そして、遂に彼女が……。
照り付ける夏の陽射し、白く大きな入道雲、そして広く青い海原。今一夏達は校外学習の場である海岸へと近付いていた。
道路を走るバスの窓から見える景色に様々な声が上がる中、一夏は黙って目を閉じて瞑想しているような雰囲気を出している。彼は、遊びの雰囲気を漂わせるクラスメイトと違い、このイベントをただ楽しむだけにするつもりがなかったのだ。
(この臨海学校で何か俺だけの零落白夜の使い方を考えよう。千冬姉と同じ条件でも、技術まで同じに出来ないししたくない。俺は、織斑一夏として織斑千冬を超えないといけないんだ……)
未だに彼の決め方は瞬間加速からの零落白夜。それ以外にないのだから仕方ないが、今の自分の技量ではどうやっても格上には勝てない。それを日々の訓練で痛い程実感している一夏は、せめて決め手をもう一つ持たなければならないと思っていた。
セシリア、鈴、ラウラと国家代表候補生三人とやった初戦は全て勝利しているものの、それが精神面を突いての勝利であるため、彼としては一度でも実力で勝利を掴んでみたいと思っていたのだ。
「一夏、そろそろ到着するぞ」
ふと聞こえた声に彼の瞼が開く。眩しい陽射しに手で影を作りながら顔を動かす一夏が見たのは、自分を見つめるラウラの顔だった。
「そうか。ありがとな、ラウラ」
「気にするな。それで、一体何を考えていた?」
「ん? 戦術の幅を広げる方法がないかってな」
「ほう、興味深いな。だが、詳しい話は後にするべきだろう」
「だな」
二人の視線がフロントガラスへと向けられる。その先には、彼らが宿泊する旅館が見えてきていた。まずは荷物を置いて海岸での自由時間となっている。そこで一夏はかねてからの言葉通りの行為をするつもりだったのだ。
次々とバスを降りて旅館へと入って行く生徒達。一夏は一人離れをあてがわれていた。理由はずばり男性だからだ。この措置が一夏達には幸いとなる。何故なら、他の生徒の事を考えずに事に及べるからだ。
無論布団を汚しては問題なのでそこは考えなければならないが、最悪肌を重ねずとも、添い寝などでも一夏達は満足出来る。そのためにも、一夏は昼間の内に性欲を処理しておきたいと考えていた。
「これでよし」
荷物を部屋の中へ置いて水着などを準備し一夏は部屋を出て、一度だけ鼻を動かす。そこで感じ取った匂いに彼は目を見開いて顔を動かした。すると、旅館の庭から突如何かの機械が出現したのだ。
「……束さん、ですか?」
「っと、だ~いせ~いか~い。にしてもよく分かったね、いっくん」
「束さんの匂いは、もう覚えたみたいで」
「匂い? くんくん……いやぁ、やっぱ分からないね。自分の体臭は自分じゃ分からないって言うし」
一夏の反応にも動じる事無くマイペースな束だったが、彼の目付きに気付いて小首を傾げる。
「あれ? 何かいっくん、目付き鋭いよ。どうかした?」
「束さん、自分が指名手配されてるって自覚あります?」
「ん? いちおーあるよ? ま、そんなの関係ないけどさ」
あっけらかんと返す束に一夏は呆れるようにため息を吐いた。それも彼の変化を表す行動と言えるだろう。彼は束の危機意識の薄さを危惧していた。何も束が捕まる事が問題なのではない。それで箒がどう思いどうなるかが問題なのだ。
「関係ない訳ないでしょう。箒の事、考えてください」
「ほーきちゃん?」
「束さんが指名手配された事で、箒もおじさん達も色々と大変な目に遭ってるんです。それなのに関係ないとか言わないでくれませんか?」
「あのねいっくん。束さんがほーきちゃんの事を考えてない訳ないじゃん。ただ、指名手配とかは束さんにとって問題にならないって事。現に今もこうして自由だし」
その最後の一言が一夏の何かを刺激した。彼はかつて鈴が恐怖した鋭い眼光を束へ向けたのだ。
「自由、ですか。世界相手に逃げ回る事のどこか自由です? 捕まらずにいるからですか? だとしたら、それはただの詭弁ですよ」
「いっくんも中々面白い事を言うね。それもアレの影響かな?」
どこまでもペースを崩さない束だが、一夏は何かに気付いて彼女へと近付いた。その動きに気付いて束も意味する事を察した。
「っと、一先ず時間だね。ほーきちゃんならいいけど、ちーちゃんは色々煩いだろうから、今は会いたくないからなぁ」
「束さんっ! 白式は白騎士のコアで作ったんですか!」
去ろうとする束へ一夏は疑問に思っていた事をぶつける。その瞬間、間違いなく束の動きが止まった。そして兎耳がピクンッと動いて彼女は振り返る。
「いっくん、それは誰に聞いたの?」
「自分で考えました。千冬姉と同じ武器、白と式という響き、そして登録されてないはずなのに全世界のコア総数が変化しない事。全部勘ですけど」
「……後でまた会おうねいっくん。じゃ」
どこか面白そうな声でそれだけ言い残し、束は再び機械の中へと戻って行った。そしてそのまま機械と共に去ると同時にそこへ千冬が姿を見せる。一夏は彼女の匂いに気付き、束もその気配を察知したのだ。
「一夏、何があった?」
「……束さんが来てた。それが証拠」
「束が……」
