俺の名前は
先日行われた全国大会では個人で準決勝までいったのは密かな自慢だ(……準決勝の相手に負けたことは聞くな)。
そんな俺は学校からほどほど離れたボロアパートで独り暮らしをしている。
俺の通う五百重高校が実家から離れているというのも理由だが、最大の理由は近藤家の家訓で『男は16で外に出るべし』というものだ。その家訓に従い、俺は中学を卒業してすぐに風呂&トイレ一緒の狭い安アパートに一人で住んでいる。
そんなある日のことだった。
「ひぃ~、今日も疲れたなぁ」
部活の練習を終えた俺がドアノブに鍵を差し込んだ時だった。
ガタッ
中から物音が聞こえた。この部屋には俺以外住んでおらず動物は飼っていない。
泥棒
その単語が俺の頭をよぎる。
俺はゆっくりとドアを開けて中の様子を窺う。
「……とりあえず大丈夫か、今のところは」
どこかに潜んでいるのだろう。俺はいつ泥棒と対峙しても戦えるよう警戒しながら慎重に部屋を進む。
電気をつけ、部屋に誰もいないことを確認した俺は浴槽や押入れなど人が隠れていそうな場所を調べる。
(ここは二階だが……窓から逃げたか?)
そう思いつつも俺は窓を調べるが鍵はかかったままだった。
「気のせい、だったか……ッ!?」
その時、俺の後頭部に衝撃が走った。
「な……」
(何だ?……どこから?…………)
完全に油断しモロに衝撃を受けてしまった俺に対処する方法は残されていなかった。薄れゆく中で俺は後ろを見る。
何者かが棒状のものを持って立っていたこと。そしてドアのすぐそばにある洗濯機の蓋が開いているのが見えたところで、俺は完全に気を失った。
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(ん、俺は……?)
目を覚ました俺はゆっくりと目を開ける。しかし何も見えない。その理由が暗いからではなく何か布のような物で目隠しされているからだと目の附近にある感触で気づく。
「うう、ううう……ッ!?(くそ、誰が……ッ!?)」
この時俺は初めて気がついた。目だけはなく口も、目隠しを取ろうとした手も、立ち上がろうとした足も縛られていることに。
「あ、気がついたにゃ?」
(女の声?)
「うぐぐ!?(誰だ!?)」
俺は声のした方に首を動かす。しかし動かしたところで目隠しをされている以上何者なのか分からない。だが俺の疑問を察したのか、女は自己紹介を始める。
「たぶん※※のことが気になるみたいなかんじかにゃ?※※は※※だにゃ」
(何だ※※のところが『にゃ』とか『みゃー』とか聞き取りずらかったが……)
「それにしても。盗みに入ったものの、何もない部屋だにゃ。預金通帳は雀の涙だし家財道具と言えば※※には持てない大きな机と冷蔵庫、洗濯機くらい。服や下着なんてたかが知れているしボロすぎて話にならないにゃ。冷蔵庫の中身もプロテインだの卵だの鶏肉だの野菜だのばかり。※※の好きなケーキとかジュースとか一切ないにゃ!」
(知らねぇよ!お前の好みなんか!!)
「せっかく盗みに入って何も盗めないなんて骨折り損のくたびれ儲けにゃ!何か盗まないと腹が立ってしょうがないにゃ!ん?……待てよ?そうにゃ!」
自分勝手な独り言を漏らしていた女が何かを思いついたか、俺の方に近づいていくと俺をあお向けに転がす。
(な、何をするつもりだ?……ッ!?)
疑問に思う俺の股間に、女が乗っかってきたのだ。それはAVとかで見た騎乗位の状態。
「うう!うううううううう!!(おい!何をするつもりだ!!)」
「何言ってのかわかんないにゃ!」
怒り口調で女は俺の口を封じていた布を取り去った。しかし俺は大声を出すことが出来なかった。首から伝わる冷たい金属の感触によって。
「騒いだり助けを呼ぼうとしたら、お兄ちゃんの首を斬っちゃうにゃ」
俺は汗を流しながらコクリと頷く。いくら俺が全国大会にも出場した猛者だと言っても、目隠しされた上に手足を縛られていては太刀打ちできない。
俺は女の気に触れないように“助けを求める”、“女を倒す”という意識を逸らすしかなかった。だがその意識を遠ざけようとするということは別のことに意識が向いてしまうことを意味する。この場合
「ふふ、お兄ちゃんのおちんちん。ズボンの中で大きくなっているにゃ」
自らの秘所を俺のモノに擦りつけている女の身体に意識が向いてしまった。
「お、おい!何をするつもりだ!」
決して大きくはない声で俺は抗議する。
「『何をする』って……ナニをするに決まっているにゃ」
「お、お前……」
冗談もほどほどにしろ。そう言おうとしたが言葉にすることは出来なかった。
言葉を発する前に女がガバッと覆いかぶさるように抱きつくと、俺の唇を塞いだからだ。
虚を突かれ思考が停止した俺をよそに、女の舌が口の中で動き回る。
「んんっ、ちゅ……」
口づけをしながら女は股間をずりずりと俺の股間に擦りつける。
「ふふふっ……」
女は唇を離すと嬉しそうに微笑むと、両手を俺のズボンへと伸ばす。
「や、やめろ!?」
「断るにゃ!」
ズボンの中で膨張していたソレを、女はギュッと握った。
「ふふ、それじゃあ……いただきま~す!」
「うわわっ!?」
戸惑う俺とは対照的に、女は何のためらいもなく、俺のモノをぱくりと口に含んだ。舌を絡ませながら顔を上下に動かす。
「うおおおっ!?」
初めて味わうフェラチオの快感と女の突拍子もない行動に、俺は抵抗することを忘れてしまっていた。
「むぐっ、うぷっ、ちゅぶ……ちゅ、ぷちゅ、ぷちゅっ……」
ジュブジュブと大きな音を立てながら、女は俺のペニスをリズミカルにしゃぶっていく。目隠しをされた俺にとってそのイヤらしい淫音は童貞の想像力を駆り立て射精に向かうスピードを速めていく。
「んんっ、ちゅちゅっ、ちゅぱっ……れろっ!」
「はぁはぁ……ああっ」
女の口から洩れる水音と悩ましげな声、そして俺の興奮した息遣いが部屋全体を満たしていく。
「あっ、あっ、あっ……うあああっ!」
急激に押し寄せる射精感に対応出来ず、俺のモノがビクンと大きく痙攣した。
ドピュドピュドピュ!
