からかい上手の高木さん〜戦い上手の高木さん〜 作:ナチュラル
「めでたしめでたし」
「ならないよ!!」
海に沈むロボットのコックピットの中で、オレの横でタカギさんは笑ってふざけだす。
流石にこのまま溺死する訳にはいかないので、ロボットを海水から上げる為にタカギさんは再び操縦を始めた。
このロボット、水中戦も想定されてるのか、すげぇ。
海から脱出し、近くの砂浜へと上がってそのロボットは膝を折ってしゃがむ。
その後に彼女はコックピットを開いて。
オレの手を握った。
「【ニシカタ!】」
え?
なんで急に呼び捨て?
「ジャーンプ!」
え?
ジャンプ?
ってうわあああ
オレはタカギさんに引っ張られるがまま、2人でその砂浜へとダイブした。
3m程度の高さから砂浜へ落ちただけなので、特に怪我なんてのは無かったが、とりあえずオレは彼女に一言。
「タカギさん!さっきから危ないよ!!」
「あはは、ニシカタ焦りすぎだよー!」
ていうかなんで急に呼び捨てに変わったんだよ・・
なんか、それだと、本当にパートナーっぽいじゃないか・・
「顔、赤いよ?」
「え!?」
嘘だろ?
照れてるのか?オレ?
なんとかして誤魔化そう・・
あ、そうだ。
「暑いからだよ!!」
「ふーん」
えぇ・・反応うっす・・
「ニシカタって、一々反応が面白いね?」
「え?そんなこと・・」
「そう?だって」
と言って、彼女はオレに顔を近づける。
「いっ!」
「あははは、ほらやっぱり」
この人、ほんの数分前に会ったばかりだと言うのに、どうしてこう親しく話しかけてくるんだ?
それにさっきからオレの
「私のパートナーだからね?ニシカタは」
オレの心を読めるんだぁ!!
それはそうと、そろそろ1つ気になることを暴きたくなった。
このロボットの名前だ。
「そう言えば、教官もタカギさんも、このロボットを【アレ】だとか【この子】だとか呼んでるけど名前とかないの?」
流石に、人類の最終兵器だと呼ばれてるぐらいだ。
こう、ガ〇ダ〇だとかエ〇ァだとかマ〇〇ガーZだとか、名前があっても可笑しくないのだが。
「いや、ほんとに無いんだよね、【この子】私の専用機で作られたから、私が付けろとか言われたんだけど、私そういうのセンスないし」
なるほど。
確かに、タカギさんは所謂エリートってやつなのだろう。
戦える女性ってだけで、そういうのは好きではないのは無理もない。
「だから、ニシカタが【この子】の名前付けてよ」
なるほど、分からん。
「は!?なんで!?」
「だって私のパートナーでしょ?私が困ってるんだから私に優しくして?」
いや理由がおかしい。
そもそも、人類の最終兵器と呼ばれる代物をオレみたいな新兵が決めて良いのかと思う。
いや、普通に駄目だ。
しかし、もし許されるのであれば
オレを救ってくれた、彼女の名前を付けてあげたい。
そう思って、オレは再びポケットからあのハンカチを取り出し、それを見つめる。
「名前、か・・」
ハンカチを見つめて、考える。
このロボットの名前なんかより
オレは、君の名前が知りたい。
オレを救ってくれた君の名前。
オレはそのまま血から浮き出ている名前を見つめる。
そこには相変わらず【T】と【I】しか浮かんでいなかった。
唯一見えるその2文字を見つめて、ぼそっとオレは呟いていく。
「TとI・・・ティー、アイ、てぃー・・あい・・・・」
そして、1つの文字が紡がれた。
「ち」
「血?」
彼女が顔を覗きこんでそう尋ねる。
確かに血で汚れたハンカチではあった。
しかし、オレの言う【ち】と言うのは、特に深い意味はない。
ローマ字でTとIを足すと、それは【ち】という文字になる。
おれは、その【ち】を何度か復唱する。
「ち、ち、ち・・・ちぃ、・・・ちー」
【ちー】
オレの血で汚れた彼女のハンカチから浮かび上がった文字から、【ちー】という言葉が生まれたのだ。
とくに、理由はない。
深く考えた訳でもない。
しかし、適当だった訳でもなかった。
オレはタカギさんに、応えた。
「【この子】の名前、【ちー】ってのは、どうかな?」
人類を守るロボットに、そんな可愛らしい名前をつけてどう思うのだろうかと思った。
またも馬鹿にされるのかなんて思った。
しかし、タカギさんは特に表情を変えず、少し微笑んで応えてくれた。
「うん、私も不思議にそれ、気に入ったかも」
「じゃあ、決まりだ」
「うん」
タカギさんは、膝を折ってしゃがんだ【ちー】の装甲に手を当てて言った。
「これから、君の名前は【ちー】だよ。私とニシカタ2人で考えた名前だよ?これからもよろしくね?」
タカギさんは、我が子を撫でるように、固いちーの装甲を優しく撫で始める。
それにしても。
なんか、その言い方、変じゃないか?
なんか、それだと、【ちー】って
その
オレ達の・・・
「私とニシカタに早くも子供出来ちゃったね」
「やめてよ!!」
「あはははは」
ご朗読ありがとうございました。
第2章では、ピンチなどを書かせて頂きたいと思いますが、希望などあれば ドンドンと意見をください。
よろしくお願いします。