一応ラスボス扱いの彼女を完全敗北させたら今作は終わろうと思っています。
それまで、もうしばらくお付き合いくださいませ。
「本当にいいのか?」
そう彼女、エムは目の前の相手へ問いかける。その視線の先にいる相手は、小さく頷いてその手に雪片弐型を出現させた。
「ああ。一対一で勝負を着ければお前も納得出来るんだろ?」
一夏はあっさりとそう返すと静かに臨戦態勢を取った。
場所はIS学園内のアリーナの一角。そこで一夏はエムと対峙していた。
束のラボで自分が使っていたオナホールだと思っていたものが、実はエムだったと知った一夏は即刻それを止めさせるように束へ告げたのだ。
――俺は、相手が誰だろうと非人道的な事はしたくないんだ。
――……分かった。いっくんがそう言うならこの子は解放するよ。
そうして解放されたエムへ、一夏はこれまでの事を詫びるにはどうしたらいいかを彼女に尋ねた。結果、一対一で戦えと言われたのだ。あの時の負けは複数で挑まれたからだと。
それがあって今の状況となっていた。サイレント・ゼフィルスは束によって修復され、万全の状態でエムの体を守っている。
これで何もエムにとって問題はない。表面上は、であるが。何せ、彼女は昨日と今日の二日で一夏の、雄の凄さを叩きつけられてしまっていたのだ。
今も自分の前で凛々しく構える一夏の姿にエムは謎の動悸を覚えていた。
(な、何だこの感じは……? 織斑一夏が、やけに凛々しく見えるのと関係しているのか?)
自分を凛とした表情で見つめる一夏の姿にエムは下腹部が熱を持つのを感じていた。
それでも前回の敗北の屈辱を晴らす絶好の機会と思い、エムは意識を切り換えて手にしたライフルを構えた。
その二人の様子を眺めて箒達はみな同じような感想を抱いていた。
「あの女、もう一夏に堕ちてるじゃない」
「そのようだ。何故かは……姉さん、話してもらおうか」
鈴の呆れながらの一言にその場にいた全員が同意するように頷き、箒はその説明を束へと求める。束はクロエを連れて一夏達を見つめていたが、箒達の視線を浴びるや顔を彼女達へ向けてあっけらかんとエムへやった事を話したのだ。
箒達はその内容に恐怖と同情を抱いた。ここで怒りを覚えないのは、エムとスコールが一夏に対して害を為そうとしたからである。
彼女達は同じ女として同情こそするが人としての怒りはない。それだけ一夏は箒達にとって大事であり、またかけがえのない存在だからだ。
「皆さま、勝負が始まりました」
クロエの言葉に全員の視線が動く。そこでは、一夏がビットを使った攻撃をかわしながら何かを狙っているような眼差しをエムへ向けていた。
その眼差しに覚えがある箒達は息を呑んだ。それは一夏が確固たる考えを持って実行している時の顔だったからだ。
「一夏の奴、何か対策を持っているのか?」
「で、でも、そんな話、した事も聞いた事もないよ?」
「箒さん、どうですの?」
「いや、私もまったく」
「簪達は?」
「ご、ごめん」
「私達も一度もしてないわ」
その言葉を聞いてレインとフォルテも無言で首を横に振った。ただ一人、束だけはクロエへ視線を向けていた。彼女は、クロエが先程から一度も箒達へ視線を向けず一夏を見つめている事に気付いていたのだ。
「くーちゃん、何かいっくんと話したんでしょ?」
「はい。一夏さんはサイレント・ゼフィルスに一人でも勝つ事は可能かどうかを私へ聞いてきましたから」
あっさりと告げてクロエは思い出す。それは、エムの事が分かった後の事。エムを綺麗にするべくオータムがシャワーへ彼女を連れて行き、束はサイレント・ゼフィルスの修復へ取り掛かった時だった。
――クロエ、俺一人でサイレント・ゼフィルスに勝てるか?
一夏の声は判断付きかねるというもので、表情にも自信のようなものは欠片として見えなかった。
そこで何の根拠もなく言葉を発する事が出来ないクロエは、ならばと一夏の疑問に答えるべく過去の戦闘データを基に対白式戦のシミュレートを開始、その結果はあまり芳しくないものであった。
――勝てない訳ではありません。ですが、それには一夏さんが相手の想定を超えなければいけません。
――想定?
――はい。サイレント・ゼフィルスは、その主武装こそスナイパーライフルですが、実際の攻撃の主体はビットです。その攻撃を回避または迎撃出来なければ正攻法では勝ち目はないと言えます。
その言葉を聞いて一夏は驚く事もなく考え込み始め、やがて何かを思い出したような顔をしてからクロエへ礼を述べてラボを後にしたのだ。
「おそらく一夏さんは正攻法で勝ちにいくはずです。そのための手段や戦術を既に始めているかと思われます」
クロエは普段のような無表情でそう告げる。ただ、その瞳には普段ない熱のようなものが宿っていた。
(一夏様、ご武運を……)
祈るように両手を組んで戦いの行く末を見つめるクロエ。その視線の先では、一夏が執拗に顔や心臓辺りを狙うビットによる攻撃を回避しつつも、怯えも焦りも無く時折エムを見つめていた。
「その顔は何だ! 余裕のつもりか、織斑一夏っ!」
ビットによる攻撃をランダムではなく一斉射へと変えてエムは叫ぶ。攻撃速度へ急な変化を起こせば回避し辛くなるだろうと踏んだのだ。
それをこそ一夏は待っていた。エムが業を煮やして攻撃頻度を落とす事を。命中回数よりも命中確率を重視するその時を。
(まだ動くな…………ここだっ!)
