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フェイちゃんは見た! それはよくある村の夜のお話
「いやいやいや、無理だって!!」
世界が激動の渦に飲み込まれ始める昨今。ゴウン様が統治されているお陰で他所よりは平和なカルネ村。そんな平和な村に住む僕に──急転直下と言うべきか、驚天動地と言うべきか──一大イベントが舞い降りて来たのだった。
「大丈夫ですって、ンフィーの兄さん!」
「そうそう、俺らゴブリンの秘伝の薬ですぜ」
何をトチ狂ったのか。いや、ゴブリンとしては普通なのだろうか。彼らは僕にエンリと子作りをしろと言ってきたのだ。
トブの大森林から襲ってきた東西のボスを村の皆で打ち倒す──とは言ったものの、メインとなって戦って下さったのはゴウン様の妻であるシャルティア様なのだけれど──その戦いの中で僕とエンリの仲は、間違いなく一歩前進したと言える。
しかし、それがイコール子作りできる関係などとは口が裂けても言えない。
「そ、そもそも──僕は無理矢理とかそういうのは好きじゃないし──」
「いやいや!エンリの姐さんだって、ンフィーの兄さんを待ってるんですって!」
「そうそう、夜な夜な兄さんの事を思って一人慰めてるんですぜ」
そんなわけがないだろう。そう口にしたかったが、心のどこかでそうあってほしいという思いが僕の口を閉ざしていた。
「ま、この薬があれば大丈夫ですって」
「精力絶倫!媚薬効果マシマシ!アフターケアもバッチリ!たった一晩で、姐さんも兄さんの虜間違いなし!」
(もっと普通でいいんだけどなぁ──)
彼らゴブリンは普通のゴブリンではない。彼らはエンリがゴウン様から頂いたマジックアイテムを使って召喚したゴブリンたちだ。
だからなのだろうか。彼らのエンリに対する忠誠心、好感度は一線を画すほどに高い。
勿論エンリ自身の人徳もあるのだろうけれど。
「カルネ村は一時的とはいえ平和になっていますが、周囲の町や国々は相当きな臭いんです。いつ大きな戦争が始まるかもしれません」
「だな。今のうちにヤっといて、世継ぎを作っておかないと。次にいつ作れるかっ分かったモンじゃないですぜ」
「それは──そうだけど──」
確かにこの村はゴウン様直轄の配下であるルプスレギナさんを筆頭に色々な方が守ってくださっている。しかし、いざ戦争が始まれば皆そちらに行かなければならなくなるだろう。
当然この村に戦火が及んでくる可能性も無いわけではない。毎年のようにリ・エスティーゼ王国とバハルス帝国は戦っているし、行商人から聞いた噂によればゴウン様が晴れてリ・エスティーゼ王国の貴族様になられることを由としない国が戦争を起こそうと画策していると言っていた。
今は確かに平和だ。でも、ゴブリンたちが言うようにこの平和がいつまで続くかもわからない。明日突然戦争が始まっても、そうおかしくないのだろう。
そういう意味でも、エンリと子作りをしても──子作り──
「したことないし、やっぱり無理だよー」
「何ヘタレてるんですか!姐さんが今か今かと待っているんですよ!」
「そうそう、この薬を飲んで、バシっとキメちゃってください!」
もう日常となった、筋肉を見せつけるキメポーズをしながらゴブリンたちが僕に小袋を渡してくる。
中に入っているのは小さな丸薬。正直な話、そのあたりの草むらに転がっていたら小動物の糞と間違えるような色合いで、あまり美味しそうには見えない。まぁ薬なのだから美味しいわけがないのだろうけれど。
「でも、この薬をどうやってエンリに飲ませれば」
「いやいや。違いますって、兄さん」
「それ、雄──じゃなくて、男性用なんですよ」
なるほど。この小動物の──じゃなくて、薬を飲むのは僕なのか。ならば僕が覚悟を決めればいいし、エンリを騙すわけではないのでどうにかなりそうだ。
「──よし!──あー──んぐ──」
「「──あっ」」
