からかい上手の高木さん〜戦い上手の高木さん〜 作:ナチュラル
平和とはなんだ。
【ぐあぁっ】
平和とはなんだ。
【このぉ!死ね!死ねぇ!!】
平和とは、なんだ?
【いやだ!死にたくない!死にっ・・が、がっ・・】
オレが生まれる前の世界は、平和だったのだろうか。
瓦礫に埋もれるだけで身動きも取れず、意識も朦朧としていたオレは、軍人達が敵に向かって銃を乱射している光景を眺めていた。
逃げなきゃ、逃げなきゃ、逃げなきゃ。
心の中で何度も叫ぶ。
どうして逃げるのか?
怖いからだ。
見たくないからだ。
死にたくないからだ。
理由はいくらでもある。
しかし、身体動かない。
瓦礫に埋もれていたから。
これなら分かる。
しかし、瓦礫と言ってもたかが知れている大きさの物だった。
少し力強く起き上がれば押し退ける事なんて容易い。
なのにどうしてそうしなかったのか。
絶望してしまったからだ。
この世界に。
オレは、死にたくない。
まだオレは13歳だ。
まだまだこれからの人生を楽しみたい。
でも考えてしまうのだ。
これから生き残ったって、オレは人生を満喫出来るのか?と。
敵に殺されるのではないか?
生きてたって、嫌な物を見たり、痛い目にあったり、怖い目に合うだけなんじゃないのかって。
だからオレは、絶望する。
もういいや、とようやく動いた口からそんな言葉が出る。
少し遠目に見える軍人が敵に殺された。
敵は、10年以上前から人類と戦っている【ナニか】だった。
見た目は1つ1つ異なっていて、正確な形なんて存在していない。
最初は誰もがエイリアンだとか、宇宙人だとか言っていた。
しかし、軍や政府は正式な名称を一般市民には一切発表せず、目の前の軍人達に至っては知ってはいるんだろうけど、その恐怖の余りただ只管【化け物が!】と連呼するだけ。
ぐちゃっ
また1人死んだ。
オレの目の前の軍人が死んだ。
軍人の腹は、敵の腕らしき部位によって突きつけられてそのまま貫通していた。
大量の血という赤い液体がオレの顔に掛かった。
にがい。
くさい。
いたい。
色んな味がその赤い液体から感じ取る事が出来る。
オレは13と言う歳で、人間の血という味を知ってしまう。
今度学ぶのは、オレにもその味は出せるのかと言うこと。
つまり、何が言いたいのか。
今度はオレの番だ。
死んだ軍人をそのまま投げ捨て、その【化け物】と呼称されるナニかがオレを発見する。
意識が朦朧としていたオレは、視界もぼやけていた為、その化け物が今どんな姿で、何をしてるのか、なんて理解するのは難しかった。
しかし、1つだけ確かだったもの。
その化け物には、少なくとも顔がある。
そして感情もあるのだろう。
その化け物は倒れているオレを見て。
笑っているように見えた。
どうして笑っているんだろう?
オレを殺せるから?
オレを食べるから?
気になるなぁ。
最後ぐらい、人類の敵の目的とか、正体とか、きちんとこの目で見てみたかった。
ぼやける視界に移るその化け物の影は、さっき軍人を突き刺した腕を上へ掲げる。
それを、振り下ろすのだろう。
どうせだ、一瞬で殺して欲しい。
もう痛いのは、嫌だから。
お父さん。
お母さん。
オレを産んでくれてありがとう。
オレは、オレと関わった全ての人に感謝する。
そして、会いに行くのだと。
【お父さん、お母さん、今行くよ・・・】
ザシュ
なんだ?
何か、音がした。
切れる音だ。
オレの腕でも切り落とされたか?
ぼやける視界に映るのは、少なくともオレの腕でない。
そのナニかの腕が、ナニモノかによって切り落とされたのだ。