亀頭の先から熱い精液が飛び出す。
「んっ、んんんっ!」
女の口腔の温かさを感じながら、俺は精液を発射してしまった。
「……ん、んくんっ。……ごっくん。あぁ、美味しい」
そのセリフから俺の精液を飲んだらしい。
名も知らない、どんな容姿の女が俺の精液を嚥下したのか。
女の機嫌を損なえば殺されるという意識から逃れるための想像が、萎え始めようとする肉棒にガチガチに保つ。
「はぁはぁ……」
俺が何かを言おうとする前に、またしても女の口から驚きの発言が飛び出る。
「お兄ちゃんのおちんちん、すごいにゃ!※※の口の中にたくさん出したのに、おちんちんは硬いまま……うにゃ、もっと硬く大きくなっているにゃ!じゃあ今度はそのおちんちんで※※のおまんこを気持ちよくしてもらうにゃ!」
そう言うと女から布が擦れる音がした。
「ふふ、いくら春でも夜だと全裸は寒いにゃね」
「ぜ、全裸!?」
布が擦れる音から服を脱いでいるとは想像できたが、まさか全ての服を脱いでいるとは予想だにしていなかった。
「お、おい……!」
何かを言おうとする俺の口を、女の口が塞いだ。そして俺の肉棒には女の手の感触が。
女は何も言わず空いている手で俺の右手を掴むと何かに触れさせる。
「あぁん、お兄ちゃん……※※のおっぱい、気持ちいいにゃ?」
小さくも弾力のある乳房。物心ついてからは初めて触る女の胸に俺は何度も頷く。
「あぁん……」
偶然にも乳首に俺の指が触れた瞬間、女は小さく喘ぐ。
俺は戸惑って思わず手を止めてしまうが、女は俺の肩に手を回し、そして熱い吐息を吐きながら言葉を紡ぎだす。
「やめちゃダメにゃ……※※をイカせてにゃ……」
そう言うと女は肉棒を熱い液体が感じられる部分に擦りつける。そして
……ずぶぶっっっ!
「んんっ!あああうううっ!!」
俺の亀頭が生温かい物の中に潜りこんだ。
ぐちゅぐちゅぐちゅ
「あぁん!お兄ちゃんのおちんちん、気持ちいいにゃ!……※※の腰、勝手に動いちゃうにゃ!……おまんこ、勝手に締め付けちゃうにゃ!」
そう言って女は腰を大きく上下に動かす。
俺の部屋は挿入された肉棒と女の秘所がこすれ合う音で、先ほどまでのフェラチオの音よりもさらに卑猥な音に包まれていた。
「あんっ!ああんっ!」
女の喘ぎ声が俺の耳を犯していく。
「あぁ!あぁっ!」
いつしか俺は、自分も快感を得ようと女の身体を下から突き上げた。
「あああんっ!……い、いきなりだなんて、ずるいにゃ!……あぁんっ!!」
俺の腰の動きを予測していなかったのか、女は俺の腹の上で翻弄されるように跳ね上がった。しかしそれもつかの間。女は俺の腰のリズムに合わせて身体を揺らし始めた。
「す、すごい……これが女の、セックスなのか……」
「あぁん!そうだにゃ!……これがセックスにゃ!あぁん、激しい!お兄ちゃん、激しいにゃ!……気持ちいいにゃ!にゃふんっ!」
艶っぽい吐息と共に返答する女は、さらに細かく速く身体を揺らしていき、肉棒を咥えこむ膣壁をキュウと締め上げた。
「あぐっ!ダメだ、それ……俺、もうイク、イッちゃう!」
俺の通う高校は共学と言っても男女の比率は9:1。女性の耐性などあるはずもない。そしていくら俺が空手にほぼ全ての人生をつぎ込んできたといっても年頃の男。女に飢え、飢えた欲望を満たされることのない妄想で我慢する。そんな俺が味わう初めてのセックス。
ものの数分で俺は音を上げてしまった。
「えぇ?もうイッちゃうの!?いいわ、出して……※※の膣内にいっぱい出してぇっ!!」
女はやや不満げながらも自分も絶頂しようと腰を動かし続ける。
「ああ、うあぁ……ああああああっっっ!!」
ついに我慢の限界に達した俺は、肉棒を抜くことも忘れ、そのまま女の膣内に精液を流し込んでしまった。
「ご、ごめん!」
女に犯されたからとはいえ、見知らぬ女の膣内に射精してしまったという罪悪感から謝罪の言葉が自然と出た。
「いいにゃ。だってお兄ちゃんのセックス、気持ちよかったから」
そう言って、女は俺の唇にキスをした。
