からかい上手の高木さん〜戦い上手の高木さん〜 作:ナチュラル
オレは軍に志願した。
そして、軍に入る事に成功した。
軍学校の教官であったタナベ教官が学校を卒業したオレ達新兵を軍事基地の中へと案内していく。
「良いかお前ら。お前達は若いが、死にに行かせる為にオレはお前達を育てたんじゃない。生かす為の知恵を授けたんだ!その思いでお前達は銃を握るんだ!分かったな!!」
「イェッサー!」
オレは、死ぬ為でも、生きる為でもない。
彼女の支えになる為に戦場へ行くんだ。
それなのに、ここにいるオレ以外の新兵達は、どんな思いでこの軍服を着ているのだろう。
そんなことを考えてしまう。
家族を守る為?
国を守る為?
世界を、地球を守る為?
悪いが、オレは違う。
いや、違わないか。
オレは、道具になる。
兵器になる。
彼女の武器になるんだと。
「タナベ教官、1ついいですか」
「なんだ、ナカイ」
新兵のうちの1人ナカイくんが指を指して、その場にいた者全員の視線を動かす。
「あれは、なんですか?」
オレ達がまず最初に連れて来れられたのは格納庫だ。
そこには沢山の戦車や戦闘機、その壁には銃や刀など多彩な武器が吊るされていた。
しかし、にしてもやけに広かったのだ。
その原因を、彼は指指して問うのであった。
「【アレ】か、【アレ】はお前達が気にする物でもないし、お前達が扱えるような物でもない」
タナベ教官の言う【アレ】
ナカイくんが指を向けた先にある【アレ】
それは、20m以上はあるであろう巨大なロボットであった。
それを見て新兵のほとんどは目を輝かせ、興奮していた。
「あんなロボ今まで聞いたことないぞ?」
「オレも初めて見た」
同期のタカオとキムラはそのロボを見て少し疑った様子が見られる。
しかし他の生徒は素直だった。
「かっけー!オレ達もあれに乗ってメンサーギカタを倒すんだな!」
「これさえあれば、あいつらなんてけちょんけちょんに」
聞いてなかったのか?とオレは呆れてしまう。
このロボは、オレ達に扱える物なんじゃないと。
オレがそう言う前に、タナベ教官は怒鳴るのであった。
「ゴラァッてめぇら!!人の話を聞きやがれ!!お前らはアレに乗ることもないし触ることもない!アレは人類の最終兵器で1機だけだ!選ばれたパイロット達が選ばれるんだよ!」
タナベ教官曰く、【アレ】は人類の最終兵器のようだ。
確かに、でかいし、何より強そうだ。
これさへあれば、確かにメンサーギカタを殲滅出来るかも知れない。
しかし、2つほど疑問をこの時感じた。
最終兵器と言う割には、名前は無いのか?と思った。
そして最後に、【パイロット達】と、教官は言ったのだ。
1人乗りでは、ないのか?と。
まず、その選ばれたパイロットってのは、誰だ?
オレは、なんとなく分かっていた。
きっと、彼女なのだろう。
寧ろ彼女じゃなければ、オレが許さない。
その時だった。
ブオーーーーーンと、とても煩く鳴り響くサイレンの音が聞こえた。
「え?なんだなんだ?」
「訓練の一種か?」
新兵達は何が起こっているか把握出来ずにそんなのん気な言葉を出し合っていた。
その一方で、タナベ教官は初めて見せる、焦りの表情をしていた。
「このサイレンは・・ついにここまで来たか」
え?
それはどう言う意味だ?とここは思う状況なのだろう。
しかし、オレはここにいる新兵達とは違う。
本物の血を沢山見てきたオレは、この事態に気付かない程、愚かではない。
ドカーンと物凄い爆発音が外から聞こえ始める。
それと同時に地面が揺れた。
「うわっ!なんだよ!!」
「なぁ、ここって安全なんだよな?」
タカオとキムラも怯え始める。
無理も無い、こんなの新兵からいきなり経験することじゃないんだから。
・・・って、オレも新兵か。
「お前達にはまだ早い!一旦ここを離れるぞ!!オレについて来い!!」
「は、はい!」
教官が数名の新兵を連れて安全な場所なのか、または自分達の武器を取りに行くのか、それとも作戦を練る為にオペレーションルームにでも連れて行く気なのだろうか。
そう考えるが、事実今のオレ達には戦闘経験は無い。
オレだってこんなに強がってはいるが、怖い思いをしただけであって、戦える力なんて無い。
オレは黙って、教官と新兵達の後ろに走って付いて行くだけだった。
オレは新兵達の一番後ろの位置でその後を追うように狭い1本の通路を走っている。
するとその向こうから、1人のパイロットスーツを着用した少女が格納庫の方へと走ってくるのが見えた。
その子は、オレ達とは対して変わらない、同い年ぐらいの女の子だった。
彼女とタナベ教官がすれ違うと、教官は彼女に向かって一言添えた。
「タカギ!頼んだぞ!!」
「はい!隊長!!」
そして、オレとも擦れ違った。
オレは、そんな走る少女を横目でつい見てしまう。
彼女はオレを見ることはなく、そのまままっすぐ前へと走る。
そんな彼女を横から見ても、オレにはこう見えたのだ。
綺麗で、とても可愛いらしい、普通の女の子。
そう見えたのだ。
オレは、足を止めて、そのまま彼女を見続けてしまう。
彼女が遠くに行って、どんどん小さく見えてきた。
彼女は、教官に頼んだ、と任されていた。
あんなオレと対して変わらない女の子に。
オレの追っている彼女と、今の彼女が同一人物という確証はない。
ただ、何故か、放っておけなくなった。
オレは無意識に。
彼女を追ってしまった。
何をやっているんだろう、オレ。
オレには夢があるじゃないか。
オレを救ってくれた彼女を支えるという夢が。
これじゃ、自分から死にに行くみたいなものじゃないか。
そう思っていても、不思議と足は止まらなかった。
しかし、次の瞬間、ついその足を止めてしまう。
再び物凄い爆発音と共に、その熱風がオレを襲う。
「うっ!?」
狭い通路の気温が急激に上昇する。
格納庫で爆発があったのだろう。
炎が飛んできた訳ではなかったので、大した怪我をすることは無かった。
しかし、格納庫の方はどうなっているのだろう。
オレは再び、走り出した。