
「ば...っ!そ、そんなわけないだろっ!」
すると今度はマーリンが部屋に入って早々爆弾発言をかましていく。
「ははは、いやいや、わかってはいるさ。それより、ここのご主人様が私含めキミ達と顔を合わせたいから来てくれ、だとさ」
その後紡がれた言葉にいよいよお父様─そして家族との対面かとワクワクしてきた。
「じゃ、行こうか」
「ちょっ...引っ張らないでよ!」
するとこの
「ちょ、待て待て!僕を置いていくな!」
「ははは、なんだいロマニ。亞愛ちゃん取られてご立腹かい?」
そんなわけないだろ!、とロマニの叫びとともに私たちはお父様の元へ向かった。
ロマニside
「やあ、よく来てくれたね。ようこそ朱染家へ...私が館の主、朱染一茶だ。よろしく」
なにやら大広間の控え室のような場所に通された僕達を待っていたのは威厳溢れる1人の男性とアカーシャさん、そして僕達と同年代か少し下の女の子3人だった。
「
一茶さんの言葉にまず亞愛ちゃんが返答する。そうか、今まで親元を離れて暮らしていたのかとここで気づく。
「私はマーリン。マーリン・ペンドラだ。お世話になります」
「僕はロマニ・アーキマンです」
続いてマーリンと僕も自己紹介を済ませる。
「キミたちの話はアカーシャから聞いているよ。私の愛娘を助けてくれて感謝している。その後のことは少し話し合いが必要だが...」
あ、これこってり絞られるやつだ。そう確信した僕はマーリンを睨みつける。マーリンは僕を見てニヤニヤしてやがった!コイツ...っ!
「まあそれはさておき、キミたちの事情も全て聞かせてもらった。できる限り、朱染家も手助けをしよう」
「「ありがとうございます」」
とはいえそれなりに歓迎はされている様で安心した。
「それでは、行こうか」
「行こうって.....どこにですか...?」
「なに、亞愛とキミ達を披露するのさ。楽しみたまえ」
この時、この家が改めて常人には理解し難いものだとわかった。
「でもキミも昔はこっち側の人間なんだからね?」
「うるさい...こういう時に千里眼使うな...」