「シャルル・デュノアです。よろしくお願いします」
その日、一夏達のクラスは大騒ぎだった。何と、彼以外のISを起動出来る男子がやってきたからである。しかも専用機持ちというおまけつき。専用機持ちなのに一組となったのは、一夏と同じ性別を配慮されたと千冬によって説明がなされ、彼はそんなものかと納得して事の推移を見守っていた。
というのも、クラスのほとんどの者がシャルルへ殺到していたからである。一夏と違い、シャルルはどこか王子様的な雰囲気があった事もあり、女子人気が瞬間的に一夏を上回ったのだ。
「やれやれ、また当分賑やかだな」
「ですわね。一夏さんもすぐ相部屋へ逆戻りとは大変ですわ」
「……そうだな。これじゃアレに困る」
そう、つい数日前に箒は一夏との相部屋を解消となり、彼は一人で部屋を使う事になったのだ。まぁ、朝に箒が起こす事が絶対ではなくなった事と、夜も彼女が絶対ではないぐらいしか日々の変化はなかったが。
「なら、朝は別の場所か?」
「夜は……諦めるしかありませんわね」
「真耶さんに少し聞いてみる。何せ、このままだと……な」
「「あ~……」」
一夏の言いたい事を理解し、二人は納得するように声を出す。このままでは真耶は一夏と求め合う事が出来ないのだ。故に、今頃それをどうにか出来る方法を考案中のはず。そう一夏は読んでいた。
そしてもう一人の編入生は諸事情あって現在教室にいない。千冬が連行していったためである。その編入生の名は……
「それにしても、ラウラ・ボーデヴィッヒ、だったか。あれには驚いたな」
「ええ。いきなり一夏さんへ殴り掛かるんですもの」
そう、ラウラは簡単な自己紹介を終えるや一番前の席に座っていた一夏へ接近。彼へ「お前が織斑一夏か?」と尋ねて確認を取るなり、平手打ちをしようとしたのだ。ただ、ここで一夏は反射的にISを起動。それによってラウラの攻撃は防がれ、ならばと再攻撃をしようとしたため千冬によって連行を相成ったのだ。
勿論、ISを展開した事で一夏も軽く叱られている。
「多分だけど、千冬姉絡みで俺に文句があったんだろ。何か教官って呼んでたし」
「だろうな。で、どうする?」
「正直私、ボーデヴィッヒさんは気に入りませんわ。文句があるのならまず言葉で始めるべきです」
「同感だ。それをいきなり暴力とはな。雰囲気からして軍隊式教育を受けているのだろうが、ここは学校だ。その場のルールに従えない以上、こちらも黙ってはいられんぞ」
一夏へ手を出した事でセシリアも箒も気が立っていた。ただ、当の本人である一夏がそこまで怒っていないため、二人も多少落ち着いてはいたが。
「ボーデヴィッヒって、たしかドイツ語の響きだよな。じゃ、千冬姉がドイツで仕事してた時の知り合いなんだろう」
「……そんな事があったのか?」
「ああ。その、二回目のモンド・グロッソの時に色々あってさ」
「あ、それならば私も少し知っています。たしか決勝戦を棄権なさったのですよね?」
「そう。実は……ちょっと耳貸してくれ」
言われるまま一夏の近くへ顔を寄せる二人。彼はそんな彼女達にしか聞こえない程度の声でその時の裏側を話した。それは、彼が誘拐されたと言う事。その時、千冬に力を貸したのがドイツであり、それもあって彼女は一時期ドイツで教官職に就いていたのである。
あまりの事に二人は声を上げる事もなく驚いていた。そして、同時に一つ察してもいたが。
「では、あのボーデヴィッヒはその教え子で……」
「おそらく織斑先生に心酔なさっているんでしょう。故に連覇を阻む原因になった一夏さんを逆恨みと」