庭に開いた穴を見やる一夏と千冬。だが、もうそこには何もない。しばしの静寂が訪れ、どちらからともなく息を吐く。
「とりあえず、お前も早く浜辺へ向かえ」
「分かった」
「それと」
「言葉遣いは気を付けます、織斑先生。先に砕けた口調を使ったのは、そちらです」
「……分かっているのならいい」
若干気まずい顔を返すも一夏の切り替えに一定の満足を見せるように頷き、千冬はもう一度穴を見つめた。それを見て一夏は静かにその場を後にする。その去りゆく足音を聞きながら千冬は小さく呟いた。
「束、お前は一体何をしたい……」
その声に答える者は誰もいない。ただ潮風が一陣、彼女の髪を優しく撫でていった……。
浜辺はいかにも学生達の楽園と化していた。ビーチバレーに興じる者、遠泳をする者、砂で彫刻を作る者、日焼けする者、しない者。波打ち際で遊ぶ者。様々な者達が海を謳歌していた。
だが、そこに一夏達の姿はない。彼らはそんな賑やかさとは正反対の入り江へと移動していた。人目に付きにくいそこで、箒達五人の水着姿を堪能していたのである。
「箒やセシリアはやっぱ胸元がセクシーだよな」
「だろう?」
「とくとご覧あそばせ」
自慢げな表情で胸を強調する箒とセシリアからは、女としての確固たる自信が溢れていた。一夏の野獣の如き眼差しがそれを裏打ちしているのだ。
「鈴やラウラはスレンダーでそそるし」
「ま、そういうとこは負けないもの」
「ああ。無駄な肉は付けないようにしている」
やや恥ずかしそうにしながら背中を逸らす鈴とラウラ。少しでも控えめな胸を見せようとしているのだろうが、そこに僻みや妬みは一切ない。一夏の目はどこか絡み付くようなものであり、自分達も十分女として見られていると実感出来ているためだ。
「シャルはバランス型なのもいい」
「分かりやすい強みはないって事?」
「分かってて聞くなよ」
「ふふっ、ごめん」
全体的なバランスにおいて優れるシャルは、敢えて背中を向けながら振り向いて一夏と話していた。その背中から臀部にかけてのラインを見せる事で他の四人との差別化を図っていたのだ。
「じゃ、次は俺の感想を聞かせてくれ」
その言葉に五人の目が蕩けた。何故なら一夏の水着の一か所がもう主張を始めていたのである。これが競泳用のものであれば確実に顔を出しているであろうペニスが。
目の前の男は自分達へ種付けしたがっている。そう思うだけで彼女達は股を濡らす。体に、心に刻み込まれたからだ。それによる快楽を、それによる幸せを。だから求める。だから欲しがる。ただの雌になれる時間を。
「一夏は、とても逞しいと思うぞ」
「ええ。それに凛々しいですわ」
「それにどんな男よりも強いって感じるもの」
「お前以上の男はいないと断言出来るぞ」
「ホントだよ。こんなに、硬くて大きくて太いんだもん」
五人の目はペニスへと注がれている。感想は水着姿ではなくペニスのものとなっていた。ゆっくりと跪くように股間へと近寄る五人を見つめ、一夏は苦笑しつつ時期を待つ。それは、彼女達を可愛がる合図を出すためだ。まずはラウラが座り、鈴がそれに続く。シャルも座り、セシリアと箒までも座った瞬間、一夏は水着をずらした。
「「「「「はぁ……」」」」」
うっとりするような声が漏れる。姿を見せたペニスから漂う雄の匂いで五人が発した雌の呟きである。それに気を良くしたのか、一夏はそのままペニスで五人の頬を順番に軽めに叩いていった。箒の、セシリアの、鈴の、シャルの、ラウラの頬へペニスがつけられる。それを一人として嫌がる事なく受け止め、それどころか笑みを浮かべるのだ。
(ああ、一夏のチンポが頬に触れて熱い……。この熱さが、私が愛されていると実感させてくれる……)
(何て熱く硬いのでしょう。一夏様のオチンポはやはり最高ですわ。私を、私をドMの雌へと戻してくれますし……)
(あたし、一夏のチンポでマーキングされてる。俺のものだってしてもらえてる……)
(熱い……硬い……これが一夏の、私の大事な人の温もり。こんな事されてるのに、嬉しくなっちゃうのはそういう事だよね……)
(頬をおちんぽで叩かれてる。何という屈辱的な行為だ。だけど、今の私にはそれがとても嬉しく思える。これは、私が一夏の嫁だからされているのだと、そう思うから……)
カウパーで頬を汚されながらも笑みを見せる五人の少女。その股間は愛液で濡れて、乳首は主張を始めていた。それを感じ取り、一夏は水着を完全に脱ぎ捨てた。
それが切っ掛けだった。おもむろに五人も水着を脱ぎ始める。照り付ける陽射しを浴びる五つの女体は、息を呑む程美しかった。その証拠に一夏のペニスは雄々しく猛り狂うかのように反り返っていた。
「悪い。今日は我慢出来そうにない。もう入れてもいいか?」
「構わない。私も、きっとみなも既に準備は出来ている」
「そうよ。気にする必要ないわ」
「私達は、いつでも一夏様のために股を開けます」
「うん、望まれればいつだって、どこでだって」
「おまんこ、してくれていい。私達は、アナタの嫁なのだから」
