KEY(ドM)と申します。
完結作品が初めてできたので、
いつもの発作(書いては失踪)に戻る。
つよきすってマジで会話のテンポが面白いと思う。
ハーレム路線注意。
元おじさんのおろおろ注意。
それでは、ご覧ください(KBTIT)
KEY(ドM)
目を覚ます。背中に感じる柔らかな感触に違和感を感じる。
後ろを見ると、長い付き合いである彼女が俺の背中にしがみついているのが見えた。
いつものように、上はパジャマで、下は下着が丸見えのはしたない格好である。
見た目麗しいのだから、もう少しお淑やかになれないものだろうか。
嫁入り前の娘が、男にさらすべき姿ではないだろう。
孫がじゃれついているようで楽しくはあるが。
時計を見ると午前7時。
そろそろ起きて、登校の準備をしたほうがいいだろう。
むくりと体を起こして立ち上がり、しがみついている幼馴染をゆっさゆっさと揺らして起こす。
「蟹。蟹。起きてくれ。そろそろ仕度しないと。・・・・蟹?」
「・・・・お袋ぉ。きくらげってどんなくらげなんだぁ・・・?」
「・・・・・・・。」
思わず絶句したが、こうしたつぶやきもいつものこと。
ベッドに彼女を降ろし、顔に枕をそっとおく。
「・・・・・・・・・・・・・ぶはぁっ。」
「あ、起きた。」
「起きたじゃねーよ!!危うく永眠するとこだったろーがぁ!!」
うがああああっ、と猛る蟹。
とびかかってきたのをうまく受け止め、よしよしとあやす。
ちょっとやりすぎただろうか。
頭を優しくなでる。
「ふんっ!!馬鹿っ!!・・・今日の朝飯は?」
「和食。ああ、鮭が残っていたから鮭チャーハンもありだなぁ。」
「おめぇの料理のレパートリーって一人暮らしのおっさんっぽいよな。
うまいからいいけどさ。」
蟹の核心をついた言葉にどきりと心臓が鳴る。
俺も彼女も間違いなく高校生である。
普通、こんなこと言われれば誰が、おっさんだ、と突っ込みたくなるだろう。
でも、彼女の言うことは間違ってはいない。
----なにせ、俺は本当におっさんだったのだから。
俺、いや、私の名前は対馬レオ。
かつて、孤独に死んだしようのない男である。
◆
それに気が付いたのはすぐのことだった。
どうも体がだるい、眠い、おかしい、と感じて目を開けてみると
目の前には見慣れない顔が二つほど。
女性と男性が私のことをじっと見つめていた。
何かをいつくしむようなそのまなざしは今でも覚えている。
---私は、かつて戦後すぐに生まれた団塊世代の一人であった。
日本の高度経済成長期、二度にわたるオイルショック、土地・株のバブル、ITバブル、
就職氷河期という激動の時代だった。
有名な銀行が破綻していき、貸しはがしが横行した世の中。
黙々と働き続けていた私はついに定年を迎えた。
65歳になるまで粛々と働き続けたことは誇っていいのかもしれない。
だが、私には何もなかった。
結婚はしていない。男は家庭を持って当たり前、という価値観のもと育ったのは自覚しているし、周りからの厳しい目もあった。
両親はそんな私に見合い話を持ってきてくれたが、40後半になると見合いの相手すら見つからずに、話そのものが立ち消えた。
母も、父もすでにこの世からいなくなっていた。
二人とも、心労が溜まっていたのではないかと思う。
孫を抱かせたかったというのは本音である。
せめて、いい人がいるよ、とうその一つもつければ
もう少し、二人は長生きで来てのではないだろうかと。
たった一人の息子である私が取り仕切った葬儀には、
多くの人たちが参列してくださった。
親戚の子供も来てくれたのは嬉しかった。
さて、現在の私の状況だが何分奇妙なことになっていた。
定年退職を迎えた日、いつものアパートに帰ってシャワーを浴び、
明日からの身の振り方を考えて床に就き、目を閉じた。
そして、目を覚ますと別人として生まれ変わっていた。
何がどうなっているのか、わからず。
赤子からやり直すのはなかなか大変だった。
周りの子供と同じく、無邪気にはしゃぐこともできない。
それまでの"私"としての記憶が性格の形成に影響を与えていたのは、
当然のことだろう。
大人びた、手のかからない子供も今生の両親からは言われていたが、
ただ単に中身が老いているからだろう。
自分が生きる世界が、今まで私がいたところと違うのか。
それが知りたくて図書館にこもって、知識を蓄え続けた。
結論から言うと、大筋はあっていた。
日本は戦後、朝鮮戦争による特需を経て高度経済成長期を迎え、