「……そうだとしたら、俺としては何も言う事がないな」
千冬の連覇ならずは、一夏にとっても若干影を落としている事であった。自分が誘拐されなければ、姉はきっと優勝していたと彼も思っているのである。未だ誰も成し遂げていないモンド・グロッソ連覇という夢。それを唯一可能だった存在が千冬であると一夏も思っているのだから。
「ま、とにかく今はアレの事をどうにかしないとな。俺も俺なりに考えてみる」
こうしてこの日は始まった。ただ、一夏の予想だにしない事が起きる。
「ここが更衣室だ。他は女子が使うから気を付けてくれ」
「うん、分かった」
シャルルが行動を共にしてきたのである。シャルルという呼び名は、一夏が名前で呼び捨てでいいと告げた事に関して、ならばと許可されたものであった。二人しかいない男子であるからか、事ある毎に一夏の後ろを付いてきたのだ。これに一夏は内心で困ってしまった。昼休みぐらいはと思うも、やはり心細いのかシャルルは傍にいたのである。
更に困ったのは、シャルルが最初は遠慮して一夏から離れようとする事だ。それが彼の良心を苛み、結局同行を許す結果となっていた。
今も彼らは二人で学園内を歩いていた。一夏がガイドの施設案内である。それを少し離れた位置から見つめる人影があった。箒達である。
「……今日、一度もあたし出来てないんだけど」
「鈴さん、それは私もです」
「案ずるな。私も朝口でしただけだ」
「それさえあたしはないんだけど?」
「……申し訳ありません鈴さん」
「ああ、セシリアは一緒だったのね」
気まずそうに顔を逸らすセシリアへ鈴はそこまで気にしていないとばかりに声を出し、視線を一夏達へ戻した。心なしか一夏の表情も若干困っているように見え、彼女としては性欲処理が出来ず辛いのだろうと踏んで苦笑する。
(無理もないわよね。毎日最低五回は出してるのに、今日は半分もしてないんだもの)
きっと今頃、頭の中はそういう事で一杯だ。そう判断し、鈴は小さく息を吐いた。
「それで、今夜はどうするのよ? あの編入生がいるんじゃ、誰も出来ないでしょ」
「それは、真耶さんが考えてくれているはずだ」
「ええ。このままでは真耶さんはいつまでも出来ませんもの」
「ああ、そっか。真耶さんね。学園側の協力者ってとこか」
理解したとばかりに頷き、鈴は腕を組んだ。真耶が協力してくれるようになれば、今後何があっても一夏との行為に困らないように出来るかもしれないと、そう思ったのだ。ただ、それには一夏自身がそれを真耶へ頼む事が不可欠であるとも。
「あー、そういや一夏へ手を出そうとした厄介者がいたんですって?」
「ああ。千冬さんに懲らしめられたのか、戻ってきた後は大人しかったぞ」
「ただ、一夏さんの事を睨み続けていましたけれど」
一限が始まる前に教室へ戻ってきたラウラは、一夏へ嫌々ながら非礼を詫びるや頭も下げず自分の席へ座り、授業中も彼を射殺さんばかりに睨んでいたのだ。それでも授業内容は聞いていたので、千冬としては多少注意する程度で終わったが。
「……どんな感じの奴よ」
「銀髪、小柄、眼帯ありのドイツ娘」
「軍隊かそれに準ずる場所で育ったかと思われますわ。口調や態度がそんな感じでした」
「へぇ、つまり一般人に対しての礼儀を叩き込まれてるはずよね?」
それだけで鈴が何を言いたいかを箒やセシリアも察した。つまり、学生である一夏へ問答無用で暴力を振るおうとした事を正論で責めてやろうと鈴は考えているのだと。
「おそらく、それは既に千冬さんがやっているぞ?」