言いながらヴァギナを片手で開いて見せる彼女達に、一夏は唾を飲み込みながら鼻息荒く足を踏み出す。それに彼女達は微笑み、彼へ背中を向けて岩壁へと両手をついて臀部を突き出した。無言の催促。無言の懇願。きっと言葉にするのならこうだろう。
どの穴でも好きなものからお使いください。
「……ホント最高だぜ、みんな。っと、ラウラ、日焼け止め塗ってるか?」
「いや、塗っていない」
「焼けても大丈夫か?」
「分からん。何せ海で肌を露出させるなど初めてなのでな」
その言葉で一夏は一瞬にして雄から人へと戻る。箒や鈴は黄色人種なため日焼けで苦しむ事はないだろうし、セシリアやシャルも何も言わない事で心配はないと言える。ただ、ラウラはどうか分からないと思っていたのだ。
「シャル、セシリア、どう思う?」
「そうだね……」
「日焼け止めは持ってきていますが……」
「ああ、そっか。向こうって事か」
荷物は全て浜辺近くへ置いて来ている。すると、ラウラは小さく首を傾げてこう告げたのだ。
「一夏のおちんぽみるくでは代用出来ないのか?」
この瞬間、ラウラはその全身で精液を受け止める事が決まった。夏空の下、波の音や海鳥の声に紛れて五つの雌の声が響く。こうして自由時間いっぱいを交尾へ費やして、一夏達は求め合う。
そこに理性などなかった。ただただ雄は雌の子宮へ精を放ち、己の欲望を吐き出すだけ。雌は雄の精を受け止め、愛おしげに下腹部を撫でる。それが彼からの愛情の証だと言わんばかりに。
そんな交わりをした後、遂に授業が始まる―――はずだった。
「やっほ~っ! ちーちゃん、ひっさしぶりぃ!」
篠ノ之束という乱入者さえいなければ。水着姿の千冬へ抱き着く束を見て、騒然となる生徒達。それもそうだろう。IS開発者にして全世界指名手配中の天才科学者が現れたのだから。
が、さすがに千冬は慣れたものだった。一喝で騒ぐ生徒達を静かにさせると、くっついている束を引きはがしたのである。その冷静かつ素早い対応は、どれだけ彼女が束とそういうやり取りをしてきたかを物語る。
「何の用だ、束」
「ちーちゃんと思い出話?」
「過去を振り返るようなお前ではあるまい。何の目的があってきた?」
「つれないな~。でも、そんなちーちゃんが好き」
「言っていろ。それで何だ?」
「ちょ~っとだけいっくんとほーきちゃん借りてもいい?」
その挙げられた名前に少しだけざわつきが生まれる。対して一夏と箒はどこかでやはりという顔をしていた。
「……授業中だ」
「世界で最新鋭のISをお披露目するって言っても?」
間違いなく最大級の爆弾だった。爆音の如き驚愕の声に千冬は痛み出す頭を押さえていた。もうこうなっては止められない。さっさと束を帰らせるためには行動させるべきだ。そう判断し、彼女は自分の弟と束の妹へ視線を向ける。
「織斑、篠ノ之、お前達はこの厄介者をここから離せ。そして、出来るだけ早く戻ってこい。他の者は当初の予定通り授業を始めるぞ」
「じゃ、レッツゴーゴー!」
「ちょっ! 束さん、待ってください!」
「はぁ~……何故こんな事に……」
ゴーイングマイウェイな束を追うように歩き出す一夏。箒はどこか項垂れながらも彼の後を追う。その背中を横目で見やり、千冬は隣にいた同僚へと顔を向けた。
「山田先生、念のため織斑達へ同行を。出来るだけ束に気付かれないようにお願いします」
「わ、分かりました。出来る限り気を付けます」
こうして一夏達は砂浜から離れるように移動していく。向かう先は何の因果か先程まで彼が愛しい嫁達と交わっていた場所だった。
「うん、ここでいいね。何かいい匂いもするし」
満面の笑みで足を止め、何もない空間へキーボードを出現させるなりタイピングを始める束。それを眺めながら箒は呆れるような声でその背へ告げた。
「私へISをと言うのなら必要ない」
「どーして?」
戸惑いを声にも行動にも出さず、束はさらりと問いかける。それをらしいと思いつつ、箒はどこか悲しげな顔をした。自分へ振り向かないからだ。そこに、己が夢中になっている事があれば、妹の自分は意識を向ける対象ではなくなるのだろうと感じ取って。
「下手に専用機など持つと煩い事が増えるからです。私は、一夏を支えると決めました。なら、出来るだけ学園の催しからは距離を取りたい」
「成程ねぇ。でも、これはほーきちゃんしか相応しくないんだよ。何せ白式とセット運用するISだもん」
「白式と?」
「セット運用……」
そこでやっと束の手が止まる。真耶はそこでやっとその場へ近付いていた。そして彼女は気付く。そこで一夏達が交わっていた事と、どうやらここからが本番だと言う事に。
(篠ノ之博士の最新鋭ISは、絶対箒さんの専用機。これで一夏君と箒さんは所属なしの専用機持ちとなる。しかも、片方は篠ノ之博士自身が製作した最新鋭機。これは、下手をすると世界が動くかも……)
かつて代表候補であった真耶は、束のしようとしている事の恐ろしさをよく分かっていた。白式も今一つその製作背景がはっきりしないのだ。今の真耶はそこにも束の影響を確信している。であれば、一夏と箒は世界が欲しがるであろうISを有している事になる。それは、知られれば厄介事になるのは間違いなかった。