「なっ?!」
ビットによる一斉射撃。だがエムもただ攻撃したのではない。一夏が回避すると見越して全ての攻撃の狙いをバラバラにしていた。しかしそれさえも一夏は彼女の想定外の動きで回避してみせたのだ。
「戦闘中に部分展開など正気かっ!?」
この時、エムが一夏の下方への移動を想定していなかった訳ではない。当然そちらへもビットによる攻撃を行っていた。それも、ビットの一つを一夏の下方へ配置すると言う徹底ぶりだ。
それを一夏は逆手に取った。ビットを直接配したと言う事は、それを越えればその下には何もないと言う事だ。そして、そこへの攻撃はおそらくないとも。
故に一夏は落下したのだ。白式を部分展開し、その体を丸める事でエムの狙いである頭部を隠して。
「くっ……ならば自分でっ!」
ビットを通過していく一夏を見て、エムは自身による射撃へ切り替える。が、そうなれば当然ビットの攻撃は止まる。そう、射撃音が途切れるのだ。
「っ!」
「なっ……」
その瞬間、一夏は再度白式を全面展開。自身を狙っただろう閃光をすれすれでかわしながら近くにあったビットを雪片弐型で叩き壊した。更に急上昇をかけ攻撃を止めたビットへと向かって行く。
「させるかっ!」
若干遅れて意識を切り換え直したエムがビットへ迎撃を命じるも、それは咄嗟の反応だったため単調な動きとなる。それが一夏へ当たるはずもなく、彼は最低限の動きだけでその射撃の雨をかわしてビットを一つ潰した。
「くそっ!」
そこでエムも再び複雑な動きでの迎撃を試みるも、ビットを二つ失った事でその制圧力や攻撃頻度は落ちた事もあり、一夏は次々とビットを壊していく。
そこにきてエムは理解した。一夏は最初からこれを狙っていたのだと。最初に回避に専念したのは、自分が一夏のどこをよく狙ってくるかを探るためであり、時折自分へ視線を向けたのは挑発兼威圧だったのだろうと。
(まんまと奴の手に乗せられたと言う訳か……っ!)
最後のビットを狙って動く一夏を見て、エムはならばと手にしたライフルを構えた。
(完全勝利をするつもりなら、それを利用させてもらうだけだ!)
ビットを捨て駒に一夏へ一撃を加えて絶対防御を作動させる。そうすれば一気にエムの勝利が近付くのだ。ただ、当のエムにそんな気持ちはない。あるのは一夏への復讐だけだ。
(死ねっ! 織斑一夏っ!)
引き鉄が引かれ、閃光が最後のビット目掛けて放たれる。と、その瞬間、一夏は即座に白式を収納し体を落下させた。視界の端にエムの姿を捉え、その動きを見ていたのである。
「何っ?!」
その結果、最後のビットはエム自身の手で破壊された。そして一夏は瞬時に白式を展開、エムへと迫った。
「くらえっ!」
「させるかっ!」
雪片弐型を構え、零落白夜を発動させて一夏は叫ぶ。その一撃を受けてなるかとエムは後方へ急いで下がった。発動させるだけでエネルギーを無尽蔵に消費する零落白夜。その事を彼女は知っていたのである。
ただ、それがある意味で勝敗を決めた。
エムが後方へ下がるのを見た一夏は、手にした雪片弐型を持ち直すと力強く投擲したのだ。
「苦し紛れの攻撃でっ!」
向かって来る雪片弐型をライフルで迎撃し、エムは白式唯一の武装をアリーナの床へと叩き落した。これで相手は攻撃手段を失ったと、そう思ってエムは笑う。
だが、そんな彼女が見たモノは、自分へ凄まじい速度で突っ込んでくる白式の姿だった。
「なっ!?」
気付いた時には回避不可能。エムは強烈な速度を乗せた一夏の突進をまともに喰らい、その勢いのままアリーナの壁まで運ばれ激突、そのダメージでエネルギーは失われてしまった。
”勝者、白式”
エムは薄れゆく意識の中でそのアナウンスを聞きながら、自分へ慌てて近付きながら手を伸ばす一夏の姿を見て目を閉じるのだった。
何だろうか。とても良い匂いがする。これは……最近知った匂いだ。憎まなければいけないはずの匂い。拒否しなければいけない匂い。なのに、なのに私はこれを嫌いになれなかった。拒む事が出来なかった。
「……ここ、は……?」
目を開ければそこは見覚えのない場所だった。少なくても今まで捕えられていた篠ノ之博士のラボではないらしい。空気というか、雰囲気が違った。
ゆっくりと体を起こす。少し意識がはっきりしないが、私は……
「負けた、のか」
一対一で織斑一夏と戦い、ビットを全て破壊されて武器を手放した奴に、負けたのだ。
「ふふっ、ははっ、あははははっ」
何故だか笑いが込み上げてくる。今まで私は何のために生きてきたのか。全ては復讐するためだったのに、何故私はその相手の一人の性処理をして更に見事なまでに敗北してまだ生きている?