「じゃ、謝罪は?」
「一応言っていました。ただ、誠意の欠片もありませんでしたけど」
「決まりね。そいつ、クラス対抗戦優勝者のあたしが直々にとっちめてやるんだから」
不敵に笑う鈴。そう、彼女はクラス対抗戦で見事優勝を遂げていた。そこには、一夏のためという理由もある。彼女と接戦を演じた一夏。故に鈴が優勝すれば彼は優勝者と接戦を演じられる人間という評判になるのだ。そのためにも鈴は奮戦した。愛する男の価値を少しでも上げるためにと。
「それもいいが、まずはあちらをどうにかしないと、な」
箒のその言葉に鈴もセシリアも静かに頷いた。その目は、一夏と話すシャルルへ向けられていた……。
さしものシャルルも放課後の自主訓練には参加する事はせず、見学を求めてきた。これは一夏もセシリアも異論なく、むしろ何か意見があれば遠慮なく言って欲しいと告げて訓練を始める。
箒はそこでシャルルへ鈴を紹介し、三人は揃って一夏とセシリアの訓練を眺めていたのだが、そこで一つ変わった出来事が起こった。それはセシリアとの訓練が終わった後の事。いつものように反省会をする一夏達へ、シャルルがおずおずと手を挙げたのだ。
「シャルル? どうした?」
「えっと、ちょっとだけ気になった事があって」
「何でしょう?」
「その、オルコットさんは遠距離が専門だから基本を徹底してると思うんだけど、それでもやっぱりどこか遠距離戦主体の人の動き方とかが入ってると思うんだ」
「……否定は出来ませんわね。私も体に馴染んでいるのはそういう動きです」
「だから、一夏の動き方には若干向いてないんじゃないかなって。むしろ、だったら動き方自体は一夏の戦い方と似た事をやってきてる箒の方がいいかもしれない」
その意見に鈴が真っ先に頷いた。彼女も武装面などから一夏の動き方とは目指すものが異なる。なのでシャルルの意見は一理あると感じたのだ。
「そうね。ISの基本動作はもう一夏も十分理解したし、そろそろ応用に入るべきだわ。そういう意味でも、セシリアから動き方を学ぶのは一旦止めた方がいいかも」
「……かもしれませんわ。今後は私は仮想敵として動き方を教える方が?」
「それがいいと思うな。一夏の一番苦手そうなのはオルコットさんみたいな相手だろうし」
そう真面目な顔で告げるシャルルに一夏は疑問符を浮かべる。シャルルがISに対して色々と知っている事が、ではない。自分と同じでISを使える男であるなら、何故シャルルはここまで自分よりもそれに詳しいのだろうと思ったのだ。その疑問は、この日の夜、彼らの部屋で解明される事となる。
訓練が終わってシャルルに先に部屋へ戻ってもらい、一夏はやっと念願の時間を得ていた。そう、箒達との交わりの時間である。
「なっ……いつもよりも大きい気がするな」
「ホントね。待ち遠しかった?」
「ああ。早くお前達の中へ入れたくて仕方なかったぜ」
「それはこちらもです。さぁ、一夏様? どの穴からお使いになられます?」
「一夏、剣道で鍛えたキツキツマンコだぞ?」
「あたしだってキツキツよ。一夏の大きなオチンチンで広げられちゃったけど、ね」
揃ってシャワールームの壁に手を付き、ヴァギナを見せつけるように臀部を突き出す三人の少女。その光景に一夏のペニスが多しく反り返る。朝からずっとお預けをされていたためか、その怒張は普段以上に立派になっており、彼女達の心境と連動するようにヴァギナから愛液が滴り落ちた。
(ああっ! 一夏の極太チンポが早く欲しい! あれで子宮をノックされて射精されたいっ!)