「じゃ、ほーきちゃんはこれ、いらないの?」
「必要ないと言ったはずです」
「いっくんの役に立てるのに?」
「一夏はそんな物なくても、立派に自分だけで戦える男です」
「箒……」
「それに、一夏は千冬さんを同条件で超えようとしています。そこに、私の、女の出る幕はない。男の覚悟と決意には、誰であろうと口を挟む権利も資格もない」
女となり、嫁となり、妻となろうとしている箒は強かった。愛する男を支えると決めた彼女に、最早姉は取るに足らない相手と言えたのだ。所詮目の前の人は大人にもなれない子供だと、そう感じていたのである。好き勝手やり、気に食わない事があれば力付くでどうにかする。それが通用しているからこそ姉はどこまでも増長してしまった。そう箒は思うようになっていた。
毅然と束へ言葉を言い放つ箒は凛としていた。それは、間違いなく愛を知ったからこその輝き。今の束には、手に入らない入るはずもない、強さであった。
「ほーきちゃん……」
「貴方の、姉さんの気持ちは嬉しい。でも、それが押し付けだと気付いてください。私が一度でも専用機が欲しいと言いましたか? 一度でもISを作ってくれと頼みましたか? お願いだから、もっと私の方を見てください。私も姉さんを見たいんです。嫌いだけになりたくないんです! 好きなままでいたいんですっ!」
瞳に涙を浮かべながら箒は想いよ届けと声を張る。一夏と結ばれて知った、他者との繋がりがもたらす温もり。彼と向き合った事で分かった、昔の自分の未熟さ。もっと早く気付いていれば姉の心に気付いてやれたかもしれない。もっと早く自分が勇気を出していれば姉の事を一人にしないでやれたかもしれない。そんな気持ちが箒にはあった。
「お願いだから私を見て! 周囲を、世界を見てっ! 世の中は、貴方が思っている程退屈でも狭小でもないから! もし、もしもそう感じるのなら私は、一夏や千冬さんは違うから! それに、私達の大切な人達もっ!」
「箒……」
涙ながらに訴える箒の姿に一夏も拳を握り締めると、意を決して束へ向き直る。愛する女が望む結末を手にするために。そして、自分の姉も望んでいるだろうそれを、引き寄せるためにと。
「束さん、箒の言う通りです。もういいじゃないですか。世界はISを認めました。束さんの作った物を凄いと認めたんです。なら、次に束さんがするべき事は戻ってきて責任を取る事ですよ」
「責任?」
「ISを世に生み出して認めさせた事に対してです。現状世界をISを動かせる女性が席巻しつつあります。それが、新たな争いを生もうとしてる。束さんなら、俺がどうしてISを動かせるかを解き明かして、それを止める事が出来るはずです。このままじゃ、女性はかつて自分達がされた事を男性へ仕返して憎しみを繰り返すだけになるかもしれないっ!」
「それは束さんに関係ないもん」
「っ!? 本気でそう思ってるんですか、貴方は!」
そこで声を出したのは真耶だった。黙っていられなかったのだ。最初こそ箒と束の姉妹の話と思い、静観する事にしていた彼女も一夏が言い出した事で立場を変えざるを得なくなった。それは、彼女がISへ関わり曲がりなりにも成人したためだ。
一夏の言った通り、世界は男尊女卑の傾向から明らかな女尊男卑へと傾いている。まだ表面化していないが、女性達の一部には一夏の言った通り男性を見下し問題を起こす者がいるのだ。ISを開発した者として、それに関する束の意見はあまりにも無責任と言わざるを得ないものだった。故に口を挟んだのである。女性としても、一人の人間としても。
「誰? 今、束さんはいっくんとほーきちゃんと話してるんだから」
「話してる? 何を言ってるんですか! ちっとも箒さんや一夏君の事を見てないじゃないですかっ!」
「そっちこそ何言ってるの。束さんは」
「それならどうして箒さんは泣いていますか! どうして一夏君が口を挟みましたか! それは、貴方が箒さんの気持ちを考えようとしないからですっ! 話とは相手の事をしっかり見てする事です! 貴方のは、一方的に意見を押し付けてるだけ。会話なんかじゃないっ!」
「「山田先生……」」
真耶の在り方と言葉に教師らしさを感じ取り、二人は思わず無意識で彼女を先生と呼んだ。一歩も引かないとばかりに束を見つめる真耶には、普段のような雰囲気はなかった。それこそ、彼女の代表候補生時代の顔である。正確には、IS乗りとしての顔だろう。千冬をして山田先生は強いと言わしめるものがそこにはあった。
「貴方が妹さんを大事だと言うのなら、まず言うべきはISを上げる云々ではなく寂しい思いをさせた事への謝罪です。好きだった姉を嫌いだけになりそうになった。それがどれだけ辛い事か分かりますか? きっとそれだけじゃありません。千冬さんだって辛かったはずです。お二人は友人だと聞いています。なら、その親しくしていた友人が突然世界から追われる事になって、千冬さんが何も思わないとでも思ってるんですか? 箒さんと同じように寂しく思ったはずです。そして、何の力にもなれない事を悔やんだ事でしょう」