「今まで色んな男の人とセックスしてきたけど……絶頂しなくてこんなに気持ちよかったのはお兄ちゃんが初めてにゃ!……だから、今度セックスする時は※※をイカせてね、お兄ちゃん!」
その言葉を聞いた俺は『セックスというのが気持ちいいものなのか、それともこの女と俺が相性と言うのがよかったのか』というバカバカしいことを考えてしまった。
今まで味わいたくとも味わうことが出来なかった未知の感覚を得たせいか、俺は目隠しされた上に手足を縛られているのも忘れて眠りに落ちてしまった。
「ん?」
朝日を感じた俺は目を開けると、今度は何か遮られることなく自然と太陽のまぶしさを感じることができた。手足を縛っていたものはない。そして、女も。
着ている制服も帰ってきた時のまま。まるで着替えるのもめんどくさくなってそのまま寝てしまったかのようだった。
「あれは、夢だったのか?……ッ!?」
そんなことを思った俺の視線にデジタル時計が表示する時間が目に飛び込む。
「やばい!このままだと遅刻だ!!」
女との情緒が夢か
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日曜日の朝。
部活やら勉強やらで忙しい日々を送っていた俺は布団で大の字で寝たまま、十間前の出来事を思い出していた。
「俺、ここで……胸の小ささと俺に跨ったときの軽さから幼児体型と思われる経験豊富?な女とセックス……したんだよなぁ。あの後バタバタしちゃったというのもあってか……現実だったという自覚がないんだよな。でも……」
女の弾力のある柔らかな胸の感触と、女の膣内に入れた時に肉棒を締めつける感触は昨日のことのように覚えていた。
「あれは現実?それとも夢か幻?どっちなんだ?……うぅん、うううんっ……あああぁ、えぇい!どっちでもいいわ!!」
考えるだけ時間の無駄だと思った俺は「あの時の女はこんな女だったのだろうか」と脳内で補完しながらムクムクと膨張する逸物を握った時だった。
ピンポーン!
(ああっ!誰だよ、人が今から謎の女をオカズにしようとした時に!!)
「はい、どちら様で?」
今にも爆発しそうな怒りを抑えて、俺はドアを開けた。
「初めまして、今日からお隣に住むことになりました
そこには可愛らしいミニスカートにフリルがたくさん盛り込まれた服に身を包んだ、背中までありそうな巻き毛をツインテールにした少女が立っていた。
「えっと、早瀬……にゃあ?」
※※のところが「みゃあ」にも「にゃあ」にも聞こえ、思わず俺は聞き返してしまう。
「もう、失礼だにゃ!」
少女はリンゴのような頬をプ~ッと膨らませた。
「『にゃあ』じゃなくて
膨らませていた頬をさらに赤くしながら、なんちゃって少女は怒りを露わにする。しかし20歳とは到底思えない童顔と低身長は、まるで小学生のようにも見えて迫力などという言葉はまるで存在しなかった。さらに体つきも幼く、「高校で見かける女子の方が大人びているぞ」と断言できるほど、凹凸の少ない身体からは女らしさは感じられない。
大きく開かれた胸元からは微かに膨んでいるバストが覗き、ミニスカートの裾からは小さい足が伸びている。
涙に潤んだ大粒の宝石のような瞳や、ふっくらとしたマシュマロのような頬っぺたは、男なら誰でも保護欲をそそられる愛らしさだ。顎も鼻も小さく小顔でふわふわとした巻き毛はフランス人形を彷彿させる。
(しかし……見た目通りの子どもなら語尾の『にゃ』は可愛らしい感じがするけど。
「はぁ、こちらこそよろしくお願いします」
そんなことを考えているとはおくびにも出さず、俺は最低限の挨拶だけするとゆっくりと扉を閉めた。
「何なんだ、あの痛々しい女は……ん?」
部屋に戻った俺は、あることに気づき……呟いてしまった。
「……にゃ?」
今回の名前の大半は週刊少年サンデーに連載されてました『タクシード銀』の登場人物や地名から。わかった方は凄いです。
ヒロインが猫っぽいのは話を考えていたとき、筆先文十郎がかわいい猫を見かけたからです。
主人公を襲った謎の女の正体は誰か!?