(一夏様のペニスがあんなにも……もういけませんわぁ。見ているだけでイってしまいそうです……)
(ギンギンに勃起してる。あ、あんなので後ろから突かれたら、あたしまた意識飛ばされちゃうわ。でも、して欲しい……)
視線をペニスへねっとりと這わせ、三匹の雌となった少女達は無意識にその魅力的な臀部を左右に振り始める。雄を誘うその動きに一夏は嬉しそうに笑みを浮かべ、まずはとばかりに箒のヴァギナへ舌を這わせた。
「はあんっ! い、一夏ぁ!」
「……箒のマンコ、中々いい具合だな。さて、次はっと……」
「んひぃ! い、一夏様ぁ! クリトリスを甘噛みなんて最高ですわぁ!」
「ああ、一夏ぁ、あたしも早くぅ」
箒、セシリア、鈴の順番でクンニをしていく一夏。しかも一定時間で交代する事で彼女達をどんどん焦らしていく。ヴァギナからの愛液がとめどなく流れ、口から出る喘ぎ声が止まる事なく響き、彼女達の意識はどんどん一夏へ、ペニスへと集中していく。
「……そろそろいいか」
出来上がったと直感で察して、一夏はその凶悪なペニスをまずはとばかりに鈴へと挿入する。一切の躊躇いもなく入るところまで。そう、子宮までだ。
「イクぅぅぅぅぅぅっ!!」
一瞬にして意識を飛ばされる鈴だが、それでも一夏は手放さない。崩れ落ちそうな身体を支え、まるでオナホールのように鈴の体を使い始めたのだ。力強く抜き差しされるペニス。その度に飛び散る愛液。
「一夏の奴、相当だったようだな」
「ええ。鈴さんが正直羨ましいですわ。あんな風に扱って頂けるのも、私としては喜ばしいですのに……」
「私だって嫌いじゃない。あれは、一夏なりの甘え方だしな」
「……箒さん、何となくですが次は」
「きっとお前だろうな。まったく、本当にこれまでの帳尻を合わせるつもりか?」
一夏は、出来るだけ女性達を公平に扱いたいと告げている。そのため、そのセックス回数さえも出来れば同じぐらいにしたいと思っているのだ。故に最近箒は一度抱かれると終わりとなるケースが多い。その分、イチャイチャ度は上がっているので箒に文句はないのだが。
「鈴、鈴っ、そろそろ出すぞ!」
「出してぇ! あたしの子宮、一夏の子種でいっぱいにしてぇぇぇぇぇっ!」
「ああっ! お望み通りにしてやる……よぉ!」
「きたぁぁぁぁっ! 熱々精子がたっぷり注がれてるのぉ! イクっ! 射精でイキながらその熱でまたイクぅ!」
喜びの声を上げ、鈴は恍惚の表情で叫ぶ。そのヴァギナの締め付けを嬉しく思い、一夏は彼女の華奢な身体をそっと抱きしめてキスをする。それがトドメであった。ブシャっという音と共に鈴が失禁したのである。こうやって何度も体に刻み付けられ、一夏への服従度は増していくのだ。
そこには、国際社会の男達の本音が透けて見える。ISに勝てずとも、それを使う者さえ屈服させれば勝利出来ると。だが、これはそこに愛があればこそである。一夏を想い、そんな彼女達を想うからこそ、彼は少女達を陥落させる事が出来たのだから。
「鈴、ありがとな。少し休んでくれ。セシリア、お待たせ」
「いえ、この時間も嫌いではありませんから」
「そうだった。セシリアはドMの雌奴隷だったな」
「はい、一夏様。どうかこの惨めな私に慈悲をくださいまし」
「仕方ないなぁ……おらっ!」
「あはぁっ! きましたぁ! 一夏様の逞しいペニスが子宮までぇぇぇぇぇっ!」
仰け反りながら叫ぶセシリア。その表情はとても淫らで輝く笑顔であった。見ている箒が思わず股を濡らしてしまう程に綺麗な雌の顔。それに一夏も満足そうに頷いて、応えるように激しいピストンを開始する。鈴よりも彼のペニスに慣れているセシリアは一撃で気をやる事はもうないが、それでも気を抜けばすぐにでも意識を手放してしまう程の快感が与えられるのだ。
それを少しでも長く多く味わいたいと彼女は懸命に耐え、一番最高の瞬間に抵抗を止めるのだ。そう、それは……
