「終わった、か……」
試合終了を告げる音声と勝者の名を聞きながら、一夏はどこか噛み締めるように呟いた。学年別トーナメントの一回戦。彼はラウラと二度目の戦いとなり、見事に敗北したのだ。あの切り札を使わない方がラウラは一夏にとっては強かったと言える。
何せ彼女のISは近接戦さえも可能であり、レールカノンやワイヤーブレードを駆使して戦うオールラウンダー。あの切り札がなくても、既に一度戦った一夏の戦術など通用させないだけの技量もある。セシリアも鈴もだったが、現状の一夏では専用機持ちで国家代表候補の彼女達に連勝するのは不可能であった。
「一夏、顔を上げろ」
「ラウラ……」
「悔しいと思う事は重要だ。だが、それは下を向いてではなく上を見てするものだ。お前が目指すべきは、地の底ではなく空の上にあるのだからな」
「……ああ、そうだな。サンキュ、ラウラ。それと、いい経験になった。次も頑張れよ」
「任せておけ。鈴のように優勝してやろう。私の、大事な男のためにもな」
握手し合って見つめ合う二人。初対面の二人を知るクラスメイトはよくもそうなったと感心し、知らぬ者はその清々しさに笑みを見せる。ただ一人、複雑な表情を浮かべる者がいた。千冬と共に観戦していた真耶である。
「織斑君、負けてしまいましたね」
「……ええ」
「対抗戦に続いて公式戦二連敗。まぁ、相手がどちらも国家代表候補ですから仕方ないかもしれませんが」
「相手が誰であろうと、負けていい試合などありません。そんな風に思うのなら、その者に向上の道はないでしょう」
「……織斑先生」
「あの愚弟は、そこまで情けなくはないと思っています。最近は男らしく、またぎらついた目をするようになってきました。前回もですが、負けたとはいえ一方的にやり込められた訳ではありません。敗戦の度に強くなっている。それは、私にも感じられますから」
一度たりとも一夏から目を逸らす事無く話す彼女は、心なしか笑みを浮かべているようにも見えた。真耶はそれに小さく微笑むと、視線を前へ戻す。
一夏とラウラはアリーナから退出しようとしていた。そこには勝った嬉しさも負けた悔しさも存在していないように彼女の目には映る。
「次は、秋頃の専用機持ちだけのタッグマッチでしょうか。そこで三度目の正直となるといいんですけど」
「二度ある事は三度あるともいいます。とにかく、あまり織斑ばかりに構ってもいられません。生徒はあいつだけではない」
「ですね。でも、やっぱり弟さんの事になると饒舌ですよね、織斑先生って」
「山田先生、コーヒーを飲みませんか。私が淹れましょう」
「あ、お願いします」
この後、千冬が真耶のコーヒーに砂糖ではなく塩をたっぷりと入れるのだが、それは割愛させていただく。
さて、真耶が塩っ辛いコーヒーを泣きながら飲んでいる頃、一夏は自室でラウラと再試合を行っていた。とはいえ、それはISのではなく……
「ああっ! そこぉ、そこをもっとグリグリしてくれっ! おちんぽでおまんこの奥グリグリぃ!」
裸となって一夏のベッドで四つん這いとなっているラウラ。そのヴァギナには雄々しいペニスが挿入されている。試合後、着替えを終えた二人は無言のままここへ移動、そして何も言葉を交わさぬまま服を脱いだのだ。
「ラウラの中はホントにきつきつだな。箒や鈴なんか目じゃないぞ」
「あふっ、当然だぁ。わ、私のロリボディに勝てる女はいない。アナタだけの、アナタだけのロリオナホだからな」
「……ラウラ、最後のもう一回」
「ひゃんっ……アナタだけのロリオナホ?」
ピクンと反応したペニスの動きに可愛らしい声を上げ、不思議そうに小首を傾げながら繰り返した事もあり、一夏はラウラの両腕を掴んで引き寄せた。そのまま後背位から背面座位へと体勢を変え、彼は彼女を抱き締める。
「エロ可愛いぜ、ラウラ。オナホの意味、ちゃんと覚えてるよな?」
「む、無論だ。くぅ……お、オナニーホールの略称で、男性の自慰行為を手助けする道具の事ぉ。主に女性器を模して作られている……っ!」