そう思うと笑いしかない。なのに何故だ? 何故私の目からは涙が流れている? 悲しいのか、私は。それとも悔しいのだろうか。
分からない。私は、私が分からない……。もう、強さという自分の寄る辺さえ、無くしてしまった。
「気が付いたか?」
そこへ聞こえる声に私はゆっくりと顔を動かす。そこには織斑一夏が立っていた。
「どうしてお前が……」
「どうしてって、ここ俺の部屋だからな。何せもうラボには君を戻せないし。束はちゃんと人として扱うって言ったけど、あんな事をした時点で信用出来ないからさ」
言いながら織斑一夏は私のいるベッドとは別のベッドへ腰を下ろした。
「それで、どこか痛いところはないか?」
「特に、ない」
「そっか。なら良かった。ああそうだ。絶対防御が発動してたから大丈夫だろうって言われたけど、念のために精密検査を受けさせた方がいいかもって思ってるんだ。えっと、君の意見は?」
そう言って私を見つめる眼差しは先程と同じ人間とは思えない程、その、温かい気がした。私が向けられた事のない類の視線。向けてもらいたかった、視線。
「好きにしろ。私は、どちらでもいい」
「分かった。じゃ、当分は様子見って事だな」
私の言葉に苦笑して織斑一夏は立ち上がる。どうするのかと見ていると、奴は私の視線に気付いて笑みを浮かべた。
「喉乾いてないか? 俺はお茶を飲むけど、君はどうする?」
「……同じ物でいい。それと、エムだ」
「ん、分かった。でも、その呼び方はしない。それは名前じゃない。俺は、本当の名前を聞くまでは君って呼ばせてもらうぜ」
あっさりと、だがはっきりとした口調で言われた。エムと言う名では呼ばない。要するに奴は私を人間として扱いたいのだ。
何故だろうな。以前であれば怒りが込み上げたり、あるいは憎しみが湧いたはずなのに、今はその気持ちに喜びを抱いてしまう自分がいる。
こちらに背を向け、お茶を取りに行くだろう織斑一夏を見て、私は勝手に口が動いたような気がした。
「マドカだ」
その言葉に奴だけでなく私自身も驚いた。思わず口を手を押さえた程に。こちらを振り向いた織斑一夏は、そんな私の行動に微かに笑みを見せる。それが、私の心をざわつかせた。
「ははっ、ありがとな。じゃ、そこで待っててくれよ、マドカ」
「……ああ」
嬉しそうに声を出して織斑一夏はやがて私の視界から消えた。あれが、私の居場所を奪った相手だと言うのに、何故私はこんなにも嫌悪も憎悪も抱いていないのだろう。
それどころか、この胸の温かさは何だ? さっき名前を呼ばれた時も感じたあの感覚に似ている。これが、感動というやつなのだろうか?
もしかして、私はあの敗北で奴への悪感情が全て消えたとでも言うのか? 有り得ない、と思うも、だがあれだけはっきりと力の差を見せられていや、それ以外の差もあった。
私には、戦闘中にISを部分展開したりあるいは収納したりなど出来ない。それをすれば状況を有利に出来ると分かっていても、だ。何せ奴は私の攻撃中にそれをやってのけた。その無謀さは、私にはない。
「……それだけ、奴は私を強敵と認めていたのだろうな」
自分で口にしてようやく理解出来た。私は織斑一夏を強いと認めていなかった。対して奴は私を強いと認めていた。その認識と気持ちの差が勝敗を分けたんだろうと。
私は、やはりどこかで奴を下に見ていた。対する奴は私をしっかり上に見ていた。その考えと挑む気持ちが今の状況に繋がっているんだ。
負けるはずだ。どんな相手であろうと全力で挑み、自身の全てを出し切ろうとする気持ち。それこそが強者と呼ばれるためには必要なのだろう。
「お待たせ」
そんな事を取り留めもなく考えていると織斑一夏の声がした。顔を動かせば、そこにはこちらへ湯飲みを差し出している織斑一夏の姿があった。
「……どうしてお前は私にそこまでする?」
湯飲みを受け取る事をせず、私は奴へ問いかけた。何故優しくするのか。それが私には分からなかったからだ。
「基本女子供には優しくするって決めてるんだ。それに……」
「それに、何だ?」
「初めて会った時から他人の気がしないんだよ、マドカは。だから、余計にかな。妹みたいに思えるんだ」
「っ……」
照れくさそうに笑って告げられた言葉に私は思わず息を呑んだ。妹、だと? 私を、妹だと思っているのか……。
「嫌だったらごめんな。忘れてくれて」
「構わない。好きに思えばいい」
気付けばそう言っていた。本当に自分で自分が分からない。織斑一夏に妹と思われ、扱われ、それを私は喜んでいるのだろうか?