「そろそろいいか。セシリア、やるぞ?」
「はいっ! いつでも結構ですわぁ!」
「なら……よっ」
「がっ……」
最近セシリアがハマり出したのは、首絞めをされながら突かれるというもの。これにより、一夏のペニスを強く締め付け、更に彼女自身も窒息の感覚と意識が遠のくのを味わえるという危険なプレイであった。
「くっ……出る……おおっ!」
「ああああああっ!!」
射精の瞬間一気に新鮮な空気が流れ込んでくる。生きている事を実感しながら子宮で感じる雄の熱。それにセシリアは白目を剥きながら意識を手放すのだ。
「……こんな事を始めたのか?」
「セシリアがどうしてもってな。本当は最後まで首を絞め続けるんだけど、どうしても怖くてさ」
「それで最後は手を離すのか。で、それがかえってセシリアには良かったと?」
「みたいだな。さて、最後は箒だ。待たせたな」
「別にいい。その分、愛情たっぷりで頼む」
「ああ」
その言葉の通り、一夏と箒はしばらくキスばかりしていた。ただ、その間も互いの性器を愛撫し、その気持ちを高めてはいたが。やがてキスは激しくなり、箒はその胸を一夏の胸板へ押し付けるようにして快感を求め始める。舌を絡め、胸を合わせ、性器を擦り付け、二人はその気持ちを相手へこれでもかと伝え合う。
「一夏ぁ……」
「箒……」
潤んだ瞳で一夏を見つめる箒。その眼差しは雄弁に彼女の心境を語っている。もう我慢出来ないと。だからこそ一夏は尋ねるのだ。
「どうして欲しい?」
「入れて、入れて欲しい。一夏の逞しいチンポで私の中を掻き回して貫いてぇ」
「……最高にエロくて可愛いぜ、箒。ケツ向けて壁に手をついてくれ」
「分かった」
こうして三人との交わりを終え、部屋に戻った一夏を待っていたのはどこか残念そうな真耶だった。ただ、部屋の中ではなくその前だったが。
「どうしたんですか?」
「あのね、織斑君。例の件なんだけど……」
「やっぱり難しそうですか?」
廊下のため、どこで誰が聞いてるか分からない。真耶の口調と呼び方から一夏も意識を切り替え、生徒としての振る舞いをしていた。
「今日は無理。ただ、明日からなら何とか」
「分かりました。その、面倒かけてすみません」
「いいの。じゃ、ゆっくり休んでね。おやすみ」
最後に一夏の近くへ近寄り、何かを制服のポケットへ入れて去って行く真耶。それを見送り、一夏は周囲を確認してポケットを探る。そこには一枚のメモが入っており、更衣室へこれからは行くと書いてあった。
「……そういう事か」
思わず真耶を更衣室の長椅子で抱く光景を想像し股間を膨らませる一夏だったが、それを気に留める事もなく部屋へと入った。何せ同室のシャルルは同性だと思っているためだ。
室内では、もうシャワーを浴びたのかシャルルが寝間着姿でベッドに座っていて、一夏が帰ってきた事に気付いて笑顔で出迎えようとしたのだが……
「あ、お帰り一夏ぁ!?」
「おう、シャルル。ただいま」
「な、な、な……」
「ん? どうした?」
視線を下へ向けて赤面するシャルルに一夏は不思議そうに首を傾げる。同性だからむしろ笑われるなり、嫌そうな顔をされるだろうと思っていたのだ。彼なりの男同士の話題提供のつもりだったのだろう。が、これが思わぬ方向へと事態を転がす事となる。
「な、何でそんなとこおっきくしてるの!?」
「いや、だってなぁ」
「だっても何もないよっ! 何考えてるのさ!」
「あのな、シャルル。ここはどこだ?」
「IS学園だけど……」
「つまり、俺達以外はみんな女性で、しかも可愛い子ばっかりだ。ここまでいいか?」
「う、うん……」
「しかも、ISを使う時の格好なんて正直性的だろ? 俺達の年頃の男ならこうなるのが当然じゃないか?」
「ふえぇっ!?」