「ラウラは、俺だけのロリオナホか?」
「……出来れば幼な妻になりたい」
「っ! ああ、してやるって! 絶対だっ!」
「にゃあぁぁぁぁっ! い、いきなり動かすにゃぁぁぁぁっ!」
抱き締められたまま腰を突き上げられ、ラウラは呂律が回らなくなったのか猫真似をしているかのような言葉を放つ。それもまた可愛らしく、一夏の腰の動きを加速させてしまう。ラウラも首を動かしてキスをねだるように舌を伸ばした。彼もそんな彼女を愛しく思い、応えるように顔を近付け舌を絡める。
と、そんな風に仲睦まじい二人であるが、そこへ姿を見せる者がいた。その人物はシャワーから出てきたところで、バスタオルで髪を拭きながら二人へと近付いていく。
「あー、もうラウラとラブラブしてる~」
「んんっ……っぱ、当然だ! 私は最近嫁になったのだから、セックスの経験を積まねばならない」
シャルへそう告げるとラウラの膣壁が収縮した。まだセックスをしているところを見られる事に慣れていないため、恥じらいから体が急激に反応してしまうのである。
そうなれば、一夏のペニスがどうするかは言うまでもないだろう。不意の一撃。しかも、ラウラはまた可愛くキスをねだって顔を上げる。それらの相乗効果もあり、彼は込み上げてきたものを解き放った。
子宮目掛けて放たれた精液を感じ取り、ラウラは全身を震わせながら舌を絡め続ける。だが、その様子を眺めていたシャルは気付いていた。その射精がまだ本気ではない事を。
「……一夏、もしかして出すの自分でコントロールしてる?」
「ん? あー、完全にじゃないけどな。出したいって思ったら出せるようにはなってきたかもしれないぞ。逆に、まだ出したくないって思えば割と遅らせる事が出来るな。まぁ、何の自慢にもならないけど」
「どうだろ。それ、かなりの集中力がいると思うんだけど」
絶頂したので軽く脱力して背中を一夏へ預けるラウラの頭を優しく撫でながら、彼はどこか苦笑いを浮かべていた。エロ方面で集中力を養ってもと、そう思ったのだろう。だが、シャルはそんな彼へ近寄ってその胸を押し潰すように背中から抱き着くと、その耳元へこう告げたのだ。
「一夏、これも考え方だよ。集中力の研ぎ澄まし方は何にだって応用出来るはず。なら、エッチで身に付いたそれを今度模擬戦で試してみなよ」
「……集中力の、研ぎ澄ませ方、か」
それもそうかと納得しつつ、一夏は片手を動かしシャルの臀部を撫で始める。すると、当然ラウラの中のペニスが反応するので彼女も気付く。
「むぅ、もう少しアナタとイチャイチャしたかったんだが……」
「ごめんねラウラ。でも、三人でするのも嫌いじゃないよね?」
「ああ。嫁が複数だと一夏の機嫌がとても良くなるからな」
「それだけ?」
「……気持ちいい事を沢山してもらえる」
「ふふっ、だよね。僕もこうなったらそうなっちゃった。チンポ感じながら誰かに胸いじられるの、いいよね」
「んあっ……うむ。特に乳首を弄られるのは堪らない。しかも、それをされると一夏のおちんぽが簡単に射精してくれるしな」
「よし、お喋りはそこまでだ。シャル、ベッドへ仰向けになってくれ。ラウラはその上にうつ伏せだ」
「「分かった」」
ラウラのヴァギナから引き抜いたペニスを見せつけるように立ち上がり、一夏は二人の少女へ指示を出す。こうして夕食まで三人は交わる事となる。
「「ひゃあんっ!」」
重なり合うヴァギナの間をペニスが強く擦り付けながら移動する。それだけではない。カリ首が陰核を刺激していくのだ。可愛らしい声を上げる二匹の雌猫。盛りの付いた発情期の声は、それを相手にする雄を煽り、狂わせ、猛らせる。
「シャルっ! ラウラっ! 可愛いぜ、二人共! もっと可愛い声を聞かせてくれっ!」
「い、一夏ぁ!」
「お、おちんぽが擦れてっ!」
「「気持ちイイのぉぉぉぉっ!」」
「っ! ああっ! 最高にエロくて可愛いんだよ、二人してさぁ!」