「はぁっ──はぁっ──」
身体が熱い。夜だというのに灼熱の太陽に照らされているような気分だ。
「──フィー!?──で──しら?──も──って──」
エンリの声が聞こえる。エンリ。好きだ。薬の力を使わなければキミを抱きしめられない情けない男だけれど、キミを愛する思いは誰にも負けない──
「え、ちょ──全部飲んじゃったって──ンフィーは大丈夫なの!?」
「ええ、ちょっと効果が強くなりすぎるだけで兄さんの身体自体は大丈夫なんですがね」
「効果が強くなっちゃって、自分で動けないみたいなんですよ」
何なのだそれは。
折角ゴブリンさんたちに手伝ってもらって、いまいち煮え切らないンフィーの背中を押してもらおうと思ったというのに。まさかこんなところで躓いてしまうとは。
「ホントすんません、姐さん。一粒のむように言う前にざらざらーっとやられまして」
「後遺症の残らない薬ですんで、何もしないで放っておいても明日の朝までにはすっきりと抜けますんで」
まるで酔いつぶれたように、顔どころか全身真っ赤にして倒れてしまったンフィーをゴブリンさんに手伝って貰ってベッドに寝かせたのは良いものの──
「あぁぁぁ──」
うわ言の様に──実際うわ言なのだろうけれど──私の名前を呼ぶ。好きだと何度も。それはそうだろう。ゴブリンさんの話では、自分に素直になって気持ちを高ぶらせる薬だって話だ。ンフィーは間違いなく私の事が好き。間違いない。だから──
「こ、これは夜這いじゃない。苦しんでるンフィーを楽にしてあげるだけ──」
ゆっくりと彼に触れる。彼の身体はまるで熱病に侵されているかのように熱い。
かなり敏感になっているのだろうか。ゆっくりと服の上から優しく撫でるだけで、ビクビクと身体を震わせ身をよじっている。
「ンフィー、何か──可愛い、かも──」
鼓動が痛い。まるでンフィーの熱が移ったように、私の身体も熱くなっていく。
ゆっくりと彼の服を脱がせていく。彼の、線の細い身体があらわになっていく。
思わず、喉がこくりと鳴った。
「こ、こういうのって──ふつう、逆なんじゃ──ないかなぁ──」
見ようによっては、彼の身体はまるで女の子の様にも見える。けれど、それも少しの間だけだった。
「わぁ──わぁぁ──」
胸板が、お腹が、服を通さぬ腕が。全てが彼が男であると私に訴えかけてくる。
「──ちゅっ」
「はぁ──んっ!!」
彼の身体が大きく、跳ねた。跳ねてから気付いた。
私はキスしていたのだ。彼の身体に。
「け、結構ヤバいかも──男の人がエッチするときに女性の身体を嘗め回すときがあるって聞いてたけど、確かに舐めたくなるよ──ん──」
ンフィーは綺麗だった。月明かりに照らされる彼の裸体。それを伝う汗に思わず舌を這わせたとして、何の問題があるだろうか。
「んん──ンリ──エンリぃ──」
「ちゅ──ンフィーの身体が熱くて、舌が焼けちゃいそう──んっ──」
彼の首筋にキスをして、胸元へ。細い彼の身体からは想像も付かないほどにしっかりとした筋肉がついている。いくら荒事の苦手なンフィーとはいえ男だ。しかも薬師として森に何度も入る。しっかりとした筋肉がついてないわけがなかった。
「やぁ──エンリぃ──んぁっ!!」
「んちゅ──男の人も胸は感じるのね──」
眉を顰め、身体を震わせる。まるで女の子のような仕草なのに、しっかりとした男の身体をしたンフィー。そのアンバランスな雰囲気が私をもっと興奮させていく。
我慢できぬと、少し乱暴に上着を脱がせ、ベッドの横に落とす。
荒々しくも弱々しい。吐息と共に私の名前が紡がれる。
彼が愛おしい。そんな思いを込めて強く抱きしめた。
「ンフィー、好き。大好き──」
「いやぁ、姐さんノリノリだなぁ」
「まーあれだけ薬飲ませたんだ。汗どころか体臭すら媚薬になってんだろうからなぁ」
さて、どうなっただろうかとこっそり窓から覗けば、予想以上の展開になっているようだ。