「そう、そうだった。私は、自分が無力だと思い知った。それと同時に、自分勝手な事をして私達を巻き込んだまま何も言わずいなくなった事を寂しく、そして腹立たしく思った……」
「箒……」
涙を静かに流し、箒は束を見つめる。その眼差しに束は何も言えないのか黙って立ち尽くすだけ。一夏は箒の肩へそっと右手を乗せた。自分がここにいると伝えるように。それを感じ取り、彼女は微かな笑みを浮かべてその手へ頬をすり寄せた。
「お願い、姉さん。また一緒に暮らそう? 今度は、もう姉さんを一人にしないから。私と一夏がいる。だから、お願いだから戻ってきて」
「ほーきちゃん……」
「束さん、俺からもお願いします。指名手配に関しては、きっと俺が何とかしてみせます。俺がISを動かせる理由を調べたいだろうし、束さんの安全と引き換えなら俺は……」
「っ!? ダメだ! それじゃ一夏が何をされるか分かったものじゃないっ!」
「そうだよ一夏君! 気持ちは分かるけどそんな事ダメっ!」
翻意させようとする箒と真耶へは目もくれず、一夏はただ束を見つめ続けた。自分は本気だと告げるためだ。その強い眼差しに千冬を見て、束は静かに目を伏せてやがて声なく笑った。
(あー、まさかいっくんがここまでちーちゃんに似てくるとはね。……ほーきちゃんを泣かせたなんて初めてだし、ちーちゃんが寂しく、かぁ。それを確かめるためにも、ちょっとだけ鬼ごっこを止めるのもいいかも)
何よりここで自分が譲歩しないと再び箒を、そして千冬さえも泣かせてしまう。そう束は悟って内心で白旗を振った。ここは譲ってやろうと、そう思って。
「分かった。鬼ごっこはちょっとお休みするよ。代わりにかくれんぼにするから。それといっくんのそれはいらないよ。束さんが追い駆けられてる理由は分かり切ってるし、止めさせる手段や方法も簡単だから」
「そうですか。で、かくれんぼって事は、どこかに身を潜めるって事ですか?」
「ん。とりあえずは学園かな? あそこなら一種治外法権だしね」
「姉さん、本当に?」
「ま、ほーきちゃんを泣かせちゃったし、ちーちゃんがホントに寂しがったのか聞いてみたいし。て訳でぇ、そういう旨をそこの人っ!」
「へっ?!」
ビシッと指を真耶へ向ける束。向けられた真耶は反射的に自分の胸元を見た。が、それに束は呆れるような顔をして突き放すように告げた。
「何見てるの。とりあえず、さっきの話をちーちゃんへ伝えてきて」
「わ、私がですか?」
「そうだよ。束さんにあんな事言ったんだからそれぐらいやるやる。ほら、はっしれ~っ!」
「わ、分かりましたぁ!」
先程までの気迫はどこへやら、一転して普段の調子に戻った真耶は、言われるままその場から砂浜目指して駆け出した。その背中を見送り、一夏と箒は苦笑する。そして自分達もその後を追おうとして……
「ちょっと待って」
束に呼び止められた。振り返った二人へ彼女はそっと何かを差し出した。それは、金と銀の鈴が一対になってついている赤い紐。待機状態のISだった。
「ほーきちゃん、これ、もらってくれる?」
「姉さん、でも私は」
「その、ね。これでもお姉ちゃんがほーきちゃんのために作った物なんだ。使わないでもいいから、持っててくれると、嬉しいかなって」
「姉さん……」
初めて、初めて束が意見を押し付ける事無く告げた事に、箒は感極まるものを覚え、再び瞳を潤ませる。だけども、もう涙は流さない。代わりに今度はその姉からの贈り物を受け取ったのだ。しっかりと束の手を包むようにして。
「ありがとう、姉さん。大事にする」
「……うん、そうしてくれると嬉しいかな。それでさ、もし良かったらここで展開してみてくれる? パッパとファーストシフト終わらせておくから」
「……お願い」
こうして篠ノ之姉妹は、やっとぎこちなくだが向き合い出した。ISを展開した箒の正面で束が再び空中キーボートを操作していく。その作業を一夏は見つめながら、ふとある事に気付いた。
(何だ? 束さんから妙な匂いがする……)
それはもう嗅ぎ慣れてきた感さえある匂いに良く似ていた。雌の発情した匂いである。一夏は不思議に思いながらも束の近くへ近寄ってみた。すると匂いが強くなり、彼へ目の前の相手がどういう状態かを伝えたのだ。それでも彼は注意深く束を見つめ続けた。
すると、胸部に突起のようなものが浮き出ている事を突き止めたのである。束はどうせ人に会う事などない上、面倒で窮屈だからと下着を身に着けていなかった。つまり、それは上だけでなく……
「……あれって」
下も同様であった。一夏の視線の先には、小さな水たまりが出来始めていたのだ。束の愛液によるものである。それを知らずでも一夏はそのまま視線を上へ上げた。そうすれば当然のように彼の視線は束の下半身へ移り、スカートの中を見たくなる。きっとそこには魅力的な光景が広がっていると一夏は確信し、その股間を膨らませた。
その瞬間、彼のペニスからカウパーが出てきたのだが、束の鋭い嗅覚はそれをしっかりと嗅ぎ取ったのだ。
「あれ、この匂いって……ふにゃ?」