一夏の発言は男としては理解出来るものではあった。だが、シャルルはそれに理解を示す前に動揺が消えない。そこに一夏は疑問を抱いていた。彼はシャルルがフランス人である事を聞いていたので、勝手にこう思っていたのだ。フランス人なら色恋に敏感で、経験も意外とあるかもしれない、と。しかし、実際はまるでかつての自分以上に情けない雰囲気だ。しかも、上げる声も少年と言うより少女に近い。
「……もしかしてシャルル、お前ってこっちか?」
「っ!? ち、違うよ! 僕はそういう趣味じゃないからっ! ノーマルだからぁ!」
「じゃ、どうして勃起みて恥ずかしがるんだよ。普通は笑い飛ばすか、嫌そうな顔するか、あるいは無視だぞ」
そこでシャルルの顔が驚きに変わった。一夏はそんな相手の反応の意味が理解出来ず、小首を傾げるのみ。
「そ、そうなの?」
「俺の親友はそんな感じだったぞ。ま、俺もこういう状態で会った事はないけど、ノリ的にはおいおい何で勃起したんだ一夏、って感じだろうな」
「そ、そうなんだ……男の子って分からないよぉ」
後半部分を微かなかすれ声で呟くシャルルだったが、そこで一夏から目を逸らしたのがいけなかった。彼は自分のベッドへ向かおうとしていたのだが、ふとシャルルから漂う匂いに鼻を動かす。そう、今の彼は女の匂いを知っている。もっと言えば、ナノマシンにより女性への認識能力が上がっているのだ。
「……何か、シャルルから女の匂いがする」
「っ!?」
まさに心臓を鷲掴みするような言葉だった。シャルルは顔を背けたままその場から動けなくなり、一夏は何か不思議そうな表情のままゆっくりとそちらへ近付いていく。
「な、シャルル。一ついいか?」
「な、何かな?」
「お前も男なんだよな?」
「そ、そうだよ……」
「じゃ、どういう体位が好きだ? 俺は巨乳なら騎乗位でそうじゃないならバック」
「ええっ!?」
男子高校生らしい話題ではある。実際、一夏も中学時代に弾から似た事を聞かれた事があった。その時はよく分からないと返して呆れられていた彼だが、実際経験した今ははっきりと好みが出来ていたのだ。
ちなみに体位ではないが、彼がもっとも好きなのは種付けプレスと呼ばれるもの。あれが雄としての本能を満たされるからだとは、今の彼は気付いていない。
「な、どういうのだ? やっぱ正常位?」
「え、ええっと……」
「体位がないならプレイは? 俺はパイズリ」
「パイ……っ!?」
顔をリンゴのように真っ赤にして、シャルルは黙り込んでしまった。寝ると言って誤魔化そうにも、その脳裏には一夏の勃起した下半身が焼き付いており、更に今の会話が繰り返されているのだ。もうシャルルは泣きそうになっていた。
(も、もう無理……この年頃の男の子になんて化けられなかったんだよぉ……)
初日の夜にして、シャルルは涙目で頭を抱えた。そんなシャルルを一夏はただ疑問符を浮かべて見つめている。恥ずかしがり屋だとしても、何か言うと思っていたのだ。こういう話は好きじゃないとか、あるいは適当に答えて終わりにするとか、とにかく何らかの答えを出すと。
「シャルル?」
「……一夏、あのね?」
「ああ」
「……実は僕は」
「好きな体位がある?」
「そうじゃないから!」
「違うのか? あっ、ならプレイ?」
「違うよっ! もうそういうのから離れてっ!」
泣きそうな顔で叫び、シャルルはもうどうにでもなれとばかりに話し出すのだ。自分の正体と目的を。だが、それを話し終えた時、一夏は困った顔で頬を掻き始める。それがシャルルには、いやシャルロットには意外だった。
「僕を怒らないの?」
「どうしてだよ? むしろ俺が怒られるべきだろ、これ」
「え?」
「……女の子にド下ネタ振ったし、あんなものは見せたし、最低だろ。その、ごめんなデュノア。これで男の事嫌いにならないでくれ。みんながみんな、俺みたいな考えしてる訳じゃないからさ」