公害問題、オイルショック、全学闘争、バブルといった道を同じくたどっている。
ただ、ちょっと違う点としては、私が生きていたころにはまだ、
インターネットというものはここまで便利ではなかったし、
ケータイの代わりにスマートフォン、というものが主流になってもいなかった。
小学校ではある程度の優等生として先生方には可愛がっていただいた。
目上の人に対して当然の礼儀をとっていただけなのだが、
どうも最近の子供は昔よりも大人に対して敬意を抱かないらしい。
それがいいことなのか、悪いことなのかはわからないが。
中学校に入ると、それまで放置主義を徹底していた両親が私に対して、
何かやってみたいことはないか、と距離を詰めてきた。
大方、本ばかり読んでいる私の人間関係を案じているのだろうか。
しかし、とはいってもだ。
10代前半の子供が喜びそうなことなど、ロートルにはさっぱりわからない。
女性に至っては髪型も大分奇抜であるし、貞操観念も緩いような気がして、
近づくに近づけない。
いい年した壮年のくせして、という自虐が頭の中に浮かんできたが、
すぐに追い払った。
最近の流行には疎いほうである。
学力的にはそこそこ、内申点も申し分なかったので好きなように高校を選ぶ立場になった私はさて、どうしようかと首をひねる。
ある意味、前世で燃え尽きてしまった私にはどうしようかという疑問ばかりが浮かぶ。
今後のことを考えて、MARCHが狙えるレベルのところには生きたい。
学歴というものがどれほど重要なのか、それは前世の就活時に嫌というほど知っている。
が、頭の中に古くからの付き合いであるあの3人の姿がぼうっと浮かぶ。
ある程度ハイレベルな場所に行けば、彼らとは疎遠になることは容易に想像できた。
早々、縁というものは切れやすい。
二度と会わないということもあり得る。
---気が付けば、"竜鳴館"というところへの進学を取り決めていた。
◆
「坊主?どうした?」
「あ、いや、大丈夫だ。」
「大丈夫かぁ?今朝料理していた時から上の空だろう。」
「へっ。大方エロ本で妄想にふけっていたんだろうよ。
エロ。むっつり。」
「おいおい。そんなに溜まっていたのなら俺がお気に入りを貸してやったのによー。」
「性処理はしているから、大丈夫だ。」
「・・・なんか、言い方がキモイ。」
蟹の言葉がぐさり、と心臓に刺さる。
た、確かにちょっとセクハラだった・・・。
隣を歩く三人の姿を見る。
お互いに悪態をつきながらも、どこか楽しそうな雰囲気。
(・・・選んで、よかったなぁ。)
ふと、顔がほころぶ。
私にも孫がいたら、きっとこんな感じだったのだろうか。
それはもうわからない。
わからないことだが、それでもこれから先のことを考えると、
自然と胸の鼓動が高鳴る。
「おい?馬鹿レオ?顔がほころんでいるぞ?」
「へえ、坊主がそんな顔をするなんて珍しいな。」
「ねえ、俺のことはスルーなの?扱いひどくない?」
入学式が終わったらどうしようか。
これから一体どう生きてみようか。
天国にいる両親が笑えるように、もう少し砕けてみようか。
かつて持っていて、永遠に失ってしまっていた期待と共に、
高校の門を友人たちと潜り抜けた。
---私の名前は対馬レオ。
かつて、激動の時代を生きた一介の男子高校生である。
対馬レオ(元 ○○)
生まれはぎりぎり戦時中の高齢者。
昔ながらの価値観を持っているため、現代の若者のセンスに戸惑うこともしばしば。
親戚の子供がやっていたゲームに似ている世界だなぁ、と漏らす。
心不全によって孤独死した彼は、第二の人生を歩むことに。
男女は7つにして同衾すべきでない。
女性は家庭を守るもの.
男性は強くあること。
古臭いといえばそれまでだが、良くも悪くも昔ながらの考え方である。
立ち位置としては主人公の代わりである。
積んだ徳の高さに対して不憫な人生を送っているとみなされ、
女性との縁が結ばれやすい世界へ。
しかし、彼自身、恋愛経験に疎い男性であるのでその気遣いが役に立つかは別の話。
家族構成としては、前世では両親はすでに死別しており、親戚が何人かいる程度。
家と仕事場を往復する人生であった。
現代の若者についていけない部分もしばしば。
ラインやメール、サブカルチャーにはある程度慣れてきた。
でも、どうして"w"というものを多く使いたがるのか、
理解できない模様。
好みのタイプは長髪がきれいな女性。
竜鳴館への入学まで。
次回は2年生の最初から。
このおじさんがどうなるのかは俺にもわからない。
感想くれ
KEY(ドM)