普段は一人称が僕のシャルと、普段は硬い口調のラウラ。それが見せる、雌の顔、雌の声。その自分以外の男は誰も知らない本性に一夏は吼える。最早ナノマシンの影響など関係なく、彼は自身の欲望として彼女達を妊娠させたいと思うようになっていた。
まだ学生である彼らに子育てなど難しい。だが、それは理性の、もっと言えば社会的な発想だ。本能のままの、動物的な発想にはそんなものは入り込む余地はない。
むしろ、好きな男の、好きな女の、その血を継ぐ存在を欲しいと思うのは当然の事である。故に止まらない。故に気にしない。自分達がしている事がもたらす結果など。
一夏のペニスがシャルとラウラの微かに残っている理性を削り取るように動き、それらが与える刺激が代わりに本能を植え付けていく。この雄の子を、この雌に子を。その考えだけが彼らを満たすのにそう時間はかからない。
更に言えば、彼らがここまで避妊を考えなくなるのにも理由があったのがそれを加速させる。一夏の嫁となる女性達は多かれ少なかれ千冬の存在を意識している。彼女を説得するのに正攻法では難しいと思う程に。
だから、子を作るのだ。既成事実。この持つ重さと威力は凄い。いかに千冬といえど、愛する弟の血を継ぐ子を見せられては、あるいは認識させられては冷静でいられないだろう。
今、一夏に抱かれる女達が避妊を口にしない理由はそこにある。織斑千冬。もし彼女が世界最強でなければ、あるいはブラコンを匂わせる言動がなければまだ歯止めが効いたかもしれなかった。
二人を炙り尽くしたと判断し、一夏は体勢を変えた。次は意識をペニスへ集中させようとしたのである。
「レロレロ……一夏のチンポ硬いね。これで一度出してるとか凄いや……チュッ」
「そうなのか? 私はよく分からん。アナタはこの裂け目を舐められるのが弱かったな。チロチロ……」
「あっ、ラウラズルい。それ、いっぱい我慢汁が出てくるやつじゃん。私もしたいよぉ」
二人で寝そべる一夏へ臀部を見せながらするフェラチオ。可愛い桃尻が彼の視界を動き回る。それに時折気まぐれのような愛撫をして一夏は笑う。ラウラのヴァギナから精液がもう流れてこないのだ。それがどうしてかを理解して彼は笑っていた。
(ラウラの奴、さっきので俺の全部流したのか。そんだけ感じてたんだな)
シャルと共にペニスで炙られた時、自身の愛液で膣内の精液を流し出したラウラ。その事がまるで新しい子種を欲しているようにも思え、一夏はそのつい一月前は男を知らぬどころか迎え入れる事も考えてなかった穴へ手を伸ばす―――のだが最後にはそれよりも上の穴へ手を出した。
「にゃっ!? あ、アナタ? そこは違うぞ」
「ジュルッ、何してるの?」
「悪い。ラウラのアナルが可愛くてさ」
「……一夏ってホントにエッチな事へ抵抗感ないんだね」
「どうだろな。誰でもいい訳じゃないぞ。本当にエロい奴は可愛ければ誰でもいいって言うだろ? 俺はみんなだからしたくなる訳だしなぁ」
心の底からの言葉にシャルとラウラが胸をときめかせる。それと共にヴァギナから愛液がトロリと流れ出した。この男は自分だからこそ求めているのだと、そう感じ取って。一夏も自分の言葉で二人が喜んだ事を察して、笑みを浮かべながら指を二人のヴァギナへ浅く挿入した。
「「んっ……」」
「ま、でも正直エロい事に抵抗感なくなってきたのは事実だな。正直最初はアナルセックスなんてセシリアぐらいにしか考えてなかったんだ。でも、今は出来ればみんなの初めては全部俺が奪ってやりたいって思ってる」
とんでもない発言である。だが、彼を取り巻く状況から考えればこれ程嬉しい言葉が彼女達にはない。一夏が最初に抱いたのは箒であり、彼が正妻と明言しているのも彼女である。しかし、それでも彼は明確な区分けをした事はなく、また差を付けた事もないのだ。
今、彼女達に見えている差は、知り合った時間や濃度からそれをある程度是正するための措置であり、一夏の本音は常に発信されている。そう、全員を嫁にしたいと。