ヘタレすぎて背中を押すどころか蹴り飛ばさないと前に進めないンフィーの兄さんと、そんなヘタレている兄さんから誘ってほしいと言うエンリの姐さん。どうすればくっつけられるだろうかと苦心して考えたのが今夜の一件である。
エンリの姐さんから手伝ってほしいと言われたのは渡りに船だった。後は『間違えた』フリして兄さんに飲ませるだけ。
元々あの薬は雌のゴブリンが意中の相手に飲ませて子作りするときに使うもの。何かとリードしている姐さんにはぴったりの薬だろうとチョイスしたものだ。
そして予想は的中。完全無抵抗になった兄さんに襲い掛かったわけである。
「ふわぁ──エンリさんエッロ!お兄の上だけ脱がせてペロペロしてるぅ──うっはぁー」
「って、フェイの姉さんじゃないですかい」
「いつの間に来たんですかい?」
村の中、しかも夜中ということもあってあまり周囲を警戒していなかったからなのだろうか。気付けばンフィーの兄さんの双子の妹さんであるフェイの姉さんが俺たちと一緒に姐さんたちの情事を見て居たのだ。
恐らく兄さんから出る媚薬の匂いを嗅いでしまったのだろう。目を血走らせながら窓際に噛り付くように二人の情事を凝視している。
「いけー!脱がせー!」
「はいはい、姉さん流石にバレますから」
「静かに見てくださいよ、姉さん」
「すぅ──んっ──はぁぁ──ンフィーのココ──すごい匂いしてる──」
ズボンの上からでもはっきりと分かるほどにンフィーのが起立している。ズボン越しに握ると、気持ちいいのだろうか。手の中でびくびくと震えている。
そっと顔を近づけて匂いを嗅げば、汗とは違う不思議な匂いがする。
「熱い──それに、ぴくぴくしてる──」
勢い余って、鼻先がそれに触れた。それからは早かった。
鼻を直接つけて匂いを嗅ぎ、まるで猫の様に頬を擦りつける。
ただそれだけなのに。掌に、頬に彼のが震える感触が伝わってくる。私を感じてくれている。
「はぁっ──あっ──あぁっ──」
「え──あっ──」
やりすぎた、の、だろう。ンフィーはかくかくと、身体を大きく震わせた。
手の中で彼のがびくびくと震え、先端がジワリと滲んでくる。同時に濃く、強い匂いが私を襲った。
「っはぁ──これっ──すごい──はぁっ──ん──ちゅ──じゅるっ──」
あまりの濃い匂いに頭がくらくらする。本能の赴くままに布越しに彼のを咥え、舐めた。
まるで鈍器になぐられたような強烈な衝撃が頭を襲い、何も考えられぬままにそのまま吸う。
唾液と共に来るどろりとした濃い液を嚥下していく。ンフィーのもの。この濃い液が私のお腹に出されれば、月日と共に私の中でンフィーの子供が出来て育つ。
そう思っただけで、お腹の奥が熱くなってしまう。
「ンフィー──どうしよう、わたし──欲しくなってる──よぉ──」
欲しい。ンフィーの赤ちゃん。二人の子供が。私の熱くなってるここに入れて。
でもンフィーは動けない。だから私が入れないといけない。
「と、ここまでですぜ。姉さん」
「えっ!いまかあら良いとっ──ちょ、離してぇぇ──」
まるで破り捨てるかのように乱暴にエンリさんが服を脱ぎ始めた時だった。ゴブリンさんが私の目を塞ぎ、そのままずるずると引きずっていく。もう少しでセッ──じゃなくて、生命の誕生の神秘がこの目で見られるはずだったというのに!
「私だって年頃だし、そろそろこういうのを覚えないと──ぬあー!」
「はいはい、そういうことはまず好きな人が出来てからにしやしょうぜ」
遠くでエンリさんの嬌声が聞こえて来る。大きな声でお兄の名前を叫ぶ声が。もう結構離れている筈なのに、ギシッギシッというベッドのきしむ音が。
「ざんねんですが、ここまでですぜ。ほら、帰りやしょう」
「はぁーなぁーしぃーてぇぇーーー!!!」
というわけで、軽く本番前で止めてみました。
必要な分は見せたということだっ!的な。
これ以上書くと長くなりそうでしたのでここで止めです。
続きは需要があれば書きますよー