立ったまま頭を深々と下げる一夏にシャルロットは目を何度も瞬きさせる。そのまま彼は頭を一切上げようとしなかった。それが謝罪の表れだと気付き、シャルロットは慌てて彼へ告げる。
「も、もういいから。一夏の気持ちは伝わったし、さっきのは僕も騙してた結果だから仕方ないよ」
「だけど……」
「本当に、いいんだ」
「そっか。デュノアは優しいんだな」
「……優しい、のかな? それで言うなら僕は一夏の方だと思うよ」
「そんな事ないさ。にしても、親父さんの会社のため、か。IS企業ってのも大変だ」
「かもね。ま、それももう終わりだけど……」
「え? どういう事だ?」
その一夏の疑問にシャルロットは淡々と話し出す。この後どうするかも含めて。目的に失敗した以上もうここに彼女はいられないし、白式のデータが手に入らなかったのだからデュノア社も手詰まり。もう打つ手なしだと、そう言い終わった彼女へ、一夏は少し思案顔をした後、こう問いかけた。
「な、デュノアの事を知ってるのって俺だけだよな?」
「そうだよ?」
「……なら、何も問題ない。デュノアはシャルルのままでいればいい」
「え?」
「俺が言わない限り、誰も不審がらないさ。あの千冬姉だって問い詰めなかったんだ。だから大丈夫」
「で、でも……」
「ただし、一つだけ条件がある」
「……体?」
「いや、夜の時間に二時間ぐらいでいい。部屋を空けてくれ。それだけでいい。ちゃんと消灯時間には帰ってきてくれていいから」
一夏の提示した条件の意味が理解出来ず、シャルロットは首を傾げる。何故部屋を空ける事が秘密を黙っておく条件なのか分からないために。一夏もそれを察したのか、少し息を吐いて彼女へこう告げた。自分は、肉体関係を持つ相手がいると。
「…………つまり、ここでその相手とえ、エッチしたいって事?」
「ああ。デュノアが来るまではそうしてたんだ」
「そ、そっか。もしかして、帰りが遅かったのも?」
「まあな」
「……納得」
顔を真っ赤にして答えるシャルロット。そんな彼女に何も言えず、一夏は自分のベッドへと移動する。と、その背中へ向かってこんな言葉がかけられた。
「シャル」
「へ?」
「明日から僕の事、そう呼んで。じゃないと今日はシャルルって呼んでたのに、明日になったらデュノアじゃ色々勘ぐられちゃうから」
「そっか。分かった。じゃ、改めてよろしくな、シャル」
「うん、よろしく」
着替えを持ってシャワーへと向かう一夏。それが自分への配慮だと知って、シャルは小さく笑みを浮かべる。一夏が相手の性別で対応を変えられると知ってだ。同性の場合は打ち解けようと男ならではの距離の詰め方をし、異性の場合はしっかり思慮深く行動すると。
(一時はどうなるかと思ったけど、一夏が優しくて良かった。……好きな体位は巨乳なら騎乗位、かぁ。僕じゃダメなんだろうな……っ!? 違う違う。一夏にはもう彼女がいるんだし、僕の目的は白式のデータだ。それは、いつか一夏から何とか……)
自分を学園へ突き出さず、居続けていいと言ってくれた事。彼女のためにと条件を出してきた事。正体が分かった後は配慮した事。全てがシャルにとって好印象へ繋がっていた。それに、同性だと思ってた時の接し方も、そこに少しだけ関係している。
シャルが一夏の対応に安堵していた頃、彼はと言えばシャワーでペニスを扱いていた。
「まさかシャルが女の子なんて……ああ、ヤバイ。男装女子ってのもアリだな……」
目を閉じれば寝間着姿のシャルが浮かび、それが女子であると分かった以上、その下の想像さえしてしまうのが今の一夏であった。こうしてシャルが寝息を立てるまで一夏はその有り余る性欲を吐き出す。余談ではあるが、翌日真耶を部屋で抱けるようになったにも関わらず、彼は予定通り更衣室の長椅子でたっぷり可愛がった事を記す。
タイトルの一部が平仮名なのは一応ネタ。同性と同棲をかけています(汗