「シャル、ラウラ、俺が嫌になったら言ってくれ。もしくは、俺の嫌なとこや困る事でもいい。まず教えて欲しい。直せるものなら直すし、減らせる事なら減らす。だけど、どうしても無理な事もあるだろうからさ。まずは努力させてくれ。俺もそういう事があったら言わせてもらうから」
「う、うん……分かったよ一夏ぁ……」
「あ、ああ。意識しておこう……んっ!」
「頼むな。じゃ……よっと」
「「ふあああああっ!」」
既に熟知している二人の弱点。俗に言うGスポットと呼ばれる部分を刺激し、軽く絶頂させる一夏。その声を聞いて彼は一言だけ告げた。
「じゃ、シャルがチンポな」
それだけで何をするのか、されるのかを理解して二人は頷く。その目はとても幸せそうに蕩けていた……。
トーナメントも終わり、一年生のベスト4は一夏の周囲にいる専用機持ちで幕を下ろした。ちなみに優勝はシャルで準優勝がセシリアという結果である。シャルはラウラを、セシリアは鈴を激戦の末に下しての決勝戦だった。
「終わった事だけど、ラウラとの再戦は決勝が良かったのに……」
「私もだ。三位決定戦が不満とは言わないが……」
「まあまあ、いいじゃありませんの。試合の派手さで言えばお二人のほうでしたし」
「そうだよ。僕らの試合なんて玄人好みだなって織斑先生に言われたぐらいだし」
食堂のテーブルに顔を乗せて口を尖らせる鈴と同意して頷くラウラ。そんな二人へ苦い顔のセシリアとシャルというまるで全員ふがいない結果になったかのような雰囲気であるが、彼女達が一年生のベスト4なのである。
「そうだな。私も見ていたが、やはり見栄えがいいのは鈴とラウラだった」
「俺としてはみんなの試合はどれも勉強になるっていうか、参考になったぜ。勿論真似するとかじゃなく、みんなとの模擬戦のだけど」
対する箒は二回戦敗退。一夏などは一回戦敗退である。専用機持ちでない箒は仕方ないかもしれないが、専用機持ちで千冬の弟でもある彼は、ここに至って陰口をたたかれるようになっていた。
いくら相手が専用機持ちで国家代表候補とはいえ、そんな彼女達と毎日のように訓練をしているのだ。それで結果が出ないとなればそう言い出す者もいるのが普通である。一夏も、そして箒達もそれに意識を向ける事なく過ごしていたが。
本来であれば、ゴーレム襲撃やラウラの暴走阻止などで他の生徒達から好感を得る一夏であったが、色々な事が巡り巡ってそれらがなくなった事により、むしろ彼の表立っての功績は何とも情けないものしか見えていないためである。
これが、今の彼には有難かった。ミーハーな気分で言い寄ってくる者が減り、目に見える部分でしか自分を判断しない者達を勝手にふるいに掛けられたからだ。それに、これで箒達と一緒にいる事を不満に思う女子もいなくなると思えたために。
「そういえば、次のイベントは校外学習だっけ」
「臨海学校だな。水着、用意しないと」
一夏の告げた単語にラウラが眉を動かした。水着という物を彼女は持っていないためである。
「一夏、水着とはどういう物を用意すればいい? 生憎私は持っていない」
「あー、ラウラはそうでしょうね。じゃ、丁度いいわ。今度の休みにみんなで買い物に行きましょうよ」
「賛成です。ラウラさんに色々と教えて差し上げたい事もありますし、何よりこのメンバーでお出かけした事はありませんもの」
「いいかもしれん。それに、きっとみなそれなりにサイズが変わっただろうし、な」
「うん、だろうね。と言う訳だから一夏」
「土曜、学園前のモノレール駅に午前十時集合でどうだ?」
シャルの、いや彼女達の言いたい事を察して彼は嬉しそうにそう告げる。臨海学校で着る水着を選んで欲しいと、そういう事だと思って。こうしてその週の連休の使い方は決まり、放課後はいつものように一夏の訓練となる。が、この日は少々様子が違っていた。
「こ、こんな使い方って……」
「は、敗戦を糧に成長せねばな……」