すんすんと鼻を鳴らして束は体の違和感に気付いた。それは、以前体に起きた発情反応。しかも、心なしかその時よりも強くなっているのだ。理由は一つ。先程一夏に千冬の面影を見て、以前よりも彼を意識した事によるナノマシンの効果だ。
そう、束が施したナノマシン対策は肝心な部分が抜けていた。それは、好意を抱いた場合の対策を怠っていたのだ。いや、この場合は出来なかっただろう。何故なら、束はこの場合の好意を正確に把握出来ていなかったのだ。異性愛もしくは男女愛。これを彼女は知らなかったためである。
「な、何これ……体がふらふらするよ~」
「っ!? 束さんっ!」
まさしく、妹である箒と似た流れであった。箒のISのファーストシフトを終えたと同時に、束はふらりと体を揺らして岩場へと倒れそうになる。そこを一夏が咄嗟に抱き止めたのだ。当然彼女の顔は彼の胸板へ押し付けられ、そのフェロモンを鼻腔からたっぷり吸い込み思考を犯される。
「えへへ、いっく~ん」
「束さん?」
「いいにお~い。束さん、この匂い好きなんだぁ。それにぃ、またお腹熱くなってきちゃった。いっくん、何とかしてぇ」
「……もしかして、束さんって俺の事好きなんですか?」
以前の行為はサンプル採取と言っていた事もあり、どこか研究などの要素が強いと思って一夏も処理したのだが、またという表現を聞いて彼は思ったのだ。あのサンプル採取も、好意があったから出来たやり方であり、束も箒と同じく自分を異性として意識してくれていたのではと。
その最終確認をした一夏へ、束はやや蕩けた表情で小首を傾げながらこう返したのは、ある意味で必然だったのかもしれない。
「あったりまえじゃん。束さんが男で話すの、いっくんだけだもん」
「……分かりました。その、束さん、一ついいですか?」
「ん? な~に~?」
そこで一夏を見ていた束の目が映したのは、凛々しくも雄々しい男の顔をする彼だった。その表情に千冬に似ていながらもどこか違うものを感じ取り、束の目が開く。それを見計らったように、一夏は優しく尋ねた。
「束って、呼んでもいいか?」
トクンと、束の心が動いた。彼女を呼び捨てで呼ぶ者は少なく、男性という括りで見れば一人しかいない。故に、初めて強い気持ちを込めた、愛情を込めた異性からの呼びかけは思いの外束の心を掴んでしまった。
天才故の孤独。天才故の孤立。それらは苦にも感じていなかった束であるが、だからといって感情がない訳ではない。愛情を、求めていない訳ではない。それは千冬や箒が不器用ながらも与えていた。両親も同じだ。そこへ、混じりっ気なしの、しかも初めてでもある男性からの愛を注がれればどうなるか。
乾いていた大地はその溢れんばかりの水を吸い込み、潤いを得る。そして、一度潤いを知った大地は二度と乾きを耐えられない。
「……もう一回呼んで?」
「束?」
「……もう一回」
「束」
「……もっかい」
「……束」
最初は聞き返すように、次は普通に、最後は愛を込めて。その呼びかけで束は生まれて初めての感動を覚えた。それを察して一夏は彼女の唇を奪った。それが、束にとっては最後の一撃。愛を、人の温もりを知らなかった孤独な兎が意識せずにいた寂しさを直視する事になる、とどめの一撃であった。
(あったかい……キスってこんなにあったかいんだね……)
じわりと溶けだす心の氷。それは束が知らず持っていた他者との壁。一夏とのキスはそれを急速に溶かしていく。誰かに強く愛される。束にとってそれは未知の経験だった。その熱が、温もりが凄まじい速度で彼女を女へと変えていく。
その光景を見ながら箒は苦笑していた。いつかの予想が的中しようとしていたからである。束を変えるとすれば一夏しかない。その予想は間違っていなかったと思っていたのだ。
「一夏、その人を、姉さんを頼む。私は少しだけこのISを試してみたい」
「分かった。気を付けてな」
「ああ」
「ほーきちゃん……」
「初めては二人きりがいいと思うから。姉さんも一夏と抱き合って思い知るといい。ISよりも夢中になれるものがある事を」
そう言って箒は紅のISを駆って空へと上がる。それを少し見送って一夏と束は再び見つめ合った。
「束、場所を変えよう。ここじゃ寝るには不向きだ」
「……うん」
小さく頷く束からは、天才科学者の雰囲気は欠片として感じられなかった。立ち上がろうとする束だったが、一夏との行為で力が抜けたのか立つ事さえままならない。それに気付いて一夏が彼女の体を抱き抱えた。
「軽いな」
「い、いっくん……」
「しっかり掴まってくれ。このまま運ぶ」
「……うん!」
満面の笑みで一夏へ抱き着く束。もう、この温もりを手放したくないという気持ちがそこには見える。こうして二人はそこから砂地へと移動を開始。
一方、真耶は千冬へ束の決断を伝えていた。その内容が意味する事に、さすがの千冬も言葉を失っていた。
(束が……他者の意見で行動を変えた、だと……)
過去に束が他者の意見で行動を変えたのは、数少ない。それも千冬が嫌になる程言ってようやくだ。それが、たった一度のやり取りで叶う。その事が意味する重さと凄さを誰よりも知っているのが彼女だった。故に痛感する。一夏と箒の成長を。それと、目の前の同僚の成長と変化も。