いや、違う。きっと扱いは妹だろうが姉だろうが関係ない。一番私の心を刺したのは”家族”として扱われたからだ。きっと、そうだ。
奴が私の事を見て何度も目を瞬きしているのも、私の言葉に驚いているからだろうな。ああ、そうだろうさ。私だって驚いているんだから。
ただ、やっと奴に一矢報いた気になって思わず笑みが浮かんだ。すると、そんな私を見て奴は嬉しそうに笑ったのだ。
「良かった。やっと笑ってくれたな」
「……それが何だ?」
「いや、泣いてたからさ。やっぱり、女の子は泣き顔よりも笑ってる顔の方が可愛いぜ」
「っ?!」
頭が真っ白になった。今、奴は何と言った? 私の事を可愛いと、そう言ったのか? 奴は分かったはずだ。私が顔や心臓を狙っていた事を。絶対防御など関係なく、奴を殺そうと思っている事を。
それなのに、お前は、お前は、そんな相手に優しさを、慈悲を見せるのか。自分を殺そうとした相手へ、殺意ではなく厚意を返すのか。
「…………負けだ」
「え?」
「本当の本当に私の負けだ。織斑一夏、お前に話しておきたい事がある」
私がそう告げると一瞬で織斑一夏の表情が真剣なものへ変わった。分かるのか、私が話そうとしている内容がどういうものかを。
まあいい。ふふっ、私を妹と思ったお前の勘はある意味正しい。それを教えても今のような優しさを持ち続けられるのか、私に見せてみろ、織斑一夏。
「……これが私の知る全てだ。信じられないのなら織斑千冬か篠ノ之束に聞いてみるといい。きっと知っているはずだ」
そう告げるとマドカはお茶へ口を付けた。それを見ながら俺は今聞いた話に頭が真っ白になるのを感じていた。それぐらいマドカの話は俺にとって衝撃的だった。
織斑計画。そこで思い出したのは、昔千冬姉が俺に言った事だ。もう父親も母親もいない。これからは俺と千冬姉だけという、あの言葉。
それは、この事があったからなんだ。そして、今俺の目の前にいるのは、本当にそう言う意味では妹と呼べる存在なんだとも分かった。
「そっか……話してくれてありがとな、マドカ」
「何故礼を言う?」
「ん? いや、話してて気持ちいいもんじゃないだろ、この話。それをしてくれたのは、俺のためだ。俺が知らないと分かったから教えてくれたんだろ? だからさ」
「……勝手に言っていろ」
そう言ってマドカは俺から顔を背ける。何だか、それが本当に可愛く思えた。本当に妹が出来たみたいで、思わず笑みが零れる。
と、それに気付かれたのかマドカがじろりと視線を向けて睨んできた。でもそれさえもどこか可愛らしく見えるな。
と、そこで弾は蘭の事を可愛い時もあるけど憎らしい時もあるって言った事を思い出す。それってこういう風に見られる事があったからか?
「何故笑っているっ!」
「いや、今初めて兄の気持ちってのが分かったんだよ」
「っ……わ、私はお前を兄と思っていないっ!」
「いいぜ、それでも。俺はマドカを妹って思うからさ」
「っ!?」
本音を告げるとマドカが真っ赤になった。あれ、意外とこういうのがラウラみたいに苦手なのか?
「マドカ、君がどう思ってもいい。俺は、さっきの話を聞いて君を妹だって、家族だって思うから」
「お、お前は妹にあんな事をするのかっ!」
顔を真っ赤にしながら告げられた一言に俺は苦笑いを浮かべるしかない。
何故なら、俺は千冬姉を抱きたいと思っているんだから。だからこのマドカの問いかけには申し訳ないけどこう返すしかないな。
「それだけマドカが魅力的だったって事で……」
「なっ?!」
実際、こんな可愛い子に無理矢理フェラさせてたのかを思うと、若干の申し訳なさと同時に大きな興奮を覚える。それに、あの時絶対マドカも感じてたんだと思うしなぁ。
「それに、束は俺に抱かれないと恐ろしい事をするぞって脅したんだろ? それを受け入れたって事は、そもそもマドカも俺とそうなってもいいって」
「あ、あれは……生き残って復讐するために仕方なく」
「なら、チンポ突っ込まれた時、何であんなに熱心に舐めたんだ?」
「そ、それは……」
真っ赤な顔しておろおろするマドカを見てると、何だか妙に気分が高揚してきた。何となくだけど、千冬姉をいじめてるみたいな気分になるからか? だとしたら……
ちょっとぐらい、意地悪してもいいよな?