疲れはてたように床に両手を付けているシャルとラウラ。トーナメントでのリベンジマッチとばかりに模擬戦を行った二人だったが、その結果は逆転していた。何と、ラウラがあの能力の今までにない使い方を見せたのである。それは、一瞬だけ止めるあるいは数秒だけ止めるというもの。
これがシャルの動きを狂わせた。しかも、短時間故に何度も可能となり、次はいつ使われるのか、もしくはどれだけ止められるのか。そういう疑心も植え付けた事によりシャルの判断力や集中力が低下。見事ラウラは勝利してみせたのである。ただし、いくら短時間使用とは言えかなりの集中力を必要とするのは変わらないため、勝者であるラウラも余裕はなかったが。
「……一夏、お前がアドバイスしたのか?」
「いや。でも、ラウラなりに考えたんだろ。止め続けると相手に考える時間を与えるだけだって。ああされたら、見てる方も対策取りづらいだろ」
「たしかにね。今までは一発逆転みたいな使い方だったのが、フェイントや回避をおくらせるとか多彩になったわ。あれじゃ、いつ使われても不思議じゃない」
「ええ、厄介ですわ。ラウラさんの攻撃を回避しようとした途端、動きを止められる事もあれば、いざ攻撃といった時に一瞬だけ動きを止められたら……」
「完全に一夏との戦いもあっての使い方変化だな」
固定概念というものの恐ろしさをラウラはその身で味わった。故に自身の切り札も考え方を変えてみたのだ。相手を確実に仕留めるものから、相手を追い詰めるものへと。無論、仕留める使い方も出来ない訳ではない。要は、使いどころを絞らせないようにしたのである。
「じゃ、次はあたし達ね」
「リベンジ、ですか?」
「ラウラのあれを見たならあたしも同じ事したくなるじゃない?」
「ふふっ、では阻止して差し上げます」
シャルとラウラが動いたのを見て鈴とセシリアが動き出す。そう、一夏を訓練していた彼女達ではあったが、その彼から提案されたのだ。彼女達の訓練も見せて欲しいと。見る事で学ぶ事が多いと一夏はトーナメントで気付いたのである。それは、対抗戦と違い気を失う事がなかったからなのだが、それに加えて国家代表同士の戦いなどは得るモノが多かったためだ。
遠距離戦のセシリアと接近戦の鈴。その戦いを真剣な眼差しで見つめ、一夏は少しでも何かを得ようとしていた。そんな彼を横目にし、箒は小さく微笑む。
(見事な男の顔をするようになった。凛々しく、また雄々しい顔を……)
唯一専用機を持っていない箒であったが、彼女にとってはむしろそれが良い効果をもたらしていた。セシリア達は全員専用機持ちであるため、色々とデータ収集などの面倒事が多いが彼女にはそれがない。一夏もどこかに所属してる訳でもないので、それらからは無縁である。故に必ず箒は訓練中、一夏と過ごしていられるのだ。
「一夏、日曜はどうするんだ?」
「箒、察してくれよ」
「……そういう事、か。爛れた連休になりそうだな」
「俺が意識を失うぐらい搾り取ってくれ」
「分かった。出来れば、その時こそ授かりたいものだ」
一度だけ下腹部を撫でて笑う箒。肉体関係を持って既に二か月以上が経過したにも関わらず、未だに妊娠していないのだ。こればかりは運なので何とも言えないが、それだけ一夏の遺伝子が特殊という事なのだろう。まぁ、そのおかげで彼女達はその女の性を磨かれているので結果としては良いのかもしれない。
そうこうしている間に今度はセシリアと鈴の戦いが佳境へと突入していく。互いに決着を着けようと動き出したのだ。その光景を眺め、箒はそっと一夏の腕へ寄り添った。
「どうした?」
「その、こうしたかっただけだ」
「そっか。抱き寄せたいけど、ごめんな。今はあっちに集中したい」
「分かってる。その気持ちだけで十分嬉しい」
一抹の寂しさはあるが、昔の一夏を知る箒としては恐ろしい程の幸せだった。かつてであれば、今の会話も素っ気無いものか、あるいは独り相撲となっていたのだから。
―――どうした?