「……山田先生、束は本当に妹や一夏と向き合ったのですか?」
「は、はい。そうだと思います」
「そうですか。あの束が……」
それほど妹の涙は効いたのだろう。そう思って千冬は自分へ置き換える事で納得した。束も自身も唯一の家族と思っている存在に泣かれれば心を動かすに決まっていると。と、その時、ISを展開したままラウラが千冬へ近付いた。
「教官、報告したい事が」
「先生だ。で、何だ?」
「はっ、箒がISでの訓練に参加したいと」
「…………分かった。こちらへ合流するように伝えろ」
「了解しました」
敬礼して箒へ通信を行うラウラを眺め、千冬は小さくため息を吐いた。それは、今後の事を考えてだ。ただでさえ所属なしのISが二機存在し、しかもどちらも既存のISよりも技術的に先をいっている。更に学園に束が滞在する事になればより一層面倒事が増える事は自明の理であった。
(前途多難だな……)
そう思う千冬であったが、その表情はどこか嬉しそうであった。弟の成長と親友の変化。それらを感じ取った故に。その彼女の視線の先に、箒のISである紅椿が見えてくる。それを纏う彼女はどこか今まで以上に良い笑顔を浮かべているように見え、千冬は小さく微笑むのだった……。
穏やかなさざ波の音が聞こえる中、束は生まれて初めての感覚に翻弄されていた。今まで自分を屈服させる存在などいないと本気で思っていたし、実際そうだったためだ。だが、それも今日までと彼女は思い知らされていた。
「ああっ! んああっ! だ、ダメぇ! おちんちんダメぇぇぇぇっ!」
砂に埋もれるように落ちている兎耳。その周囲には束の服が散乱している。砂浜へ着くなり、一夏が束を下ろしてそれらを脱がしていったためだ。そしてキスをされながら胸を愛撫され、ヴァギナをこれでもかと舐め回され、意識が朦朧としたところで雄の象徴で貫かれた。その快楽は、束のオーバースペックな細胞一つ一つを完膚なきまでに屈服させたのだ。
もっと言えば、そんな体だったからこそ一夏のペニスに屈服してしまったとも言える。誰も勝てないはずの体を押し倒して蹂躙出来る。それを身も心も認識させられた相手が一夏だったのだから。
元来、動物には性別があり、それぞれの役割がある。いくら人間が進化しているとはいえ動物の宿命からは逃れられない。束は自分だけは違うと思っていたかもしれないが、人であり生物である以上結局は同じなのだ。それを一夏のペニスによって思い知らされてもいた。
「可愛いぜ束。もっと、もっと見せて聞かせてくれ。束の可愛い顔と声を……さっ!」
「ふにゃあぁぁぁぁっ! い、今のところ凄いよぉ! いっくん、もっとして! もっとおちんちんでおまんこいじめてぇぇぇぇっ!」
教えてもらったばかりの言い方でセックスを、交尾をねだる束。乾いていた大地はこれでもかとばかりに愛情と言う名の水を吸い込み、性欲と言う名の種をもらって快楽と言う名の栄養を得た。それはみるみると成長し、既に快感と言う名の芽を吹かせている。あとは、子供と言う名の実を付けるだけであった。
「束っ! 束ぇっ!」
「何かくる! 何かおっきいの来るよ! いっくん、怖いよ!」
「大丈夫だ! 俺を信じろ!」
「っ! うんっ!」
全身で一夏へしがみつくようにする束。その瞬間、膣内の締め付けがきつくなり、彼は反射的に彼女の口を塞いだ。それは、これまでの事で学んだ事。上下の口を塞いでやる事で雌が自分へ服従しやすくなると思っての、最後のトドメの合図だ。
「んんんんんんっ!?」
力強く一夏の腰へ絡めた両足がよりしがみつき、背中へ回した両腕も締め付けるように震える。子宮へ流し込まれる熱い精液が束の脳裏を焼き払い、新しい価値観を植え付ける。
(はにゃぁ……これがセックス、なんだ。もう、束さんはいっくんに勝てないかも。だって、こんなに気持ちいい事、知らなかったし……)
じんわりと下腹部に感じる熱。それが意味する事に彼女は微笑みを浮かべる。
(赤ちゃん、出来るのかな? いっくんとの赤ちゃんなら、ちーちゃんも喜んでくれるし、くーちゃんにもお世話してもらおっかな? ああ、そうだ。くーちゃんにも教えてあげないと。セックスって、子作りって、こんなにも気持ちいいんだよって……)
脳裏に浮かべるは、娘のようにも思っている少女の事。と、それが一瞬で搔き消された。一夏が再び腰を動かし始めたのである。
「っぷは……い、いっくん? まだするの?」
「ああ。束が可愛いから。それに……」
「はあん!」
「こんな胸見せられて一回で終われるかっての!」
「んんっ! ち、乳首クリクリしちゃヤダぁ……」
甘えるような声で制止する束だが、本音は言うまでもなく駄々漏れである。与えられる刺激は全て甘く熱く蕩けるようなもの。束が今まで感じた事のない感覚だ。よく言われるが、痛みには耐えられても快楽には勝てない。束もそうで、下手をすればオーバースペックな細胞が一夏をこの上なく強い雄と認めてしまい、全力でその子を孕もうとしているぐらいだ。