そう思って俺は持ってた湯飲みをベッドサイドへ置いた。それを見たマドカも同じように湯飲みを置く。中身はもう空だった。
「なぁマドカ、俺を兄として思わないのは、男として見たいからじゃないのか?」
「な、何を馬鹿な事を……」
「だって、そうしておけばさっきの意見を自分へ当てはめないでもいいもんな」
「さっきの意見……?」
「お前は妹にあんな事をするのかってやつ。あれを兄に変えればマドカの事になるもんな、認めると」
「っ?! そ、そういう事じゃない!」
顔を赤くしてる時点で説得力ないぜ、マドカ。そう思ってマドカのいるベッドへと近付く。少しだけマドカが驚いたように身を震わせるけど、それもまた可愛い。
「な、マドカ、ホントはちょっとだけチンポが美味しいって思ったんじゃないか?」
俺がそう顔を近付けて問いかけるとマドカが一瞬息を呑んだ。その時の顔がどこか図星を突かれたように見え、俺は思わずマドカを押し倒した。
ぼふっと言う感じでマドカの体がベッドへと倒れ込む。それと同時にこれまでのみんなとのセックスで染み付いた匂いが立ち上った。
「ぁ……」
そして、それにマドカが微かに恍惚の表情を見せた瞬間、俺は彼女の唇を奪った。
「んんっ?!」
驚きの声を出すマドカだけど、それでも俺を押しのけようと必死になる。それを力付くでねじ伏せるように俺はマドカを抱き締めて舌をねじ込んでいく。
最初こそ俺を拒絶するようにしていたマドカも、俺が舌を入れようとし始めるとその抵抗が弱くなり始め、そのままチンポを押し付けるようにしてやると更に体から力が抜けたのが分かった。
「ちゅぱ……んむっ……っはぁ」
舌をある程度ねじ込んでキスを止めれば、そこには蕩けた顔のマドカがいた。正直言ってかなりそそる。
「マドカ、可愛いぜ」
「……織斑一夏」
「呼び捨てでいい。もしくは、兄さんとか一夏兄か」
「…………い、一夏兄、もっと、その、い、今の、してくれ」
少し俯きながらオドオドとした口調で上目遣いのマドカにそう言われた瞬間、俺は何かが切れるような感覚を覚えた。
今度はもっとしっかり抱き寄せてキスをすると、マドカの方から舌を伸ばしてきた。どこかで千冬姉を相手している気になったが、マドカはマドカだと思い直した。
「ちゅっ……こ、こんな感じでいいのか?」
「おう、初めてなのに上手いぜマドカ。もし良かったら片手でチンポ触ってくれるか?」
「ちんぽ……これ、の事だな」
熱っぽい眼差しでズボンの一部を盛り上げて主張するチンポを見つめ、マドカは恐る恐る手をそこへ伸ばす。
「硬い……それに、熱い。口で咥えた時とはまた違う感覚だ……」
「それが本当はオマンコの中に入るんだぜ」
「おまんこ?」
「えっと、ここだよ」
俺の表現を聞いて理解出来ない表情を見せるマドカがラウラに重なり、俺は笑みを浮かべながらマドカの股間辺りをそっと触る。そこは、もう熱くなっていた。
「んっ……性器の部分か。ここに、それを?」
「ああ。セックスって言えば分かるか?」
「さすがにそれぐらいはな。そうか。つまり性行為、繁殖行動か」
やっと分かったと言う感じのマドカに、どうしても俺は以前のラウラを重ねてしまう。だからか、俺の中にムラムラとエロい言葉や行為を仕込みたいって気持ちが湧いてくる。
「な、マドカ」
「何だ?」
キスで火が点いたのか、マドカの顔や目が良く知る箒達のものに近くなってきている。だけど、その中身はかつてのラウラに近しいと思うとテンションが上がる。
「俺と、セックスしたいか?」
聞きながらも俺はマドカの答えを察していた。何しろマドカの手は今もまだチンポを触っていたからだ。それどころか、ゆっくりとだが撫で始めてもいた。
マドカは俺の目を見つめたまま、しばらく黙り込んだ。だけど、一度として目を逸らす事も閉じる事もせず、こっちの目を真っ直ぐ見つめ続けた。
どれくらいそうしてたか分からない。ただ、このままだとマドカは答えを出せないと思った。だから俺はその場で立ち上がってズボンと一緒にパンツも脱いだ。
「ぁ……」
マドカの目の前にはギンギンに勃起したチンポ。それを見て完全にマドカの顔が俺の大好きな女性達と同じになった。
「舐めていいぜ」
そう言った途端、マドカが躊躇う事なくチンポへ舌を伸ばした。で、一度舐めただけで体を震わせて恍惚の表情を浮かべた。
「あぁ……ああっ! この味っ、この匂いっ、私は、私はもう忘れられないっ!」
「じゃ、俺のチンポしゃぶってくれるか?」
間違いなく、その問いかけに一瞬だけマドカの目が元に戻った。だけど、口はしっかり開けられている。
要は突っ込めって事か? ……もしかして、最初の経験のせいでチンポは無理矢理突っ込まれるものって思ってる?
「……入れるぞ」
その言葉にマドカは小さく頷いた。やっぱりそういう事かよ。そう思って俺は、ならばとチンポをゆっくりマドカの口の中へ入れていく。
「お~……」
ゆっくりと入れていくと、マドカが舌を動かしてチンポを舐め回してくるのがよく分かる。まるで大好物を味わうような動かし方だ。
これは箒達にはないな。箒達は俺を気持ち良くしようって感じで舌を動かしてくれるし、レインも若干これに近いけど本質的には箒達寄りだ。
ヌメヌメと舌を動かすマドカだけど、それがどうしても亀頭部分に集中する辺りが可愛く思える。
「マドカ、チンポ美味いか? 美味いなら小さく頷いてくれ」
こくんと頷くマドカが可愛くて、つい頭を優しく撫でてやる。その瞬間、マドカが軽く驚いたように目を見開いた。
「驚かせたか? 悪い。でも、嬉しかったんだ。マドカが素直に答えてくれたのが、さ」
「……っは……う、嬉しい、のか?」
「ああ。上目でしゃぶられるだけで結構嬉しいもんだぜ? それにマドカは可愛いしな」
「…………はむっ」
どう反応していいか分からないみたいな顔をしながらも、最後には少しだけ恥ずかしそうにしてチンポを咥えてくれた。
妹って思うと余計にこう興奮してくるな、これ。そういえばさっきの一夏兄は結構ドキッとしたな。もう一回マドカに呼んでもらいたい。
「な、マドカ」
「ふむぅ?」
何だ今のっ!? 蕩けた目でこっちを見上げて小動物みたいな声出したぞ!?