―――その、こうしたかっただけだ。
―――そっか。ま、箒がそうしたいんなら別に好きにしてくれていいぜ。
そんな有り得たかもしれない流れを想像し、箒は小さく苦笑する。今、彼女が素直になっているのは当然ながら一夏が彼女を男として愛したからだ。照れ隠しをする必要もなく、それまでの鈍感が嘘だったかのように気付き、察し、動いてくれる。それ故にもう箒がつんけんする意味はない。もう、一夏は彼女の事を想い、考えてくれるのだから。
(一夏、私は嬉しい。あの頃は私だけが空回りしている気もしたが、今は空回りしても、お前がそれを見て感じ取ろうとしてくれる。私の言動から考え、察しようとしてくれる。今もそうだ。出来れば、出来れば私だけで今のお前を受け止めたい。独占したい。だけど、それは無理だとお前に教えられてしまった。刻み込まれてしまった。だから、だからせめて第一夫人として、正妻として相応しくあろうと思う。お前がどれだけ増やすか知らないが、私が受け入れてみなと共に笑えるように……)
今も凛々しく模擬戦を見つめる一夏の横顔に微かな笑みを零して、箒は優しく寄り添う。そんな背中をシャルとラウラが見つめていた。
「……これ、一夏の体質が普通だったら勝ち目なかったね」
「……だろうな」
悔しさよりも感嘆のため息が出てしまう程、一夏と箒はお似合いだったのだ。少なくても、彼女達にはそう見えた。二人は知らない。これも、一夏が男となったからだとは。彼が男として箒を抱いたからこそ、彼女は誰よりも女となったのだ。惚れて想った男に相応しくあろうとして。
「でも、箒は僕やラウラも自分と同じだと言ってくれる。それも、勝てないかも」
「平等は難しいが公平ならまだ可能だ。一夏も箒もそれを心がけている。それを見ているからこそ、セシリアも鈴も、そして我々もそうあろうとしている。山田先生もだ」
「……一夏と箒が最初にそうなったから、今があるのかもしれないね」
ぼんやりとではあるが、シャルは気付いていた。もし一夏が初めて抱いたのが箒ではなく真耶だったら、鈴だったら現状はないと。セシリアならばまだ近いだろうが、きっと自分と周囲にはそれとなく差を設けたとも思っているのだ。
(そしてラウラじゃきっと上手く取りまとめられないし、私だったらそもそも……)
どんな事があろうと他の女性となど関係させないとして、とっくに壊されていたかもしれない。そう思ってシャルは小さく苦笑した。天の巡り合わせというのを実感したのだ。
今や、一夏が真耶としている時間は、基本的に五人での情報交換会となっている。シャルとラウラの部屋で、どういう言葉で喜んだとか、どういう行為で喜んだなどを話しているのだ。そこで感じる一体感は、やはり同じ男としているからだろう。
「シャルロット、どうした? 何か面白い事でもあったか?」
「ん、そうだね。今夜、話すよ」
「そうか。では、そろそろ私達も旦那の傍へ行くぞ」
「うん、行こっか」
それと、こうも思っていた。今のような親友と呼べる関係になれたのも、一夏がいればこそだと……。
「では一夏、また後でな」
「今夜は箒さんと鈴さんですので」
「覚悟しなさい。二人でたっぷり搾ってやるんだから」
「じゃ、おやすみ一夏」
「ではまた明日だ」
「ああ、またな箒、鈴。セシリア、シャル、ラウラはおやすみ」
夕食を食べ終わると、一夏は箒達と別れて一人部屋へ向かう。真耶との時間を過ごすためだ。部屋へ入るとそこには既に真耶がいた。彼のベッドへ腰を下ろし、きっと意図的だろう胸元を開けて誘うような姿勢で。ちなみにもうロックナンバーを教えているため、彼女は一夏を待たずとも入室が可能となっていた。
「お待たせ」
「ううん、今来たとこだよ」
「そっか」
自然な感じで真耶の隣へ座る一夏。するとすぐに真耶が彼の腕へ体を寄せる。大きな乳房が形を変えるも、一夏はそれに驚く事も慌てる事もしない。
「真耶、今日はちょっと相談があるんだ」
「何?」
「臨海学校の水着、もう買った?」
「ううん、まだだけど……もしかして」
「箒達と土曜に買いに行く事になってさ。で、もし良かったら真耶も来ないか?」
「いいの?」