一夏のペニスを未だに子宮口で吸い付き、全身で彼の体温を感じていたいとばかりに体を密着させる。本能と理性がぐちゃぐちゃに混ざり合って束を動かす。それどころか舌を伸ばして自ら雄を誘う。求める。それを嬉しく思った一夏が舌を絡めると、束の心と思考がときめく。
互いの舌を絡めながら指さえも絡める束と一夏。その間も優しくも力強いピストンが束の子宮を襲い、その全身へ甘い痺れを与え続ける。それは、天才科学者をただの雌へと変える劇薬。世界を変える事さえやってのけた女を一匹の雌へと戻す毒。
「すっげぇ締め付けてるよ、束のマンコ」
「や、やだぁ。そういう事言わないでよぉ」
「やっぱり束も女なんだな。俺、束にも子供を産ませたい。産んでくれるか?」
その一夏の言葉は束の蕩けた思考を一瞬にして支配した。この雄が自分へ子を望んでくれている。それが喜びとなって彼女の全身を駆け巡る。
「ホント? ホントに束さんに産んでほしいって思ってる?」
「ああ。ほら」
「んっ……ああ、分かったぁ。いっくんが本当に束さんをお母さんにしたいってぇ。分かっちゃったぁ!」
「おっと……良かった。なら、返事聞かせてくれ」
「産むっ! 産むぅ! いっくんの赤ちゃん産みたいよぉぉぉぉぉっ!」
その瞬間束は全身で震えて脱力した。一夏はそれだけで理解していた。遂に束も失禁したのだと。ちょろちょろと音を立てて流れていく黄金水。それにはさすがの束は恥じらいを見せるように両手で一夏の目を塞いだ。
「だ、だめ。見ないでいっくん。見ないでぇ……」
「俺は気にしてないから。束には、分かってもらえると思うけど?」
「ぁ……うん、いっくんが嫌がってないの分かる。おちんちんが硬いままだもん」
一夏からの言葉で束は膣内で動くペニスに気付く。その逞しく雄々しい肉棒は、束の行為へ怒るどころか気にもしていないと如実に示していた。それを受け、一夏の視界を塞いでいた手が引いた。そして見えるは優しくも野性的に微笑む彼女が認めた唯一の雄。その瞬間、再び膣内が収縮する。するとそれに負けじとペニスが動いた。
「い、いっくぅん……切ないよぉ」
「どこが?」
束が見せた顔が愛しい嫁達が見せてきた顔であると察し、一夏の嗜虐心に火が点いた。それまでと雰囲気が変わったと束も感じ取ったものの、今の彼女に冷静な判断など出来るはずもなかった。
「子宮だよぉ。おちんちんでズンズンしてってばぁ」
「ピストンするだけでいい? 射精は?」
「う~っ、いっくんが意地悪する」
「俺、好きな相手にはそうなるんだ。で、どうする?」
「……出してぇ! いっくんの赤ちゃんの素、いっぱい出して孕ませてぇ!」
「分かった。嬉しいぜ、束。愛してるっ!」
「はにゃああああっ!」
子宮へ入れとばかりにペニスを突き出す一夏。その力強い一撃で束は目の前に星が散った。彼女は知らない。それは彼女が大事にしていたはずの”自由”の幸せが失われたからだと。代わりに”服従”という幸せが刻み付けられていく。それは、紛れもない純粋な愛情を混ぜられる事で束を蝕んでいく。されている本人はそうは思わない。見えない糸で束縛されているにも関わらず、もっとそうしてくれとばかりに一夏へねだる。
キスをし、足を絡め、束は一夏との交わりに溺れていた。何度も膣内へ射精され、溢れた精液が逆流しても尚、束も一夏も交尾を止める事をしなかった。そんな二人を止めたのは、束の服から聞こえてきた電子音。
「……あれは?」
「…………くーちゃんだ。あまりにも遅いから心配したんだね」
「誰かと一緒にいるのか?」
「そーだよ。いっくん、悪いけど服取って」
「分かった」
何も考えず束からペニスを抜こうとする一夏だったが、それが抜けきる前に彼女の足が腰を止める。
「……束?」
「おちんちん抜いちゃヤダ」
「いや、でもそうしないと届かないし」
「う~っ……じゃ、繋がったまま移動して」
「ん、了解」
束にとっては無茶振りと思った事だったが、一夏はあっさりと頷いて再びペニスを奥まで挿入し直す。そして、そのまま束を抱き抱える形で立ち上がる。所謂駅弁と呼ばれる体勢である。それでたった数歩歩くだけなのだが、それさえも束には新しい刺激を与えていた。
「んっ……んんっ……いっくぅん」
「はい、到着。下ろすよ」
「ふぁ~い……」
この後、束はクロエと連絡を取り、今後の事を伝えた。その際、何度も彼女から心配される事となる。
「そ、そうなんだぁ。し、しばらくほーきちゃっ! ……んの近くにいようと思ってぇ」
『それはいいのですが、本当に大丈夫なのですか束様。先程から声が震えているようですが……?』
話している間も、一夏に子宮口をグリグリとペニスで刺激されたためである。ちなみにその時の締め付けがもっともきつかった事で、一夏には束がクロエの事をどう思っているかが分かってしまう。
こうして、束を抱いた一夏は見事に日焼けをする事になった。そう、一切白い部分を残す事なく全身を小麦色にして……。
篠ノ之姉妹丼が解禁されました。クロエの巻き込まれフラグが成立しました。
千冬の中で一夏の評価が急上昇しました。