「え、えっとな?」
「んむっ?」
「も、もう一回一夏兄って呼んでくれないか? 出来ればチンポ美味しいってのも付けて」
「……っぷは、一夏兄ちんぽ美味しいぞ?」
「っ! マドカっ!」
「ふむぅ?!」
感情も何も込められてない言葉だったけど、それがかえって可愛くて無知な感じで興奮した。だから出しそうになったから強引にマドカの口へチンポを突っ込んで射精した。
久しぶりに腰が抜けるんじゃないかってぐらい気持ちいい射精だった。こんなの箒と初めてした時以来かもしれない。
思わず両手でマドカの頭を押さえて射精したけど、それでもマドカは嫌がる事もなく出した精液を飲んでた。その顔を見てみると、涙を流しながらどこか笑ってるように見えた。
「……マドカ、悪い。大丈夫か?」
それでも無理矢理した事に変わりはない。そう思って声をかけると、マドカは精液を飲み干して体をブルブルと震わせた。
「ああっ……これ、これなんだ。私は、もうこれがないと生きていけない……っ!」
「そこまで?」
「……そこまで、だ。これも全部一夏兄のせいだからな。私をこんな体にした責任を取れ」
言葉自体が酷い内容だし、声も冷たい感じがどこかする。それでも顔だけは初めてみるぐらい柔らかく笑っていた。
だから静かにマドカの前へ座り、その目をしっかりと見つめて微笑みかける。いつか俺が千冬姉にしてもらった時よりも安心させるように心掛けて。
「ああ、分かった。ちゃんと責任取るよ。だからマドカ、俺と家族になってくれ」
抱き締めながらそう告げると、そっと俺の事をマドカも抱き締め返してきた。言葉はなかった。だけど、それだけで十分マドカの気持ちは伝わったんだ。
だって、俺の耳に小さなすすり泣くような声が聞こえてきたから。小刻みに震えながら俺の肩へ顔を乗せている妹がいたから。
その時俺は思った。あの時の俺は泣けなかった。でもマドカは泣けた。その分だけマドカの方が強いんだって。
それと、マドカは俺の事を本当に家族だって思ってくれたから泣けたんじゃないかとも。
あの時の俺が泣けなかったのは、もしかすると千冬姉の事を家族と言うより、兄とか父親みたいに思ってしまったんじゃないか。これから俺を守ろうと覚悟した千冬姉から厳しさを感じ取ったから、俺は泣くという弱さを見せられなかったのかもしれないと。
そんな事をぼんやりと考えながら、俺はマドカが泣き止むまでその華奢な体を優しく抱き締める事しか出来なかった……。
「本当にいいのか?」
一夏の問いかけにマドカは無言で頷き両手でヴァギナを広げて見せた。セックスへの知識に乏しいマドカには、束が最初に彼女へ告げていた”一夏とセックス出来れば助けてやる”という言葉に秘められた意味を知りたい一心だったのだ。
「初めては痛いらしいから力抜いてくれよ?」
「ああ、分かった」
どこか冷たい感じもするが、その目が期待に満ちているのを感じ取って一夏は微笑む。そしてマドカへ優しくキスをしながら一気にペニスを膣内へ突き入れた。
その際、感じるはずの抵抗感が一夏には感じられなかった。それでも彼は動揺も戸惑いもなく腰を突き入れる。しっかりとマドカの子宮口を捉え、一夏はゆっくりと顔を離す。
「こ、これがセックス、なのか?」
「ああ、そうだぜ。大丈夫か?」
「あ、ああ、不思議とそこまで痛みはない。むしろ……っ!」
「おっと」
ペニスを締め付ける膣壁。その感覚は一夏にとっては慣れたもの。だからこそ即座に理解したのだ。マドカが今どう思っているのかを。
「こ、こんなにも気持ちいいものなのか? ただ性器同士を繋げただけなのに……っ」
「違うぞマドカ」
「……何?」
「ただ性器を繋げただけじゃない。俺とマドカの気持ちも、心も繋げてるんだ」
「私と……一夏兄の……心」
不思議そうに呟いたマドカへ一夏は優しく頷いて軽く腰を動かす。その動きで性器同士が擦れ、更に甘く子宮口を刺激してマドカに未知の感覚を与える。
「ひゃっ!? い、今のは?」
「どうだ?」
「……痺れるような、それでないような不思議な感覚だ。だが、今の何が心が繋がっていると言うんだ?」
「そうだな。もし俺がマドカの事なんてどうでもいい。自分さえ気持ち良ければそれでいいって思ったら、今みたいな動きじゃなくてもっと激しくするだろうな」
たったそれだけ。たったそれだけなのにマドカは一夏の言いたい事を察した。一夏は自分の事を気遣っているのだと。それが心も繋ぐという意味なのだと。
「今の、もっと感じたいか?」
「ああ、感じたい。もっと、もっと一夏兄を感じたい。セックスを知りたい」
「っ」
一夏の全身に言い様の無い快感が押し寄せる。更にマドカが千冬と似ている事もあってか、実姉に抱いていた欲求が彼女へ爆発したのだ。
それでも我を忘れて腰を振るというような事は今の一夏にはない。むしろその逆だった。マドカという妹を箒達と同等かそれ以上に大切に扱おうと心に誓うように、まずはそっと口付けをしたのだ。