「箒達には俺が話しておくよ。その、出来ればその日は全員で、さ」
「……一夏君も男の子だもんね。一度自分の女を全員集めてエッチしたい?」
「ダメなら」
「いいよ。日時と集合場所教えて」
真耶はある意味でいい機会だと思っていた。現状彼女はどうしても箒達と接点が少ない。たまに真耶の時間に彼女達と一緒になる事はあるが、それも箒とセシリアぐらいだ。なので、他の少女達とも少し距離を詰めたいと考えていた。そこへきてのこの申し出である。断る理由がなかった。
こうして期せずして一夏の嫁となる女性が勢揃いする事になり、彼はテンションを凄まじく上昇させる。あの五人の少女を並べ、次々にペニスで屈服させていった夜。その時、彼は思ったのだ。どんな女でも、股を開いた時点で男に負けてしまうのだと。
現に剣道で名を馳せた箒も、貴族令嬢のセシリアも、勝気な鈴も、男装までしていたシャルも、軍人上がりのラウラも、教師である真耶さえも、例外なく自分の女になってくれたために。
もう、今の一夏は自分の愛する女達をどう感じさせるか、どう可愛がるかに歯止めがない。授業中や人目があるところでは見せないが、とっくに彼は下半身で物を考えるようになっていた。
「じゃ、それは後で……」
「やぁ……一夏君ったらぁ、おっぱい揉んじゃダメ~」
「とか言うけどさ。真耶、明らかに見せてたよな。あれ、誘いだろ? このスケベ教師」
「ああん、そうなのぉ。とっくに私は一夏君だけのドスケベ女教師になっちゃった。お願い、一夏君。今日も真耶にエッチな授業して?」
「なら、まずはキスからだ。真耶、やってみなさい」
「ふふっ……はぁい、分かりました一夏先生」
髪を掻き上げ、一夏へ舌を伸ばす真耶。彼はそんな彼女を抱き寄せながら舌を絡めると、そのまま胸を揉みしだく。服の上からでも分かる程、彼女の乳首は勃起していて、この時間を楽しみにしていたかが分かった。
一夏とのキスと胸への愛撫。それが真耶の中に幸福感を与えるようになってどれ程になるだろうか。ナノマシンによるものだったそれも、既に彼女自身がそう思うようになっていた。情が湧くというのだろう。何度も肌を重ね、求められる事で真耶自身が千冬の事抜きに一夏を意識するようになっていたのだ。
(ああ、気持ちいいし温かい。一夏君とのキス、好き……)
うっとりするように目を閉じ、真耶はもっと触ってとばかりに胸を押し付ける。それに一夏も応えるように両手での愛撫を開始。片手で乳房を、もう片手で乳首を触り始めたのだ。同時に真耶は真耶で一夏の股間へ手を伸ばし、勃起して苦しそうなペニスをファスナーを下げて出してやる事に。
「っは、真耶……次はフェラだ」
「はい、先生」
シチュエーションプレイは続行され、真耶は学生の頃の気持ちを思い出しながら一夏の逞しいペニスを見て熱い吐息を漏らす。これに貫かれて女になった日を思い出し、その時知った快楽を思い出して。その後もしばらくそのプレイは続いた。一夏もそういう事を初めてやったためか、思いの外興奮したらしく、真耶は久々に意識を飛ばされてしまった程だ。
「ごめん、真耶。俺、調子に乗った」
「ううん、気にしてないよ。むしろ、それだけ喜んでもらえて嬉しいし」
「……じゃあ、また明日。おやすみ、真耶」
「うん、おやすみ一夏君」
最後に軽いキスをして、真耶は部屋を出て行った。それを見送り、一夏は憂う。真耶だけが未だに秘密の関係としなければならない状況を。それは、ひとえに彼がまだ弱いからだ。実力も、立場も。
「早く、早く千冬姉を超えたい……」
拳を握りしめ、少年は誓う。絶対に彼女達を幸せにしてみせるのだと。そのためにも、一刻も早く姉を超えたい。そう思った時、彼の脳裏へ悪魔が囁く。股を開かせてしまえ、と。だが、その声に彼は即座に答えを返す。否と。ふざけるなと。
(そんな方法で千冬姉を超えたって意味がない。俺は、ISで千冬姉を超えてみせるんだ!)
表情も凛々しく彼は部屋へ戻って箒と鈴を待つ。ただ、その待っている間にポツリと呟いたのだ。
―――それは、超えた後に考えよう……。
次回はお待たせのハーレムエッチ完全版(現時点の)
なのでデート描写はあまり期待しないでください(汗