「マドカ、痛かったり苦しかったら言っていいからな。止めて欲しい事や嫌な事もだ。俺は、俺だけは何があってもお前の味方でいたいんだ」
「……一夏兄……っ!」
殺してやりたい程憎んでいた存在。その一夏に言われた一言は、今のマドカの心を揺さぶるに十分だった。束によってその体を狂わされ、一夏によって心を乱され、もうマドカは復讐者などではなくなってしまったのだから。
兄と呼びながらもマドカにとっては一夏は男。実兄という感覚などありはしない。
そう、あの時一夏が告げた言葉はある意味で当たってはいたのだ。一夏の事を兄と思えない上男として意識していたマドカにとっては。
「ああっ、一夏兄ぃ……」
子宮口を甘く刺激されるだけでマドカからは本人も信じられないぐらいの甘い声が出る。それは媚びる雌の声。愛する雄への甘える声だ。
「可愛いぜマドカ。もっと声を聞かせてくれ」
「だ、ダメだっ。い、今のは忘れろ」
「そんな事言うなって。ほらっ」
「ひゃんっ! っ!? い、一夏兄っ!」
こつんと子宮を揺らされるだけでマドカからは甘く愛らしい声が漏れる。それを恥ずかしいと感じるマドカだが、その度に膣は収縮してペニスを締め付け彼女へ更なる快楽を与える。
そしてそんな刺激と恥らう妹の姿に一夏は喜ぶと同時に興奮し、そのペニスを反応させてその刺激がマドカを感じさせと、ある意味での永久機関となりつつあった。
「嫌か?」
とどめに一夏が止めてもいいぞと言外に告げれば……
「……続けていい」
と、マドカが快楽に屈してしまうを繰り返す事となるのだ。
勿論そんな可愛い妹の姿に一夏が発奮しないはずもなく、より可愛い姿や声を思ってマドカの弱点を探すように腰を動かしペニスを打ち付ける。
処女であったにも関わらずナノマシンと経験を積んだ一夏のテクニックでマドカはあっさり快楽に負け、一番深く繋がりながらキスをする頃には無意識にその足を一夏の腰へ絡めていた程だった。
「んちゅ……んんっ……っはぁ」
「マドカ……」
「一夏兄……」
熱視線を絡め合うように見つめ合う二人。とてもではないが兄妹がする事ではない状態で見つめ合うそれは、どう見ても男と女であった。
今も一夏のペニスはマドカのヴァギナへすっぽりと収められ、そこが定位置とばかりに存在感を示しているし、マドカもそんな逞しく雄々しい温もりを体内に感じて安心感を得ていたのだから。
「マドカ、聞いてくれるか? 俺、実は複数の女性とこういう関係なんだ」
「そうか」
突然何を言い出すのかと言う表情で返すマドカ。そんな彼女にらしさを感じて一夏は微笑む。
「それで、一部は妊娠してて」
「だから?」
普通の女性であれば怒り出すか呆れるかする話だが、マドカは純粋に一夏が何を言いたいのを問いかけるように小首を傾げた。それに一夏は笑みをより深くする。
「……お前にも俺の子を産ませたい」
「っ……それが一夏兄の望みなら、私も叶えてやりたい」
やっと告げられた一夏の願い。それにマドカは一瞬息を呑むものの、すぐに無自覚で微笑みを浮かべて言葉を返した。
その綺麗な微笑みに一夏はそっと触れるだけのキスをする。感じるくすぐったさと温かさにマドカは苦笑し、同時に腕をそっと一夏の背中へ回した。
「ここから激しくするけど、いいか?」
「構わない。むしろ望むところだ。私に子を作ると言うなら激しいぐらいで丁度いい」
「……後悔するなよ?」
「させて欲しいぐらいだ」
「言ったな。じゃ……」
マドカの両足を持ち上げるようにして、一夏はその体勢を変えさせる。マドカはこれから何をされるか分からないまま、彼のしたいようにさせていた。
何故なら、もう今のマドカにとって一夏は信頼出来る唯一の存在であり、まだ本人にその自覚はないが、愛するただ一人の男なのだ。
「これでよしっと」
「これで何をするつもりだ?」
「ん? えっと、種付けって言って分かるか?」
「……家畜などへ使う表現か」
「まっ、そんな感じだな。つまり、今から俺とマドカは獣になるって事さ」
「獣……ははっ、それも悪くない。じゃあ、理性を粉々にしてみせてくれ、一夏兄」
その言葉に頷くように一夏は腰を動かし始めた。まるで杭打ちのようなそれに、マドカはそれまでの一夏は本当に優しかったのだと実感する。
押し寄せる暴力的な快楽の波。打ち付けられる荒々しい男の強さと恐ろしさ。そして一夏との粘膜的接触によるナノマシンの活性化がもたらす凶悪な幸福感。
それらにマドカの理性は呆気なく打ち砕かれ、色を染め直され、異なる形で復元される。
(これが、これが愛なのか。一夏兄は私が知らなかったものや知ろうとしなかったものを教えてくれる、与えてくれる。ああっ! 今なら分かるっ! これが、これが幸せというものだ! やっと出来たんだ! 私にも居場所が、帰ってこられる温かい場所がっ!)
その出会いは歪でまともではなかった。それでも、マドカにとっては初めての”家族”との出会いであり、彼女だけの”居場所”を得た瞬間だったのだ。
「マドカっ! マドカぁっ! 気持ちいいかっ! チンポいいかっ!」
「キモチイイっ! チンポいいっ!」
「セックス好きかっ! 子作り好きかぁっ!」
「好きっ! セックス好きっ! 子作り好きっ!」
答えれば答えるだけ快感が強くなっていく事にマドカは気付いていた。彼女は分からないのだ。それが自分の中にある羞恥心などを刺激された事による興奮からくる快感だと。
ただ、普段であれば言いたくない事を言う事や一夏と繋がっているからこうなっている事だけはしっかり理解していた。だからだろう。その事への感謝やもっと快楽を得たいとの想いから自然とこう叫んだ。
「一夏兄っ、好きぃぃぃぃぃっ!」
「っ?! ま、マドカぁぁぁぁぁっ!!」
予想だにしない言葉に、一夏は一瞬我を無くして腰を力強く打ち付けると同時に射精した。
その熱量を持った液体と呼ぶには重たく粘性の強いものを子宮へ叩きつけられ、マドカは目を見開いて一夏へと強くしがみついた。
同時に声を上げそうだったのだが、その瞬間一夏によって塞がれてそれは叶わなかった。ただ、その情熱的なキスに余計幸福感を味わい、マドカは生まれて初めて歓喜からの失禁をしてしまう。しかも……
(なんだ、この、解放感と安心感は……?)
マドカが目を開ければそこには一夏の顔があった。それだけで全てを察したように笑みを浮かべ、マドカは再び目を閉じる。
(そうか、一夏兄が、家族がいるからか……。もっと、もっと浸っていたい。この温かさに、この頼もしさに、この幸せに……)
かつては憎んだ相手。それが今は最愛の
「ふんふん、まーちゃんはいっくんと見事エッチ成功したみたいだね」
ナノマシンからのデータを眺め、束は一人呟く。一夏とマドカの決着が着いた後、当然のように箒達は彼の傍へ行こうとした。だが、それを束が止めたのだ。それも、必ず止まるだろう事を話題にして。
――ね、ほーきちゃん、あの子、ちーちゃんに似てると思わない?
これにその場にいた全員は束の話を待った。それこそが束の狙いを知らぬまま。こうして箒達へ簡単に織斑計画の一端を束は話した。
ただ、それは真実ではない。束が話したのは、マドカが千冬に近い存在というものだ。
当然この説明には楯無を始め何人かが疑問を呈した。どうしてそんな存在が要るのか。そもそもどうして千冬なのかと。何せ千冬がIS使用者として有名になってまだ十年も経過していないからである。
そこで織斑計画の一端を束は話す。人為的に超人を生み出そうとしたそれを聞き、すぐに箒達は思ったのは自分達の愛する男が絶倫である理由だった。
一夏は超人として生み出された故に常人を越える精力を持っているのではないか、と。ただ、楯無だけは何か察しているように束を見つめていたが。
そんな話を終え、箒達はそれぞれ部屋に戻っていった。一夏をマドカと二人にさせて話をさせてやるべきと束が言ったためである。
真耶へも束から連絡を入れ、説明は後でするから今夜は部屋を訪問しないようにと厳命したのだ。そしてクロエをラウラとシャルの部屋へ泊まらせ、束は一人ラボへと戻ってきたのだから。
「博士、スコールの世話終わったぞ」
「おー、あきちゃん、ごくろーさま。で、どんな感じ?」
束がモニタを見つめていると、そこへ隔離部屋から出てきたオータムが疲れた顔で近付いた。その様子をチラと横目で見やり、束は労いの言葉をかける。これも地味な変化だが大きな事と言えるだろう。
「エムの奴がいなくなった事が結構効いてるな。何としても自分だけはって、そんな顔してやがった」
「よしよし。じゃ、最後の実験は予定通りの状況で行えそうだね」
どこか複雑な表情で語るオータムに束は満面の笑みで返す。何よりも自分優先の束としては、現在のスコールには実験材料としてしか興味がないのだ。
それをオータムも分かっているために何も言わない。ただ、今の自身を振り返り微かな悲しみを抱いてはいたが。
(薄情だな、あたしも。一夏と深い仲になったら、スコールがこうなっても助けようとか思わないなんてさ)
けれど、彼女は一度だけスコールへ手を差し出したのだ。あのメッセージこそそれだった。あれがあの時のオータムに出来る最大限だったのだから。
「じゃあ、最終日にいっくんを呼んで実験開始だね。あきちゃん、それまで協力よろしくぅ」
「あいよ。精々焦らしに焦らしてやるさ」
さらりと返してオータムは一度だけ隔離部屋へ目を向ける。
(あんたは本当に馬鹿だよスコール。敵に回しちゃいけない奴を二人も敵にしたんだからな)
織斑一夏と篠ノ之束。ある意味で世界最強の男女である。それを敵に回し、しかも敗北した時点でもうまともな人生は送れない。それをオータムはその身でしっかりと教えられていた。
ただ、その方が彼女自身は幸せになってしまった。そう思うようになってしまったのだ。
オータムが小さくため息を吐いて寝る支度を始めたのと同時刻、マドカが熱いシャワーを浴びながら一夏とキスをしながらその胸を揉まれていた。
――んっ……ふんんっ……っぷはっ……い、一夏兄っ、もっとぉ……。
すっかり一夏からの快楽に堕ちて、雌の顔を晒しながら……。
マドカが堕ちました。兄妹プレイが解禁されました。姉妹丼(織斑家ヴァージョン)フラグが立ちました。